
「プロダクトや組織が整った成熟した企業」。お金まわりの領域でトップランナーとして知られるマネーフォワードは、安定した企業イメージを持たれることが少なくありません。しかし現場では、日々の意思決定やプロダクト改善が連続する「進化の真っ最中」。事業拡大とともにプロダクト数は50を超え、フェーズもチームの特性も多様化しています。変わり続ける環境で、どんなデザイナーが求められているのでしょうか。
今回はビジネスカンパニーでデザイン組織を率いる、横坂圭佑さんと松村道夫さんにプロダクトのデザイン現場についてお話を伺いました。
横坂 圭佑(Keisuke Yokosaka)|ビジネスカンパニー デザイン室 室長
制作会社でのWebデザインからキャリアをスタート。2009年より事業会社に転身しゲーム、コミック、エンタメ領域から、BtoBのITインフラやECシステムまで幅広いサービスや事業でデザインに携わる。
2019年にマネーフォワードへ入社後、BtoB部門にてデザイン組織の立ち上げを経験。現在はビジネスカンパニーのデザイン組織全体の責任者として、組織の方針設計や評価制度の整備、メンバーのマネジメント、PdMやエンジニアなど他職能との連携強化を担う。
松村 道夫(Michio Matsumura)|ビジネスカンパニー デザイン室 マネージャー
受託制作会社でデザイナーとしてキャリアをスタート。その後、株式会社MIXIでデザイン部門の責任者、株式会社リクルートでゼクシィ、Airの担当を経て、HR領域のPdM組織の責任者(執行役員)及びリクルート横断でデザイン組織の責任者を担う。株式会社LITALICOでCPO(執行役員)を歴任。デザインとプロダクトマネジメントの両領域で組織を統括してきた。
2024年にマネーフォワードへ入社し、現在はビジネスカンパニーのデザイン室マネージャーとして主にERP/HR領域のデザイン組織を担当。各プロダクトに関わるデザイナーの育成・支援、全体のスキルバランスや配置の最適化に取り組む。これまでのPdM経験を活かし、プロダクトとデザインの橋渡し役も担っている。
横坂さん:デザイナーとして18年間、制作会社や事業会社でキャリアを積んできました。私が転職を考えた2019年当時、デザイン組織を内製するベンチャーは増えていましたが、デザイナーが事業の根幹から伴走する文化を持つ会社はまだ少なかったと思います。
そんな中、マネーフォワードは「デザインへの信頼が厚く、事業に伴走できる稀有な会社」だと感じました。当時はCDOという役職こそなかったものの、“プロダクトを一緒につくっていく”という強い姿勢はありました。その文化に惹かれ、「ここなら本質的な事業貢献ができる」と感じ、入社を決めました。
松村さん:外から見てマネーフォワードは「デザインと事業、両方の視点で組織の成長に貢献できる、貴重な環境」だと感じていました。
これまでのキャリアは、受託制作会社からMIXIやリクルート、LITALICOといった事業会社を経験し、デザイナーを起点にプロダクトマネジメント、組織づくりへとキャリアを広げてきました。その経験があるからこそ、デザイン視点で事業をより良くすることに本気で取り組めるマネーフォワードの環境が、非常に魅力的に映ったのです。
私の持つデザイナー、そしてプロダクトマネジメントや組織づくりの経験、そのすべてを活かしてデザイン組織をさらに強くしていく挑戦に関われる。そう期待して、2024年5月に入社を決めました。
横坂さん:そうですね。BtoB/BtoC問わず、請求書・経費精算・確定申告といった業務支援から、個人向けの家計管理サービスまで多岐にわたって事業を展開しています。現在、グループ全社で提供しているプロダクト数は60を超えていて、それに伴い関わるデザイナーの役割や関与する領域も広がっています。
外から見ると「すでに完成された企業」という印象を持たれることも多いですが、実際には、組織もプロダクトも変化を続けているフェーズです。現在、グループ全体で120名を超えるデザイナーが在籍しており、さらに増員が必要な状況です。

横坂さん:ここ数年の事業拡大スピードはすさまじいものがありまして。私が入社した2019年当時、従業員数は約500名だったと記憶しています。今は2500名を超えています。人が増えるだけでなく、事業やプロダクトの数も加速度的に増えています。
松村さん:これだけサービスが動いていると「決まったことをやるだけで、大きな挑戦ができないのでは?」と聞かれますが、そんなことはありません。
もちろん、ルールや仕組みが整っている部分もあります。ただ、「やるべきこと」が用意されているのではなく、「どうやるか」も含めて一緒に考える余地がたくさんある状態。未完成な部分も多く、成長の余白が多い職場環境だと思います。
プロダクトの成長スピードに合わせて、組織体制や役割分担、デザインプロセスも日々アップデートが必要になります。プロダクトやユーザーに合わせて、正解を探しながら実行していく感じですね。
松村さん:ビジネスカンパニーのデザイン組織は、プロダクトごとにデザイナーが配置される「事業部直下型」と、専門性を高め合う「職能組織」の側面を併せ持つ、ハイブリットな構造が大きな特徴です。つまり、デザイナーはそれぞれのプロダクトの中で働きつつも、デザインという専門性を組織内で共有し、相互に学びながら強化していく。この土台を整えることも、私たちの重要な役割です。
横坂さん:おっしゃる通り理想の形ではあるのですが、その実現度でいえば、まだ3合目といったところでしょうか。特に大きなテーマとして感じるのは「縦と横のバランス」です。事業の急成長に伴い、私たちデザイナーには2つの役割が求められています。
一つは、「縦軸」として各事業やプロダクトの現場に入り込み、チームと連携しながら短期的な成果を上げていくこと。もう一つは、「横軸」として全体のブランド体験やUX品質の一貫性をつくり、中長期の視点でデザイン価値を育てていくことです。
この2つはどちらも非常に重要ですが、両立させるのは簡単ではありません。目の前の事業成果を追いながらも、横断的な視点で「マネーフォワードらしい体験とは何か」を常に問い続ける。そのバランスをどう取るかは、組織としても個人としても大きなチャレンジだと感じます。

横坂さん:例えば、機能追加のスピードを重視する立場と、UIの品質や一貫性を重視する立場との間で板挟みになることがあります。どちらをどの程度優先し、どこに落とし所を見いだすのか――納期や品質の基準を自分で判断せざるを得ません。
また、縦軸・横軸それぞれのチームとアラインを取る必要があり、特に優先度の変更や仕様調整が発生すると、意思決定が遅くなってしまうことがあります。
共通して言えるのは、どちらの観点も「正しい」ため、自分の判断で選択した際に、どうしても片方に負債を残してしまった感覚が残るということです。
松村さん:デザイン室は、「実践力のあるデザイナー」を育てる横断型の組織です。ナレッジの共有やベストプラクティスの発信、あえて失敗談をオープンにする文化を通じて、メンバー一人ひとりの現場対応力を高める取り組みを続けています。
横のつながりから得た学びや知見を、各プロダクトという「縦」の現場で還元し、事業成果につなげられるかどうか。そこが、私たちが本気で向き合っているテーマです。組織全体としても横と縦のバランスを保ちながら、現在は特に縦軸での実装力や成果への貢献を一段と強めていくフェーズだと捉えています。
松村さん:一般的に言えることですが、デザインの価値は、事業の売上や利益と直結しにくいです。たとえば「このデザインがなかったら売上が下がったか?」と聞かれても、証明するのは難しいですよね。でも、だからこそ「デザイナーがいなかったらこのプロダクトは成り立たなかった」と思ってもらえる状態を目指したい。
単体でKPIを上げることは当然大事ですが、プロダクト全体が価値を生んだときに、デザイナーの存在が不可欠だったと感じてもらえる。そのほうが本質的な貢献のあり方だと思っています。
松村さん:競合と同等の「当たり前の品質」を担保するのは当然として、そこに「マネーフォワードだからこその魅力」が必要になる。いわば「段違いにいい」と感じてもらえる体験をつくり出すこと。最終的に選んでもらえる、使い続けてもらえる構造をつくっていきたいのです。
横坂さん:「感動レベル」のユーザー体験は、ブランド認知やユーザーの愛着といった中長期的な価値につながっていきます。こうした体験が、どのように満足度や継続率などの経営指標に結びつくのか。その関係性を言語化し、可視化していくことが、これからの大きなテーマだと考えています。
横坂さん:マネーフォワードでは、プロダクトごとに開発チームが自律的に動いているため、組織全体としてまだ整いきっていない部分も多くあります。いわば“カオス”な現場を前にして、デザイナーには「何を優先し、どうつないでいくか」を判断する力が求められます。
プロダクト同士のユーザー体験をつなぐだけでなく、事業側の視点とユーザーの目線を行き来しながら、両者のギャップを埋めていく。ミッションやビジョンといった抽象的な理念と、実際のインターフェースや体験を接続していく。そんな役割を担う存在として、デザイナーがより深く関わっていく必要があります。
横坂さん:例えば、経理担当のユーザーは、一つの業務を完了させるために複数のサービスを行き来することが頻繁にあります。こうした連携をスムーズにする機能を開発する際、デザイナーは各プロダクトのUIやフローを横断的に比較し、データ連携や操作コンテキストといった「つなぎ目」を可視化しています。
このプロセスを通じて、どのプロダクトでも応用できるUIパターンを提案することで、チームの意思決定を支援し、一貫性のあるユーザー体験を担保しています。
また、PdMと密に連携し、プロダクトのKPIとユーザーのコア体験を結びつける取り組みも行っています。「どの機能や体験を良くすればプロダクトが成長するか」をチーム共通の認識とすることで、開発の優先順位や品質基準の精度を高めることにトライしています。
松村さん:AIの登場は大きなパラダイムシフトです。それは単に産業構造が変化するというよりも、私たちの役割・働くコト・生きるコトそのものがアップデートがされていく感覚です。
今、いろんな職能が揺れていて、デザイナーも「自分の仕事はこの先どうなるんだろう」と不安になることもあるかもしれません。しかし、この変化の波は、私たち人間にしかできない創造性や共感、そして新たな価値を生み出す力をより一層引き出すチャンスだと捉えることもできます。 むしろそこにワクワクしています。
マネーフォワードは、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションのもと、これまで多様なSaaSプロダクトを積み上げてきました。
その過程で蓄積されたお客様の業務に関する知見とデータを活用しながら、「SaaS × Fintech × AI」をテーマに、単なる業務効率化に留まらず、お客様のビジネスそのものを、さらに前進させるサービスを創り上げていきたいと考えています。
外部環境も社内プロダクトも常にカオスな状態ですが、だからこそ挑戦の機会が次々と生まれます。この予測不能な面白さを今はむしろ楽しんでいます。

松村さん:PdMやエンジニアと対等に語れるデザイナーと一緒に働きたいです。高いスキルやセンスのよさなど表面的な定義ではなく、チームで議論し、合意形成しながら、プロダクトの価値を高めて前に進められる。共創力と主体性のある人と働きたいです。そういった力を持つデザイナーが、世の中にもっと増えるのを願っていますし、マネーフォワードがその成長の場になれたら、とても嬉しいです。
横坂さん:私が思うのは「デザインと事業の両方を横断して語れる人」です。目の前のプロダクトやチームにしっかり向き合いつつ、長期的なビジョンや組織づくりにも関心を持てるような人。デザインにとどまらず、事業や組織、ブランドの未来にも関わっていきたいという想いがある人にとっては、マネーフォワードはすごくいい環境だと思います。
松村さん:最初にも触れましたが「マネーフォワード=成熟・安定している」というイメージを持たれがちです。でも実際は変化の連続。今なおベンチャー気質が息づいており、環境の変化を柔軟に取り込みながら、挑戦し続ける会社です。「これをやりたい」「こう変えていきたい」といった強い意思があれば、自然と役割がまわってくる。逆に、指示を待つ姿勢では、この環境の面白さを十分に味わえないかもしれません。
横坂さん:プロダクト数は増え、業務領域も複雑化しています。プロダクトを横断して価値を生み出すことの難易度も、日々上がっています。この状況だからこそ「事業や組織の構造そのものにインパクトを与える」挑戦のチャンスが、目の前にいくつもある。
これはスタートアップでは得がたいスケールでの挑戦です。また、経営の視点でデザインを実践できる機会も多く、CDOのような役割を目指す人にとっても、得られる経験値は非常に大きいと思います。
一方で、華やかな戦略だけでは何も進みません。現場で課題と向き合い、試行錯誤を重ねて一歩ずつ価値を積み上げる。そういった「泥臭さも含めた成長のリアル」がここにあります。変化を前向きに受け止め、混沌の中で成長したい人には、ここ以上のフィールドはない。そう胸を張って言える環境です。
横坂さん:「事業により責任を深く持ちたい」「プロダクトに関わることは、役割を広げて何でもチャレンジしたい」「より複雑性の高いデザインにチャレンジしたい」という方、ぜひ一度お話しましょう!
松村さん:事業により深くコミットし、圧倒的に成長できる環境がここにあると思っています! 事業、プロダクト、デザインを前進させたいと思っている方をお待ちしております。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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この記事を書いた人

畑明恵(トップスタジオHR)
ライター・編集者として、IT関連の専門書籍やWebメディアの記事制作に従事。人事・採用、広報、マーケティングなどを得意分野とし、キャリアや働き方をテーマにしたインタビュー記事や、ビジネスカンファレンス/専門セミナーのレポートを執筆している。
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