
世界の三大デザイン賞の1つ「iFデザインアワード」。2022年度に受賞したプロダクトデザインを担当したのが、当時新卒2年目のデザイナー大塚文音さんです。
今年で創業113年目を迎える株式会社日立製作所(通称:日立)。生活家電から、鉄道、医療機器、さらには新規事業を生み出すアイディエーションツールまで、デザインする領域は多岐にわたります。歴史ある大企業でありながら、彼女のように新卒1年目からプロダクトデザインを一から担当できるほど裁量権のある同社。
本記事では、新卒で入社した菊地絢子さんと大塚文音さん、中途で入社した小西正太さんに、日立のデザイン組織の特徴について、そしてデザインセンタ UXデザイン部部長の助口聡さんに、どんな人たちが日立に集まってほしいかを伺いました。
助口 聡(すけぐち さとし)
所属:株式会社日立製作所 研究開発グループ デザインセンタ UXデザイン部 部長
経歴:食品パッケージ業界、オーディオ業界でのキャリアを経て、2008年に中途採用で日立製作所に入社。情報機器や家電製品のプロダクトデザインを担当後、2016年から3年間、英国にて高速鉄道車両のコンセプトデザイン開発に従事。現在は、日立グループが手掛ける製品、サービスのデザイン開発を広く取りまとめている。
小西 正太(こにし しょうた)
所属:株式会社日立製作所 研究開発グループ デザインセンタ UXデザイン部
経歴:2021年に日立製作所に転職。前職では事務機器/オフィス機器メーカーにてB2B製品のプロダクトデザインに従事。現在は生活家電の領域において生活者の将来の価値観変化の洞察と、そこを起点とした新しいサービスの創出に従事。企画者や技術者と連携し、アイディエーションの場の設計と運営、ユーザー体験や将来の暮らしの姿の可視化、プロトタイピングを担当。
菊地 絢子(きくち じゅんこ)
所属:株式会社日立製作所 研究開発グループ デザインセンタ UXデザイン部
経歴:サービス・プロダクトデザインを学んだ後、2019年に日立製作所へ入社。土木業界における重機のHMIや、安全と保守に関わるサービス・アプリのデザインを中心に、物流や医療など幅広い分野に従事。
2022年からはデジタルトランスフォーメーションの推進事業に携わり、インタビューやワークショップ設計、UX/UIデザインを担当。
大塚 文音(おおつか あやね)
所属:株式会社日立製作所 研究開発グループ デザインセンタ UXデザイン部
経歴:大学でプロダクトデザインを学んだ後、2021年に日立製作所へ入社。家電製品のプロダクトデザインに従事し、新色開発や製品周りのグラフィックデザイン、先行デザイン提案などを担当。
また入社時から事業化に向けたエネルギー案件に携わり、ビジュアルデザインやプロトタイプ開発。展示ブースのデザインなどを担当。
菊地さん:私はUIとUXデザインを担当しています。入社から4年間、建設機械を中心としつつ、並行して物流や医療、小売のプロジェクトを担当してきました。
製品の見た目をデザインをするだけでなく、「そもそも何をつくるべきか」を考える工程からプロジェクトに入っています。例えば、どんな問題を抱えていて、どんなサービスがあれば解決できそうかを、お客様と一緒に導き出していくワークショップを手がけることもあります。
大塚さん:私は洗濯機のプロダクトデザインを担当しています。形はもちろん、CMF(色・素材・加工の3つ)をデザインするために、新しい色を開発したり、たくさんの模型を並べて色調を考えたりします。
他にも、新卒1年目で、「Carbon offset charger」と呼んでいるサービスアイデアのコンセプトデザインに挑戦しました。Carbon offset charger」は手のひらサイズのACアダプターや専用のアプリを使用することで、手軽に楽しくエネルギー由来のCO2削減に貢献する機会を提供し個人と再生可能エネルギー事業者をつなげる新しいサービスです。

形や見た目のデザインだけでなく、プロダクトを手に取ってもらうためにどうデザインすればいいかを考えました。
菊地さん:新卒1年目から、どんどん興味あるプロジェクトに入って、デザインを任されますね。
大塚さん:「Carbon offset charger」は、部長の助口さんから、「面白いサービスアイデアを検討している研究者が居るので、一緒に組んでデザインをやってみない?」と誘われたことがきっかけで担当することになりました。

大塚さん:そうですね。メンバーの興味や専門領域に関心がある人は多いように感じます。普段の何気ない会話のなかで「こういう分野に興味がある」と言うと、「こんなプロジェクトはどうだろう?」「このワークショップを手伝ってみる?」と役職や年齢に関係なく声がかかるような組織です。
菊地さん:そもそも私の入社の決め手は、「日立は業界が多岐にわたっていて、知らない世界に飛び込めそう」という期待感からでした。今では、普段の生活ではなかなか知ることができないような事業に携わることができて、勉強量は多いですが、とても楽しいですね。
小西さん:前職は、ハードウェアのプロダクトデザインを担当していました。新しいサービスを構想することがあっても、その後はデザイナーから手離れしてしまっていたため、もどかしさを感じていました。
サービスの構想を実現化する際にも、デザインは大いに役立ちます。アイデアをビジュアル化して、あとの実装は事業部やエンジニアに丸投げにするのではなく、日立ではサービスの構想から運用の改善提案まで一気通貫でデザイナーが関わっています。デザインを事業成長の武器にしようとする姿勢を感じました。
日立は、製品やサービスの価値を探索し、社会に届け、お客様に価値を感じてもらうために、事業のあらゆるフェーズでデザイナーが関与しており、デザイナーとして成長できそうだと感じて入社を決めました。
小西さん:5年、10年後を見据えた未来の生活家電をデザインするプロジェクトを担当しています。チームメンバーは事業部9人、研究者4人、デザイナー3人ほどで構成されています。
リサーチを踏まえて、どんな生活家電が必要になりそうかをチームでアイデアを出しつつ、それを元に製品やサービスをデザインしています。その中で、アイデア発想の場のファシリテーションや、ユーザーシナリオの可視化、製品やUIのイメージ作成を担っています。

小西さん:一番はマインドセットですね。「デザインを事業に活かしたい」というデザイナーに対する期待を組織から感じます。デザイナーに求められる役割が多岐に渡る中で、自分だけでかっこいいと思うものをつくるのではなく、学んだことや経験したことをチームに共有して、互いに強くなろうとするマインドを持てるようになったのが成長ですね。
大塚さん:まず、日立には創業の精神である「和・誠・開拓者精神」というものがあります。「和」はみなでオープンに議論をし、決定した目標に向かって一致団結すること。「誠」とは、他者に責任を転嫁せず、常に当事者意識を持って誠実にことに当たるという意味です。そして、「開拓者精神」は未知の領域にも、独創的に取り組もうとすることです。
そのなかでも特に「誠」を感じることが多いです。普段よく口にする言葉からも「失敗事例も必ず共有して、二度と同じことを繰り返さないようにしよう」という姿勢が強いと感じています。
小西さん:たしかに、順調に進んでいるプロジェクトでも「次回はこういう部分を改善していきたい」と失敗事例の共有会があります。より良い仕事をするためにどうすればいいかの学び合いが頻繁に行われています。
菊地さん:社内の学びの場は充実していますよね。事例共有会や社内表彰、個々人の取組みや関心事について発信する社内ラジオなど、とにかく学びの場が多いです。
小西さん:しかも、デザイナーや研究者など垣根なく、参加しているのが特徴ですね。例えば、グラフィックレコーディングのワークショップに研究者がいたり、逆に、生成系AIの勉強会にデザイナーがいたり。それぞれもっている専門的な知識を共有して、互いに学び合う文化があります。
菊地さん:新しいものを生み出していこうという姿勢の強さも、知識や経験を共有する理由だと思います。ビジネス職や研究者、エンジニア、デザイナーなど、さまざまな専門性をもつ人たちが集まっているのに、知識や経験を一人に留めてしまうのはもったいない。日立の強みを活かして事業をつくるために、みんなで力を合わせていこうという雰囲気があります。
菊地さん:そうですね。最近では、ChatGPTについての議論が社内のTeams上で盛り上がりました。話題を出した技術者だけでなく、デザイナーやビジネス職までも議論に入っていて、あっという間にスレッドは100件以上になりましたね。
小西さん:いろんな場所で議論が盛り上がるので、「面白い人だな」と思いながら話していると、実は、とても役職の高い人だったということが入社時はよくありました(笑)。年齢や役職関係なく、興味関心あるトピックをベースにフラッとコミュニケーションができます。
大塚さん:新しいこと、面白いことに積極的な人が多いかもしれません。最近では、製品のデザイン意図やデザイン賞獲得などについて発信する「日立のプロダクトデザイン」という動画コンテンツシリーズをデザイナーがYouTubeで始めました。「〇〇をやってみたい」と言ったときに、「いいじゃん、面白そう」と背中を押してもらえる。やりたいことを発信する人がいる一方で、それを後押ししてくれる人がいます。
小西さん:確かに、気軽に相談にのってくれたり、何かに挑戦するときはサポートをしてくれたり、応援されているなと感じることは多いです。
入社時に「SFプロトタイピングに興味があります」と伝えたら、「SFプロトタイピングのワークショップを学生向けに開催するから、手伝ってほしい」と声をかけてもらえました。しかも、私の配属先とは異なる部署が主催しているワークショップに。誘われてからも放ったらかしにされるのではなく、「この本読んでおいた方がいいよ」「ワークショップはこういうことに気をつけてみて」とアドバイスもしてくれて、すごく心が温まりましたね。

大塚さん:そうです。また、やりたいことが決まっていない人も、いろんなことにチャレンジして、自分の強みや貢献したいことを見つけれる会社でもあるなと思います。なので、いろんな人が活躍できる可能性がある会社なのかもしれません。
小西さん:大企業というと縦割りの組織をイメージする人が多いかもしれないですが、日立は興味があることにはどんどん取り組める裁量がありつつ、互いのやりたいことを刺激し、支え合えるような組織です。と言ったら、「やりたいことができて楽しそう」と思う人がいるかもしれません。それは間違いではないのですが、決してなぁなぁの組織ではないんですよね。努力が求められるし、互いに切磋琢磨しないといけない。「一人よりかは、みんなで頑張ったほうがいい」というスタンスが近い気がしています。

助口さん:まずは、デザインの力で日々の暮らしを支えたいと思える人に入社してほしいですね。日立のデザインってさりげなく生活の中に溶け込んでいるんですよね。例えば、鉄道のデザインでは、車両自体はもちろん、案内表示のサイネージなども担当しています。日々の暮らしを良くするために包括的にデザインするのが日立の役割であり、それに共感いただける人がいいですね。
もう一つは、好奇心を持った人です。「私の領域はここまで」と線をひくのではなく、隣の人の仕事に興味を持って繋がれるような。テクノロジーやビジネスを知り、それを活かして新しい価値に変換できる機会が日立にはあります。なので、好奇心を持って、ちょっとお節介になるくらいメンバーと関係を築ける人に来てほしいです。
小西さん:部長の言葉を借りると、「お節介な人」に入社してもらいたいなと。メンバー一人ひとりの得意や強みを、みんなで引き出そうとするのが日立の良さだと感じています。なので、お節介になるくらいメンバーの良さを引き出せる人が合ってるなと思います。
菊地さん:お客様としっかり対話して、どんな課題を抱えているのか見つけて、製品やサービスを形に反映できる人がいいですね。日立では、課題の発見からリリースまでデザイナーが関与するのが特徴ですので、「プロダクトデザインだけ」「UIデザインだけ」のように特定するのではなく、幅広くデザインを手がけられる人が多いです。
大塚さん:私は粘り強く考え抜いてくれる人ですね。いろんなトピックに興味を持つのと同じくらい、一つの製品やサービスをクオリティ高くつくり上げるのも重要です。そのためには、いろんな可能性について徹底的に調べて、何がベストかを考え抜かないといけません。そういう人が入社してくれたら、日立の製品はもっと良いものになると思っています。
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この記事を書いた人

辻野 結衣
関西大学政策創造学部卒業後、株式会社インクワイアに入社。2023年4月に独立し、企画・執筆・編集を手がける。関心領域は、市民と政治、テクノロジー、文化など。
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