>
ReDesigner Magazine>
CXデザインで、資生堂「らしさ」をアップデートする。創業150年企業のDXを担う資生堂インタラクティブビューティーの挑戦

「美の可能性」とは何か。150年間にわたり、その問いに向き合い続けてきた資生堂。商品はもちろん、思わず目をひかれるパッケージや、お客さまに寄り添う接客など、お客さまの「自信」の源泉となるさまざまな体験を提供してきました。
そんな資生堂が「美の可能性」を次に進めるために設立したのが、資生堂インタラクティブビューティー株式会社(以下、SIB)です。
SIBは、2021年7月に株式会社資生堂(以下、資生堂)とアクセンチュア株式会社(以下、アクセンチュア)との合弁会社として設立されました。SIBが目指すこと、その中でのCXデザイナーの役割を、CXデザイングループマネージャーの田村耕人さんに語っていただきました。
田村 耕人(Tamura Kojin)|デジタル戦略部・CXデザイングループ マネージャー
事業会社でサービスデザインや新規事業開発に従事したのち、大手広告会社で様々な企業のマーケティングシステム開発を支援。その後あらためて事業会社に身を置きたいと考えて、2022年1月より現職に就く。歴史のある会社にデジタル領域の方法論を掛け合わせて、その企業「らしさ」あふれるDXを模索している。
資生堂は2030年にスキンビューティー領域をコア事業として、世界No.1の企業になることを掲げています。そのため、ブランド・イノベーション・サプライチェーン・DX・人材組織といった領域に積極投資を行っているのですが、SIBは、核の一つである、DXを推進するためにアクセンチュア社との合弁会社として設立されました。
そこには当然、スピード感を持ってDXを推進するねらいがあります。外部パートナーと案件単位で協業するスタイルでは、お互いに共有できる情報にも限界があり、どうしても推進のスピードが出ない。私も前職では、外部から企業を支援する立場だったので、SIBのスピード感と主体的に事業を動かしている手触り感はいいな、と感じています。
現状は約300人で構成されています。資生堂のプロパーメンバーに加えて、広告会社やデジタル領域の事業会社、コンサルティング、システム開発など多様なバックグラウンドをもったメンバーが集まっています。
DXを推進するために、分かりやすいところではデータ活用の強化に努めていて、データサイエンティストなどの専門スタッフが、データ基盤の構築や活用を推進しています。
一方、これまで店頭でお客さまと接してきたビューティー・コンサルタント(BC)が在籍しており、オンラインカウンセリングやライブコマースに取り組んでいます。従来は店頭などオフラインがおもなお客さまとの接点でしたが、デジタルにおいても、お客さまと直接コミュニケーションする機会は、資生堂が目指す顧客体験に欠かせない要素です。
組織の一体感を大切にする文化があります。たとえば毎月、全員が集う会では、CDOのスギモトがビジョンを語り、自分たちが目指す方向や現在地を確認できる機会になっています。ここではメンバーのすぐれた仕事をシェアする時間もあり、仲間の活躍を知ることがモチベーションアップにもつながっています。スギモトがよく言っている「SIBはファミリー」が体現されている一コマですが、このあたりは、伝統的な企業の中のスタートアップのような雰囲気も感じます。
人材育成も特徴的ですね。すべてのメンバーがDXの専門性を身につけるため、IT領域で16種類、デジタル領域で14種類、合計30種類の定義された専門人材像を目指して、様々な研修プログラムに、かなりの時間をかけて取り組んでいます。ここはアクセンチュア社の知見によって運営されているのですが、データやブロックチェーンといったデジタル領域の専門知識だけでなく、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングといった基礎体力の向上も含まれており、DX推進に必要な栄養素をがんばって吸収しているところです。
そうですね。手前味噌ですが、本当に人の成長に投資している会社だと感じています。

CXデザインチームの役割を言葉にすると、「すぐれた体験をとおして、お客さまと資生堂の長期にわたる関係性をつくること」、言い換えると、新しい習慣によって、お客さまが自信を深めていくことができる、そのための仕組み作りです。
現状は、資生堂全体が一貫性をもってお客さまに体験を提供できているかというと、必ずしもそうとは言い切れない部分があるかもしれません。様々なデジタル施策が増えているものの、ひとつひとつの商品やサービスはまだ点として独立しています。それぞれの点を線、線を面にして、お客さまの新しい習慣をつくっていくのが、CXデザインチームの役割です。
正直、組織が立ち上がったばかりで、他チームとの連携方法や実行プロセスなど、毎日、試行錯誤をしています。逆に言えば、理想のCXデザインチームを作り上げるプロセスに興味のある方には最適な環境です。
具体的な仕事としては、既存サービスのアップデートや、テクノロジーを活用した新サービス開発など、様々なテーマのプロジェクトを、多様なメンバーとチームを組んで推進しています。
今年は、資生堂の会員サービスを集約した「Beauty Key」や、お客さまのDNAを診断する「Beauty DNA Program」といった新サービスがリリースされました。今後、広告やSNSのように企業からお客さまに情報をお伝えする回路だけでなく、お客さまに積極的に活用していただくサービスやプロダクトをとおして、長期的な関係性を深めていくことが重要になっていきます。
これを実現するためにも、私たちは常にお客さま視点で考える専門チームでありたいと考えていますし、価値を発揮するためには、お客さまインサイトの導出からコンセプト開発、体験設計、プロダクトロードマップの作成など、戦略から実装まで一貫性をもってプロジェクトを推進する必要があると考えています。

大きな話でいうと、「美の可能性」を通じて、誰もが自信を持てる社会をつくる、というビジョンに挑戦することですね。
資生堂には「ART & SCIENCE」という言葉が息づいています。これはART(=世界観をつくること)とSCIENCE(=科学的なアプローチ)、この両方が調和することで新しい価値を提供する私たちの姿勢を表しています。
「ART」を象徴するのは、創業者である福原有信の「ものごとはすべてリッチでなければならない」という言葉です。ここでいうリッチとは、心の豊かさ、心の贅沢を意味していて、そうした感情を動かすのが細部にこだわったデザインです。
例えば、資生堂が最初に発売した化粧品「オイデルミン」も、瓶のかたち、美容液の色、パッケージデザインなど、いまの時代にも通用する洗練があります。また、最近では企業がオリジナルのフォントを作成してアイデンティティーを表現する事例がふえていますが、実は100年以上前に、資生堂のオリジナル書体が生まれています。
「SCIENCE」の側面では、お客さま一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出す化粧品の研究を積み重ねてきました。このような科学的な知見は商品だけでなく、新しい顧客体験やサービスとして実装していける可能性を感じています。
このような思想が資生堂「らしさ」の根底にあるわけですが、これらはまたアップデートされなければなりません。あくまでたとえ話ですが、これまでパッケージの材質やグラフィックによって表現されてきた「資生堂らしい美」は、もしかするとサーバーのレスポンス速度に求められるかもしれません。
資生堂には、多様なブランド、多数の店舗、SNSなどのデジタルチャネル、また全国に拠点を持つビューティーコンサルタントなど多くの資産があります。これらを活用して体験をデザインできることは、この仕事の醍醐味ではないでしょうか。
CXは、抽象的な概念を扱う世界でもあります。意思を持ってCX戦略を描き、その世界観を言語化して仲間を動かすことができる力は重要です。
また、デジタルの原理原則といいますか、デジタル系の事業会社ではごくふつうにプロセスとして定着していること、たとえば「プロダクトマネジメント」のような不確実性をマネジメントする方法論ですね、そういう考え方やプロセスを資生堂の文化に掛け合わせていくことがひじょうに重要だと思っています。なので、ぜひ自分なりの方法論を持った人に乗り込んできてほしいなと思います。
多様なメンバーが協業するという意味では、コミュニケーションも重要な要素で、専門性の高いテーマであっても相手のことを考えた意見の伝え方ができることは大切ですね。
これらの視点でいうと、たとえばコンサルティングファームやデザインファームでのCX・UXの経験がある方、あるいはデジタル事業会社でプロダクトを成長させてきた方などに活躍していただけると思います。化粧品業界の経験は無くても、ここまでお話したことに興味があれば大丈夫です。

人の心理や行動変容に興味がある人は向いていると思います。私自身、「情報で人の行動変容をつくり出す」ことがキャリアのテーマになっていて、これまで様々なサービスの設計に携わってきました。
たとえば、ビューティーコンサルタントが、自身が店頭で接客をしたお客さまから「自信が持てるようになって、毎日が楽しいです」というお褒めの言葉をいただくことがあります。将来的にはあらゆることが数字化されるとは思いますが、現状はデータでトラッキングできない、けれども人の記憶に残る体験の瞬間に気を配る必要があると思います。なので「全てを数字で可視化・マネジメントしたい!」という方には馴染まないかもしれません。
資生堂インタラクティブビューティーは、資生堂が150年かけて積み上げてきた価値を、テクノロジーと情熱によってアップデートしていくチャレンジングな会社です。チームの役割やプロセスも試行錯誤しながら磨いている段階ですが、ぜひ、このプロセスを一緒に楽しんでみませんか。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
資生堂インタラクティブビューティー株式会社に興味を持たれた方へ
こちらから詳しい求人情報を確認できます。
CXデザイナー/デザインストラテジスト
ReDesignerに興味を持ってくださった方へ
ReDesignerはデザインの力を信じる全ての人の、キャリアの相談場所です。現在転職を検討されている方はもちろん、まだビジョンを明確に描けていないという方まで幅広くご相談を受け付けています。
お待ちしております!
◆カジュアルなキャリア面談をしたい方はこちら
◆転職支援をご希望の方はこちら
◆副業・フリーランスの案件紹介を希望の方はこちら
最新の求人情報やイベント情報などは公式Twitterアカウントで随時更新中!
◆公式Twitter
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
この記事を書いた人

ReDesigner
ReDesignerは、デザイン会社によるデザイナー向けのキャリア支援サービスです。 企業とデザイナーの間に入り、独自のオンラインアンケートや面談を通じて、 デザイナーの特性やキャリアの指向性を理解した上で適切なマッチングを行います。単純に紹介をするだけでなく、デザイナー特化型の求人票も用意しており、デザイナーが働きやすい環境設計も支援します。
お気軽にご質問・ご相談ください
デザイナー募集を探す
一覧を見る
メルマガ登録はこちら