
料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」や、生鮮食品EC「クックパッドマート」などを展開するクックパッド株式会社。今回インタビューをしたのは、同社でリードUIデザイナー / デザイナー統括マネージャーを務める米田哲丈さんです。学生時代に起業、その後フリーランスやDeNAでの勤務を経て、「毎日の料理を楽しみにする」をミッションに掲げるクックパッド株式会社(以下クックパッド)に入社。職種やチームの境界をなくしていきたいと語る米田さんに、クックパッドに入社するまでのストーリーや、これから実現したいことについて伺いました。
米田 哲丈 Tetsuhiro Yoneda / クックパッド株式会社 リードUIデザイナー / デザイナー統括マネージャー
慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)在学中に起業、制作会社3年の経験後、フリーランスデザイナーとして7年活動。DeNAに3年勤務した後、2018年にクックパッドにジョイン。
生鮮食品ECプラットフォーム「クックパッドマート」でUIデザインや事業づくりにコミット。全社のデザイナー統括マネージャーと、デザイン横断部署本部長としてデザイン組織づくりやデザイナー育成・採用・評価も兼任。
中学から大学まで慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)に通いました。高校生の頃はプログラミングに興味があり、ゲームを作っていました。自分でプログラミングをしながら、ゲームキャラクターや障害物を描くのが楽しかったのを覚えています。
その後、Adobe Flashや中村勇吾さんに刺激を受けて、ホームページを作るようになります。初めは自分で自分のためのホームページを作っていたのですが、伝えたいものが特にない中でページを作ることに次第に違和感を覚えるように。その後、大学1年生の時に高校時代の友人と一緒に起業し、仕事としてホームページを作成するようになりました。授業の空きコマは図書室にこもってデザインをしていましたね。
当時はWebデザイナーが少なかったので、周りの人に珍しがられて嬉しかったんです。それに加えて、ただデザインすることが楽しかったという、今思えばとてもシンプルな動機でした。強い意志があったわけではなく、好奇心に沿って突き進んでいったという流れでした。でも大学3年になる時に「仕事より勉強をするべきでは」と思い直し、仕事は減らしました。高い授業料を払っているのに、お小遣いを稼いでいる場合ではないなと。今考えるとその通りです。
就活はほとんどしませんでした。1年生から2年生になる時に転部したので、履修しなければならない科目が増え、就活へのアンテナを張っていなかったんです。
卒業後は友達から案件をもらって仕事をしていたのですが、その後制作会社への就職を考え始め、社員が5人くらいの小さな組織に入社しました。その会社で、現在はnote株式会社のCDOをされている宇野雄さんに出会うことになります。
小さい会社だったので何でも自分でやるしかありませんでした。自分で見積もりを出して、デザインもコーディングも担当していました。クライアントから電話を受けた際は、「担当者に確認します!」と言い、一度切ってから「大丈夫だそうです!」と答えるなどとしていました。本当は、全部自分が担当なのですが(笑)
社内にはデザインとコーディングができる人が、僕を含めて3人いました。
宇野さんは常に美しいコーディングとデザインをされる方で、特にCSSを書くときに妥協をされませんでした。また、システム開発のテクノロジーにも興味をお持ちでしたね。
もう1人は、営業や外注の仕方がすごく上手い方。高めの見積もりを出してもクライアントに納得してもらえるような方でした。
その点僕はお金の交渉がすごく苦手で、あまりにも安い予算で作ってしまうので「米田商店」と言われるほどでした。その代わり運用案件が得意で、痒い所に手が届くようなデザインでお客様満足度をあげられるポジションだったと思います。それぞれ個性があり、自分の個性を見つけられたことが今のキャリアにつながったと思います。
友人の誘いでプロダクトを一緒に作ることになり、制作会社を辞めました。しかし、市場調査を行ってプロダクトの解像度を高めていくうちに、このプロダクトを作ってもダメだと気付いたんです。そんな時に、当時株式会社ウノウ(以下ウノウ)の社長だった山田進太郎さん(現:株式会社メルカリ 代表取締役社長)に「最近てっちゃん暇なの?月曜から来る?」と言われて。またこのパターンが来たか!と思いましたね。当時ウノウにはデザイナーがほとんどおらず、写真共有サイト「フォト蔵」のデザインとコーディングを担当させていただきました。
また、大学時代の友達に起業している人が多かったので、色々な人に声をかけていただき、さまざまなサービスに関わりました。デザインした翌週に実装、そして改善するという流れを曜日ごとに違う会社で行っていたんです。そんなフリーランス生活が楽しくて、7年続けました。
その頃、ソーシャルゲームが大流行します。ずっとゲームが好きだったので、フリーランスの立場でゲームの開発に携われるのがすごく嬉しかったんです。しかし、ゲーム会社が本格的に参入するようになり、インターネット業界にいる僕は太刀打ちできないなと感じるようになりました。さらに、フリーランスの生活はとても気に入ってはいたものの、もっと事業にコミットしたいという思いと同時に、会社の仲間になりきれない立場の寂しさも感じていました。
そのタイミングで、以前から事業を手伝っていた株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)から正社員にならないかという提案があり、入社することになりました。DeNAでは、新規メディア事業の運用を担当しました。サービスの成長も感じられましたし、それを支えるカルチャーも印象的でしたね。
はい。メディアの仕事は楽しかったのですが、広告運用ではなく、ユーザーに直接価値を届けて収益化する事業をやってみたくなりました。その時に、現在クックパッドのJapan CEOを務める福﨑康平に声をかけてもらったんです。
福﨑とはフリーランス時代に一緒に仕事をしたことがあり、将来一緒に働きたいなと思っていたので、即答で入社を決めました。様々なサービスの立ち上げに関わる中で、「上手くいくのかな?」と思ったものがすごく成長することが多々ありました。ですので、事業内容を見て自分であれこれ考えるよりも、人で選ぼうと思っていたんです。

クックパッドのミッションは、「毎日の料理を楽しみにする」です。料理レシピサービスのイメージが強いと思いますが、料理の悩みを解消することは、やりたいことの一部にすぎません。生産者や環境との繋がりを保つこと、持続可能な食品市場を作ることなど、料理レシピサービスだけでは解決できない課題や提供できない価値を解決するプロダクトが他にもたくさんあるんですよ。
現在約30名の社員がデザイナーとして働いています。
基本的にデザイナーはプロダクトの事業部ごとに配属されています。事業部は、料理レシピサービス「クックパッド」、生鮮食品EC「クックパッドマート」、食育絵本が毎月届くサブスクリプションサービス「おりょうりえほんby Cookpad」、キッチンから探せる不動産情報サイトたのしいキッチン不動産、料理トレーニングアプリ「- たべドリ- おいしいたべかたチャレンジドリル」、最新釣果も釣り場もみつかる!釣り記録アプリ「ツリバカメラ」、料理が楽しくなるオンラインマルシェ「komerco(コメルコ)」の7つです。
それらに加えて、デザインの横断部署が数年前に発足しました。当時はデザイン戦略部、今はデザイン推進部と呼ばれていて、デザイナーやUXエンジニアが数人所属しています。デザイン業務の全体を支えたり、デザイナーがいない部署のデザイン業務をしたりする役目を担っています。
理由は主に2つあります。
まず1つ目に、良いデザインを提供するためです。新規事業ではデザイナーが1人でデザインを担当することがあるんですよね。デザイナーの負荷を少しでも軽減するために、デザイン外注の契約方法やツールの紹介、インタビューのノウハウのレクチャーなど、プロダクト間をつなぐ目的です。
2つ目に、デザイナーの正しい評価と育成をするためです。デザイン統括マネージャーのような立ち位置で、デザイナーを客観的に評価して正しく育成し、良いプロダクトを作れるようにすることが目的です。
横断部署が発足する以前から、プロダクト単位では割り振れないデザインの仕事はたくさんありました。例えば採用サイトを作るとか、コーポレートのプレスリリースとか、デザイナーのいない部署や新規事業のデザインなど。
そんなこぼれ球のような業務を誰が担っていたかと言うと、いわゆる優しい人が担当していたんです。それらの業務を実行したことが評価される体制が整っておらず、評価に繋がらないことをもどかしく感じていました。同時に、所属部署のプロダクトの仕事に一生懸命取り組んでほしいという気持ちもあったんです。そこで横断部署を作る必要性が出てきました。
余裕があれば進めたいなと思っていた仕事ができるようになりました。例えばガイドラインをまとめたり、アイコンのディティールを再調整したり、新しいデザインツールの発掘をしたり。さらに、事務処理関係のことも受けてもらえるので、プロダクト部署に所属するデザイナーが、よりプロダクトに集中できる環境が整えられたと思います。
クックパッドマートのチームは、とにかくリリースと、MVP(Minimum Viable Product:顧客に価値を提供できる最小限のプロダクト)を作るまでのスピードが際立って速いです。顕在化していない新しい価値を提供する時は、完全でない状態のプロダクトでも、とにかく出して検証することを大切にしています。
ユーザーインタビューで「あなたの最寄り駅に冷蔵庫が置かれていて、配送料無料で生鮮食品が届きます。そのサービスを使いたいと思いますか?」と聞いてみても、わからないんですよね。使うかもしれないし、使わないかもしれない。誰も経験したことがないものですから、それ自体便利だという確証もないんです。結局、やってみるしかなくて。最初は立派な冷蔵庫を用意できず、クーラーボックスから始めました。
クックパッドマートは新規事業で、ユーザーを失うリスクがなかったからこそできたことかもしれません。リリースして3年が経った現在、失いたくないものも出てきますが、とりあえず世に出してみて、その後で丁寧にチューニングをするという姿勢は変わりません。
すごく大きいです。最近、Japan CEOの福﨑と考えたことをお話しします。
まず、プロダクトは価値を作って世に出して増やす上で3つのフェーズに分けることができると考えています。0→1をつくるデザインエンジニアリングと、1→10をつくるプロダクトエンジニアリングと、10→100をつくるプロダクションエンジニアリング。
クックパッドマートはまだプロダクションエンジニアリングのフェーズまで進められておらず、いかにデザインとプロダクトのことをプロダクションに落としこんでいくか、そのスムーズさやスピードが大事な局面です。
そこで、デザイナーの力が必要になります。価値が生まれそうなアイデアを試し、抽象的なものを具体化する力です。今すぐには実装しないデザインを早い段階から作ることで、事業の先を見据えられるようになるんです。
デザインエンジニアリングでは、ハイコンテキストで抽象的でわかりにくい概念的な事象が多いんですよね。それをプロダクトに落とすときに抽象化しなければいけません。そして、その抽象をさらに具体化するんです。
例えば、丸と三角と四角が重なったような、一言で言い表すことが難しい形があったとします。どうやってこの形を説明するのかという部分でデザイナーの力が必要だと思っています。チームにもお客様にも価値を分かりやすく提供したい時に、具体化して説明するスキルが、デザイナーには必要なのです。
数字がきちんと出るので、前に進みやすいことですね。
クックパッドマートやレシピサービスは既にたくさんのユーザーがいるので、色々なことを試して、それに対する確かな結果を得ることができます。既存事業ならではのエビデンスを持って戦えるのは、挑戦のモチベーションにもなりますし、良いプロダクトを作りやすくなると思います。
また、クックパッドのサービス開発では、歴史の長い既存事業にも関わらず、新しい価値を提供しようと大きなチャレンジを続けています。
例えば、レシピの魅力を引き出して人気順ではないレシピの選び方を提供したり、投稿がより楽しく身近になる工夫、クックパッドで食材を買える新しい仕組みなど、難易度の高い、だけれども成功すれば大きな価値提供になるチャレンジをし続けています。だからクックパッドのトップ画面やタブは毎年変わっていて、便利なだけのサービスではなく、料理の楽しさにつながるアップデートをしているんです。
クックパッドに限らず、どのサービスも「毎日の料理を楽しみにする」ためにつくっていて、そのための入り口がレシピだったり買物だったりするだけなんです。レシピや買物だけを提供したいわけではなくて、レシピや買物をきっかけに「毎日の料理を楽しみにする」を実現したいので、やるべきことはまだまだいっぱいあるんです。

まず、単純に新卒が優秀だからです。顕在化はしていなくても、潜在的に優秀なデザイナーがたくさんいると感じています。
もう1つの理由は、新陳代謝を図りたいからです。若い世代の人に料理をしてもらうには、その世代の人しか持っていない感覚が必要です。実際、新卒で入社した社員の提案が理解できないことがあるんですよね。そんな時、「全然わからないけどやってみて」と言えるのが嬉しいんです。
そして、実績ですね。今まで新卒で入社したデザイナーは、全員が入社後すぐに活躍するというわけではありませんが、今では全員が大活躍しています。若いデザイナーが会社を支えて、カルチャーを作っていくのだなと思います。
もちろんベースのスキルは必要ですし、料理への興味やインターネットが好きかどうかという観点もあります。でも、すごく大事だなと思うのは、アグレッシブさです。ある意味で、行儀の悪さが大事だと思います。やったことがない、任されていない仕事でも挑戦してみる・フットワークが軽く、まず手を動かす人は優秀な人が多いなと感じます。学生時代に色々なことに興味があって、YouTube配信をはじめてみたとか、学校のこういうところが気に入らなくて直談判したとか、世に出ている商品が気に入らなくて自分で作ってみたとか。
これから、会社もどんどんチャレンジしていかなければいけないからこそ、散らかしていいから、色々なことを実行する人が良いなと思います。そういう人ばかりになったら落ち着いた人が欲しくなるかもしれないですけど(笑)
職域やチーム、正社員と業務委託、料理と生活、あらゆる境界をなくしていきたいです。クックパッドに入社して、フリーランス時代と大きく違ったのは、エンジニアとの関係性でした。それまでは、デザインを決めた後で仕様をエンジニアに伝えるという流れで、明確に役割が分かれていたんです。しかしクックパッドはデザインとエンジニアリングの境界線が曖昧で、みんなで作るという姿勢なんです。そうすると効率も良いし、働いていて心地いいんです。
働き方に関しても、境界をなくすことで今よりもっとパフォーマンスをだせて、もっと楽しく働けるんじゃないかと思っています。例えば3年で退職する正社員もいれば、3年以上会社を支えてくださっている業務委託さんもいますが、契約の違いは必ずしもサービスやユーザー、チームへの思いの違いというわけではないと思うのです。リモートと出社を切り替えながら働く事や、プロジェクトの進め方もそうですが、個人やチームやプロジェクトによって働き方の境界をなくし、意思を持って使い分けていくようにできないかと考えているところです。
デザイナーの職域が広がると言われている中で、今後もデザイナーのスペシャリティーとともに活躍する場が広がっていくのは間違いないと思います。デザイナーが、それがデザイナーの仕事と言えるかどうか分からずとも「ユーザーに価値提供をするためにはそれが正しいのだ」とみんなが疑いなく行動でき、それが結果スペシャリティーや強みとなっていくというカルチャーとラベリングを整理していきたいと思っています。
ですので、今後も肩書きや事業部といった境界を超える人が増えれば良いなと思っています。
僕は入社するまでクックパッドのことを全然知らなかったです。境界を超えて、チームで挑戦をするクックパッドには若い力が必要です。クックパッドを知らなくても、アグレッシブに挑戦してみたい方を歓迎します。お話させていただければ見えてくることもあると思うので、是非コンタクトをとっていただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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昨年、クックパッドはWeWork オーシャンゲートみなとみらい内「Cookpad park」に本社を移転しました。「街やつくり手と一緒に、毎日の料理を楽しみにしていく場所」というコンセプトを掲げ、クックパッドのミッションを具現化した空間となっています。

社員自らが生産者となることを目的に、オフィス内には食べられる植物を設置。ミーティングルームは横浜の街の景色にちなんだピクトグラムや名称が設定されています。

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この記事を書いた人

ReDesigner for Student
ReDesigner for Studentは、デザイン会社による「デザイナーを目指す学生とデザインの力を信じる企業をマッチングする就活プラットフォーム」です。企業と学生の間に立ち、 就職活動だけでなくデザイナーとしての未来を考えることができる多様な機会を提供し、教育から就職まで一貫したデザイナーのキャリア支援を行います。
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