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市場で評価される力を社内で育む。ゆめみ×ReDesigner 「外部キャリア相談制度」が目指すもの

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インタビュー

2025/4/24

市場で評価される力を社内で育む。ゆめみ×ReDesigner 「外部キャリア相談制度」が目指すもの

デザイナーのキャリアを考えるとき、「社内の評価」「組織内での役割」に焦点が当たりがちです。しかし、本当に活躍できるデザイナーとは、社内だけでなく、市場全体で通用する力を持つ存在ではないでしょうか。

NTT東日本、JPデジタル、星野リゾート、パナソニックなど600社以上の様々な企業とサービスを企画・開発してきた株式会社ゆめみ。2019年からデザイン組織の強化にも力を入れてきました。そして2023年、同社はReDesignerと協業し、「外部キャリア相談制度」を導入しました。

デザイナーの成長と組織発展についての本質的な問い、そして双方の「日本により良いデザイナーを増やしたい」という思いから生まれたこの取り組み。なぜ協業することになったのか、育成を通して目指しているデザイナー像、これからのデザイン組織のあり方について、株式会社ゆめみのCDO兼プリンシパルプロダクトデザイナーの野々山さんと、ReDesigner事業責任者である宮本にお話を伺いました。

野々山 正章(Masaaki Nonoyama)|株式会社ゆめみ CDO / プリンシパルプロダクトデザイナー

1981年生まれ。2007年から家電や医療機器、自動車などの組み込みUIを中心に、ユーザーリサーチ、プロトタイピング、デザイン手法開発を行う。2021年10月に株式会社ゆめみに経験者採用により入社。新規事業開発や、デザインシステム構築などで広くデザインに取り組んでいる。復業では、研究員や大学講師、アウトドアメーカーの組織開発ディレクターを務め、フルリモート&パラレルワークに邁進しつつ、父としてもワークとライフを調和させる“ワークフルライフ”を実現する。

宮本 実咲(Misaki Miyamoto) | 株式会社グッドパッチ ReDesigner事業責任者

人材紹介会社にてエンジニア・クリエイターの転職支援に従事した後、未経験でデザイナーとして人材紹介会社に転職。2018年にグッドパッチに入社し、キャリアアドバイザーとしてReDesignerに携わる。これまで1,000名以上のデザイナーと面談、求人企業のコンサルを担当。現在は事業責任者として、事業と組織の運営に携わる。

「市場価値」を理解し、どこでも通用する人材を育成する

──「外部キャリア相談制度」を設置した背景について教えてください。

野々山さん:2019年から、デザイン組織を拡大するにつれて、課題に上がったのが「デザイナーのキャリア相談にのれる人がいない」ということでした。

ゆめみには当時から多くのエンジニアがいるのですが、デザイナーは15名程度しかいなかったんです。デザイナーの人事は、これまでエンジニアを主に見てきた人事担当者が、デザインやデザイナーについて詳しく知らないまま兼任している状況でした。ただ職域が違うので、キャリアについて深い話ができていなかったんですね。そのため、デザイナーのキャリア相談をサポートでき、寄り添える人が必要でした。それに、社内だけではなく市場に必要とされるようなチームを作りたいと思っていました。

そこで外部の専門家に入っていただくのはどうかと考えたんです。メンバーは業界全体の視点からキャリアを見つめなおすことで、自社だけでなく業界全体で通用するデザイナーに成長する機会になるのではないか。社内の人だと本音を話しづらい場合もあるので、外部の方であれば裏表のない話ができるかな、と。

そこで白羽の矢がたったのが、当時から採用エージェントとして支援くださっていた宮本さんでした。ゆめみには、宮本さんを通じて10名のメンバーが入社しているんです。そのため、社内事情やメンバーをよく理解してくださっているという信頼感がありました。

宮本:そう言っていただけて嬉しいです。「すぐにでもサービスをはじめたいですね」と話していましたが、実現可能なスキームを模索した結果、2023年6月頃から開始。私たちにとって、待望の取り組みでした。

──キャリアについて深く考えられるようになること、専門家の視点を得ること以外に期待していたものはありましたか?

野々山さん:デザイナーには、自分の「市場価値」を社内評価と切り離して考えられるようになってもらいたいと思っていました。

例えば「ゆめみで500万円もらっている」という捉え方だと、単なる給与の話になります。しかし、「市場全体で見たら自分は500万円の価値を持つデザイナーだ」と認識することで、仕事に対しての責任感が変わるんですよね。

この意識が醸成されることによって「社会に対してこの価値に応じた貢献をしなければ」という視点が生まれるんです。社内評価ではない、より広い視点での自己認識と責任感を育てたいと考えていました。

──導入にあたっての社内の声はいかがでしたか?

野々山さん:反対意見はなかったです。むしろ、社内の人事担当者からは「デザイナーに寄り添った、いい取り組みだ」と言ってもらえました。

ゆめみでは、創業以来、「人材は資産である」という考えのもと、社員の成長に惜しみなく投資をしてきました。すでに自己研鑽を促す仕組みが社内に根づいており、例えば「まなびファンディング制度」など、学習のための様々なインプットに対して費用を支援する制度があります。制度やシステムも常に見直され、社員の成長を支えるために日々アップデートされ続けています。

「外部キャリア相談制度」もこの延長として位置づけられ、単なる福利厚生ではなく、デザイナーの自律的成長を支援するための人材投資と捉えています。

宮本:デザイナーの方々が自分のキャリアについて、客観的に考え、成長する機会を得る。それこそが、最終的には企業の競争力強化につながるという野々山さんの考えに、私たちも共感しています。ゆめみさんのように、デザイナー一人ひとりのキャリアや成長を考えて投資してくれる会社は稀有ですよね。

第三者だからこそ、響く言葉がある

──共通の価値観を持つゆめみさんとプロジェクトを立ち上げるにあたり、宮本さんはどのような想いで取り組まれたのでしょうか?

宮本:このプロジェクトに取り組むにあたり、私の原動力となったのは「デザイナーの本当の可能性を引き出したい」という強い思いでした。転職支援を超えて、デザイナーが一つの企業で長く活躍し、真のプロフェッショナルとして成長し続ける姿を見届けたいと想っていたんです。

現在、多くの企業が「ミドルクラスのデザイナーが一定のスキルを身につけた段階で辞めてしまう」という課題を抱えています。これまで800社以上を支援する中で、このような声を何度も耳にしてきました。成長してできることが増えると、新たな挑戦を求めて転職してしまうケースが多いんです。

しかし、転職だけが挑戦の道ではありません。私たちは、“今いる”環境でも継続的に成長し、さらに活躍できる道筋を作ることも、大切な支援のあり方だと考えています。この考えと、デザイナーの長期的な成長と活躍を大切にするゆめみさんの課題意識が重なり、「外部キャリア相談制度」として伴走できており、大きなやりがいを感じています。

──具体的な支援内容を教えてください。

宮本:現在は1人1時間の面談を、月に最大10名まで実施しています。実際には、月平均5名の方が面談を利用している状況です。

面談内容の秘密保持は徹底しています。「誰々がこう言っていた」という情報を、野々山さん含めたマネジメントの方々とすることは一切ありません。これにより本音ベースで悩みを打ち明けていただいていると考えています。

相談内容は様々で、チーム内でのコミュニケーションの課題、キャリアの方向性への不安、昇格や給与アップに関する相談など多岐にわたります。私がお伝えしているのは、デザインスキル自体ではなく、マインドセットや他者との関わり方、感情の整理の仕方などです。

野々山さん:宮本さんは、ゆめみの一員のような存在になりつつありますよね。それくらい弊社に溶け込んでいただいています。

宮本:それは、ゆめみさんが非常にオープンな受け入れ態勢を整えてくださっているからこそです。導入から2年が経ち、ゆめみさんの企業文化や価値観を第三者として深く理解しているからこそ提供できる、価値ある取り組みだと自負しています。

──実際に、どのような点で効果を感じていますか?

野々山さん:大きく2つの効果を感じています。

1つ目は、成長課題を具体的なアクションプランに落とし込めるようになったことです。弊社には、「給与自己決定制度」という制度があります。これは、社員が自分で給与額を提案し、3人以上の同僚からレビューを受けることで、給与が決定する仕組みです。私たちはこの給与の決定前後に宮本さんと面談することを推奨しています。

この制度導入後、給与決定前にメンバーは自身の市場価値を意識し、適切な自己評価と成長目標を持って給与額を提案できるようになりました。そして、決定後のレビュー内容を宮本さんと分析することで、次年度の成長テーマや課題が明確になり、具体的なアクションプランへと落とし込めるようになったのです。この変化が、メンバーの主体的な成長を効果的に後押ししていると実感しています。

2つ目は、キャリア判断の質が向上したことです。宮本さんに、社内にいると気づきにくい視点でアドバイスをいただくことで、より広い選択肢の中で自分のキャリアを検討できるようになりました。

宮本:第三者だからこそ、響く言葉もあるんだろうなと思ったりしますね。

野々山さん:まさに、そうなんです。私はCDOでありながらもプレイヤーとしてメンバーと案件を共にしています。そのため、良くも悪くも距離が近いんです。UIデザイナーとして18年のキャリアを背中で見せることはできても、キャリアアドバイスとなると距離の近さが逆効果になることもあります。だからこそ、プレイヤーとしての役割とキャリア支援の役割は分けるべきだと考えています。

宮本さんのように私たちの組織を理解しつつも外部の視点を持つ専門家に相談できることで、メンバーは業界全体における自分の立ち位置や可能性を客観的に理解できるようになったと実感しています。

宮本:野々山さんがおっしゃったことはとても大事なことだと思っていて......。 やはり、社内と社外の視点の違いは、キャリア支援において大きな意味を持つと思うんです。

今後、転職を考えるメンバーも相談にくると思うんですが、同じ組織にいると、どうしても今の環境が当たり前に感じられます。そんな時に、第三者として客観的に組織の価値や市場での立ち位置を伝えることで、面談者は「残る」「転職する」という選択を俯瞰的な視点で考えられるようになる。同じアドバイスでも、社内の方から聞くのと社外の人から聞くのとでは、受け止め方が変わると思うんです。

フラットに相談にのって、どちらを選んだとしても、より確信を持った意思決定ができるように後押ししていきたいですね。

──メンバー一人ひとりの成長が、組織全体にどのような影響をもたらしていますか?

野々山さん:最も大きかった影響は、組織の職位バランスが適正化されたことです。

導入前、私たちの組織はシニアとジュニアが多く、中間層が少ない「つぼ型」構造になっていました。実質的にリードレベルの仕事をしているにもかかわらず、ミッドクラスにとどまっているメンバーが、自身の価値や成長を十分に言語化できず、適切な評価につなげられないという課題を抱えていたんです。

この取り組みが始まってからは、メンバー一人ひとりの成長が可視化され、適切な評価と昇格が進むようになりました。特に顕著だったのが、若手の成長スピードです。2023年卒の若手デザイナーたちの成長が加速。わずか2年で「サブリード」と呼ばれる、6段階あるデザイナーの職位の3段階目まで昇進する人が3名も出ました。これはリードクラス手前の役職です。

こうした一人ひとりの成長により、組織全体が「ピラミッド型」構造に近づいています。この成果は経営陣からも高く評価されています。

「船を漕ぐ人」を増やしたい

──面談の過程で特に印象的な気づきはありましたか?

宮本:面談を重ねる中で、「会社という船に同乗者として乗っているのか、舵を取る一員として漕ごうとするのか」という関わり方の違いが見えてきました。どちらの意識を持って働いているかは、特に組織の変化が起こる局面で顕著にあらわれるんです。

実際、組織に大きな変化があったタイミングでは、キャリア面談の機会が自然と増えました。環境の変化をどう捉えるかに戸惑う声も多くありました。そんな時に「事実と解釈を分けてみましょう」「あなたは船に乗っていたい人なのか、漕ぎたい人なのか」と客観的に問いかけることで、冷静な判断を促すようにしました。興味深いことに、この過程を経て「やはりゆめみで働き続けたい」と決めた人たちは、その後中核メンバーへと成長していったんです。

組織との関係を受動的に捉えている人は環境の変化に対して新しい場所を模索する傾向がある一方、能動的に組織づくりに参加している人は課題解決に向けて行動を起こします。どちらが良い悪いではなく、自分自身のキャリア観や組織との関わり方の違いが表れるのです。

先ほど野々山さんが触れられていた外部視点の価値にも通じますが、社内のマネージャーよりも第三者である私からこういった視点を伝えることで、より大きな気づきにつながったのかもしれません。

野々山さん: おっしゃる通りです。「外部キャリア相談制度」を通じて、デザイナー一人ひとりの意識変革と組織への主体的な関わりが生まれています。徐々に「船を漕ぐ人」が増えてきたことで、顧客に価値を届けられるような、積極的な組織形態に移行できたんですよね。

──デザイナーへの投資を、ゆめみさんはどのように考えているのでしょうか。

野々山さん:ゆめみでは、経営レベルでデザインを重要な戦略要素と位置づけています。デザイナーは事業成長の核となる存在として捉え、継続的に投資していかなければならないと考えています。

宮本:デザイナーの成長と事業成長を直接結びつけて考えている組織は増えてきていますが、ゆめみさんのように具体的な仕組みとして実践されているケースはまだ少ないですよね。でもこのような「人を中心に据えた組織づくり」が、結果として創造性や革新性を高めて、ビジネスの成果にもつながっていくんだろうなと実感しています。

野々山さん:私たちの取り組みに「デザイン・イネーブルメント」があります。これは、デザインの価値や手法を、クライアントや社内の他部門にも理解・活用してもらうための活動です。この取り組みを推進するにあたって、デザイナーがクライアントの前に出てグイグイ引っ張っていくのではなく、"斜め後ろからそっと手を添えて押す"ようなサポートスタイルを大切にしています。

この考え方はデザイナーの育成においても同じなんです。キャリア相談を外部に委託していると言うと、キャリアアップをとことん追求するような、成果主義的な取り組みを想像するかもしれません。けれど、この「外部キャリア相談制度」の本質は、「デザイナーが新しい一歩を踏み出すための優しいあと押し」です。

派手な成果や効果をすぐに求めるのではなく、地道な積み重ねの先に、デザイナーたちが少しずつ自信をつけ、お客様への価値提供も向上させていけたらと考えています。デザイナーへの地道な投資こそが、長期的には大きなリターンをもたらすと確信しています。

「日本にいいデザイナーを増やす」共通の想いを形にし続けたい

──デザイン組織の今後の展望についてお聞かせください。

野々山さん: ゆめみのカルチャーを大切にしながら、組織を拡大していきたいと考えています。そのために採用段階から私も関わり、オンボーディングも行っています。なぜここまでするかと言うと、最初からゆめみのカルチャーを丁寧に伝えることで、それに共感したメンバーが組織に増えていくことを目指しているんです。

──「外部キャリア相談制度」を通じて、どのような未来を描いていますか?

宮本: 私たちが思い描いているのは、デザイナー一人ひとりが自分のキャリアに自信を持ち、本領を発揮できる未来です。そのために、私たちReDesignerの役割は、デザイナーの皆さんが本来の仕事に集中できるよう、悩みや迷いに寄り添い、解消できる存在であることだと考えています。

まずは、ゆめみさんのデザイナーの方々が会社の事業成長、ひいては業界を牽引するような存在になれるよう、パートナーとして活躍できる環境を全力でつくっていきたいです。

野々山さん: 私たちは、採用のゴールを単に「デザイナーを雇うこと」ではなく、「市場に求められるデザイナーに成長すること」に置いています。その上で、彼らに会社に残ってもらえるよう会社側も努力する、という健全な緊張感を持ちながら組織づくりに取り組んでいます。

そのうえで、「外部キャリア相談制度」は、デザイン組織をより良くしていくためのチャレンジの一つです。メンバーが自身の市場価値を正しく認識したうえで、その価値を組織に還元してくれる好循環を生み出していけたらと考えています。

宮本:多くの企業が社員の転職や社外での活動を危惧するなか、ゆめみさんのように社外の視点も取り入れながら「選ばれる組織」を目指す姿勢は、本当に本質的な取り組みですよね。

野々山さん:ありがとうございます。私個人の使命としても、日本や世界にもっと良いデザイナーを増やしていきたいんです。この点でReDesignerさんとも目線が合っていると感じています。私自身もゆめみでの活動や、大学講師やセミナー、イベントなどを通じて、デザイン業界全体に貢献していきたいですね。

──今後は他社との協業も考えていらっしゃるのでしょうか。

宮本:そうですね。業界の未来のために、この取り組みを他社とともにできたらと考えています。ただ、誤解を恐れずに言うと、協業先を選びたいなと思っています。「転職を防止する」という消極的な目的ではなく、デザイナーが活躍し続ける組織づくりに本気で取り組みたいという企業様であれば、ぜひとも協業していきたいですね。

野々山さん:この仕組みを広げていけたら、より多くの魅力的なデザイナーが育つ環境ができそうですね。その草の根活動のひとつとして、これからも引き続きよろしくお願いします!

宮本:こちらこそ、よろしくお願いします!

編集部より

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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この記事を書いた人

佐々木まゆ

1992年生まれ。ライター。デザインコンサルのロフトワークを経て、ライターとして独立。ウ ェブメディアにてインタビュー記事や事例記事を執筆。

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