
創業以来、「豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献すること」を企業理念として掲げ、社会の情報基盤を支えるさまざまな事業を展開しているKDDI株式会社(以下、KDDI)。
社会情勢が大きく変わる今、KDDIは通信事業を核としながら、通信以外の領域にも注力する経営戦略を打ち出しています。その中で「ライフデザイン領域」と呼ばれるtoCサービスの開発を担うのが、KDDIのUX・サービスデザイン部です。
本記事では、KDDIでサービスデザイナーを務める花井陽子さん、奥山真広さん、花田直人さんの3名に、組織のカルチャーや仕事の魅力について詳しく伺いました。
花井 陽子(Yoko Hanai)|グループリーダー・サービスデザイナー
IMJ、ヤフー、クックパッドを経て、KDDIに中途入社。メディアの事業責任者から、戦略からデザインを論理的に行いたいと考え、デザイナーへ職種転換。KDDIではデザイン組織の立ち上げから、デザインプロセスの浸透を行い現在8年目。
奥山 真広(Masahiro Okuyama)|サービスデザイナー
通信会社のコンタクトセンターにてエンドユーザーと向き合う経験からキャリアをスタート。複雑化する社会やプロジェクトに対して、そもそもを考えるデザインプロセスと、広くプロジェクトがゴールに向かうための推進力としてのプロジェクトマネジメントを軸に、一貫したプロジェクトデザイン推進を得意とする。2019年度からXデザイン学校 ベーシックコースチューター、2023年度からビギナーコース講師を担当。
花田 直人(Naoto Hanada)|サービスデザイナー
大手複合機メーカーで、GUIデザイナーからキャリアをスタート。UXデザイナーを兼務し、複合機を取り巻く環境全体のデザインシステム構築や、開梱から継続利用までの一連の体験のデザインなどを担当。より幅広く活躍できる場を求めて2019年より現職。
——はじめに、KDDIのデザイン組織について教えてください。
花井さん:UX・サービスデザイン部は、マーケティング統括本部に所属し、人間中心設計を用いたサービス開発を行っています。
KDDIは、通信を核としてさらなる事業拡大を図るため、金融・コマース・エネルギー・エンターテインメント・教育といったライフデザイン事業を推進してきました。「au PAY」や「auでんき」など、お客様の生活に寄り添うサービスの提供を通じて付加価値をお届けしたいと考えています。
組織の目指す姿は、お客様のニーズと事業の狙いが合致するストーリーを見出して、お客様の気持ちや行動に変化を生み出すような体験をデザインすることです。
自社の事業成長とお客様への価値提供、どちらも実現できなければ「良いサービスを生み出せた」とは言えません。両者をつなぐ設計を行い、目指す顧客体験を実装することが、私たちデザイナーの重要な役割だと捉えています。また、UX・サービスデザイン部ではデザインプロセスの組織的な浸透もミッションとして推進しているところです。
——社内外、あらゆる方面でデザインを推進されているのですね。組織として立ち上がるまでに、どのような経緯があったのでしょうか。
花井さん:デザイン組織の前進となる部署は2015年頃から存在していましたが、当時はどちらかというとプロダクトの品質担保を最優先としていました。しかし、私たちの生活様式が大きく変わり続け、個人のニーズも多様化する今、もう品質を追求するだけではお客様に必要とされるサービスにはなりません。
そこで、お客様に提供できる価値とはどんなものなのか、サービスの目指す姿を明確にすることが不可欠だと気づいたのです。加えて、プロダクトの構想だけでなく、顧客体験を考え抜いた実装までやり切らなければならないと。
一方で当時の大きな課題が、最初に描いたサービス戦略と、最終的なアウトプットにズレが生じてしまうことでした。たとえば「au PAY」は約3,330万人の会員を抱えるサービスですが、大規模な開発が必要となるゆえウォーターフォール的に各工程が分業されていたことが主な要因です。
この課題を解決するために、昨今注目されるようになったBTC(ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ)モデルにならい、サービス開発のプロセスそのものからデザインを取り入れる動きが全社的に生まれました。課題の重要性を経営層が理解してきているからこその施策だと感じています。
そこに紐づいて、ここ数年でデザイン組織の強化が進んでいます。並行して、2021年より全総合職を対象にしたジョブ型人事制度が導入されました。その際、重要職種のひとつとしてUXデザイナーも制定されたほど、企業として顧客の体験設計を大切にしています。

——UXデザイナーとして現場に携わる奥山さん、花田さんのお二人は、それぞれどのような業務を担当していますか?
奥山さん:私は現在、ポイント関連プロダクトのデザインリードを担当しています。
プロダクト戦略の立案にはじまり、顧客体験の設計からUIへの落とし込みまで、基本的にすべての工程に関わります。プロダクトデザインの中でも、広義のデザインに取り組むポジションです。
一方で、PO(プロダクトオーナー)やプロダクトマネージャー、開発リードと毎日対話しながら「バックログの順番を変えたほうがより成果が出るのでは」と、込み入った開発工程について意見を交わす場面も少なくありません。本当に価値のあるプロダクトを共創するために、きちんと形になるところまで一緒に開発を進めることを意識しています。
花田さん:ライフデザイン領域の多様なサービスが存在する中で、私は決済や証券のような金融事業やエネルギー事業など多岐にわたるサービスに携わっています。
複数のプロダクト開発に横断して並走し、事業として成果を出すのはもちろんのこと、デザインの有用性や重要性を広く社内に浸透させることも私のミッションです。具体的には、各サービスの開発担当者から相談を受け、リサーチやサービス設計について、デザイナーの視点から最適な提案を行っています。
——一つのプロダクトにコミットする奥山さん、複数プロダクトを支援する花田さん、それぞれ立ち位置は異なりますが、デザイナーとして上流の戦略部分から関わる点は共通していますね。
花田さん:複数サービスに対して並走する・支援すると言うと、デザインのコンサルティングを行っていると思われるかもしれません。ですが、実際は全く異なります。奥山さんも話していた通り、戦略の部分に意見を出すだけではなく、どうすれば良いアウトプットにつながるかをサービス部門のメンバーと一緒に考えながら手を動かしていくことが重要だと考えています。
また、私たちデザイナーは、プロダクトの企画や開発に携わる社内メンバーとお客様をつなぐ存在でもあります。
たとえば、ユーザーインタビューの場にはデザイナー以外のメンバーにも積極的に参加してもらい、お客様の声を直接伺う機会を設けるようにしているんです。やはり、お客様が各サービスに何を求めていて、どのように利用しているかといった一次情報を得ることは、顧客体験向上のために欠かせませんからね。サービスに関わる全員が、お客様への価値提供にまっすぐ向き合える環境を整えるのもデザインの一環だと言えます。

——グループリーダーを務める花井さんには、KDDIのデザイン組織ならではの強みや特徴についても伺いたいと思います。
花井さん:お客様への提供価値を高めるために、顧客体験の設計を何よりも大切にしている組織だと思います。
私たちを取り巻く環境は今、めまぐるしく変化を続けています。そこで重要なのは、お客様が日々どのように考え、何を課題に感じ、何を求めているかを理解すること。短期的な思考や「なんとなくこんなものが役に立つだろう」といった安易な発想からは、良いサービスは生まれません。そのプロセスにきちんと投資する体制が取れるのは、大企業ならではの強みですね。
——次は具体的に事業部とKDDIでデザイナーとして働く中で感じる、仕事の魅力とはどんなものでしょうか?
奥山さん:デザイナーとして関われる範囲の広さが、仕事のやりがいにつながっています。
プロダクトのデザインだけでなく、どうすればチームのメンバーが気持ちよく仕事をできるのか、より高い提供価値と成果につながるのか。そういった社内での体験のデザインに関われる環境でもあります。全社にデザインを広めていくフェーズだからこそ、デザイナーの立場から主体的に「こうしたらもっと良くなるのでは」と考えて実行していけるのが面白いんです。
私はこれまでのキャリアで、クライアントワークでのプロジェクトマネージャーを長く経験してきました。そこから「リリース後もプロダクトの成長に直接貢献する立場に回りたい」と考え、事業会社への転職を希望して入社したのがKDDIです。今の関わり方は、自分のやりたいことが実現できていると感じます。
花田さん:KDDIという大きな組織の中で、さまざまなサービスに関われる点が最大の魅力だと思います。
たとえ社内で各サービスの企画・開発担当者が分かれていても、お客様から見ればどのサービスも同じ「au」ブランドのプロダクトです。一つのサービスから、他サービスへの利用へとつなげ、お客様のエンゲージメントを高めていく。そんな包括的な体験設計に携わることで、自身のデザイナーとしての幅が広がりつつあると実感しています。

——冒頭で、UX・サービスデザイン部のミッションとして「デザインプロセスの組織的な浸透」も掲げていると伺いました。KDDIは大きな組織ゆえに、社内にデザインの考えを広めていく難しさもあると思いますが、その点はいかがでしょうか。
奥山さん:私の担当するプロダクトチームは、現体制になってから1年が経ちましたが、デザイナー以外のメンバーにもデザインの理解が深まってきたと感じます。「この機能や仕様は、果たしてお客様にとって本当に価値があるだろうか?」といった議論ができるようになったのは大きな進歩ですね。
一緒により良いサービスを生み出そう、エンドユーザーに価値を届け切ろう、という共通認識を持って業務に向き合えていると思います。
花井さん:奥山さんは、よくチームメンバーから「デザイナーは、こんなことまで一緒にやってくれるの?」と言われているんですよ。
ミッションを実現するためには、私たちが自律的に行動するだけではなく、ともにデザインプロセスを推進する仲間を社内に増やす活動も重要です。その点、二人は周りを巻き込むのがうまく、非常に頼もしいですね。
花田さん:周りへの働きかけで意識しているのは、KDDIが持つ既存のカルチャーに、新しい風を吹き込んで相乗効果を生み出すことです。社外の方々との交流で得た知見をKDDIに取り入れたら、さらに良い変化が起こるかもしれません。それゆえ、私たちは組織の中に閉じずに、積極的に外の世界と関わりを作るようにしているんです。
奥山さんは外部のデザインスクールで講師を務めたり、私と花井さんは国内外で活躍するサービスデザインの実践者と研究者が集まる組織に所属したりと、日々社外の方との情報交換をする機会を大切にしています。
花井さん:社外のさまざまなデザイナーの方々と会話していると「デザインの力で、停滞している日本の経済を活性化させたい」と、大局的な視点の議論に発展することがよくあります。決して大げさな話ではなく、デザインにはその可能性があるはず。
そうなると、大企業に所属するインハウスのデザイナーができることは数多くあると思います。私たちは、非常に大きな使命を背負っていると言えるでしょう。そんな意義も感じながら、日々仕事に向き合っています。
奥山さん:担当するプロダクトの成長に、さらに寄与できる存在になりたいです。デザイナーでありながら、プロダクトマネジメントやビジネスの領域にも染み出していき、いろいろなアイデアを試していきたいですね。KDDIには立場や役割を越境できる土壌があるからこそ、こうした挑戦ができると感じています。
花田さん:人々の暮らしに寄り添うサービスを展開する中で、私たちの使命は、突き詰めると「未来の社会をさらに良くしていく」ことに尽きると考えています。だからこそ、短期的な成果だけを追うのではなく、私たちの子どものような次の世代にも役立つ仕事がしたい。デザインの力でサービスやご利用いただくお客様の生活を少しでも豊かに便利にできるよう、長期的な視点を持ち合わせながら、取り組んでいきたいと思います。
花井さん:やはり、私たちUX・サービスデザイン部が掲げるミッションの実現が直近での大きな目標です。KDDIの社内で、デザインプロセスを取り入れることが空気のように当たり前になればうれしいですね。
組織文化を作り上げるには、どうしても時間がかかるもの。大企業ゆえに一足飛びにはいきませんが、私たちデザイナーがあらゆるサービスに関わることでコツコツと積み上げていきたいと考えています。粘り強さと「どうしたらさらに良くなるか」という向上心を持ち合わせながら、引き続き取り組んでいくつもりです。

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この記事を書いた人

ReDesigner
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