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コンサルティングとデザインの新しい関係づくりで、「価値の再定義」に取り組む。TIS株式会社が目指すUXデザイン像。

デザイナーもコンサルタントのように事業づくりの上流から関わる機会が増える中、コンサルティングとデザインの融合を通して、社会課題の解決に取り組んでいるのが日本最大級のシステムインテグレーターTIS株式会社(以下TIS)です。1971年からSIerとして大企業をはじめ多くの企業のソフトウェアサービスを構築してきた同社が、なぜデザインに力を入れるのか。新設されたUXデザインコンサルチームとはどんなチームなのか。ビジネスイノベーションユニットの神原さん、井上さん、阿部さん、高橋さんにお話を伺いました。
神原 博史(Hiroshi Kambara)|ビジネスイノベーションユニット DXコンサルティングビジネス推進部 部長
2003年TIS入社。製造業や通信業のIT戦略や情報化企画の立案などのコンサルティングを担当し2018年より現職。MBA取得を機にサービスデザインやデザイン思考を学び、現在は、DX戦略・構想の立案や事業開発、事業共創推進を担当し5GやXR技術の社会実装をテーマに活動。
井上 大器(Inoue Taiki)|ディレクター / UXデザイナー
制作会社からメガベンチャーを経て、デザイン顧問として活動。デザインを軸に事業企画やプロダクト開発、デザイン組織組成など多数支援。2021年よりデザイン顧問として、デザイン組織立ち上げ支援ののち現職。デザインの右脳とコンサルの左脳を掛け合わせた「顧客と伴走する」DX領域のデザインを模索している。
阿部 一彬(Kazuaki Abe)|マネージャー / UXデザイナー
2012年TIS入社。金融業・通信業を中心に、経営コンサル・業務コンサルを多数経験。大手メガバンクとの共同事業の企画・事業運営や、大手メーカーの決済サービスの企画を担当。定量データを中心とした分析、仮設立案、課題解決に強みを持つ。
高橋 皐月(Satsuki Takahashi)|マネージャー / UXデザイナー
大手家電メーカー、 ウェブサービス、ロボット、システム開発界隈で新規事業のリードデザイナーとして従事。デザイン思考、サービスデザイン、コミュニケーションデザインなどの支援を行う同時に、ハッカソンなどのオープンイノベーション活動へ積極的に参加、協力し「ハッカソンアイドル」と名乗るようになる。
神原さん:現在、DX戦略の策定からアドバイスをするDXコンサルティングビジネス推進部の中に存在しています。今年の春にチームが立ち上がったばかりで、現在、チームは8名の体制で、UXデザイナーとして実績の豊富なメンバーも数名キャリア採用としてジョインしてきてくれています。

井上さん:ずばり、価値の再定義なのではないでしょうか。私たちはこれまでITソリューションの提供による価値提供をしてきました。今後は、パソコンやタブレットの閉じた世界だけではなく、様々な世界と交わっていくでしょう。その際、使う人にどんな体験を提供できるかが鍵になります。既存の価値は何かを問い直し、それをテクノロジーでアップデートして、新しい価値を作らなければ、無駄なものや使われないものが生まれてしまう。
この価値の再定義をするためには、リサーチからアウトプットまで一貫してお客様に伴走することが大切だと思っています。示唆を示すだけでは、社会課題の解決に至りません。
ただ、実際に手を動かすこと自体はパートナー会社などと協力することが多いです。私たちが担うのはとにかく「考える」こと。この「考える」部分をデザイナーの視点で担うことが、会社から与えられた期待だろうなと思ってます。
神原さん:当社は、2017年にグループビジョン2026を策定し、単に依頼されたシステムを開発するだけでなく、社会課題を解決していく企業になろうと舵を切りました。つまり、お客様の課題に答える受発注の関係ではなく、お客様と一緒に社会課題を解決していくパートナーとなることを目指しています。
社会課題の答えは簡単には見つかりませんし、そもそも何が正解かもわからない。ゆえに、課題を捉え直したり、未来のあるべき姿を想像するためにデザイン思考をはじめとした、デザイン手法による様々なアプローチを取り入れていきました。その流れでUXデザインにも力を入れるようになってきました。
神原さん:2021年の8月からですね。デザイン組織づくりをテーマにデザイン顧問として井上さんに関わって貰い、組織ミッションのコンセプトから検討を開始しました。今年度になって、井上さんには 正式にTISに入社してもらい、UXデザインコンサルを専門とするチームを立ち上げました。
井上さん:デザイン組織の立ち上げに関わっていた時に、とりあえずデザイナーを集めるのではなく、デザイナーが活躍できるプロセスをまず整えて、ちゃんとデザイン組織を根付かせようとする姿勢が素晴らしいと思ったからです。そのような姿勢であれば、本当にデザイナーが活躍する組織が作れると思いました。
井上さん:例えば、全国に営業拠点のある大企業の顧客管理サービスの再定義です。顧客管理サービスの新規導入という課題は、単純に考えれば、必要な業務や機能要件を定義して実装し、納品すれば完了です。しかし顧客管理は会社には不可欠ですし、すでに何らかのソリューションは導入しているはずなんですよね。
そこで「なぜ現状と異なる顧客管理を導入する必要性があるのか?」という問いを立てて、顕在化していないペインとして、そもそもの組織の役割分担や社員のモチベーションなどの問題点を探っていきました。その過程では、ワークショップやインタビュー、エスノグラフィ調査なども実施し、役職を問わず、現場に出ている営業の方から副社長まで参加いただきました。結果として、この会社ならではの顧客管理のあり方をご提案するに至りました。
神原さん:情報の増加や企業のDXがさらに加速していく中で、クライアントは自分たちにとって何が重要な要素なのか見えづらくなってきています。本当にやるべきこと、やりたいことを明確に言語化できているわけではありません。だからこそ、価値の再定義の必要があるんです。それが、私たちだからこそできるソリューションの提案につながり、クライアントからの信頼にもつながっていくと考えています。
井上さん:ただ「考える」といっても、机に向かって試行錯誤しているわけではありません。現地に赴いて営業担当者と同じ作業着を着て同行するフィールドワークなども行っています。「デザイナーが絵描きになってはいけない」というのはTISに所属する前から強く思ってきたことですし、お客様の目指す未来像を一緒に汗をかいて考、伴走することが大事だと感じています。
神原さん:TISの従来の取引先が顧客基盤となっているため、かなり多岐に渡っていると思いますね。ロボット製造メーカーの方と新製品の新しいユースケースやビジネスモデルを考えたり、不動産業界の方と住宅展示場の未来のコンセプトを考えたこともあります。多種多様で、従来のアプローチでは解決できないような相談がひっきりなしに来るような状態になっています。
井上さん:TISでの仕事は、前例をならうだけの従来のやり方が全く通用しないんです。どんな未来がやってくるのか、どんな未来にしたいのか、それに対して今何をしなければいけないか、をきちんと想起しなければならない。
「やりたいことが決まっている、やっているけどうまくいかないので、ユーザー体験設計を作ってください」という案件はあまりないですね。未来には、どんな技術があって、どんなライフスタイルあるのかをバックキャスティングして考えることが多いです。
神原さん:やはり、戦略から設計・実装まで一社で担えるからではないでしょうか。従来は戦略ファーム、デザインファームときて設計以降の開発にTISが入る流れが多かったですが、ワンストップで一緒に話ができる方が実現までの時間軸も早いですし、ビジョンを共有できることでのコミュニケーションミスのリスクも減りますよね。
井上さん:また、扱える領域の多さもあると思います。AI、ブロックチェーン、VRをはじめ、金融セキュリティやクラウドインテグレーション全般まで対応できる点でしょうか。実現できないことはほぼないと思っています。
高橋さん:以前はメーカーやロボットベンチャーなどでクリエイティブ面のリーダーをしていました。一方で、組織内のデザインに対する理解度の差があり、ビジネスとデザインの領域を近づける方法を模索していました。
そんな時に神原さんから声をかけていただいたんです。TISは経営者や事業の意思決定者と接する機会も多いため、事業を成長させるための経験が積めると思いました。これまではデザイナーということもあり、相手の感性に訴えかけて物事を進めることが多かったのですが、デザイナーの立場から上流のビジネス戦略の提言も行えるようになるには、コンサルティング手法のファクトに基づいたロジックの視点も両方備えることが重要だと思いました。自分のキャリアを考えた時にTISは最適な環境だと思ったんです。
また、ちょうどデザイン組織の立ち上げにも関われるということで、そこも魅力に感じました。ただ、自分はコンサルティングの経験はなかったので、そもそも現場で飛び交う単語が横文字が多いなど、カルチャーショックも受けました(笑)。

神原さん:今回チームを作る上で特に意識したのは、コンサルタントとデザイナーが一緒の箱の中でチームを作ったことです。価値の再定義をするためには、やっぱりコンサルタントの知見も必要だと思っていて、両者がしっかりコラボレーションするためには、同じチームである必要があると思ったんです。
井上さん:もちろん初めはコンサルタントはデザインのことをよく知らないですし、デザイナーもコンサルティングのことをよく知りません。しかし、こういった右脳と左脳の融合はすごく重要なことだと思います。
阿部さん:コンサルティングを9年ほど続けてきた中で、事業企画や新サービスの立上げの局面では、論理的思考だけだと解消できない課題があることを感じてきました。
UXデザインの視点を身につけることで、クライアントに対して、従来のコンサルティングに加えて、より一層付加価値を提供できると思ったことがきっかけです。
神原さん:新設のチームですが、育成や評価の制度は、組織立ち上げの中でUXデザイナー向けのもの独自に用意しています。部署を作るタイミングでそこに意志やリクエストを反映できる会社はあまりないですし、自分たちのあるべき姿を非常に考えやすい環境だと思います。
井上さん:レクリエーション的なものであれば部活動だったり、社内のSNSで自由にコミュニティを立ち上げることもできます。高橋さんも入社してすぐに立ち上げてましたよね。
高橋さん:そうですね。私は入社して2日目にあるゲームのグループを作ってしまいました。エンジニアが技術ブログなどを情報発信する文化もあり、自由度が高く新人でも馴染みやすいなと感じました。
神原さん:また、兼業しているメンバーがいるのも特徴的です。井上さんは週2日契約で、残りの週3日は別の企業の顧問をしていますし、高橋さんも社外での活動もしています。
従来のシステムインテグレーターからすると考えられないぐらい、新しい働き方を許容してくれていると思います。
井上さん:誤解を恐れずに言うのであれば、既存の「コンサルティングファームが作ってきたUXチーム」をなぞるのではなく、その成功例を踏まえつつ、新しいコンサルティングとデザインが融合されたチームを作りたいと考えています。
例えば、コンサルタントとデザイナーの役割の垣根は曖昧なままにしておきたいんですよね。だからこそ、お互いに役割を越境し、それが相互理解にもつながっていく。
まだ価値が定義されているチームではないので、一緒にその定義を作っていけると良いのかなと思っています。
神原さん:コンサルティングの依頼でも新しいビジネスを作りたいという相談が多くなっている中で、その課題にしっかりと答えられるチームになりたいですね。また、自社事業や自社プロダクトに関する企画にもどんどん関われるチームにしていきたいですね。
神原さん:各業界のトッププレイヤーのお客様から、先進的なご相談をいただくので、業界初やまだ世の中にない取り組み、といった貴重な経験に触れられる打席数の多さと、その経験によって大きく成長できるだろうと思います。
また、立ち上げたばかりのチームを一緒に作っていく、すなわち自由に自分のカラーを作りながら挑戦できる環境で働くことはとてもエキサイティングだろうと感じます。
阿部さん:サービス企画や事業戦略など、ハイレベルで抽象度の高い課題に対してデザインの力でアプローチできることです。答えがないことを考えたり、導き出したりする意欲がある方にはすごく刺激的な環境だと思います。
業種業界も多岐に渡るので、様々な業界のクライアントと関われる点も魅力です。

高橋さん:デザイナーとコンサルタントのハイブリッドになって、カルチャーショックを受けつつ楽しい時間を過ごせてます。こういったプロセスを楽しんで、成長につなげていくような人にはぴったりな環境じゃないかなと思っています。
井上さん:「考えること」を主業務にしているデザイン組織は、今の日本にはあまりいないと思っています。我々の部署は「ものを作る」ための部署ではなく、「考えた結果、ものを作ることもあるかもしれません」というスタンスです。デザインに対して真摯に向き合える環境を用意しているので、デザイナーの在り方に対して疑問を持っている方にぴったりだと思います。ぜひ、興味のある方は一緒に働きましょう。
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この記事を書いた人

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