
製造、流通、金融、通信といった幅広い領域で、マーケティングや経営情報の分析、生産管理などの生産性向上をサポートする日鉄ソリューションズ株式会社(以下NSSOL)。
今回は、同社のデザイン組織 Beyond Experience Design Center(以下BXDC)のUXデザイナーの飯田さんと武藤さんにインタビューを行い、お二方のキャリア、デザイン組織BXDCの現状と展望をお伺いしました。
飯田 文明(Fumiaki Iida)|日鉄ソリューションズ株式会社 Beyond Experience Design Center UX Designer
UXデザイナー。2009年に日鉄ソリューションズ株式会社に入社後、アプリ開発やクラウド利用の研究開発に従事。モバイルデバイスにおけるアプリ開発の研究をきっかけに、UXデザイン、デザイン思考の研究に移行し、SIerでのデザイン活用を実践を通して模索。業務システムでのUXデザイン、アジャイル開発を担当。CSM®、CSPO®。
武藤 真弘(Masahiro Muto)|日鉄ソリューションズ株式会社 Beyond Experience Design Center UX Designer
UXデザイナー。2017年に日鉄ソリューションズ株式会社に入社後、ユーザー調査からUI/UXデザイン、実装まで幅広く担当。またチームと組織を顧客中心に変革するためにアジャイルコーチ、スクラムマスターとしても活動。HCDスペシャリスト、A-CSM®、CSPO®。現場での経験をもとに、アジャイルおよびデザイン研修講師として200名以上のトレーニングを実施。どの活動においても、人の体験を考えることを大切にしている。
飯田さん:
元々は人間の仕組みや感情に興味があり、学生時代は精密機械を専門に研究を行っていました。人の自律神経活動を計測してストレスを測ったり、心臓の血管モデルを数学的なモデルで表していました。その研究を行う中で、情報技術や信号処理などを実際のビジネスの場で用いて、課題を解決する業務システムを作りたいと思うようになりNSSOLに入社しました。
入社後は、最新の技術を研究して数年後のビジネスにしていくシステム研究センターにアプリケーション系のエンジニアとして入りました。タブレットやモバイル端末が誕生し、そこからアプリの使いやすさの話が出てくるようになり、デザインの領域に入っていきました。デザイナーを名乗るようになってからは、クライアントと共創する案件の推進に加え、デザインの考え方を理解してくれるメンバーを増やすための組織デザインを担っています。
武藤さん:
幼少期はボードゲームやカードゲームに没頭していました。対戦相手の考えや心理を推察することが好きでしたね。学生時代も人の考えを読むAIを作りたいという思いで、大学院まで進学して研究を行っていました。就職活動で参加したNSSOLのインターンでデザイン思考に出会い、人を観察して推論を得るという思考自体が自分の好きなことだと思い入社を決めました。
武藤さん:
入社後は、プロダクトのUI/UXデザインを担当していましたが、最近は組織にUXを浸透させていくことや、プロダクト開発を行う上でチームとして顧客中心になるようにスクラム開発を推進するスクラムマスターとして組織作りの領域にも関わるようになってきました。

武藤さん:
NSSOLの中で、System Integrator(以下SIer)がUXデザインができるように支援していく組織です。いわゆるSIerが作ったプロダクトはユーザー目線ではないと思われがちなのですが、その認識を変えたいと思う人が集まっています。それもあって、ただ単にUI/UXデザインをプロジェクトに入ってやるだけではなく、デザインの重要性を社内に伝える役割を担っています。
飯田さん:
クライアントの中で作りたいものがある状態で、UI/UXデザインの支援を依頼される、というケースはやはりあります。SIerという立ち位置もあってプロジェクトの初期の戦略段階から相談されることはまだ多くはなく、いわゆる5段階モデルの中で骨格と表層のみを依頼されるイメージですね。ただ言われたものを形にするだけではなくて、要件や戦略を深掘りして噛み砕いていく中で、戦略から見直そう、ということに気づかせる・気づいて頂くケースが多いですね。

参考:Goodpatch Blog「UXデザインにおける5段階モデルとは?」
飯田さん:
飲食店のチェーン店で使用する、店舗運営をシミュレーションするアプリをデザインしたことが印象に残っています。クライアントの本社の企画部と協働し、アジャイルにとりあえず作ることと改善することのサイクルを繰り返し回す中で、徐々にクライアントの担当者自身にアプリへの愛着を持ってもらえたのがすごく嬉しかったです。クライアントとSIerとしての立場で相対するのではなく、一緒にプロダクトをつくる仲間として、巻き込んでいけたことがすごく印象に残っています。
武藤さん:
NSSOLの案件特徴をよく表しているという点で、鉄道会社の線路の点検や工事の計画を立てるシステムを担当したプロジェクトが印象に残っています。業務内容が専門的すぎて、どうやって仕事をしているのかを始め、現場の人のメンタルモデルが全く理解できないところから始まりました。そこから話を聞き、実際の作業を見学して理解を深め、ワークショップを複数回開催し、ユーザーテストやプロトタイプを触ってもらい開発を進めました。NSSOLではこういった社会インフラを支える企業の中で使用されるプロダクト開発の案件は多く、アナロジーを使うことができず文字通り0から作る必要があるため、ほとんどが入念なリサーチ段階からプロジェクトが始まります。そこは難しいところでもあり、やりがいだと感じています。
武藤さん:
一般にSIerが作るプロダクトにはユーザー目線が足りていないと指摘されることが多いかと思いますが、それでも現実として依頼がなくならないのは、やっぱり大きな規模のプロダクトはSIerにしか担えないという確かな強みもあるからこそだと考えています。既知のものとして求められている旧来からの強みに、新たにUI/UXという視点を入れ込んでいけることがここでデザインを頑張る意味です。プロダクトの規模と社会的な影響度は比例して大きくなるので、NSSOLのような企業で自分たちデザイナーが活躍することで、巡り巡って一般市民の生活へもたらす影響は非常に大きいと思っています。
飯田さん:
社内業務システムのUXは一般的には蔑ろにされがちです。しかし、その領域をデザインの力で改善していけることを誇りに思っています。それに加えて、社会的に大きな影響力を持つクライアントが多く、自分たちが携わることで及ぼしていける影響も大きいと感じます。
武藤さん:
今後はさらにプロダクトの開発からグロース、改善に関われるようになっていきたいですね。またSIerとして様々なプロダクトに携われることも魅力ではありますが、1つのプロダクトに伴走して改善、成長させていくことも組織としてやっていきたいです。
飯田さん:
社内向けのプロダクトということで、市場を開拓するのではなく業務を改善するために開発をしているという背景もありつつ、お客様にデザインの観点でのサポートも提案できる状態になりたいという話はよくしています。
さらに、デザイナーがプロダクトマネージャーを担えるようになり、クライアントにデザインの観点を持った提案をできるような状態を作り出せるようにもなりたいです。プロダクトの成功のためにデザインが必要であること伝えられるのが自分たちで、実際に伝えた部分の改善を手伝えるのも自分たちだと思っているので、そういった状態を作り出すことでBXDCが掲げる「デザインの民主化」が進むと考えています。

武藤さん:
特にここ1,2年は浸透の速度が高まっていると感じています。その一方で、デザインの重要性を理解した方々から手伝って欲しいと声をかけられることが増えたのですが、その際に十分にサポートするリソースが今の組織にないことも課題です。嬉しい反面、純粋に人が足りていないのでもどかしさを感じるシーンも多いですね。
武藤さん:
現状だとデザイナーの数がそこまで多くなく、広くカバーすることが求められるので、得意分野だけではなく、敢えて苦手な領域にも積極的に手を出していく姿勢があるデザイナーです。分野や枠組みを飛び越えて様々な挑戦をしていける人は、輝ける環境だと思います。BXDC自体もここから拡大し、組織を作っていく段階に入ります。極端な話、デザイナーという肩書きにこだわりすぎて本質を見失わずに、様々な領域にチャレンジできる人と一緒に働きたいです。
飯田さん:
自律的に動けて、BXDCが組織として持つデザインを民主化するという想いに共感していただける方と働きたいです。環境的にデザインにまだ興味がない人と一緒に働くことも多いので、デザインの啓蒙活動を行って、デザインの価値を広めていきたい方はやりがいを持って楽しみながら働いていただけると思いますね。
武藤さん:
加えて、自分たちはユーザーの利益のために活動をしているので自分の得意なことだけをやるのではなく、ユーザーに忠誠を誓うことが必要だと考えています。スキルを発揮するためにプロダクトがある訳ではなく、ユーザーのためにプロダクトがあるので、デザイナーという肩書きを捨てて様々な領域にチャレンジできるデザイナーと一緒に働きたいです。
武藤さん:
BXDCのスタンスとして、挑戦することを推奨しています。挑戦して仮にうまくいかないなど失敗することに関しては一切とやかく言わない文化があり、逆に挑戦しない方が問題であるという認識を全員が持っていますね。
武藤さん:
NSSOLでデザイナーをやること自体が前例がないチャレンジではあって、用意されたキャリアパスはありません。自分たちでデザイナーのキャリアを描き、実現していく必要があります。人によっては不安要素と捉える方もいるとは理解していますが、変化が早く不確実性の高い現代において、キャリアに関する迷いが完全になくなることはないと考えています。だから、迷い続けるということを認めた上で、一定の期間で見つめ直して方向修正をする。デザインのプロセスと同じで、デザイナーらしくサイクルを回しつつ考えていくことが大切なのかなと思います。
飯田さん:
自分も折に触れて迷うことはありますが、NSSOLにはキャリアに縛られていないメンバーが一定数いて、直近で目指すもの・実現したいものはありつつ、先のキャリアはアジャイル的に考えている人が増えてきているように思います。まずはやってみて、そこからわかって、そして修正すればいいじゃないって人が多いですね。
大事なのは一歩を踏み出す勇気と、そこからすこし歩いてみる事だと思います。歩いてみた先でまた考え直して軌道修正することができればいいと思うので、その勇気さえあればどれだけ迷っても大丈夫ですし、BXDCはそういったスタンスも許容し後押ししてくれる環境です。
NS(ロゴ)、NSSOL、NS Solutionsは、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。
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この記事を書いた人

ReDesigner
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