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複雑な社会課題に、複雑なまま向き合う。CDOの肩書きを捨てエス・エム・エスを選んだ理由 

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インタビュー

2026/9/30

複雑な社会課題に、複雑なまま向き合う。CDOの肩書きを捨てエス・エム・エスを選んだ理由 

「介護・医療分野でのキャリア支援を手掛ける企業」。株式会社エス・エム・エスに対して、そんなイメージを持っているデザイナーも少なくないのではないでしょうか。

しかし、実際に同社が展開するサービスは40以上あります。キャリア支援だけでなく、介護/障害福祉事業者向けSaaS「カイポケ」、障害福祉領域の「かべなし」をはじめ、ヘルスケア、シニアライフまで。連結従業員数は4,660名(2026年3月31日時点)、東証プライム市場に上場する企業グループです。さらに現在、労働集約型のビジネスモデルから、AIとデータを徹底活用した資本集約型へと大きな転換を進めており、同時にデザインのあり方も変わろうとしています。

その変化のさなか、2026年7月に入社されたのが、複数社で執行役員CDOを務めてきた篠原健さんです。ただしエス・エム・エスでは「CDO」という肩書きは敢えて持たず、「自ら課題を見つけ、解決から実行までを担う」というミッションのもと入社されました。

新しい挑戦に向き合う篠原さんに、入社から約3ヶ月というタイミングで、エス・エム・エスのデザインの現在地を伺いました。

篠原 健(Takeshi Shinohara)| 株式会社エス・エム・エス
映画製作会社を経て、株式会社博報堂i-studio、株式会社McCann Erickson Japanで映像・デジタル・紙媒体の企画からアートディレクションまでを手がける。2012年に株式会社ドリコムへ入社し、クリエイティブ領域の執行役員に就任。その後、株式会社キュービックの執行役員CDOなど複数社でデザイン経営を推進し、株式会社マイベストではデザイン部長を務める。2026年7月、株式会社エス・エム・エスに入社。全社のデザイン組織設計とコーポレートブランドを担う。(2026年9月時点)

社会課題を解決したかった

──篠原さんは複数社でCDOを務めてこられました。なぜ新天地にエス・エム・エスを選んだのでしょうか。

篠原さん: 業界というより、社会課題を解決したいという気持ちがずっとありました。東日本大震災のときに、ものすごく無力感を覚えたんです。自分のデザインの力で何かやれないかなと、そこからずっと思っていて。 

広告代理店やそのグループでクライアントワークを経験したあとは、ずっと事業会社です。事業会社なら、自分たちで課題を見つけて、どう解決するかを考えて動ける。そのほうが、自分の解きたい課題と社会の課題が重なり合うかもしれない。転職のたびに、そういった環境を選び続けてきました。

今回、たまたまその機会をいただけて、知れば知るほど自分のやりたいことに近いと感じました。エス・エム・エスは、社会課題をただ扱うのではなく、事業を通じて社会をより良くしようとしている会社で、そこが自分のやりたいことと重なったんだと思います。

それに、面談で会う方々が、考えるのが好きな人だったことも大きいですね。エス・エム・エスが何をやるべきなのか、どうすれば社会に価値を届けられるのかを、それぞれの立場から考え抜いているというのが印象的でした。話していて普通に楽しくて、この人たちと自分のやりたいドメインを一緒にできたら楽しいだろうな、と思いました。

──入社の前と後で、会社の解像度はどう変わりましたか。

篠原さん: 入る前は、扱っている領域や人材紹介をやっていることなど、事業についてはもちろん理解していました。でも、そこにどういう思想があって、どのくらいの幅で何をやっているのかは、正直分かりにくかったんです。

入ってみて分かったのは、エス・エム・エスが高齢社会を起点に、その先にある人口減少まで見据えているということです。少子高齢化によって労働力がどんどん減っていくなかで、そこに解決策を見出そうとしている。そうした思想があって、そのために何をするべきかもしっかり考えている会社だなと思います。

また、なぜ外から分かりにくかったのかも、入ってみて見えてきました。一般に、複雑なものはシンプルにするのがよし、という思想がありますよね。でもエス・エム・エスという会社は、複雑なものを複雑なまま捉える会社なのかなと感じています。シンプルで分かりやすいものに安直に変換せずに、一度きちんと複雑さを受け止める力がある。そのぶん、外に伝わりにくいのかもしれないです。

──その「複雑なまま捉える」を、具体的にイメージできる例はありますか。

篠原さん: 思考の面と、事業の面の両方にあると思っています。

まず思考の面でいうと、たとえば「介護ロボットは今後普及するのか」という問いがあったとします。一般的には「これからは介護ロボットだ」と一つの未来にベットして、あえて答えを絞って走る選択をすることが多いですよね。でもエス・エム・エスは、普及する未来、普及に至らない未来、領域によって普及と難航が同時に起こる未来といった、複数のあり得る未来に対して選択肢を閉じずに、進みながら考えるんです。変数をあえて固定すれば、割り切りによるスピードは生まれます。ただこの会社には、変数を変数のまま思考することを良しとする文化がある。そこが特徴的だと感じています。

事業の面でも同じです。介護や医療の領域は、施設の方々がいて、その先にサービスを利用される方々がいて、国とのやり取りも発生する。ステークホルダーが非常に多く、その複雑さのために、手掛ける企業も決して多いとはいえない領域です。

また、たとえば介護保険制度では、提供したサービスの内容ごとに介護報酬の単位数が細かく決まっています。その費用を、利用者の自己負担分と、介護保険から給付される分に分けて処理しなければいけない。事業者の方々は、利用者に向き合いながらこの難解な実務を日々こなしているんです。

その複雑さをきちんと理解したうえで、事業者の皆さんが使いやすく、少しでも時間を空けられる状態にできないか。介護報酬などの制度という「複雑なもの」は、一企業が勝手にシンプルなルールに変えることはできません。制度をシンプルにできないからこそ、その複雑さを我々が丸ごと理解してシステム側で引き受ける。その複雑さに、あえて向き合っている会社だと見えています。

※編集部注:介護保険制度では、提供したサービスの内容ごとに単位数が定められており、利用者の自己負担分を除く費用は介護保険から給付されます。

──それらを踏まえて、いま向き合っていることをデザイナーに一言で説明するとしたらいかがでしょう。

篠原さん: 会社を分かりやすくすること、そしてそれを実現するための基盤づくり、この2つですね。

複雑なものを複雑なまま扱うのは、この会社の強みです。ただ、いまの規模になっている以上、社会的な影響力もある。複雑なものを、きちんと分かりやすくしていくことが必要なフェーズではないでしょうか。そこを泥臭くやっていくのが、僕の役割だと思っています。

そのためには、まずエス・エム・エスが外からどう見えているのかを知ることが大事になります。いま、事業者の方々へインタビューをしていて、すでに10社以上のお話を伺っていますが、皆さん口を揃えて「エス・エム・エスの人は誠実だ」とおっしゃるんですよ。向き合ってくれる、何かあったら相談に乗ってくれる、と。

「誠実」は、エス・エム・エスのバリューにも人材理念にも入っている言葉です。つまり、社内にある思想が、ちゃんとそのまま外の方にも伝わっている。僕はまさしくこれがブランドだと思っていて、じゃあそれをより分かりやすくしたいよね、ということが、いちばんやりたいことですね。

役職をもたないデザイナーが、大企業で成果を上げるための土台づくり

──そういった役割やミッションは、当初から明確に決まっていたのですか。

篠原さん: いえ、もう全然決まっていなくて、ミッションフリーみたいな感じで入ったんですよ。会社からは「課題を見つけるところからはじめてほしい」と言われていました。だから入社時に特定の肩書きをつけるのではなく、「自ら社内の課題を見つけ、必要に応じて解決から実行までを担う」というスタンスで動いています。特定の事業部ではなく、会社全体のデザイナーとして入ったという感覚ですね。いまは全社を見つつ、現場感を掴むためにまずキャリア事業に深く入っています。

あらかじめ決まった枠組みの中で手を動かすのではなく、何が本質的な課題かを発見し、解決していく。これこそが、デザイナーとして本来あるべき一番正しい姿だと思うんですよ。

役職がないとトップダウンで進められず、「自分は何者か」から説明して共感を得る難しさも生じます。ですが、それ以上に大きなメリットを感じています。 肩書きがないからこそ現場とフラットに対話でき、組織のリアルな課題を引き出せます。 周囲もポジティブに受け入れてくれるため、このスタイル自体を後悔したことはありません。

──社員数4,660名という規模の、大きい会社ならではの難しさがあると思います。事業に入り込んでいくうえで、具体的にどんな工夫をされましたか?

篠原さん: 正直な話、そこが一番大変なところですね。

たとえば、介護/障害福祉事業者向けSaaSの「カイポケ」には2日間の手厚いオフライン研修があって一気に解像度を上げられたのですが、僕がメインで関わっているキャリア事業にはサービスも多く、まとまった研修はありません。そのため、大量の資料を自分に投げ込んでもらってひたすら読み込み、別の打ち合わせのときにPdMの方へ「この認識で合っていますか」と確認しながら、少しずつ事業理解を深めている状態です。

また、いまは「ウェルミージョブ」というサービスに特化して入らせてもらっていて、UX改善などを始めたばかりですが、そこで改めて思うのは、上流の仕事ばかりやっていてはダメだということ。現場に入って見ていかないと、事業のリアルな手触りや、ユーザーが抱える本当の課題は見えてこないんですよね。

だから、変わらず大事にしようと決めているのが、人の話を聞く量です。インタビューに費やす時間は、これまで以上かもしれません。どんなに会社の資料を読んでも、勉強会に出ても、分からないことはやっぱりある。一次情報は、当事者に会って話を聞くことでしか分からないと思っています。

デザイナーは40名以上。それでも、デザインが資産になっていない

──デザイン組織はどういった構成になっていますか?

篠原さん: まず人数としては、業務委託の方を含めると40名を超えている大規模な組織となっています。事業規模や売上として、エス・エム・エスの中で一番大きな割合を占めているのがキャリア事業で、それに次いで「カイポケ」や「かべなしクラウド」といったSaaS事業があります。デザイナーの大半が、このキャリア事業とSaaS事業という2つの領域にアサインされている状態です。

──入る前と後で印象は変わりましたか。

篠原さん: 想像以上に事業ドリブンで、それぞれの事業が独立して動いている組織だと感じました。事業会社なので当然でもあるし、それ自体はいいことだと思います。

一方で、デザイナーも事業ごとに配置されていて、それぞれの中で独自の文化が育っています。たとえばキャリア事業と「カイポケ」では、同じプロダクトデザインでも組織が別で、業務プロセスも事業部との関わり方も異なります。コミュニケーションデザインも同様です。

その結果、デザイナーがオーナーシップを取って課題を解決できている部署もあれば、そこまでやれていない部署もある。同じ会社なのに、働く場所によって前提条件が変わってしまうんです。優秀なデザイナーがいるのは大きな強みなのに、それが会社全体の資産になっていない。そこがもったいないと思いました。

──「デザインが資産になっていない」と感じているとのことですが、デザインが資産になっている状態とは、どういう状態でしょうか。

篠原さん: 資産と呼べるものは、リソースとナレッジと予算・ツールなどの共通基盤の3つ だと思っています。

まずリソースについてですが、40名以上いるデザイナーを最大限に活かし、適材適所の配置で成長機会を提供できているか。仕事はCanだけでなく、その人のWillにも合っていたほうがより伸びていくものですが、現状は 「誰がどんなスキルやキャリア志向を持っているのか」という情報が可視化されていない んですよね。

ナレッジに関しては属人化してしまっているものがたくさんあります。AIの活用法やデザインシステムの管理手法、仕事の進め方に加え、個人の業務経験そのものも同様です。 その経験や知識を、どう他の人に渡していくのか。 ここがきちんと資産にできていないと思っています。

また予算・ツールなどの共通基盤の観点では、たとえばデザインツールのライセンスが、会社ではなく事業部ごとの契約になっている点。事業部の中で完結していれば問題なかったのですが、僕のように横断的にいろいろな場所のデザインデータを見る人間が出てくると、契約が違うので都度対応が求められます。リサーチについても、以前は事業部ごとの判断に委ねられていた部分があり、進め方や環境に違いがありました。現在は横断でのプロダクト推進も進み、そうした環境は変わりつつあります。働く事業部ごとに前提条件が変わってしまう、というのはこういった点であらわれてきます。この3つを、一定の期間をかけて、きちんと資産として使える状態にしていきたいと考えています。


「誰が何を知っているか」まで含めて、デザインを会社の資産にしていく 

集めたいのは、人ではなく情報。横断組織という第一形態

──デザインを資産化していくために、具体的にどのようなアプローチを取るのでしょうか。

篠原さん: その打ち手として構想しているのが、 「デザイン戦略を担う横断組織」 です。ただ、これは第一形態で、あくまで一時的な器のようなものだと考えています。

ここには各事業部に分かれているデザインマネージャーや伸ばしたい領域、UXやAI、人事の専門家などを中心に集まってもらう予定ですが、マネージャーという役職を集約したいわけではなく、やりたかったのは 「情報の集約」 。 さきほどのリソースやナレッジを、まず集めたかったんです。それを一番持っているのがマネージャーだから、結果としてマネージャーの多い集まりになっているということです。

そうした意図から、UXデザイナーの方から、人事の方までアサインしています。採用と育成は密接につながるため、人事の方に入っていただき、現場と人事側で双方向に情報を共有してもらっています。このように、各領域において 「生きた情報を持っている代表者」を集結 させたのが、今回の横断組織です。

一方で、事業単位での縦軸の構造そのものは壊さないつもりです。先に伝えた通り、事業ドリブンであることや、事業の中で何をしたいかという意志で進んでいくのは、すごくいいことだと思っているので。それに加えて横軸を通せば、事業部ごとの差や、もったいなさは緩和されるんじゃないか、という考え方です。

──篠原さんの構想に対して、事業部側からの反応はどうでしたか?

篠原さん: もちろん懸念もありました。「横断組織をつくることによるアウトカムは何になるのか?」といった問いも投げかけていただきました。僕は、事業の成長とコスト構造の変革だと答えました。

制作物をAIで効率化して、デザイナーがもっと上流にも入っていければ、プロダクトの価値を増やせるだけでなく、PdMの負担を減らせた分、事業成長に使えるリソースが増えます。また、これまで採用でカバーしていたところが、仕組み化や育成でまかなえるようになれば、単純に採用コストが浮きますよね。デザイナーが前に出られる状態をつくることで、コスト構造も変わってきます。

──まず何から手掛けていくのでしょうか。

篠原さん: 最初は、どういう方針で人を採用するのか「エス・エム・エスにとって必要なデザイナー像」を再度言語化し、採用や育成のベースを整えていきたいです。 

それから、AIの普及を見据えた役割の変化もテーマです。今後AIによって制作業務が効率化されるほど、デザイナーには「何をつくるか」よりも「何を解くべきか」を見つける力が重要になります。一次情報を集めて、そこから課題を見つけ、抽象度の高いものを具体に落とす。そこはデザイナーが強みを発揮できるところです。AIによって生まれた時間を、そうした仕事に振り向けていきたいと思っています。

もう一つは、コーポレートブランドを横で担当する人がいないことです。冒頭でお話しした「誠実さが外にも伝わっている」という状態を、どう分かりやすく、一貫した表現にしていくか。これは本来、腰を据えて取り組むべきテーマです。

いまは一応、僕が担当なのですが、組織基盤の構築や各事業への入り込みと並行しているため、十分な時間を割けていません。実際、名刺やIR資料といった身近なところですら更新の手が回りきっていない状態で、その手前にやるべきことが山ほどある。だからこそ、専任の人を置いたほうがいいと思っています。

──横断組織立ち上げによるアウトカムに対する問いもあったとのこと。社内の合意形成はどのように行っていったのでしょうか。

篠原さん: 構想資料をつくっては経営陣や現場のメンバーに意見を聞き、修正してはまた意見をもらう、というプロセスを繰り返しました。一定の形になったらステークホルダーの皆さんに意見を聞いて、現場で一緒にやる方々にもフィードバックをもらって、また繰り返す。もう本当にデザインそのものですよね。

実は、進め方そのものも今回変えているんです。これまでは発散しながら収束していたんですが、いまは発散のまま一度受け止めて、整理してから収束する。まずは皆さんの思っていることを、複雑なまま出してもらう。それをどう整理するかを考える。「複雑なものを複雑なまま」という会社の思想に、自分も乗ってみようと思ったんです。 

また、ここまで多くのステークホルダーと話して組織をつくるのは、実は初めてです。以前はCDOという立場があって、その人が組織をつくるという前提がありました。しかし今回は役職がない中で、自分でミッションを設定して動いているため、周囲から見れば「何者でもない人」からのスタートになります。だから力技では動かせないし、いろいろな人と話をして、共感してもらう必要があります。僕にとっては、現場の方も、代表を含めたステークホルダーも、重要度は同じです。一緒にやる方が共感してくれなければ動かないし、会社として認めてもらえなければ実行もできない。

多くのステークホルダーが、この取り組みを進める方向については合意してくれています。この会社のすごくいいところは、起きそうな論点を徹底的に深掘りしてくれること。また論点を出すだけでなく、自分事として具体的な解決策まで踏み込んだ提案をくれることもあるため、話すたびに構想が磨かれていくんです。頭ごなしの否定はなく、組織を良くするための建設的な議論になっていると感じます。 

──横断組織化によって組織の変革が進み、デザインの「資産化」が実現した先には、どのような展望を描いているのでしょうか。

篠原さん: リソースとナレッジとコストが、きちんと資産として使われる状態になるのであれば、横断組織はなくしてもいいと思っているんです。

横断組織がなくても各事業で回るようになるとか、別の形で横がつながる状態になるとか、そうできるならその形に切り替えていきます。いわゆるデザイン部をつくって統合するというより、もう少し新しい形になるんじゃないか、そのほうが現代的なのかなと思っています。 

そして、いまいるメンバーが自らオーナーシップを持って一次情報を取りに行き、課題を設定して解決できるようになっている、そのための組織基盤も整っている状態を目指しています。そこまでできれば、横断組織の役割も変わってくると思います。

仕組みをガチガチにして、みんなが思考停止に陥るような状態にはしたくありません。あくまで主役はメンバー一人ひとりです。みんながミッションフリーな環境で、自らミッションを見つけて動いていける組織にしていきたいですね。

全部がある会社だから、自分でミッションを見つけられる

──この変化において、どんな方と一緒に働きたいですか?

篠原さん: いま僕は会社全体に目線を向けているので、会社全体を一緒に動かしていける人ですね。僕一人でできることには限界があるので、プロダクトなどの単位ではなく、会社の変革や構造の変化までを一緒に考えられる人と働きたいです。デザインがどういう価値を出せるかはまだ模索していますが、その価値を一緒に作っていきたいです。

決して、何でもできる人になってほしいわけではありません。組織が大きいからこそ、一人で全てを担う必要はなく、それぞれの「Will」に特化して挑戦できる余地があるんです。エス・エム・エスにはSaaSプロダクト、マーケティングやブランドなど、さまざまなデザイン領域があります。UXを極めたい人にも、コミュニケーションデザインを伸ばしたい人にも、それぞれが輝けるポジションが必ずあります。 

日本のデジタルデザインの世界は、中小企業やスタートアップが中心です。大きい企業でこれだけ幅広い領域にデザインで関われる環境は、まだ限られている。それなのに、エス・エム・エスにはまだまだ開拓の余地があります。複雑さやステークホルダーの多さをきちんとくぐり抜けて成し遂げたときの手触りは、ものすごく大きいはずです。

──最後に、この記事を読んで興味を持ったデザイナーにメッセージをお願いします。

篠原さん: 最近、デザイナーを取り巻く環境について、閉塞感のようなものが語られることがありますよね。その感覚自体は、僕もよく分かります。ただ、それはデザイナーという職能の限界ではなく、置かれている環境や時間軸の問題なんじゃないかと思っていて。

実際、僕自身はいま、そういう感覚をあまり持っていません。エス・エム・エスが、短期の指標だけでデザインを測ろうとしない会社だ、というのも大きいと思います。もちろん短期的な成果も大事なんですが、それは中長期の視点や、未来に向けた仕込みがあってこそのもの。種をきちんと仕込めていないと、いずれ閉塞するよね、という思想があるんです。デザインの本当の価値は、少し長い時間軸で見たほうが発揮しやすい。それを許容してくれる環境に身を置けたことで、僕の見え方も変わったのだと思います。

だから伝えたいのは、デザイナーが発揮できる価値の幅は、皆さんが思っているよりずっと広いはずだ、ということです。UIの改善もあれば、組織や事業の構造に踏み込む仕事もある。どこでそれを発揮するかも含めて、可能性は一人ひとりにあると思っています。

僕はそれをエス・エム・エスで実証したいと思っていますし、採用でも、枠を埋めるためではなく、その人が加わったら事業や会社がどう変わるのかという視点で、ポジションをつくったり、組み合わせたりしています。可能性を限定せず、まずはいろいろな方にお会いしてみたい。その挑戦を一緒にしたいと思ってくれる方と働けたら、うれしいですね。


「第一形態」と語るエス・エム・エスのデザイン組織。未来をいきいきと語る篠原さんの姿が印象的でした。これからの進化が楽しみです。 



編集部より

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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この記事を書いた人

ReDesigner

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