
丸井グループとGoodpatchのジョイントベンチャー(以下:JV)として2022年4月に誕生した「株式会社Muture(ミューチュア)」(以下:Muture)。日本を代表する大手小売・金融企業とデザイン会社のJVは、これまでに類を見ない新しい挑戦です。Mutureのミッションは、丸井グループのDXをプロダクト開発やシステム導入、人材育成などあらゆる面からデザインすること。立ち上げてからまだ1年ですが、すでに丸井グループ代表執行役員 CEOの青井浩氏と膝を突き合わせて会話するなど、深く組織課題を解決する座組みが生まれています。しかし、Mutureは目標達成のまだ一歩目。これからどんどんと取り組みを発展させていく予定です。
インハウスデザイナーとも、デザインパートナーとも異なるJVのデザイナーとして働く魅力とはどこにあるのか。Goodpatchから執行役員として参画した莇さんと米永さんに、お話を伺いました。
莇 大介(Daisuke Azami)|執行役員
Webディレクター・クリエイティブディレクターとして制作会社で10年以上の経験を積んだのち、メディア領域での事業支援にも取り組み、複数のWebメディアの立ち上げ、運営に携わる。GoodpatchではUXデザイナーとして新規事業の立ち上げやテック系のグロース案件などを担当。アプリ開発、SaaS開発などの現場で大企業からスタートアップまでさまざまな企業を支援。2022年4月より株式会社Muture執行役員に就任。主にPJでのUX・PdM領域とMutureの組織構築・経営企画を担当。
米永 さら沙(Sarasa Yonenaga)|執行役員
デジタルプロモーションを主軸にした制作会社でデザイナーとして従事。2017年にGoodpatchに入社。UIデザイナーとして新規サービスの立ち上げを複数担当したのち、BXデザイナーとしてビジョン・ミッション・バリュー策定、ブランド構築、カルチャー醸成支援などコーポレート・インナーブランディングを複数支援。2022年4月より株式会社Mutureに執行役員に就任。主にPJでのUIデザイン・ブランディングとMutureでの採用・PR・BXを担当。
米永さん:私たちの事業ミッションは、丸井グループ(以下、丸井G)のDX支援という命題のもと、事業に入り込み組織に伴走し、丸井G社員にデジタルプロダクト開発のノウハウをインストールしながら事業を推進していくことです。プロダクトの改善だけでなく「社会インパクトの大きい大企業が組織構造の負にとらわれず、良いプロダクトを生み出し続ける」ことが当たり前になることを目指し、大企業の組織改革という難易度の高いテーマにも挑戦しています。
DXの推進というと、デジタル技術の活用によるビジネス変革や業務オペレーションのデジタル化を想像されると思います。Mutureでは人のマインドセットから関わり、事業内部で伴走することにより人材のDXに関われるのが特徴です。
現在は、エポスカード会員向けの「ライフスタイルアプリ」と、マルイのリアル店舗出店サービス「OMEMIE(おめみえ)」のオンラインプラットフォームのUI/UXデザインなどに取り組みつつ、プロダクトだけでなく組織そのもののデザインに伴走しています。

莇さん:もともとGoodpatchは2021年から丸井Gの組織課題に向き合う共創パートナーとして、DX推進に取り組んでいました。しかし、共創を進める上で二つの課題に直面しました。一つ目が、外部パートナーという立ち位置で新しい仕組みや制度を構築したとしても、丸井Gの中にはデジタル人材が不足しており、内部で運用が難しいこと。ゆえに、外部からDX人材を大量に採用したとしてもマネジメントの課題が残ってしまうということ。
二つ目は、外部パートナーに全部任せてしまっては、社内にナレッジがたまらないこと。そこで、第三者的に関われる余白を作りつつ、社内でもナレッジがたまって自走できる組織になるようにJVという形をとることにしたんです。
莇さん:これまで自分が経験したことのない挑戦に取り組みながら、社会に対して良い影響を与えられると思ったからです。Mutureの話をいただいたのは、GoodpatchでUXデザイナーとしてある程度の経験を積ませていただいてきて、ちょうど新しい挑戦を探していた時でした。
丸井Gほどの企業規模のDXが難しくないわけがない。誰にでもチャンスが巡ってくることでもないだろうと思い、二つ返事で「やりたいです」と答えました。
米永さん:理由は二つあって、一つ目は、もっと組織の中に入り込んで当事者として、組織をデザインしていきたいと思ったこと。これまで、外部パートナーとしてさまざまなクライアントに伴走しましたが、やはり外部という立ち位置では自分の関われる範囲に限界があると感じていました。
もう一つは、デザイナーが大企業で働くロールモデルの一人になれたらと思ったことです。正直、スタートアップでずっと働いてきた私にとって、丸井Gのような歴史ある大企業でデザイナーとして働くことに関して、どうしてもネガティブなバイアスがかかってしまう部分がありました。しかし、スタートアップもいつかは大企業になります。そうした時に、デザイナーがいつもスタートアップに流れてしまい、大企業の事業にデザインの力が行き届かない、という状況になるのは避けるべきだと思ったんです。自分がMutureでやったことをケーススタディとして発信できたら、その流れを断ち切る一助になるんじゃないか。そう思って参画を決めました。
莇さん:第三者的なフラットな立場でありながら、当事者として組織づくりに深く関われることです。
莇さん:直近だと、組織の体制変更に伴うコミュニケーションのデザインです。
大企業の体制変更は、基本的にトップダウンで行われます。それにはいろいろな合理的な理由があると思いますが、合理性だけに偏ったコミュニケーションですと現場の方が新しいミッションを自分ごと化しづらいという問題があります。自分ごと化できなければ、それはモチベーションの低下にもつながってしまう。
そのような状況に陥らないように、現場のメンバーが安心して働けるためのデザインを課長や部長、本部長クラスの方と行いました。この時にただコミュニケーション設計のサポートをするだけではなく、リーダーとしてのマインドセットに関するセッションなども行いました。
結果として、リーダーの方が一人ひとりに向けたメッセージを用意し、なぜその役割を担ってほしいのかを丁寧にお伝えするというコミュニケーションが生まれたんです。素晴らしいリーダーシップだと感動しました。

莇さん:そうですね。実は、初めてのプロジェクトの時から、フラットな関係づくりは意識してきたことなんです。
DXを進める上では、柔軟性の高いチームづくりは欠かせません。しかし、丸井Gにとってそうしたチームづくりは慣れ親しんだものではありません。そこで、Mutureと関わるプロジェクトではこれまでのコミュニケーションとはルールを大幅に変えることに挑戦したい、ということを始めにお伝えしたんです。そこからチームでデザインスプリントを回す感覚を養うための取り組みをしたり、メンバー内のコミュニケーションを増やすために毎週の1 on 1の設計や伴走をしました。
僕らが恵まれていたのは、最初に取り組んだ丸井Gのチームの方々が非常に柔軟な思考を持っていて、新しい挑戦にも前向きだったこと。なので、ワンチームでプロジェクトを進めることができました。
最初のプロジェクトがうまく走り始めたおかげで、徐々にMutureの価値を認識いただけるようになってきました。日を追うごとに関わらせていただく方も増えてきており、丸井Gの中で少しづつMutureの価値が広まりつつあると感じています。
米永さん:Mutureはまだ創設して1年。なので、創設の時につくった夢・志・是をベースに文化を定着させたいと思っています。夢・志・是とは、一般的なミッション、ビジョン、バリューとして表現されるものに近いです。
米永さん:夢は「相利共生の未来の実現」です。この言葉は、元々生物学の用語で、異なる生物種が同所的に生活することで、互いに利益を得る共生関係のことです。互いに依存せず、ただ共にいるだけで、すこやかな関係でいられる。互いが異なる姿・カタチをしていても相思相敬し、共生していける。そういった世界や関係を作りたいと思っています。
私たちは一見すると、大企業とスタートアップ。リアルとデジタルのように異なる存在です。だからこそ、共創によって今までにない価値を生み出せると思っており、「相利共生」という言葉を選びました。ちなみにMutureという社名も、未来を表すFutureと相利共生を表すMutualismという言葉の組み合わせで生まれています。
志には「多彩な価値観が共生する仕組みを実現する」という言葉を。是には「均衡」、「包摂」、「循環」の三つの言葉を掲げています。これらは相利共生の未来を実現するためのものです。


米永さん:そうですね。創業の4か月前に初めて立ち上げメンバー全員が顔を合わせたのですが、その時から事業計画やDXの実現も大事だけど、ビジョンやミッションも同じくらい大事だよね、という話をしていました。元々与えられていた丸井GのDX推進という期待はありつつ、自分たちの会社だから、ちゃんと自分たちの言葉で思想を定義したいと思い、創業までの4か月でつくり込みました。
米永さん:採用フローの設計は、夢・志・是を大切にした事例の一つです。とにかく一方通行のコミュニケーションにならないように具体的な行動を設定しました。
例えば、「参加した面接担当全員からお礼と感想、次回お話ししたいことをお送りする」。「最終面接までにボードメンバー5人が必ず1度は担当するようにアレンジする」。「面接後、求職者が欲しい情報が得られたかどうかMutureにFBをもらう仕組みを取り入れる」などです。
これが完成系では無いので、今後も採用フローやオンボーディング体験含めて「相手を思い、相手を敬う」採用体験になっているかを意識したいと思っています。
また、創業時からPX(People Experience)を経営アジェンダとして置き、働く人・環境をよりよくする取り組みを重視して経営をしています。
米永さん: 2022年度は丸井Gの皆さんからの信頼を獲得するフェーズだったので、2023年度から世の中にしっかりアウトプットを出していきたいですね。今以上に組織コミュニケーションを円滑にしたり、スピードも加速させたいと思っています。

米永さん:専門性の発揮と組織伴走のバランスをうまく取ることですね。ある程度はこちらで手を動かして推進するけど、あくまでも事業の主体は丸井Gの方々です。巻き取ってしまったら外部に委託するのと変わりません。長期的には丸井Gの方々が専門人材とうまく共創して良いプロダクトを自分達で作れるように、デザイン的な思考をうまくインストールしながらスピード感もって物事をすすめていくことが挑戦領域です。
莇さん:それに伴って、マネジメントに関する課題が発生するだろうと思っています。人数が増える中で、どのスペシャリティを持つ人をどのように配置するのかが、キモになると思っています。
米永さん:二つタイプがあると思っていて、一つは、私のように外部からの組織変革に限界を感じ、内部から事業を変えていくことに本質的な価値を感じている人。もう一つは、クライアントワークと事業会社、どちらも経験したことがあり、どちらの立場でも解決できなかったことに挑戦したいと思っている人。実際今いるメンバーもこうした考えを持っている人が多いです。
また、「大企業を変えていくのだ」と強い意志を持てるかは重要なポイントだと思います。面接でも、その点は丁寧にお伝えしています。私たちはただプロダクトをつくるのではなく、組織伴走をしっかりやっていく会社。泥臭い部分もたくさんあるし、大変な壁もたくさんありますから。なのでそれを面白がったり、あえて挑戦したいんだと思う方にとっては、すごくやりがいのある環境だと思います。
莇さん:組織経営にデザイナーが関わっていくって、あまりイメージがつかないと思います。でも、実はデザイナーって経営者の伴走にとても向いてるんだと、Mutureでの活動で思うようになったんです。
柔軟性の高い組織に生まれ変わるためには、現場で起きている個別事象を理解しながら新しいルールや仕組みをつくる必要があります。しかし、経営者は普段、社外取締役や他の経営者、株主と話すことが多いため、高い抽象度で物事を捉えることが多い。ただ、抽象度が高いまま、現場を変えようとすると、絶対にハレーションが起きます。そこで、私たちの出番です。Mutureのデザイナーは現場の意見を吸い上げつつ、経営層とも対話を重ねています。経営層の解像度が上がり切っていない情報に対して、現場の意見を橋渡しすることで、コミュニケーションミスを抑えることができる。具体と抽象を行き来するのは、デザイナーの得意分野ですから。これは、プロダクト開発やミッションづくりなどデザイナーが当たり前にやっていることなんですよ。だから、これまで経営の伴走をしたことないというデザイナーの方でも活躍できる可能性があると思います。
米永さん:私もデザイナーが経営の伴走者になることは、大きい会社であるほど本当に必要だと思っています。ただデザイナーを大量に採用するとか、現場の人に伴走するだけでは、組織は本質的には変わりません。トップがデザイン的な視点で物事を考えられるようになる必要がある。その上流の変革に携われるのが、Mutureの魅力だと思っています。
莇さん:加えていうなら、大企業が相手というところもデザイナーが活躍できるポイントだと思っています。日本の大企業は、持続的に成長し続けるための堅牢な構造をつくるのは得意です。でも、そうした構造は守りには強いけど、革新的な変化にはつながりにくい。今の状況を維持するために、本質からずれた方向に向かってしまうこともしばしば。そこに対して、デザイナーって無邪気に問える力がある。「それ、おかしくないですか?」って。そういう側面から見ても、デザイナーは企業を変えていける力を持っていると思うんです。
いろいろと話しましたが、Mutureに来れば確実におもしろいキャリアをつくっていけます。また、経営レイヤーでのお話が多かったですが、もちろん現場のメンバーと一緒になって、プロダクトのUIやUXをつくっていくこともたくさんあります。特に丸井Gはフィンテック事業と小売事業という大きな柱を組み合わせてビジネスを作って行くことが出来るため、特にOMOの領域で様々なチャレンジをしながら社会に新たな価値を提供することができると思っています。興味のある方はぜひ一緒に働きましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
Mutureに興味を持たれた方へ
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◆UXデザイナー
また、今回の記事を通して、より深くMutureのことが知りたいと思った方は是非Muture公式アカウントをチェックしてみてください!
◆Twitter: @MutureCorp
◆note:Muture|note
◆Website:muture.jp
◆Podcast: μTUNE
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