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企業価値を高めるブランドエクスペリエンスとは【BX × デザイン】ReDesigner Social Impact Week

https://redesigner.jp/

イベントレポート

2021/7/6

企業価値を高めるブランドエクスペリエンスとは【BX × デザイン】ReDesigner Social Impact Week

2021年の5月26日から6月1日にかけて、ReDesginerが主催する“Social Impact Week Vol2”が開催されました。全5回に渡り、社会課題×デザインについて考える様々な企業に登壇いただきました。Design Action・Creative Actionの重要性が叫ばれている中、各社は社会課題に対してどのようにアプローチし、その中でデザインはどのような役割を担っているのでしょうか。

今回は社会課題の解決に取り組む、SmartHRさん、PR TIMESさん、Goodpatchの3社が登壇した【社会課題に対し、BX(ブランドエクスペリエンス)でできることを考える】をテーマにしたトークセッションの内容をお届けします。

SmartHRさんはインナーの組織作りにおいて、PR TIMESさんはデザイン組織の立ち上げ期において、Goodpatchはクライアントワークにおいて、という多種多様な観点からBXの有用性、BXをどうデザインするのかお話いただきました。

SmartHR 「らしさと向き合う」

関口 裕 (Yutaka Sekiguchi)| 株式会社SmartHR  ブランドコミュニケーションユニット チーフ
大学でプロダクトデザインを修めた後、エディトリアルデザイン・情報デザインを扱うデザイン会社に就職。雑誌を中心に書籍や広報誌など紙媒体のデザインに多数携わる。大規模・中規模のコーポレートサイトやブランドサイトなどを軸としたデジタルメディアのデザインにも従事。設計の上流工程からグラフィックのフィニッシュワークまで、幅広く関わりデザインを手掛ける。媒体にとらわれないデザインや、メディアや規模感・価値観の違う案件を同時に進めるのが好き。好きなものはごぼう。気がついたら株式会社SmartHRに入社していた。

ブランドはすでに存在している。

SmartHRは、人事・労務の業務効率化はもちろん、働くすべての人の生産性向上を支えるクラウド人事労務ソフトです。

私たちのミッションは「社会の非合理を、ハックする。」です。
ミッションの実現をするために7つのバリューを定めています。

  • 自律駆動

  • 早いほうがカッコいい

  • 最善のプランCを見つける

  • 一語一句に手間ひまかける

  • ワイルドサイドを歩こ

  • 人が欲しいと思うものをつくろう

  • 認識のズレを自ら埋めよう

そして私が入社する前に、すでに7つのバリューがSlackのスタンプになっていました。

会社が打ち出している姿勢がスタンプ化されるほど浸透しており、私はこう思いました。「すでにブランドはここにある。」と。まさにカルチャー型組織だったのです。

やらない、を考える。

ブランドがすでにあるからこそ、まず「やらない」ことを明確化しています。私がリードしているBrand-comm Unitではブランディングという言葉は使わないようにしています。ただの言葉遊びかもしれませんが、そこからメンタルモデルが固まらないようにするための取り組みです。

少し別の角度から話をしましょう。弊社では現時点のサービスビジョンとして「Employee First」を掲げています。つまりB2B2E(Business to Buisness to Employee)、企業対企業対従業員というモデルに基づいているということです。私たちのサービスでは「会社」という単位がクライアントにあたりますが、その先にいる従業員のことも視野にいれています。サービスの先にいる従業員とは、クライアントサイドの従業員だけでなく弊社の従業員もその対象として含まれうると捉えており、すべてのステークホルダー、つまりすべての働く人が気持ちよく働けることを目指しています。

これに基づいてBrand-comm Unitが所属するCommunication Design Groupは「SmartHRらしいコミュニケーションデザインですべての人の働きやすさに貢献する」というビジョンを定義しました。そしてさらにそのなかで、Brand-comm Unitでは「社内外へのSmartHRらしさの具体化と品質向上に貢献し、体現する」というビジョンを定義しました。

Communication Design Groupの「すべての人の働きやすさに貢献する」とBrand-comm Unitの「らしさを体現する」が掛け合わさると、Work in progressという言葉が浮かび上がります。よくデザイナー界隈では、フローやフレームワークの作成が課題に上がりやすいので注目されがちです。しかし、それらは施策・手法であって「ほしいもの」そのものではありません。スタイリングがほしいわけではないですよね。それは本当に欲しい物ではないので、むしろスタイリングから逃避することが重要です。

つまり、ブランドを勝手に作らないということを意識しています。ある日デザイナーがやってきて「これが本質です。」と発言しドキュメントを渡しても、「と言われましても...」という困惑が発生するのではないかなと私は考えます。なぜならブランドは、すでにそこに存在しているものだからです。

ではなぜブランドをつくるのか

ではなぜ私たちBrand-comm Unitが立ち上げられたのでしょうか。

具体的な課題として挙げられるのは急激な組織拡大です。現在、弊社の組織は目まぐるしい変化の渦中にいます。そこで重要なのは、「すでに存在している私たちらしさ」における「近すぎて曖昧化している」という状態を、「わかる状態」にすることです。

つまり我々が推進のはブランド戦略ではありません。組織の変遷に応じて、Communication Desgin Groupの体制を整備していった結果それが自然と3つに分かれ、スキルセット最適化のためにメンバーの軸足を置き直したらBrand-comm Unitができたのです。なので、ブランド戦略に力を入れているというよりかは、純粋にGroupの役割を推進している認識です。

らしさの体現としてのBXデザイン

私たちはらしさの体現のために、私たち自身がインターフェースになる必要性を掲げています。やり方としては「mono」と「shikumi」の二輪で表現を試みています。

monoとは「エクストリームな事例をつみあげる」ことです。確実にメンバーやステイクホルダーが触れられるモノに落とし込むことで、らしさの輪郭を盤石にするアプローチです。

もう一つのshikumiとは「すでにあるものを集約して、武器にする」ということです。例えばいきなり0からガイドラインを作るのではなく、現場で生まれたアイデアや知見をボトムアップで体系化しています。

デザインシステムとしてまとめていくことはもちろん、営業資料を簡単に作れるテンプレートやイラストレーションシステムの設計においても現場の声が反映されてできています。

プロダクトのグラフ1つ取っても、カラーパレットを用意するだけでは、どのようなシーンでどのようなグラフ表現・カラーを選択すれば良いかまでは伝わりません。このアセットにおいても実際のプロジェクトにおけるリサーチからスキームを作っています。  

総括すると、私たちはハンコを作らないことをしていると言えます。CI/VIという判子を作らないということです。ハンコを押すことは、ともすれば思考停止の表れであり、それそのもので問題は解決しません。ロゴを入れたらアイデンティティになるのか、ドキュメントを配布したら浸透するのか。本質的ではありませんよね。

ベストプラクティスよりもユーザーを、架空のユーザーよりも隣の人を。泥臭くひとつでも鉤括弧を外していくことが、確かな未来に繋がると信じて活動しています。

PR TIMES 「立ち上げ期にBXを取り入れるには」

鈴木 碩子(Sekiko Suzuki) | 株式会社PR TIMES プロダクト本部 本部長
1991年生まれ、Webメディア「U-NOTE」にて毎月2000本以上のコンテンツ企画制作を統括。その後、複数メディアの立ち上げ・運営やヘアメイク等の広告コンテンツの制作を経験し、25歳で株式会社ismを設立。スタートアップメディア「BRIDGE」の Bloggerとしても活動。2020年にM&AによりPR TIMESへジョイン。2021年2月に開発とビジネスを繋ぐプロダクト部門の立ち上げを実施。現在はPR TIMESプロダクト本部長として、「行動者発の情報が、人の心を揺さぶる時代へ」のミッション実現に日々取り組む。

参考記事:かけがえのない情報が、求める人に届く世の中に。PR TIMES プロダクト本部長 鈴木碩子さんのビジョン

BXをどう捉えているか

株式会社PR TIMESのプロダクト本部では、PR TIMESPR TIMES STORYWebクリッピングなど複数のプロダクト開発を担当しています。簡単にサービスの紹介をするとPR TIMESは代表的な事業でプレスリリースの配信サービス、PR TIMES STORYはプレスリリースだけに込められない行動者の想いや秘話、ナレッジを報道資料として配信するサービス、WebクリッピングはWeb上の記事をクリッピング(切り抜き)することで、自社露出や業界動向などを分析するサービスです。

私達のミッションは「行動者の情報が、人の心を揺さぶる時代へ」。

ミッションについて少しお話させてください。私達は日々、何かしらの行動をしています。その行動はもしかしたら、誰かに伝えることで他の人の次のアクションが生まれる可能性を持っています。私たちは、この繋がりの中でポジティブなエネルギーの循環が生まれることを目指しています。

これは社会課題とも密接に紐付いています。人に届きやすい情報には偏りや傾向があり、衝撃的なニュースなどに人々の注目は集まりやすくなっています。しかし、それ以外にも『誰かに届くと良い情報、求められている情報』は世の中にたくさんあります。こういった届きにくい情報も含めてポジティブな循環を増やすことで、さまざまな社会課題の解決にもつながるとも思ってます。

そこで私たちが大切にしているのがPR(パブリック・リレーションズ)の考え方です。パブリック・リレーションズは「組織がステークホルダーとの間に”継続的な信頼関係” を築いていく活動」のことを指します。企業には様々なステークホルダーがいますよね。なので、それぞれの人に合わせて適切なコミュニケーションの仕方を考える必要があります。

各ステークホルダーにどういう形で何を伝えていくのか、自社の情報をどのように伝えていくのが正しいのか、を広報活動では考えていきます。

長くなってしまいましたが、私たちのプロダクト開発をする上でPRは欠かせません。なので、BXに関しても、PRの考えに基づき、プロダクトを取り巻くステークホルダーに対して、プロダクトで届けるべき価値を定め、「誠実に・適切に・リアルに」届けていくことであると思っています。

そして、この考えを体現するために視覚・体験の一貫性を持ち、使いやすく・丁寧なアウトプットの姿勢で信頼性を高めることがBXにおけるデザインだと、私たちは考えています。

「新しい体験価値の創造」をチームの根幹にする

まず前提として、私たちの中で「ブランドを作ろう!」と意識的に施策や戦略を考える行動は一度もしていません。それは、ミッションの実現がすべてであり、プロダクトで体現することが全員の中での無意識のルールだからです。

プロダクト本部はまだ設立から4ヶ月ほどしか経っていません。そんなプロダクト本部でBXを自然に意識できるようになる組織の立ち上げのために、3ステップを踏みました。本日は「01 新しい体験価値の創造をチームの根幹にする」、「03 デザインシステムの構築」にフォーカスしてお話します。

まず1番目の「新しい体験価値の創造」をチームの根底にするということについて、お話します。私たちのチームでは「新しい体験価値」をニーズのさらに外側にあるもの、と捉えています。顧客要望などから見える化したニーズは、満たせば課題が解決されますが、実はそれだけではユーザーの本当に求めていた回答には足りないと思っています。見える化しているニーズや私たちに届くニーズは、顧客が考える一端でしかありません。

これは食べたいものがあったが、食べてみるとなんだか違った、という感覚に近いです。この時、大抵の場合、ユーザーは自分のニーズを認知していません。なので私達はユーザーニーズに応えるのではなく本当に求めているものを探索し、提案するというスタンスを心掛けています。

そこで、まずニーズをきっかけに1段目線をあげます。発生したニーズをもとに「そもそも何がしたいのか」などを議論することで、周りにある新しい体験価値が浮かび上がります。

当社の場合、まず全社ミッションの実現に対して、プロダクトの必要な状態を考え、ニーズを確認し、あるべき姿を策定するというフレームワークをプロジェクトごとに行う取り決めをしています。

1つ事例を紹介すると、最近リリースした企業ページが挙げられます。PR TIMESは実は細かくて地味な改善もたくさんしています。この企業ページのカバー画像のサイズは、リリースで公開された形にたどり着くまでに、3回のデザイン変更を行っています。そしてこれからも、ベストな形を探し続けると思います。3回のデザイン変更の背景には、カバー画像が目立ちすぎて、最も重要な要素である「プレスリリース」が隠れてしまわないように、企業の方々が手持ちの素材から少しでもアップしやすいように、といったものがあります。企業の説明文も同様に、配信する方だけでなく、読んだ方が読み始めやすく、受け取りやすい文字数は?といった部分での調整を重ねました。

デザインシステムの構築

旧体制ではスタイルガイドやコンポーネントが明確に定義されていなかったり、エンジニアの裁量で決まるパーツが存在していたりと、「チームの努力とリテラシーでデザイン品質を担保する体制」になってしまっていました。

デザインシステムの構築を決めた理由は、基盤こそが大事だからです。基盤認知の向上を目指すことは効率的な高品質に繋がります。そのために、まずリーダーを立てて推進、プロジェクト化し、週に1度のミーティングで方向性の議論を開始しました。そこで生まれたアイデアを全員のレビューで品質向上しながら、構造化することでシステムの構築が進むことになります。

以下はデザインシステムを作る過程でテストしていた比較デザインです。カラーの統一や視認性の向上をチーム内でチェックしながら進めています。

BXを向上するということは、新しい体験価値を創造するということです。そのためには品質担保や品質向上などを目的とした開発フローやデザインシステムの策定が必要だと思い、立ち上げ期から取り組みました。

私たちプロダクト本部のみならず、デザイン組織はその役割が「生み出す」から「届ける」フェーズへと変化していきます。今日お話した内容は、特にどのようにやるかを策定し、軌道に乗せるまでについてです。それら基盤の設計によって、現在プロダクト本部ではプロダクト価値のあるべき姿を描くフェーズについて取り組める第一歩までチャレンジできるようになってきています。

Goodpatch 「一気通貫する道を示す」

石井 翔太郎 (Shotaro Ishii) | Goodpatch BXデザイナー
2005年に渡英。セントラル・セント・マーチンズ大学、グラフィックデザイン学部卒。そのままロンドンにて、デザインファームMethodでデザイナーとしてヘルスケアやスポーツ配信サービスDAZN等幅広い分野のプロジェクトを経験。2019年に日本へ帰国後、Goodpatchにジョイン。BXデザイナーとしてVMV(ビジョン・ミッション・バリュー)策定からプロダクトまで関わり、思いを体現できて愛されるモノを意識してデザインしている。現在はサントリー食品インターナショナル(株)の健康習慣化アプリ「SUNTORY+」に携わり「2020年度グッドデザイン賞」「iFデザインアワード2021」を受賞。

企業のコアにある感動価値を言語化・可視化する

Goodpatchが取り組むBX × デザインという領域ついて、事例を交えながらご紹介します。どのような社会課題に立ち向かっているのか、デザインチームがどうビジネスサイドに関わっているのか、各々のデザイナーが何をしているのか、についてなどをお話します。

GoodpatchはBXデザインを、企業のコアにある感動価値を言語化・可視化し、一貫した思想で人の心に止まるあらゆる体験に落とし込んでいくことだと考えています。どんな企業もサービスも、人の想いから生まれるため、私たちは人の想いに向き合います。サービス、プロダクトないしは企業、組織の社会的意義や理念からビジョン、ミッション、バリューなどの策定をし、ブランドアイデンティティを抽出します。ただし、作るだけではブランドは成り立たないので、触れて体験でき、運用できる形に落とし込みます。

「健康」に必要な新しい認識を探る。

僕がデザインパートナーとして併走したサントリー食品インターナショナル株式会社さんのSUNTORY+(サントリープラス)というサービスの事例をBXの観点からご紹介します。

SUNTORY+は、気軽な健康行動をして記録することで、習慣化をサポートするアプリです。日常でできる低ハードルな健康タスクを多数用意しています。その一つひとつが生活習慣病の原因となる体脂肪、血圧、コレステロール、血糖の対策につながっています。

このサービスの背景には2つの社会課題があります。

1つ目の課題は企業の医療負担の増加です。現在、40歳以上の一人当たり医療費が増加傾向にあり、日本の健康保険組合の赤字は約8割と見込まれている状況です。様々な企業が医療費負担を増やさないために、従業員の健康管理に取り組んでいますが、その活動は従業員になかなか浸透しなかったり、続かなかったりと思うようにいっていません。

2つ目の課題は健康管理に取り組めない方々が多くいることです。「健康習慣を身につけたい」と思いつつ、実際は行動に移せなかったり、続かなかったりするために、結果的に不健康な生活をしてしまい様々な生活習慣病にかかってしまいます。

この2つの社会課題を解決するためのビジョン、ミッションを策定しました。

健康はハードでない、という世界観をどう表現するか

健康の維持はかならずしもハードなものではなく、日常の小さなアクションでも対策になるということが一般的な認識として広まって欲しいという想いがあります。また、SUNTORY+ではユーザーの「行動の結果」ではなく、「行動の過程」にフォーカスをするという特徴もあります。結果ドリブンであることももちろん良いのですが、多くの方はモチベーション続かない。そこで、行動を起こしたことにこそ評価をし、自信につながるような新しい価値観も目指しています。

この世界観を表現するために、私たちはブランドの守護神として、一貫性を持ったブランド体験づくりに徹しました。ブランドのコアとなるビジョン、ミッション、バリューの策定、そこにインタビューから得たエッセンスを織り交ぜてパーソナリティの言語化、更にデザインランゲージ、タッチポイントへと輪を広げていきます。

まずTone of Voiceの設計に着手しました。これはアプリがどんな話し方をするか定義したものです。Tone of Voiceでは定義されるのはステートメントだけでなく、態度や口調もその対象になります。これらを策定することでプロジェクトに関わるメンバー間のブランドに対する共通認識を揃えることができ、説明の仕方や文章の書き方が統一され、生産性も上がります。

Design Languagesのアウトプットは、ロゴデザインがまさにそうでしょう。

SUNTORY+は日常と調和した健康管理サービスです。なのでサントリーさんの「水と生きる」という世界観を継承しつつ、日常というテーマから毎日かならず見る「自然」をモチーフにしました。水っぽさのあるカーブと、見守ってもらう存在を意図した太陽がシンボルになっています。加えて、ちょっと前向きなれるように、「+」の右側がちょっとだけ上を向いています。

今回、SUNTORY+ではイラストレーションシステムが重要な役割を担っています。健康維持のためのタスクリストに使用されているイラストには“ゆるさ”があります。このゆるさが健康管理に対する苦手意識の抑制となるのです。

ゆるさはブランドの一貫性にも寄与します。SUNTORY+は「人間は完璧ではないから、毎日続かなくても大丈夫。」という考えです。そこで、完璧でない=人間らしさを表現するために、イラストの中でも抱えている野菜の一部が転げ落ちていたり、まな板から切った野菜が転げ落ちてしまっている様子を加えています。決してクリティカルではありませんが、こういった思想の表現が積み重なることでブランドは強固になると考えています。

アプリの外側であるポスターデザインでも世界観の表現は一貫しています。SUNTORY+の押し付けないスタンスから、「お疲れ様です。」というコピーにとどめています。サービスとタッチポイントとなる各媒体のスタンスが異なるとユーザーの混乱を招くことになります。

最後に、ウォルト・ディズニーカンパニーの元CEOであるマイケル・アイズナーの言葉を引用します。「ブランドは生きた存在。プロダクトやサービスの細かい一つひとつの体験が積み重なって良くなったり、悪くなったりする。」

ブランドが一方的にメッセージを伝えるだけでは十分ではありません。ユーザーの体験に接続されている必要があります。BXデザイナーが組織や事業者の想いからブランドを創造し、ユーザー視点も織り交ぜて一貫した体験を提供することがいかなる社会課題においても重要です。


インタラクティブセッション

後半はReDesigner事業責任者の佐宗がモデレートしながら、登壇者の皆さんとインタラクティブセッションを実施しました。 

Q1.ブランドエクスペリエンス、ないしはコミュニケーションデザインの社内での定義を教えて下さい。

Goodpatch 石井:企業のコアにある感動価値を言語化して価値化する。一貫した思想で人の心に留まるあらゆる価値に落とし込んでいく。そこに専門性を持つのがグッドパッチのBXデザイナーです。

PR TIMES 鈴木さん:社内でブランドエクスペリエンスを課題視して、専門性を持って取り組むのではなく、ニュートラルで行っているので、社内で「ブランドエクスペリエンスは何を指すか知っていますか」と聞いても大半がいいえと答えると思いますが、ブランドエクスペリエンスを訳して、「こういうことを大切だと思っていますか」と言い換えると今度は大半がはいと答えると思います。定義が多いと覚えられず、混乱を招いてしまうため、議論を難しくしないためにもミッション・バリューに基づいて、その施策は正しいかを判断するようにしています。

Q2.BXデザイナー/コミュニケーションデザイナーを育成することは可能ですか?また、おすすめの参考書籍を教えて下さい。

Goodpatch 石井:可能だと思います。 BX デザイナーには制作のスキルだけでなく、言語化力、傾聴力も求められます。インタビューやそれに基づいた推論など、リサーチ・デザインにも関心があることが重要です。書籍に関してはExperience Designがおすすめです。ただし書籍に限定する必要はなく、成功している企業さんやサービスが、どういった想いのもと、どのように展開したのかについてナレッジをネット上で公開していることは少なくありません。これらの資料を深堀りするのも手ですね。

SmartHR 関口さん:もちろん可能だと思います。ただし、その前にBX デザイナーやコミュニケーションデザイナーを育成するという状況を噛み砕くことが優先されるべきです。短期的スコープで「育成しなければ」と考えている場合、対象者のキャリア自体をプランニングすることが先決です。書籍については、エディターシップをおすすめします。

PR TIMES 鈴木さん: 弊社ではデザイナーそのものがBXの知識も必須だと考えています。 BXの視座を携えたデザイナーの育成が可能かという問いだいう解釈において、それは可能だと思います。面接に来た方には「プロダクトを愛せますか?」と聞くんですよね。それは つまり、その人の志向を入社後に変えることは難しいからです。気持ちがうまくフィットしていれば足りない部分を補完できます。おすすめの書籍は森岡毅さんの著書です。

Q3.ブランディングの効果をどう測定し、どうやって評価に紐づけていますか?

Goodpatch 石井:これは難しいですね。(笑)ブランドのデザインには即効性がないため、すぐに数値化されることはなかなかありません。

ビジョン、ミッション、バリューの浸透率を測ることはできますが、それ以外についてはいかに定性調査をいかに活用できるかが鍵になります。プロダクトであればファン層を生み出すという観点で、長期ユーザーがどういったところを気に入ってくれたのかサーベイするために定性調査と定量調査を併用し、視角を大きくするアプローチが必要ですが、銀の弾丸としての方法論が確立されているわけではありません。

SmartHR 関口さん:私個人の見解ですが、「ブランディングを測るんですか?」という疑問があります。ブランディングと評価を密結合をすると、個々のデザイナーや担当者のキャリアにも影響があるので危険だと思います。一つひとつのKPIに対して評価測定することは可能です。全体スコープとして測定を考えているのであれば、まずは1段上位レイヤーでの検討が必要です。

PR TIMES 鈴木さん:ブランディング効果として特別に指標を取ることは現段階の方針ではしていません。私たちのビジョンが「正しいことを誠実に正確にお届けする」ことです。このビジョンにおいて、一様な指標によって評価を上げるという発想が介在することは、バリューミッションに合っていない行動だと考えています。とはいえ意思疎通というのは大事だと考えているため、お客様からのお声を頂いて、ブランド品質を下げていないかを監視することを重要視しています。

最後に

以上、「Social Impact Week 【BX x デザイン】社会課題に対し、BXでできることを考える」のイベントレポートでした。

SmartHRさん、PR TIMESさん、Goodpatchの内容からBXを手法化しないという共通項が浮かび上がったのではないでしょうか。企業、チームないしはプロダクトには、まだ輪郭を捉えきれていない「らしさ」がすでに内在しています。これを顕在化させ、社会課題に立ち向かう独自のアプローチが開かれることにこそBXデザインの意義があると考えられます。

ReDesignerは、デザイナー向けのキャリア支援を行っています。 様々な領域の企業と連携し、企業とデザイナーの間で適切なマッチングを行います。今回の登壇企業に興味のある方やキャリア相談をしたいデザイナーの方は、お気軽に以下のリンクからお問い合わせください!

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この記事を書いた人

ReDesigner

ReDesignerは、デザイン会社によるデザイナー向けのキャリア支援サービスです。 企業とデザイナーの間に入り、独自のオンラインアンケートや面談を通じて、 デザイナーの特性やキャリアの指向性を理解した上で適切なマッチングを行います。単純に紹介をするだけでなく、デザイナー特化型の求人票も用意しており、デザイナーが働きやすい環境設計も支援します。

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