
製造、流通、金融、通信といった様々な業界の企業に対して、サービスデザイン、UXデザイン、アジャイル開発を実行する日鉄ソリューションズ株式会社(以下NSSOL)のデザイン組織 Beyond Experience Design Center(以下BXDC)にインタビューを行いました。
前回のインタビューでは、BXDCに所属するUXデザイナーの飯田さんと武藤さんにインタビューを行い、お二方のキャリア、デザイン組織BXDCの現状と展望をお伺いしました。
参考記事:デザインを民主化するために。日鉄ソリューションズのデザイン組織BXDCの挑戦
今回は、BXDCのリーダーを務める斉藤さんに、前回とは違った観点からBXDCの役割や組織を立ち上げてから現在までに感じる変化、今後の展望を伺いました。
斉藤 康弘(Yasuhiro Saito)|日鉄ソリューションズ株式会社 Beyond Experience Design Center Leader
1992年 新日本製鐵株式会社入社。製鉄所などのシステム開発に従事。 日鉄ソリューションズではシステム開発標準の研究開発をはじめ、デザイン思考、アジャイルアプローチの研究・組織作りに取り組み、BXDCを立ち上げた。経営学修士。DXIC サービスデザイン部長、BXDCセンター長。
新日鐵(現 日本製鉄)のエレクトロニクス・情報通信事業部に新卒で入社をしました。当時は、PCやUnixのソフトウェアを作る部署に入り、私はWindows3.1用のパッケージソフトのセールスエンジニアをしていました。セールスエンジニアの仕事はお客さんの生の声を聞く機会も多く、製品作りの目が鍛えられました。その後、元々パソコンオタクでプログラム開発技術は得意であったことからITの研究所に配属になりました。研究所では製鉄所のシステムなどを作りつつ、10年先を見据えて新しい技術や開発生産性向上の研究に従事していました。2000年以降は、Microsoft .NETを担当領域として、システム開発時の生産性向上の研究を行い、NSSOLの開発標準やアプリケーションフレームワークを整備いたしました。その後、かねてより特に問題意識をもっていた上流の要件獲得領域に研究の軸足を移して人中心、UX、デザインシンキングを用いた要件獲得の研究をはじめました、そして2017年にBXDCというデザインセンターを立ち上げました。今はそのBXDCでセンター長を務めています。
私自身のマインドセットの変化と技術を取り巻く社会の変化の2点が大きかったです。
マインドセットとしてはNSSOLの開発標準を作り切った時に当時40歳で、自分自身のキャリアとしては一旦落ち着いた感覚がありました。気持ち的には、自分の幅を広げるために今までのものを捨てて新しいことをやろうと。40歳を区切りに再出発という意識がありました。
社会の変化としては、OSS(Open Source Software)と呼ばれる無償で公開されるソフトウェアが主流になってきて、自社オリジナルで標準的なアプリケーションフレームワークを開発する価値が下がってくると予想しました。このような技術に対する社内の変化を踏まえ、これから求められる領域として、上流のデザインに軸足を移そうと思いました。
デザインという言葉を使い始めても、例えば、画面UIの見た目を整えることだけを言っているのか、という感じで、初めは周りに理解されませんでしたが、SIerとして業務を行う上でよく起こるトラブルにデザインがどう寄与できるかを繋げて、理解のある上司の力を借りつつ長い時間をかけて理解してもらいました。実際、SIer業務をする中でお客さまから要件を定義するのですが、曖昧だったり矛盾を含んでいることがよくあります。システムを作り始めて、実際に利用者に使っていただく際にトラブルが発生することが多々ありました。そのトラブルが起こる原因が上流であるという認識は会社の中にあり、もっとお客さまから要件を引き出せるようにならないとトラブルはなくならないという課題感が高かったです。そこにデザインシンキングがどう活きるのか、という側面から話をすると多くの方に理解してもらいました。地道に啓蒙活動を続けてきて、理解が高まった結果が今のBXDCの立ち上げという形で現れていると思います。

大事なことですが、BXDCのビジョンミッションは、私がどうしたいかではなくメンバー全員がどうしたいかを話し合って生まれました。メンバーとBXDCをどうしたいのかという議論を行う中で、フラット型組織がBXDCのあるべき姿だと話し合いました。先日のインタビューで話した飯田や武藤のように、年齢も志向性も様々な人が集まる組織が繋がるためには目指すものを納得していることが大切です。トップダウンで作って降ろすだけだと腹落ち感がなく、単なるお題目になってしまいます。そのこともあり、議論を通じて全員で決めました。また、ビジョンミッションの策定に限らず、総じてボトムアップ的に運営している組織だと思います。
SIer=お堅い企業だと思われがちですが、実はワイワイやりながら切磋琢磨し合い、助け合いながら業務に取り組むスタートアップ企業みたいな雰囲気です。オフィスにもデザインシンキングルームを設置したりして、場づくりも意識しました。そのため、比較的自由な雰囲気で、デザイナー、エンジニアらしい業務に取り組めています。

鉄道企業様のシステムを開発したプロジェクトが印象に残っています。全体を見ているオペレータが各列車に運転指示を迅速に行うことを支援するシステム開発プロジェクトです。業務従事者は10代から50代までと幅広く、また運行中なので一瞬の判断でミスなくオペレーションを行う必要があるため、運行状況の認識のしやすさや間違いなく操作できる操作性のわかりやすさが非常に重要なものとして求められるプロジェクトでした。
システムの開発自体にも思い入れはありますが、個人的にはお客様に変革を生み出せたという意味で印象に残っています。ある日、関係者が会議をしていたのですが発言が議事録に残ってしまうなどの理由からあまり積極的に意見を述べ合う雰囲気にはありませんでした。その様子に見かねた弊社のデザイナー主導で、参加者全員に立ってもらい、壁に貼ったカスタマージャーニーをもとに意見を言い合ってもらいました。ワークショップ形式で進めると、議事録が残らないこともありますが、今までとは打って変わって議論が盛り上がり、お客様に変化を生むきっかけとなりました。業務従事の方々を巻き込みながら進め、結果として業務従事者の方々の満足度が高いシステムを開発することができました。なお、この案件はBXDCの初期の頃のものです。まだデザイン活動のプラクティスが固まっていない中で試行錯誤を通じて進めていました。そんな状況の中ではありますが、忖度なしで体当たりでお客様に向き合った結果、お客様を変革に導けたという意味でも、結果として満足のいくものを作り出せたという意味でも、すごく印象に残っています。
元々は研究所の中のいち研究チームだったことを考えると、社内に及ぼした影響力の変化はすごく感じています。組織として立ち上がったこともそうですが、組織に予算が充てられるようになったことも大きな進歩だと思います。飯田と武藤のインタビューでも述べましたが、会社からの期待がすごく高まっており、手が回り切らないほどサポートを求める声が多く届くようになったことも、これまでの活動の成果と感じます。
サービスデザインやお客さまの内製支援のアジャイルを専門に担う会社の中心組織になっていきたいです。企業システムはまだ9割以上がレガシーモデルで開発運用されているのが実態です。そのような中で、DXという文脈や、内製化・開発の迅速化の風潮が高まってきました。デザイナーの出番は確実に増えてきています。社会的な追い風を受けながら成長期の組織自体をグロースさせていきたいと考えています。現在、組織規模を3倍以上にしていく計画を立てています。人数を増やすと組織運営が急激に難しくなりますが、上手くバランスを取りながら成長していきたいです。

スタートアップに比べるとやれることが多いのが特徴だと思います。様々な業種のリーディングカンパニー、ビッグアカウントとのプロジェクトが数多く存在するので、経験値を膨らませる機会は豊富にあります。BXDCのデザイナーとしてあるべき姿を考えて縦横無尽に動くことは求められますが、その動きを楽しめることもキャリア機会としてのウリだと思います。大企業としての安定感を持ちながら、キャリア機会が豊富にあるスタートアップ、というイメージを持っていただけるとわかりやすいかと思います。
今後はより上流部分であるカスタマーエクスペリエンスの設計やプロジェクトマネジメントまで入り込んでお客さまのビジネス価値を高めていけるようになっていきたいです。
また、NSSOLはBtoB向けの自社サービスも展開しているのですが、そのサービスにおいてはよりグロースできるようなプロダクトを作っていきたいです。
SIerという形だけではなく、我々独自のプロダクトやサービスを作っていくためにも、クライアントワークと自社サービスのグロースに、並行して寄与できるようになっていきたいです。
お客様の中でプロジェクトを立ち上げる時もそうですが、サービスデザインをNSSOLの中で広げる際の課題として、例えば自社プロダクトへの予算を付ける際に売り上げなどの指標が重視され、不自由さを感じるシーンもまだあります。良くも悪くもSIerは20年もやっているとやり方ができてしまいますので、そこに対して新しいやり方を提案するために、壊すべき部分は壊す必要があります。
そのため、条件が全て揃わなくても働けるようなデザイナーと働いてみたいです。仕事は待っていても来ないので、バックパッカーのように未開の地に行って開拓していけるマインドセットを持った人であれば輝けると思いますし、ここで述べたような課題も、一緒になって解決していけると思っています。
UXを設計する上での一番のインセンティブはユーザーやお客さまからの感謝の言葉だと考えています。それをいただいて心から喜べる人と、チームの仲間として一緒に仕事をしたいです。
NSSOLでは日本を動かしているビッグアカウントに対してのサービスに携わることができます。そんな企業に携わりデザインをすることは、自分のデザインで日本を動かすことだと言っても過言ではありません。日本をUXで元気にしましょう。あなたのデザインが日本を活性化することに繋がります。
NS(ロゴ)、NSSOL、NS Solutionsは、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
日鉄ソリューションズに興味を持たれた方へ
こちらから詳しい求人情報を確認できます。
◆UXデザイナー・プロダクトマネージャー
ReDesignerに興味を持ってくださった方へ
ReDesignerはデザインの力を信じる全ての人の、キャリアの相談場所です。現在転職を検討されている方はもちろん、まだビジョンを明確に描けていないという方まで幅広くご相談を受け付けています。
お待ちしております!
◆カジュアルなキャリア面談をしたい方はこちら
◆転職支援をご希望の方はこちら
◆副業・フリーランスの案件紹介を希望の方はこちら
最新の求人情報やイベント情報などは公式Twitterアカウントで随時更新中!
◆公式Twitter
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
この記事を書いた人

ReDesigner
ReDesignerは、デザイン会社によるデザイナー向けのキャリア支援サービスです。 企業とデザイナーの間に入り、独自のオンラインアンケートや面談を通じて、 デザイナーの特性やキャリアの指向性を理解した上で適切なマッチングを行います。単純に紹介をするだけでなく、デザイナー特化型の求人票も用意しており、デザイナーが働きやすい環境設計も支援します。
お気軽にご質問・ご相談ください
デザイナー募集を探す
一覧を見る
メルマガ登録はこちら