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70名規模のデザイン組織の成長の余白とは。マネーフォワード デザイン組織の課題と挑戦。

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インタビュー

2022/10/25

70名規模のデザイン組織の成長の余白とは。マネーフォワード デザイン組織の課題と挑戦。

株式会社マネーフォワード(以下、マネーフォワード)は「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを掲げ、個人や法人の枠を越え、すべての人のお金の課題を解決するサービスを提供しています。

マネーフォワードは、個人、法人、金融機関に向けてサービスを展開。ユーザーに寄り添ったプロダクトづくりを実現し、国内No.1の「お金のプラットフォーム」になることを目指しています。

デザイナーの在籍人数は約70名、デザイン理解のあるCEOのもと、CDO・各カンパニーCXO等デザインマネージャーも複数おり、国内企業でも稀有なほど充実したデザイン組織を持っています。一見、成熟しきったかのように思えるデザイン組織ですが、課題や改善の余地のある余白はあるのでしょうか?

今回のインタビューでは、CDOのセルジオさん、法人部門デザイン室長の横坂さん、デザイナーの山﨑さん、松永さんにお越しいただき、マネーフォワードのデザイン組織の現状や課題、今後の展望を伺いました。

伊藤 セルジオ 大輔(Daisuke Sergio Ito)|株式会社マネーフォワード 執行役員CDO/デザイン戦略室 室長
2003年、フリービット株式会社に入社し、CEO室にて広報、ブランディング、事業戦略などを担当。2006年に同社を退社し渡米。ニューヨークにてアートを学び、フリーランスデザイナーとなる。2010年に帰国し、デザイン事務所である株式会社アンの代表を務める。2013年度グッドデザイン賞受賞。2019年から株式会社マネーフォワードのデザイン戦略グループのリーダーを務める。2020年、CDOに就任。

横坂 圭佑(Keisuke Yokosaka)|株式会社マネーフォワード ビジネスカンパニー デザイン室 室長
2006年のキャリアスタートから制作会社と事業会社でのデザイナー経験を経て、2019年マネーフォワード入社。法人向け部門でのデザイン組織立ち上げを行い、現在もデザイン室 室長として組織作りやデザインマネジメントを中心に担当。

山﨑 光(Akari Yamazaki)|株式会社マネーフォワード ビジネスカンパニー デザイン室 経理財務デザイン部 個人・SMBグループ リーダー
ファーストキャリアでエンジニアを経験、その後Web制作会社でWebデザイナー、事業会社でUX/UIデザイナーの経験を経て、2021年に株式会社マネーフォワードに入社。現在は『マネーフォワード クラウド会計』の担当デザイナー、経理財務部 個人・SMBグループのリーダーを務める。

松永 奈菜(Nana Matsunaga)|株式会社マネーフォワード ビジネスカンパニー Pay事業本部 兼 デザイン室 債権債務・経費デザイン部
受託制作会社のWebデザイナーを経て、2020年株式会社マネーフォワードへ入社。『マネーフォワード Pay for Business』のサービス立ち上げに一人目デザイナーとして参画。リリース後もデザイナーの役割を超えてサービスのグロースに挑戦中。2022年度グッドデザイン賞受賞。

デザインすることを楽しみ、デザインに対して常にクリエイティブである

──直近、デザイナーサイトを立ち上げられたと思います。その背景も含めて、デザイン組織の現状を教えていただけますか?

セルジオさん:現在、マネーフォワードには約70名のデザイナーが在籍しており、今後も事業の拡大に伴い、デザイナーが活躍できる領域や幅は更に広がっていくと考えています。そのために、引き続き採用の強化も行なっています。その中で、自分たちデザイナーの姿や魅力を社内外の方々にお伝えしたい。このような想いでMoney Forward Designのサイトを立ち上げました。

金融系のサービスを展開しているため、「堅い会社なんじゃないか」「スーツを着て働いていそう」などのイメージをもたれることが多いのです。実際はそうではないということもデザイナーサイトを通じてお伝えしていきたいですね。

また、デザイナーサイトを通じて、皆様に私たちのカルチャーもお伝えしていきたいと思っています。仕事をするうえでマネーフォワードの全員が大切にする「CULTURE」の一つに「Fun」があるのですが、これは、働くこと自体を楽しもうという意味が込められています。私たちは、デザインすることを楽しみ、「デザイン」に対して常にクリエイティブであろうという姿勢を崩しません。このような想いを皆様にお伝えできたら良いなと思っています。

──マネーフォワードのデザイン組織は、外から見ると成熟している組織に見えますが、なぜ今のフェーズでデザイナー採用により力を入れているのでしょうか。

セルジオさん:私たちは、今のデザイン組織を、発展途上で成長の余地がある組織だと捉えています。理由としては、事業が大きく成長しているからです。全社の売上は前年同期比約40%の高成長を続けています。事業が成長するにつれて、デザインが必要とされる機会も増え、組織自体も会社の成長に応じて成長していく必要があります。サービスを40個以上展開し、BtoC、BtoB、クライアントワークなどの多様なプロジェクトがあり、デザイナーが必要とされる場が増え続けているため、デザイナー採用を積極的に行なっています。

──70名規模のデザイン組織は非常に稀有な存在だと思います。これまで作り上げられてきたデザイン組織の強みを教えてください。

セルジオさん:濃淡はありつつも、デザインカルチャーが浸透しつつあるところです。代表の辻は「デザインは色や形を表すだけではなく、本質的な価値を届けるものである」と話しています。このデザインに対する考え方や、「User Focus」という会社の「VALUE」をデザイン組織全体でも大切にしています。デザインを広く捉えて活用する土壌は整ってきたと思っています。

参考:マネーフォワードがデザインを経営に取り入れる理由

──続いて、マネーフォワードのデザイン組織の課題についてお伺いしたいと思います。横坂さんはどのような課題を感じられていますか?

横坂さん:全体最適と個別最適の両立が課題だと感じています。各プロダクトごとのスモールチームで動いているため、横串で個別を繋ぎながら、組織全体として最適な状態へ持っていくのはマネジメントの観点からも非常に難しいです。また、デザイナーの人数は増えているもののプロダクトの数が多いため、専属デザイナーが1人になるケースもまだあります。そのため、個々のスキルセットや習熟度、キャリアに応じた育成を行い、デザイナーがより活躍できる組織にしていきたいです。

──育成支援に関して、具体的に取り組まれていることがあれば教えていただきたいです。

横坂さん:デザイン室全体で個々のナレッジや各プロダクトのナレッジを共有し合う会や、メンバーそれぞれのスキルセットや経験を共有する相互理解のワークショプなどを開催しています。また、異なるプロダクトを担当するメンバーがパーティーを組んでレビューをし合う施策やUIデザイン研修も行なっていますね。

個別の最適化だけでなく、プロダクト同士の横の繋がりを生み出すことで全体の最適化を図っています。

──セルジオさんは冒頭で、デザイン組織の現状を発展途上と表現しておられました。今後入社される方々がデザイン組織に変化を与えられるような組織の余白についてお話いただけますでしょうか?

セルジオさん:マネーフォワードのデザイン組織は今「カオス」な状態です。なぜなら、私たちのデザイン組織はたくさんのスモールチームが融合した組織だからです。組織が大きくなるにつれ、カオスさは増し、課題の難易度が上がっているのも事実ですが、必ずしも悪いことではないと考えています。カオスであるからこそ、メンバーそれぞれが自律的に動くことができ、相乗効果を生んでいるからです。むしろ、これから組織全体で取り組んでいくべきチャレンジとして捉え、メンバーのやりがいにも繋がっています。

──実際に現場でデザインされている山﨑さんは、デザイン組織にどのような課題があると考えていますか?

山﨑さん:入社する際に、まだ整っていないところも多いということは伺っていたのですが、実際に入ってみて、確かにカオスだなと感じる場面もありましたね。ただ、デザイン組織が急拡大しているこのタイミングで、プロセスの整備も発展途上であるからこそ、仕組み自体を作っていくことから参画できる良い機会をいただけたと考えています。

今のマネーフォワードのデザイン組織は、すごくやりがいがあるフェーズにあると思っています。デザインシステムの作成やリサーチのプロセス改善にも取り組んでいるところなので、チャレンジできることは本当に多いです。加えて、手を挙げればチャレンジできる環境もあるので、新しく入った方でも組織に影響を与えられる可能性がたくさんある会社だと思っています。

一貫性のある体験を作る

──続いて、マネーフォワードの各領域の状況や課題についてお伺いしたいと思います。セルジオさん、マネーフォワードが展開する3領域の現状と課題を教えていただけますでしょうか?

セルジオさん:まず、家計簿・資産管理サービス『マネーフォワード ME』の領域では、今後、より高次なお金に関する課題の解決ができるサービスにしていく必要があると考えています。ありがたいことに、家計簿アプリの中で、ナンバーワンのシェアをいただいており、お金の見える化を実現してきました。しかしながら、私たちはお金の課題に対し、まだまだ解決できる範囲を広げることができると考えています。

続いて、バックオフィスの業務効率化を支援する『マネーフォワード クラウド』の領域では、プロダクトが増え、マーケットも成長を続けています。このように成長領域であるため、デザインが必要とされる機会も増加しています。『マネーフォワード クラウド』では複数のプロダクトを導入していただくことで、より効率化を図ることができます。このような利用形態のなかで、私たちデザイナーがすべきは、複数プロダクトの体験に一貫性を持たせることです。プロダクトが増え、どんどんカオスになっていく体験に、いかに一貫性を持たせられるかを私たちはチャレンジしていく必要があります。

最後に、テクノロジーとデザインの力を掛け合わせることで新たな利便性や快適を叶えるサービスを作っていく『Money Forward X』についてお話しします。『Money Forward X』は、外部の金融機関や事業会社との共創によりさまざまなプロダクトを生み出しています。加えて、現在はBtoBの自社サービスの開発も進めており、新しいプロダクトの立ち上げを行ってるところなので、そのあたりも面白さになると思います。また、『Money Forward X』ではデザインコンサルも行なっているので、事業会社にいながら、デザイン自体の価値を届けることができる楽しさもあります。

──横坂さん、山﨑さん、松永さんは『マネーフォワード クラウド』に携わっていますが、一貫性のある体験を作るというチャレンジの中で、大切にしていることを教えてください。

横坂さん:併用して利用いただく際の横断的な体験と意思決定スピードの早さは大切にしています。開発中のものも含めると、約30個ほどのプロダクトが存在しますが、そのラインナップ全てを「マネーフォワード クラウド」という一つのブランドで提供しています。そのため、プロダクト間に一貫性を持たせることにはこだわりを持って体験作りをしています。また、スモールチームで動くことで、意思決定のスピードを早め、ユーザーにできるだけ早く良い価値を届けるということも大切にしています。

松永さん:日々、ユーザーの価値のために動くということを意識しています。組織としてもユーザーの価値になることなら全力で協力するというカルチャーが浸透していて、ユーザーのためにチームの垣根を超えて、サポートしあう環境はすごく面白いです。チームや役割を越境した先に「User Focus」があるということに気付かされましたね。

──続いて、具体的な業務内容についてお伺いしていきたいと思います。実際にプロダクトに向き合う中でデザイナーはどのようなアクションをとっていますか?

山﨑さん:役割範囲はプロダクトによって変わりますが、やりたいと手を挙げたら、PdMの役割まで担当することもできます。実際に私も企画段階からリサーチまで、幅広く携わっています。リサーチは、PdMと一緒に外部の方に対してのインタビューやユーザビリティテストまで幅広く経験することができています。PdMをはじめ、様々な職種の方、ドメインエキスパートである税理士さんもいますし、その方々と一緒に動くことで、さらにユーザー理解が深まっていくと感じてます。

エンジニアとも、コミュニケーションを取る機会がたくさんあります。エンジニアのメンバーとは、どういうデザインにしたらユーザーが使いやすいかを議論することが多々あります。開発側の意見を聞ける環境はデザイナーとしての成長に直結しているなと実感しています。

──続いて、デザイナーのキャリアパスについてお伺いしたいと思います。どのようにデザイナーとしてのキャリアを考えたり、相談したりしていますか?

山﨑さん:私は、自分が将来やりたいことを上長と話し合いながら考えています。個人的には今後、マネジメントに携わりたいと思っています。マネーフォワードのデザイン組織のような大きな組織でマネジメントできることはあまりないですし、すごくワクワクします。マネジメントを経験することで、さらにユーザーにより良いものを作ったり、組織自体をどう前に進めていけるかを考えたりするのがとても面白いなと思っています。

また、マネーフォワードには「MFチャレンジシステム」があります。「MFチャレンジシステム」とは、グループ会社も含めた全部署からポジションを募り、応募した社員と部署のマッチングを実施して社内異動を調整していく仕組みです。職種を超えてチャレンジできるので、キャリアパスを考える上でこの制度を利用することは選択肢のひとつにありますね。

参考:社員の”Will”を応援する、マネーフォワードの社内公募制度「MFチャレンジシステム」。

松永さん:私はプロダクトが成長することがすごく嬉しくて、いつかはプロダクト全体をマネジメントできるようになりたいです。優秀なPdMの方の片腕になるというテーマで、自分の役割を決めずに取り組んでいます。

お金を前へ。人生をもっと前へ。

──改めて、マネーフォワードのデザイン組織の魅力をお伺いできればと思います。

セルジオさん:やはり、サービスを通して社会課題に向き合えることが魅力の一つだと思います。『マネーフォワード クラウド』でいうと、お金の課題や働き方の課題をバックオフィスの効率化という手段で支えています。お金の課題も仕事の課題も誰しもが向き合わなければならないことで、それを解決に導けることはすごくやりがいがあることだなと思っています。

横坂さん:ユーザーとの距離の近さも魅力の一つだと思います。実際に導入していただいてる企業の方々との距離はすごく近く、日々その声を聞きながらプロダクトを良くしていける環境が整っています。

また、BtoB領域では、デザインや機能の改善によるインパクトが大きく、実感しやすいという特徴があります。私達のサービス品質や体験が向上することで、多くの働く方々の仕事の時間や質、体験が変化し、もっとクリエイティブに働けるようになったりします。このように、デザインの力を活用することで、大きな価値を生めることはとても大きなやりがいになっています。

──デザイン組織の今後の展望を教えてください。

セルジオさん:社会課題と向き合う中での課題解決は、プロダクトを通じてできつつあると思います。ですが、私たちはもう一歩先の心を動かせるプロダクト作りをしていきたいプロダクトを通じて感動するレベルまでアウトプットを高めていきたい。このような想いを持っていますので、感動するデザインを生み出していける組織でありたいというのが一番の目標です。

他には、エンジニア組織の英語公用語化など、組織がグローバル化しているタイミングでもあるので、その中でデザイン組織もグローバルな目線でデザインし、これまで国内では体験できなかったような、新しいプロダクトの作り方を実現していきたいと思っています。

松永さん:デザイン組織は今、カオスな状態なので、自ら課題を見つけ、解決に向けて動いていく必要があると思っています。私たちは、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを掲げています。崇高な目標のように思えるかもしれませんが、私たちは本気です。何かに貢献したい、世の中に貢献したいという想いがある方はきっとマネーフォワードに合うのではないかと思っています。

──それでは、最後にマネーフォワードに興味を持っていただいた方に、一言お願いします。

横坂さん:私が担当している『マネーフォワード クラウド』は、プロダクトも急スピードで増える中で、シングルブランドとして横断的なサービス体験を作っていかなければいけません。この一貫した体験作りを目指すうえでの課題の難度や煩雑さは増しています。これから入社される方には、俯瞰してユーザー体験を見る役割やそれを組織としてサポートする役割を担っていただきたいと思っています。私も2年ほど、伴走しながら取り組んできましたが、まだまだ答えが出せているわけではないので、一緒に試行錯誤やチャレンジができたらとても嬉しいです。

他には、ビジネスカンパニーの経営という単位でさらにデザインを活用していくポジションやピープルマネジメントを中心に行うポジション、仕組みや文化を作っていくポジションなども必要だと考えています。

マネーフォワードのデザイン組織は発展途上で、まだまだ足りない役割やポジションが多くあります。ここから一緒に作り上げていけたらいいなと思っています。

セルジオさん:私たちはデザインの力を信じて、社会課題に向き合っています。世界を良くしていきたいという想いを持って一緒に挑戦していただける方とお仕事ができたらとても嬉しいです。

また、BtoCからBtoB、クライアントワークに及ぶデジタルプロダクト群をシングルブランドで提供している会社はなかなか存在しないと思います。そこに対し、デザインを活用して、どのように一貫性のある体験を作り出していくのかは、他ではできないチャレンジだと思っています。このチャレンジにおいて、組織を通じてアウトプットを最大化するデザインマネジメントの力自体が、非常に必要とされています。

組織を通じたアウトプットの最大化に興味がある方、ご経験がある方、是非一緒に組織やプロダクトを作り上げていきませんか?

編集部より

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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この記事を書いた人

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