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顧客視点でデザインし、価値創出へ。トヨタファイナンスCX本部長が語る、インハウスデザイン組織の可能性

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インタビュー

2024/7/31

顧客視点でデザインし、価値創出へ。トヨタファイナンスCX本部長が語る、インハウスデザイン組織の可能性

トヨタファイナンスCX本部は「お客様の笑顔を創造」することを掲げ、顧客視点を取り入れたデザインに注力しています。

インタビュー前半はこちら

2021年には、複数の部署に点在していたデザイナーを集め、CX本部内にCXデザイングループを立ち上げました。なぜ表層的なデザインのみならずCXに特化したデザインに注力しているのでしょうか? そこで今回は、トヨタファイナンスのCX本部長を務める髙野克之さんに、CX本部ならびにCXデザイングループが立ち上がった経緯やその役割、トヨタファイナンスにおけるデザインの価値などについて伺いました。

髙野克之(Katsuyuki Takano) | トヨタファイナンス株式会社 取締役 CMO CX本部長

1991年に大手カード会社に入社。1999年にトヨタファイナンスに転職し、クレジットカード事業立上げ(TS CUBIC CARD発行)に従事。2018年にデジタルコミュケーション企画室長、2019年にCX本部長に就任した。

トヨタグループとして「デジタル」で遅れを取らないために

──まずは、髙野さんのこれまでのご経歴について簡単に教えてください。

新卒で大手銀行系カード会社に入社しました。入社2年目から約3年間コールセンターに所属し、その経験が「顧客視点」のベースになっています。その後、銀行に出向し、インターネット黎明期からWebサービスや商品開発に携わり、コミュニケーションやマーケティングの基礎を学びました。1999年にトヨタファイナンス株式会社へ転職し「TS CUBIC CARD」の立ち上げメンバーに参画し、コールセンターシステムの開発を担当し、その後はデータ管理、システム企画、マーケティング、カード事業部門など幅広い業務を担当しました。2018年には、CX本部の前身であるデジタルコミュニケーション企画室の室長となり、2019年にCX本部長に就任しました。

──CX本部は、どのような役割を担っているのでしょうか?

CX本部のミッションは「“お客様の笑顔を創造”を牽引し、“長期に渡るお客様との関係”を構築してCX(Customer Experience)とLTV(Life Time Value)を向上する」ことです。トヨタファイナンスでは「期待を超える金融サービスで、モビリティ社会の未来とお客様の笑顔を創造します。」というミッションを掲げており、中でも「お客様の笑顔を創造」を牽引していく役割を、CX本部が担っています。

数ある金融商品の中から私たちが選ばれるためには、目先の売上よりもお客様との長期的な関係を大切にしていく必要があります。クルマの購入を検討する上で、お客様にとって一番ネガティブな体験になりやすいのが、支払いです。「いくら払わなければいけないのかわからない」「高額な支払いをしなければいけない」などの不安を解消し、スムーズな体験に変えることがトヨタの品質向上にもつながると思います。

現在、デザイン・デジタル・データ活用を武器に全社のDXを推進するとともに、クレジットカードや自動車ローンの利用促進の他、旅行サービス「TS CUBIC TRAVEL」やオンラインショッピングサイト「TS CUBIC SHOPPING」でのデジタルマーケティングの展開を通じてLTV拡大の役割も担っています

──CX本部が立ち上がるまでに、紆余曲折があったと伺いました。CX本部の前身、デジタルコミュニケーション企画室を立ち上げた背景を教えてください。

トヨタファイナンスは、ファミリー層から中高年のお客様が多く、販売店を利用される方が大半でした。Web利用者が少ないがゆえに、アナログな接点を強化していることが多かったのですが、クルマや移動に対する消費者の価値観が変わってくる未来予測を背景に、デジタル上の接点にも力を入れていくべきだと考えていました。

もともとトヨタファイナンスは、販売店やディーラーに向くBtoB志向が強く、顧客サービスも社内オペレーションもデジタル化が遅れていました。BtoC(顧客視点)に意識を変えてCXという概念を会社に根付かせていかなければならない、という経営課題がありました。

そこで、デジタルコミュニケーション企画室の立ち上げに至りました。当初のメンバーは、たったの5人。約3ヶ月にわたって競合を調査したところ、大手クレジットカード会社に比べてWebメニューが少なかったり、自動車ローンについては他社ではWebによる各種照会・受付もやっていましたが、当社では紙の明細発行や電話・書類受付が主流という状況でした。

こうした状況を踏まえ、デジタル化の加速とCXの重要性について経営で議論もしまして、まずはデジタルでのお客様の接点を強化すべく、CX本部が立ち上がりました。その後データ部門の統合、直近では旅行ECサービスの展開などの新たな価値創造にも挑戦しています。

お客様の体験価値をデザインする組織に

──現在、CX本部にはCXデザイングループが所属しています。なぜ、インハウスのデザイン組織を作られたのでしょうか?

これまでデザイナーはWebやアプリの開発を担当する複数の部門に在籍しており、属人的にデザイン業務を担当していました。その結果、デザインが持つ本来の機能を十分に活かせていない状況だったんです。デザイナーの方からも、トヨタファイナンスとして変革を起こしていくなら、デザイン組織を作ったほうが良いのではないかという意見をいただいていました。そこで、社内の中でデザインの認知度を上げるために、複数の部門に散らばっていたデザイナーを一つにまとめ、CXデザイングループを立ち上げました。

現在は、UIデザイナーを中心とした中途デザイナー6名、コールセンターでの実務経験を活かしUXデザインを主な担当領域とする既存デザイナー10名が所属しています。

──CXデザイングループが取り組んでいる最重要ミッションについて教えてください。

大きく2つあります。一つは、デザインプロセスを当たり前のものとして社内に定着させていくこと。スマートフォン決済サービスや旅行サービス、オンラインショッピングサイトなど既存サービスの改善や新規サービスの開発に顧客視点を取り込んでいきたいです。

もう一つは「組織の成熟・人の育成」です。CXデザイングループを強化することはもちろん、社内と積極的にコラボレーションしていくことが大事だと思っています。CXデザイングループを強化するためには、中途で入社いただいたデザイナーの方々に対して、トヨタファイナンスが展開している商品やサービスに対する理解を深めていただくことが必要です。一方で、社内全体に対しては、顧客視点を基点にデザイン思考やデザインプロセスを浸透させていくことが欠かせません。双方で還流を起こすために、商品・サービスの知識があるプロパー社員にCXデザインを経験してもらい、組織の成熟化を図っています。

──CXデザイングループのカルチャーを教えてください。

CXデザイングループは、デザイナー個々がバラバラに活動しているのではなく、助け合う、一緒に考える、相談する文化があるチームです。UIデザイナーとUXデザイナーの混合によるプロダクトごとのチーム組成をしていて、UIUXのアウトプットに対し双方でレビューし合い、特にユーザー視点に関する議論は白熱することもあります。その背景には、相手を尊重し、チームで課題を解決するという意識が根底にあるからだと感じています。

また、デザインに対する造けいの深さよりも、顧客視点を大事にしています。トヨタファイナンスでは、人間中心設計のフレームワークを学ぶなど、顧客視点を身につけるための研修も実施しています。表層的なデザインだけでなく、その根底にあるお客様のインサイトをしっかり捉えるということを大事にしています。

デザインを浸透させ、価値創造を実現したい

──CXデザイングループの育成に向け、グッドパッチ社による支援も実施されています。なぜ外部によるデザイン支援も取り入れられたのでしょうか?

インハウスデザイナーがお客様の視点でサービスを捉えていると思い込んでいても、意外と企業側から見たお客様の課題しか見えていないことがあります。お客様が抱えているリアルな不安がわからないことも少なくありません。長年培ってきた考え方を急に変えることは難しい。そこに対して、外部の風を通して変えていきたいと考えていました。

また、これまでは販売店の方々にご協力いただきながら商品を販売いただいていましたが、商品数が多く、覚えたり、説明したりすることに大きな負荷がかかっていました。今後、日本の人口減少に伴って人手不足が加速する中、例えばWeb上で自動車ローンの申し込みができるなど、業務効率化を図っていかなければ販売店スタッフの負担が増える一方です。

販売店の方々が販売に注力できるよう、我々がオペレーションを変えていく必要があると思っています。そこに対して取り組むために、デザイン思考やUX設計をデザイナーに学んでほしいと思い、グッドパッチ社による支援を取り入れています。

──CXデザイングループを設立して1年4ヶ月が経ちました。何か変化はありましたか?

はい。これまでは表層的なデザインを社内発注するという感覚がありました。現在は、デザイナーが企画の上流から参画することが当たり前になり、社内にUXUIデザインの重要さが理解されてきています。また、アプリのプロトタイプベースで経営の意思決定をしたり、これまで外注していたものを内製化したことでスピード面でも良い影響が出ています。

とはいえ、デザインの力でトヨタファイナンスに大きな変革をもたらすという取り組みは、まだまだ始まったばかり。そのためにはデザイン組織を強くしなければいけません。一つのプロダクトに深く向き合える方はもちろん、組織づくりに興味がある方に参画していただきたいです。CXデザイングループは、まだ組織として若く土壌を作っているフェーズであるので、活躍できる場があります。

作って売る時代から、お客様に寄り添った商品販売へ

──CX本部における今後の目標について教えてください。

最終的にはCX本部はなくしたいです(笑)。誤解なきよう補足しますと、本来は社員一人ひとりがCXの考え方を持ち、様々なことを検討できる体制が整っている必要があります。もちろん、社内のすべてでそういった視点を浸透させることは難しいものです。だからこそ、デザイン組織が担っていく必要があると思っていますし、最終的にはビジネスにデザインを溶かし込んで行くような存在になってほしいと考えており、その旗振り役を新たに参画いただくデザイナーの方々に担っていただきたいと思っております。

中途デザイナーは集まりつつありますが、ビジネスモデルに対する理解はまだ足りていません。どうしても個々人の消費者体験をもとにお客様の課題を捉えてデザインしてしまうことも少なくありませんが、本来はもっとお客様の声を聞くべきだと思っています。デザイナーからももっとお客様のリアルな声を拾いたいといった意見も上がっていますが、現状その仕組みが整っていない状況です。いろいろと課題はありますが、お客様が安心してクルマを購入いただけるよう、デザインにこだわっていきたいです。

──CXデザイングループに、今後どのようなことを期待していきたいですか?

受容性と多様性を大事にしていきたいです。トヨタファイナンスは創業から35年が経ち、確立されたものも多いです。その中で、新たに立ち上げたCX本部ならびにCXデザイングループを社内で受け入れてもらう必要があります。

新卒で入社し、長年にわたってトヨタファイナンスに勤めている社員の中には、デジタルやデザインに対する知見を持っていない場合も少なくありません。一方で、デザイナーの中には、トヨタファイナンスのビジネスモデルを理解しきれていないことも多い。お互いに知見を補い合って建設的にコミュニケーションを取れるような、受容し合える関係を目指していきたいです。

──最後に、トヨタファイナンスにおけるデザインの可能性について教えてください。

トヨタは100年に1度の変革期を迎えています。トヨタ自動車がモビリティ企業へと移行する中で、従来の考え方を持ち込んでしまうと上手く行かないこともあります。トヨタの理想をしっかりと捉えながら、オペレーションの改善を図ったり、適切なサービス提供を模索したりすることは、デザインの役割です。当社でいうデザインとは、狭義のものづくりだけではなく、事業、プロダクト、組織などあらゆるものを設計し価値創造をしていくという広義のデザインも含まれます

これまではクルマを作って売ることに専念するだけで良かったのですが、今後は様々なお客様の要望に合わせて幅広く商品やサービスを提供していく必要があります。従来の金融商品やサービスを提供し続けるのではなく、どのような顧客体験を提供するか考えた上でデザインしていくことを大事にしていきたいです。

編集部より

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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この記事を書いた人

大畑 朋子

1999年生まれ、神奈川県出身。フリーランスライターとして、ベンチャー・スタートアップのイベントレポート、プレスリリース、コラム記事の作成など広報の一部を担う。興味・関心はビジネス、AI、お茶など。

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