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総合大学出身者のデザイナー就活。ReDesigner for Studentを活用した就活体験談 

https://redesigner.jp/

インタビュー

2022/2/16

総合大学出身者のデザイナー就活。ReDesigner for Studentを活用した就活体験談 

2018年のデザイン経営宣言の発表から社会的にデザイナーの求められる機会が増えていく中で、ReDesigner for Studentはデザイナーを目指す学生とデザインの力を信じる企業が出会う機会を創出してきました。今回、キャリアデザイナー田口が、ReDesigner for Studentを通して新卒デザイナーに内定した吉村さんと山本さんに、デザイナーを目指したきっかけや総合大学生として就活中工夫したこと、そしてデザインコンペティションにて優秀賞を受賞した際のお話を伺いました。

憧れの経営者になるために入った経営学部 

──まずは吉村さんの高校時代について教えてください。

吉村さん:サッカーばかりしている高校生でした。サッカーのために親元を離れて高校に通っていたのですが、自分の実力が高校では全然通用せず、1年生の時はすごくきつかったです。2年生になると、自分の実力もついてチームとしても強くなり、最後は楽しくサッカーをすることができていました。

──サッカーは大学でも続けているんですか?

吉村さん:大学に入ってからは、部活としてはプレイしていません。高校の時にサッカーをやり切った気もしていました。大学の部活では周りが強すぎて、もう自分が戦える土俵ではないと感じています。

──大学でサッカーをやめることに葛藤はありませんでしたか?

吉村さん:サッカー自体をやめた訳ではないのでそこまで葛藤はありません。本気でサッカー選手を目指すことはやめましたが、サッカーは趣味として今も続けています。

高校時代はサッカー選手を目指してはいたものの、周りを見ているとやっぱり自分と比べてしまっていました。技術はもちろん、熱量も全然違っていたため自分がいてはいけない場所なのかもしれないと感じてました。

──そんなサッカー少年だった吉村さんが、近畿大学の経営学部を選んだのはなぜですか?

吉村さん:漠然と経営者になりたいと思っていたからです。高校のとき、本が好きでたくさんの本を読んでいました。その中でも京セラの創業者でもある方が書いた「生き方」という本を顧問の先生に勧められて読んで感動しました。「こんなに正しい人間っているんだ」と驚き、僕も稲盛さんのように正しくて綺麗な大人になりたいと思いました。どうやったらなれるかなと考えた時に、稲森さんが経営者だったので「経営者になればこんな大人になれるのか」と思い、経営学部を選びました。

──夢の描き方が大きいですね。

吉村さん:考え方が単純だったんです。その人に近づくには経営という同じ道を目指せばいいと思っていました。経営のテクニックというより、考え方や哲学に興味がありました。

──実際に入学してみてギャップはありましたか?

吉村さん:経営者のような考え方を身につけようと入学したのですが、実際に入ってみると「お金は儲けてなんぼ。経営はその手段だ。」という考え方が水面下で浸透しているように感じました。でも、僕はそういう考え方は好きになれず、「それは人のためになっているか」というところに重きを置いてきました。

ただ、今は選択してきた進路に納得感があります。デザインと出会ったとき、「経営学部」というバックグラウンドを活かすことができました。デザインと経営のどちらかだけだと今の僕はいないので、結果的に良かったと思います。

使命感を感じて選んだデザイナーという選択

──デザインとはどのように出会いましたか?

吉村さん:大学2年生の時に新規事業立案プログラムに参加し、デザイン思考を学んだときでした。そこで「1人のお客さんから事業を作り出す」という方法やフレームを学び、とても面白いなと感じました。そして3年生の春、山縣ゼミに入り、少しずつ「デザイナーを目指そうかな」と考え始めました。

山縣ゼミ:「顧客や従業員、取引先、株主、地域社会をはじめとするステークホルダーに、どのような価値(満足)をどうやって創造・提供しているのか」について、デザイン経営というアプローチを通じて考えていくゼミ。

──最初は、「興味は持っていたものの、実際に自分でデザインをしようとまでは思っていない」という温度感でしたよね?どのようなきっかけで変化したのですか?

吉村さん:最初は、「絵を描くような、表面を綺麗にできる人しかデザイナーになれない」と考えていたんです。他の人のポートフォリオを見ていても「自分はこんなに綺麗に作れない」と思っていました。

しかし、その気持ちが変化したのが、11月のReDesigner for StudentのイベントでReDesignerの事業責任者である佐宗さんの講演を聞いた時でした。佐宗さんも経営学部出身でしたし、表層だけでなく戦略から関わっていけるデザイナーが必要だとおっしゃっていました。また、コンサルがデザインを取り入れようとしているけれど、経営学的な考え方とぶつかって上手くいかないケースもあるというお話がありました。

それを聞いた時に「そこが僕がやるべきことじゃないのかな」という使命感が湧き出てきました。「僕でもデザイナーを目指して良いんだ」という許しを得た感覚になりました。その日に決心をして、ReDesigner for Studentのキャリアデザイナーの田口さんに面談を申し込みました。本当に僕の人生を変えた日だなと思っています。

そのイベントの少し前の出来事なのですが、ゼミの同期にも1人デザイナーを目指している子がいて、ポートフォリオを作ったと言って見せてもらいました。それを見たときに「僕と同じような環境にいる人でも、こんなにちゃんとしたポートフォリオを作ってる人がいるんだ」と衝撃を受けて熱くなっていた時に、佐宗さんの話を聞いて、デザイナーへの熱がさらに高まりました。

──具体的にポートフォリオはどういう工程で作られたのでしょうか?

吉村さん:一旦、田口さんに相談をして、大学で行ったプロジェクトを自分なりにまとめてみるところから始めました。とりあえず手を動かすしかないと思い、慣れないデザインツールを使いながら1作品目を作りました。

そして12月頭に、freeeからスカウトをもらったんです。そのインターンに参加するための課題を作成する中で、2作品目を作りました。デザイナーになると決めた1週間後、自信のある作品もまだ作れていない時にスカウトが来て本当にびっくりしました。

freee株式会社

freee:「スモールビジネスを、世界の主役に。」するため、だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォームの実現を目指す企業です。freee会計やfreee人事労務等のプロダクトを提供。

そこから田口さんと相談して改善して、もう1作品作ろうかなという時に、デザインプロセスを体験しながらポートフォリオを作成できるUX Challengeが始まりました。

最初は1人で作ろうと思っていたのですが、アイデア出しに詰まってしまい、年末のもくもく会でみんなでやることが決まりました。そこから年明けの13日まで作り、とても良い作品を作ることができました。僕はこの経験のおかげで成長したと感じています。

吉村さんと山本さんに加え、その場で初めて出会った美大や総合大学の学生同士で制作された"macoma"

UX Challenge:3つのテーマの中から課題を選んでチャレンジできる特別企画です。デザインプロセスを体験しながらポートフォリオを作成することができます。

──言い出しっぺでしたもんね。

吉村さん:本当に言い出してよかったなと思いました。

お米への情熱がデザインへの情熱へ

──山本さんはどんな高校時代をおくられましたか?

山本さん:広島の進学校に通っていて、とても勉強が好きな子でした。高校は部活には入らずに塾に行っていました。問題を解くことが好きで、とても楽しく勉強していました。

──大学ではなぜ今の学部を選んだんですか?

山本さん:元々、農学部が第一志望だったのですが落ちてしまい、滑り止めで受けていた早稲田大学の人間科学部に入りました。農学部に一番似ていると感じたのが、人間科学部だったからです。かなり自由な学部なので、環境系の勉強も自分で行動すれば切り開けます。

──そもそも、なぜ農学部を目指していたんですか?

山本さん:田植えがしたかったからです。品種改良で新しい米を作りたいと思っていました。田舎育ちで普段から田んぼで遊んでいたので、自然と目指すようになりました。今は品種改良などへの興味は薄れてしまったのですが、将来は家庭菜園をしたいと思っています。

山本さん:入ってからは色々な授業をとっていて、すごく楽しく勉強していました。理系の友達の話を聞いていると、やっぱり専門性が深くなって、そこから逃れられなくなってしまうので、自分は理系に向いてないなと思いました。

──お米への情熱が薄れていくにつれ、他のことに興味が出始めたということですか?

山本さん:他のことが面白くなって、興味が薄れていきました。自分自身、「面白そう」と思ったことにはすぐに飛びつくタイプなので、留学に行こうと思ったり、心理学に興味が出たりしていました。

2年生の時にはサッカーサークル(マネージャー)を堪能し尽くしたので、3年生からはもう少し新しいコミュティに入ろうと思いました。就活が近づいてきたのもあり、友達経由で長期インターンを始めました。

──IT・プログラミング教育サービスであるLife is Tech!に入った理由は何ですか。

山本さん:とにかく色々な人に会いたかったからです。Life is Tech!は色々な大学の人が所属していることも魅力的でしたし、プログラミングができて損はないと思っていました。

また、サークルはよくも悪くも同じ価値観を持った人たちが集まるものだなと感じました。その時の私は、誰かの考え方に染まるよりも、いろんな世界を見ることで自分の考え方を深めたかったので、Life is Tech!はとても合っているなと思いました。

Life is Tech!:Life is Tech ! は、2011年にスタートした国内最大級の中学生・高校生のためのIT・プログラミング教育サービス。スマホアプリ、ゲーム、Web、映像、音楽、デザイン、3DCG、IoTなどの最新のIT技術やプログラミングを夢中になって学ぶきっかけを提供し、中学生・高校生の「未来の選択肢」を増やすことにつなげることを目指してサービスを展開しています。

──ものづくりやデザインに興味があったわけではないんですね。それがすごく不思議です。初めて見せてもらった作品のビジュアルが一定完成されていて、僕は結構衝撃を受けました。普段からビジュアル的にいいと思うものをしっかりインプットしていないとあんな作品は作れないと思うんですよね。デザインを意識し始めたタイミングがあればお伺いしたいです。

山本さん:デザインの意識はそれまでは特になく、絵も描いたこともありませんでした。Life is Tech!の研修でWebデザインのコースをとって、Webデザインの作品を1つリリースしようとなった時です。デザイナーになることを決めてからは、なんとなく人が作っているものをみて吸収するということはしていました。

──いつデザイナーになると決めたんですか。

山本さん:11月くらいです。それまでは「デザイナー、エンジニアもいいな」と思いながらビジネス職での就活を進めていました。サマーインターンにも参加していたのですが、何も面白くありませんでした。大手広告代理店のビジネス職を受けた時に、エントリーシートが「PDF1枚で自分を表現してください」というもので、目一杯Adobe Illustratorでデザインしました。それが本当に楽しくて、「やっぱり自分はデザインがやりたいんだ」と感じ、デザイナーになることを決めました。そこでGoodpatchの求人に応募し、ReDesigner for StudentのSlackのコミュニティを紹介してもらいました。

──ReDesigner for Studentのキャリアデザイナーが当時行っていたキャリア面談を受けてくれたんですよね。その時から、山本さんの作品からは「今後たくさんいいものを作っていくぞ」という意志を感じたのを覚えています。

山本さん:それが救いでした。孤独でしたし、まさか自分がデザイナーになれるなんて思わなかったです。自分1人ではわからないことばかりでした。

──面談は普段30分なのですが、山本さんとは1時間話したことも覚えています。言ってることも面白いし、良いものを作っているのに、当時はそんなに気持ちが固まっていなかったですよね。本気でデザイナーを目指したのはいつだったんですか。

山本さん:田口さんと話した時です。「何月までに何作品作る」という具体的な話をされてた時に強くデザイナーになりたいと感じました。1つ目の作品を作っている最中にfreeeのスカウトがきて、作りかけの作品を放り投げて、freeeの作品作りをしました。それがやっとの思いで終わって燃え尽きていたところにUXチャレンジのことを聞きました。

──初めての面談の記録が残っていました。「めずらしいタイプ。エンジニアの知識がある故に、自由度の高いUIを作ることにブレーキがかかっている様子。自信はまだ無いようだが、学ぶセンスが抜群なので、頑張って欲しい」と書いてますね。

本当になれるとは思っていなかったデザイナーという職業

──freeeさんのスカウトが2人に影響を与えているんですね。

吉村さん:まだ作品が充実しているわけではなかったので、本当にびっくりしました。

──「本当になれるとは思っていなかった」と2人ともいっていますが、今実感はどうですか。

山本さん:よしき(吉村さん)と話をしている中で、だんだん実感が湧いてきた気がします(笑)「こんなデザインがしたい」「こんなデザイナーになりたい」という話や「面接で何を話そう」という話を毎日していました。面接で何を話そうかという話も含めて。

──なるほど。そうやって話すことがお互いの違いや強みの発見に繋がったと。結果的に自己分析になったわけですね。

吉村さん:僕は経営学部で学んできたという背景があるので、プロダクトだけではなくビジネスモデルも描けるデザイナーになりたいと考えていました。美大生やデザイナーを志す学生など様々な学生と話をしてきましたが、デザインをする上でビジネス面も合わせて考えることがあまり重要視されていないなと思いました。

UI/UXには興味があってスキルもあるけど、そこが疎かになっている感覚がありました。しかし僕は、ユーザーに持続的に利用してもらうために、ビジネスの仕組みまでデザインすることが重要だと思っていたので、そこまでやれるデザイナーになりたいと思っていました。

また、経営学部で学んでいて、ビジネスの成長がユーザーの課題解決よりも優先されているところに違和感がありました。デザイナー目線で価値を提供して、それにより売上が上がり、ビジネスが成長するという形に変えていきたいなと考えていました。

山本さん:私は、少数の人の意見を汲み取れるデザイナーになりたいと思っていました。Life is Tech!で学校に行けない子に出会い、自分の知っている世界が狭いことに気付かされました。そういう当たり前ができなくて困っている人を助けたい。究極は自分のデザインでそんな人たちが満足してくれればいい、その人にだけ刺さるような向き合い方をできるデザイナーになりたいという話をしていました。

山本さん:Life is Tech!は学校でも家でもない「第三の場所」です。そういう子たちに教えることに楽しみを見出していました。

──そんな話を2人は夜な夜なやってたのですね。

吉村さん:そうですね、毎日作品を作りながら語っていました。

山本さん:ポートフォリオをみんな同じFigmaで作っていたので、「ここ見て」など言い合いながら作っていました。みんなすごく似ていました。

──そのチームにに美大も、経営学部も理系学部もいるというのが本当に面白いですよね。喧嘩とかはしなかったのですか。

山本さん:議論はありましたし、今振り返ると意見がぶつかったり、思うように行かなくて不満に思うこともありました。ですが、そのイライラをぶつけるのではなく、説明していました。ちゃんと受け取ってくれるメンバーばかりが集まっていたように思います。

──バックグラウンドの違いから、何か補い合っていたのですか。

吉村さん:最初はフラットな関係性でした。みんなUXを学びたいという思いはあるものの0からのスタートなので、「UIだけやるようなことはしたく無いよね」と話していました。作品制作を進めるうちに、それぞれの強みが滲み出てくるのはすごく良かったと思います。

──山本さんは最初はその6人で集まって「このメンバーでできそう」みたいな感覚はありましたか。

山本さん:私はやる気満々で、翌日からZoomを繋いで始めました。特に吉村とは、11月から初めて、freeeでスカウト受けているなど、共通点も多かったため、初めて会話をしたその日も11 時くらいまで話していました。とても楽しかったです。

作品を作ることに飢えるほど高いモチベーションを持っていた就活時代

──吉村さん、山本さんの制作モチベーションは"就活のため"が大きかったのですか?それとも作ることに飢えていたのですか。

吉村さん:作ることに飢えていました。

山本さん:私もです。

吉村さん:あの時はやるしかなくて、失うものもなかったので、あれだけモチベーションが高かったのだと思います。走り続けていたら辿り着いたという感覚でした。

──二人とも専門はデザインではないですが、総合職就活をしようとは思わなかったのですか。

吉村さん:僕は、11月にデザイナーになると決めた日からデザイナー1本で就活していました。

山本さん:私は親から「デザイナーになれるわけないから、とりあえず受けときな」と言われ、自分自身も確信できていなかったので総合職の就活もしていました。

ですが、総合職の就活は楽しくなく、デザイナー就活の方が楽しかったです。もう戻れないなと思いました。面接のプロセスも楽しくて、熱い思いをぶつけたら汲み取ってくれますし、思いを聞いてくれるのが総合職にはない感覚でした。

吉村さん:総合職では、答えがあって、それにどれだけ合わせられるかみたいな感覚がありました。デザイナーにはそれがないんです。田口さんからも「落ちた時は相性が合わなかっただけだから」と言われていたのですが、本当に納得できました。

だからこそ一緒に制作をしていたメンバーとも、気兼ねなく就活の話ができました。通常はライバルになるので、就活の話はしにくいと思うのですが、デザイナー就活は違いました。

──正直、総合大の子にたくさん声をかけるのですが、最後まで就活し切ることは少ないです。どこかで限界を感じてしまうのですね。

吉村さん:もう他の選択肢はなかったので、前だけを見ていました。

読者へのメッセージ

──最後にお二人から読者の方へ一言ずつメッセージをお願いいたします。

山本さん:総合大学でも美大でも、理系でも文系でも何でも、デザイナーになりたいという意思があれば、なれます!田口さんを含め、周りの人たちが助けてくれるので、いろんな人に相談したり、仲間を作ることがおすすめです!

吉村さん:自分の想いに嘘をつくことなく、やりたいと思ったことは少しずつでもいいので手を出していって欲しいです。そのための環境はすでに整っていると思います。結果的にデザイナーにならなかったとしても、その経験は必ず生きてくると思います。

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