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就活における「不安」との向き合い方〜デザイナー就活と心のケア〜

https://redesigner.jp/

イベントレポート

2025/4/9

就活における「不安」との向き合い方〜デザイナー就活と心のケア〜

デザイナーを目指す学生とデザインの力を信じる企業が一同に会するイベント、Designer Career Jam。今年第2回の開催となった、Designer Career Jam 2024では「『デザイナーとしてはたらく』に触れる日」をテーマに、2日間に渡ってオンラインとオフラインのイベントを開催。実に400名以上の学生が参加しました。

本記事では、day2にて行われた先輩デザイナーによる「"はたらく"が不安な学生のためのトークセッション② 〜 デザイナー就活と心のケア 〜」の模様をレポート形式にてお届けします。

「"はたらく"が不安な学生のためのトークセッション① 〜 結婚・子育ても考えるデザイナー就活 〜」に関するレポートはコチラ

2年目で取締役に - 特性を強みに変えるキャリア

仲村さん:前半のトークセッションから続いているので、先ずは皆さんと一緒にストレッチからはじめましょうか。

──仲村さんの自己紹介からお願いします。

仲村怜夏 (Rena Nakamura)| DEIB担当取締役 / サービスデザイナー
2023年にサービスデザイナーとして株式会社ゆめみに入社。2024年、小野薬品工業さまの「HOPE」でグッドデザイン賞を受賞。同年4月よりDEIB担当取締役に就任し、哲学対話会やつらみ会など、現場メンバーの声を拾う企画の立案・運営を担う。

仲村さん: 株式会社ゆめみで、デザイナー兼=ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン&ビロンギング(以下、DEIB)の取締役をしております。デザイナーとしての担当領域はサービスデザインです。リサーチして、体験設計して、ワイヤー作って、UIの方たちに繋ぐ、といったところがメインです。デザイナーではありますが、クライアントワーク(=外部企業の依頼を受けて制作をする形態)がメインの会社なので、案件を取るための商談にも積極的に参加しています。

──DEIB担当取締役というのは、具体的にどんなものなのか教えていただいても良いでしょうか。

仲村さん:ごく簡単に言うと、会社にいるメンバーの居心地を良くしていくために必要なあらゆることを推進していくのが主な役割です。よくゆめみのメンバーには「全てのメンバーが会社で生きやすくなるように、社内の仕組みで解決していきます。必要なことがあったら何でも相談してください」と伝えています。

──そもそも新卒2年目で執行役員というのは普通あり得ないことですよね。どのような経緯でこの役割を務めることになったのですか?

仲村さん: ゆめみには「チャレンジ取締役」という制度があるんです。勤続年数や役職、性別に関わらず、「会社経営そのものに積極的に関わりたい」という意志を示した上で、取締役会や株主総会での決議が通れば、取締役にチャレンジすることができる制度です。

立候補した当時のやりとりも含めて記事を公開(*1)しているのですが、最初はSlackで経営陣にメンションして立候補しました。それまでCHRO室(※Chief Human Resource Officer。人事に関わる役員)はありましたが、現在DEIBを専門でやるメンバーはいなかったので、やりたいと思って。そもそも私はパニック障害と鬱、解離性障害の当事者でもありました。

(*1)2年目デザイナーがDEIB担当取締役にチャレンジする話

「認めたくない」から「向き合う」までの軌跡

──ご自身の持っている障害や特性については、noteの記事等でも公開されていますよね。

仲村さん: はい。私は当時学生だった2020年に前出の症状が出て1ヶ月半ほど入院しました。急に倒れ込んだり、不眠症で午前中動けない、といった症状が今もあります。加えて発達障害もあるので、ずっと同じことを続けることが上手くできなかったりいろんなことを見落としてしまうことが人よりも多くあります。

2020年はコロナ禍の真っ最中で、誰とも会えない状況でした。私は千葉出身ですが、福岡の大学で一人暮らしをしていたので、完全に孤立した環境でした。

でもまさか自分がそういう精神疾患の当事者になるとは思っていなかったんですよね。性格は適当だと思っていましたし、ポジティブに生きているつもりだったので。そういう人間でも鬱になってしまうものなんだと衝撃を受けて、発症の初期は認めたくない、これは気のせいだ、と思うようにしていました。それでも限界が来て、病院に行ってみた感じでしたね。

──当時、周りの同級生や友達には、病気のことについてはオープンにしていたんですか?

仲村さん:人によります。

「絶対受け入れてくれるはずだ」と期待した人に拒絶されてしまったときのショックは大きすぎるんですよね。なので、「この人には自分を知っておいてほしいな」とか、「もし受け入れてもらえなくても、伝えないよりは伝えた方が私にとっては付き合いやすいよな」と、自分都合で考えられる人にだけ伝えていました。「この人だったら、拒絶されてもしょうがない」という前提を持った上で。倒れたり気分が悪くなってしまったときに頼りたいと思う人に、「頼りたいから話してもいい?」みたいな感じで伝えていましたね。

──現在もこうした障害や特性がなくなったわけではないんですよね。

仲村さん: はい。現在も当事者です。ただ、パニック障害の症状は落ち着いてきていて、抗うつ剤もほぼ飲まなくなりました。以前なら人が多い場所には居られなかったのですが、今はイベントに参加されている学生さん1人1人の顔を見て、話ができるくらいになっています。

医者からも「これは治ると思わない方がいい」と言われています。波があるので、良くなったと思っても急に悪くなることもある。通院しながら「その波を受け入れていくためにどうすれば良いのか」という話をしています。

就活のリアル - 遅くても、特性があっても、道が完全に塞がれるわけではない

──就活においてこうした事情をオープンにするのかどうかという葛藤がありますよね。そもそも就活ができるのか、ということも悩まれたのだろうと想像していますが。

仲村さん: 就活に関しては…やらざるを得ない状況でした。就活をやりたくてやる学生はきっと殆どいないと思います。やらなきゃいけない理由は様々で、やらざるを得ないような状況で仕方なくやっている人も多いだろうなと。私もまさにそうでした。

元々大学には学費免除の制度と奨学金制度を使って通っていたんです。しかし、病気療養の影響もあり、4年生までに必要な単位が取りきれず、留年が確実な状況でした。

学費免除や奨学金の制度の対象は在学4年間まで。まとまった学費を用意する必要もあるし、生活費も捻出しなければいけない。それは今の自分には無理だと思い、一旦大学卒業を脇に置いて、働いてお金を貯めた方が心の安定に繋がりそうだと判断し、先にお金を稼ぐための就活を始めることにしました。

──大学の専門は美術やデザインではないですよね。なぜデザイナーを目指したんですか?

仲村さん: 大学では生命倫理を学んでいました。「生命の誕生に、医療技術が介入してよいのか?」といったことを考えていたので、大学時代にデザインを専攻していたわけではないです。

ですが、同じようにデザインを勉強しているわけではなかった友人がデザイナーの内定をもらったことをきっかけに、自分の中でずっと抑え込んでいたデザイナーへの憧れに気づいたんです。「どうせなれるわけない」と思って心の中でかき消していたんですが、身近な人がデザイナーになるという現実を目の当たりにして、私もなりたい!と思ってしまった。「もう自分に嘘はつけない。デザイナー就活を一度やってみよう」と決意しました。

たとえ駄目だったとしても、自分が正面から挑戦した後なら、デザイン業界で活躍する友人をきっと素直に応援できるようになるはず。そんな気持ちで就活を始めました。

──決意と覚悟が素晴らしい反面、友人の内定通知の後の就活スタートとなると、正直選択肢は少なかったと想像するのですが。

仲村さん: いえ、実際に活動してみると、意外とまだ入れる会社があるんだなと思ったんです。4年生の10月でもエントリーを受け付けている企業や、通年採用をしている企業が予想以上にありました。ダメ元で募集が出ていない企業にも申し込んでみたり。

あと、実はデザイナー就活する前に一般職の就活もしていて。だから「デザイン業界は働き方のアップデートが進んでいるな」と感じたんですよね。企業を探しながら、福利厚生や制度、環境などを比較して見ていたのですが、もちろん完璧に自分が求める環境の場所はないものの、配慮や調整を感じられる環境がデザイン業界には多かった。なので、自分にとっては総合職よりもむしろ選択肢が多く感じました。

──では、ご自身の抱えている事情や特性は就活段階からオープンにしていたんですか?

仲村さん: はい。オープンにしていました。大学を卒業できないことについても、病気で休学していた経緯なども含めて素直に話すようにしていました。

「自分のありのままで行けないんだったらこれから先長く働き続けるのはしんどいだろうな」と思い、割と全部話してましたね。だから面談してくれる企業は「うちの会社で働くとしたらどんなサポートがあれば価値が発揮できそうかな」という前提で選考が進んでいました。

特に入社することになったゆめみの代表は「すぐに卒業しない選択肢もある。働きながら学生を続ける道もあるよね」と言ってくれたんですよね。そういった会話を通じて、自分を受け入れてくれる環境かどうかの温度感を確認していきました。

──すごい。当たり前のようですが、オープンにするのは怖くなかったんですか?

仲村さん: 入院などもあって、大学と単位のことで相談する機会が多かったから、オープンにする方が良いという感覚があったかもしれません。

ただ「単位どうにかなりませんか」じゃなくて、「自分は今こういう状況で」「こういう診断があって」ときちんと話した方が、少なくとも人は話を聞いてくれるんだな、という感覚がありました。

「健康」「家族」があっての「仕事」。 - 優先順位が明確な組織づくり

──ゆめみのDEIB担当取締役としては、現在具体的にどんなことをしているんですか?

仲村さん:ゆめみは私が入社する前から、「自分の健康」「家族・パートナーとの生活」があっての「仕事」という優先順位を明確に定めています。会社として定めているので、仕事がどれだけ忙しくても、自分の健康が害されるなら断ることができるように仕組み化されています。Notionで作成している社員のプロフィールページには各メンバーの特性や、必要なサポート内容まで記載されており、プロジェクトで一緒になったメンバーは確認するようにしています。

会社の制度も、有給取り放題制度は理由を言わずに休暇が取れるようになっています。例えば生理休暇などは、申請時に理由を言わなければならないことで利用率が下がってしまうことがありますが、そういった心理的なハードルを下げる工夫をしています。

ゆめみのオープンハンドブック

──当事者でもありながら、社内で仕組みをつくっていくことはとても難しいだろうなと想像していますが。いかがでしょう。

仲村さん:取締役になるにあたって社長と最後面談したときに、「自分の心が一番大事だから。DEIB担当取締役が病んでたら、誰もこの会社のDEIBに希望を持てなくなるので、自分の身体を最優先に」ということを言われたんですよ。大変ですが、無理しすぎないようにしています。

そしてゆめみも、制度が完璧に整っているわけではないんですよ。むしろ大企業の方が制度自体は整っているところが多いと思います。ただ、私たちが大切にしているのは、目の前にいる人を助けようとする姿勢です。「この会社で働き続けたいのに、こんなにつらい」という声を聞いたら、その人のために仕組みを考える。すると、結果的にそれが多くの社員を助ける仕組みになっていきます。

また、「前提を疑う」「常識を疑う」「仕組みを疑う」という姿勢も大切にしています。例えば、企業説明会の形式だって、「登壇者が前に立って話す」ということが絶対に正しい形ではないかもしれない。みんなでランニングマシンに乗りながら説明会をするのも、アリかもしれない。でも会社にいると「去年こうだったから今年もこれで」と思考が固まりがちです。そんなとき「他にやり方があるんじゃない?」と言える人が1人でもいるかどうかで、大きな違いが生まれると思っています。

小さな「できた」の積み重ねが自信になる

──面談をしていると、特性を持つ学生の多くはやはり、「自分は出来ない人間だ」と自信を失くしている方が多いです。何かアドバイスはありますか?

仲村さん:できた、を積み重ねることが大切だと思っています。今日こんなにしんどいけどポートフォリオの作成がここまで進められたとか、できたことを一つずつ認識して、できるポイントを貯めていくと自然と自信がついてくると思います。自信をつけようと意識するのではなく、なるべくハードルを下げて、小さな成功体験を積み重ねていくことを心がけています。

トークセッション①でも、うえだりさんが「どんなに些細なことでも今日あったよかったことを書いていた」とおっしゃっていましたが、それに近いかもしれないですね。

もうひとつ、今自信がない人に伝えられるかなと思う、昔ある人に言われた言葉をおいておきます。「今あなたが向き合っている悩みは、いつか誰かの翼になるから。ちゃんと目をそらさないように。」という言葉です。この言葉を貰ってから、豆腐メンタルな私だからこそ寄り添えることもあるんじゃないかなと思って、ここまで頑張ってきました。

現在DEIB担当取締役という仕事をやっているのもやはり当事者だからこそですし、会社としても、そういう役職を当事者が手を挙げて立候補したことをポジティブに受け取ってくれています。

──田口さんから最後に皆さんへのメッセージをお願いします。

田口:就活という通過儀礼は、やはりどう頑張っても、「企業が学生の皆さんを評価する・ジャッジする」ということからは逃れられないだろうとは思っています。何故なら同じ船に乗り込み、その船で長く遠い場所まで一緒に行くことが出来そうな人を探すことに他ならないからです。

でもだからといって、「事情や特性を抱えている人がいる船は遠くには行けない」ということではないと思っています。むしろ今はそういう人がいる船の方が遠くに行けるよね、という流れがある。

就活の中で自分の事情や、弱さのようなものを開示することは、怖いことだと思います。でもそれを開示することによって、「実はちゃんと制度がある」「みんな意外に休んでいる」ことがわかったり、「制度があるのに運用されていないから、運用したいんだよね」という声が企業側から聞こえてきたりする。

採用する側の企業だって一枚岩ではありません。このセッションも、最後まで頷きながら聞き続けてくださった企業さまが後ろに座っています。

うえだりさん、仲村さんには、学生と企業人がお互いを開示しやすい空気を作っていただいたと思います。開示いただいたことをありがたく思うと同時に、こういう会がもっと多くの場所に開かれていくように、ReDesigner for Studentはこれからもがんばります。

編集部より

以上、Designer Career Jam 2024「"はたらく"が不安な学生のためのトークセッション① 〜 結婚・子育ても考えるデザイナー就活 〜」のイベントレポートをお届けしました。

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この記事を書いた人

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