
「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」という企業理念を掲げるキャディ株式会社。製造業界のDXを推進するリーディングカンパニーとして、国内大手メーカーをクライアントに持ち、日本、ベトナム、タイ、アメリカで事業を展開しています。
2024年に祖業の部品調達支援サービスからSaaS事業へと大きく舵を切った同社。現在、第二創業期を迎えているなか、既存の枠組みでは解決できない製造業の課題に、前例のないアプローチで挑んでいます。この大きな転換期において、事業成長の鍵となっているのが「デザイン」です。
今回は、VPoE(VP of Engineering)としてプロダクト開発組織を統括する藤倉さんに、デザインが事業成長の鍵となる理由、そして開発における哲学について伺いました。
藤倉 成太(Shigemoto Fujikura)| VP of Engineering
株式会社オージス総研に入社し、ミドルウエア製品の導入コンサルティング業務に従事。赴任先の米国・シリコンバレーで現地ベンチャー企業との共同開発事業に携わる。帰国後は開発ツールやプロセスの技術開発に従事する傍ら、金沢工業大学大学院(現・KIT虎ノ門大学院)で経営やビジネスを学び、同大学院工学研究科知的創造システム専攻を修了。2009年にSansan株式会社へ入社し、クラウド名刺管理サービス「Sansan」の開発に携わった後、開発部長に就任。2016年からはプロダクトマネジャーを兼務。2018年、CTOに就任し、全社の技術戦略を指揮。その後VPoE、Sansan Global Development Center, Inc. のDirector/CTOを歴任したのち、2024年1月にキャディ株式会社に入社。
大学では精密機械工学科でモノづくりを学んでいましたが、子どもの頃からコーディングに興味を持っていたこともあり、卒業後はソフトウェアエンジニアの道を選びました。
キャディは3社目で、1社目は新卒でSIerに入社しました。9年在籍したうちの5年間は、アメリカ・シリコンバレーにある現地のベンチャー企業へ出向し、そこでの経験がその後のキャリアを方向づけることになります。
シリコンバレーで目の当たりにしたのは、「自分たちの技術で世界を変える」と熱量高く仕事に邁進するエンジニアたちの姿でした。その姿にとにかく圧倒されましたね。そして、もう一つ強く印象に残ったのが、自己紹介をするとよく言われた「日本にソフトウェアエンジニアっているんだね」という言葉です。日本の車や家電は海外でも高く評価されている一方で、ソフトウェアはほとんど認識されていない現実を痛感しました。これらの経験から自分でプロダクトをつくって世界に届けたいという思いが強くなり、取り組むなら日本の会社でと考え、帰国を決意します。
そして2社目には、当時設立2年目だった名刺や企業情報などの一元管理サービスを展開しているSansan株式会社に入社します。同社には15年間在籍し、CTOやVPoE、グローバル開発センターの責任者を経験しました。そして、2024年にキャディに入社し、現在はVPoEを務めています。
理由は大きく3つあります。1つ目は、モノづくりの世界に関われることに魅力を感じたからです。というのも、大学で精密機械工学を学んだものの、ソフトウェアの道を選んだ私には「もしハードウェアの道に進んでいたら......」という思いがずっとあったんです。キャディなら、製造業とソフトウェアの両方に関われる。理想的な環境だと感じました。
2つ目に、日本の製造業とソフトウェアテクノロジーの組み合わせに大きな可能性を感じたからです。日本のソフトウェアの認知は世界的には十分とは言えない一方で、製造業は確固たる信頼とブランド力があります。この強みを活かして世界で結果を出せれば、日本のソフトウェアの見方も変わるはずだと考えました。
そして3つ目に、人に惹かれました。代表取締役の加藤、CTOの小橋と話をした際、描くビジョンのスケールの大きさ、その革新性に驚かされ、2人とともに世界で勝負したいと思ったんです。

キャディは2017年に創業し、製造業が抱える構造課題の根本解決を目指しています。
創業当初は「CADDi Manufacturing(キャディ マニュファクチュアリング)」という製造業向けの部品調達支援サービスを展開していました。私たちは自社工場を持たないファブレスメーカーとして、お客様の部品調達から品質検査、納品までを一貫してサポートし、国内の製造メーカー売上トップ20社のうち75%と取引関係を構築するまでに成長しました。
前述の通り、事業は順調に成長していました。しかし、調達領域の支援であるManufacturing事業だけでは、製造業が抱える構造課題を解決するには限界があると気づいたんです。サプライチェーン全体を変革するには、より多くの企業に価値を提供できる仕組みが必要でした。
そこで2024年に「第二創業期」として再出発を決意。祖業である「CADDi Manufacturing」をSaaS事業に統合し、「製造業AIデータプラットフォームCADDi」として新たに舵を切りました。CADDiのアプリケーションである「製造業データ活用クラウドCADDi Drawer(キャディ ドロワー)」と「製造業AI見積クラウドCADDi Quote(キャディ クオート)」を開発・提供。これにより従来の1対1の個別支援から1対多数の支援モデルへと進化し、より多くのお客様に価値を提供できる体制を整えました。
CADDi Drawerは、図面や仕様書、購買履歴などのあらゆるデータを活用するためのアプリケーションです。
製造業の現場では、情報が社内のあらゆるところに散在し、さらにベテラン社員の経験や記憶に依存している情報も多いため、過去の設計資産の参照が難しいことが多々あります。その結果、同じような設計であっても一からつくりなおすという非効率が生じているんです。CADDi Drawerでは、情報を一元化・活用できるようにすることで、こうした属人化と非効率の解決を目指しています。
CADDi Quoteは、部品や材料を調達する方々向けのアプリケーションです。最適なサプライヤーと価格を素早く見つけることができます。
従来の調達業務は、複数社からの相見積もりや細かい品質のすり合わせなどに手間がかかっていました。またここでも、ベテラン社員にしか判断できない暗黙知に頼る部分が多く、業務の標準化が難しい状況でした。CADDi Quoteは、こうした調達業務の課題を解決し、効率化と最適化を実現します。

製造業は国境を越えたサプライチェーンから成り立つグローバル産業だからです。デジタル化の遅れや属人的な業務プロセスといった問題は世界共通で存在しています。そのため、日本だけでなく世界中のサプライチェーン全体を変革する必要があります。
この世界共通の課題を解決するために、私たちは「これまでにないソリューションをつくる」ことにこだわっています。製造業では起きにくかったイノベーションを、日本発で世界に広げていきたいと考えています。

デザイナーは、PdM・エンジニアと密に連携しながら開発を進めます。実際にデザイナーが関わるのは数十名です。メンバー間の信頼関係が強く、職種の垣根を越えてオープンに議論できる環境です。
このような体制で開発を進めていますが、今後プロダクトの数が急速に増えていくこと、またエンタープライズのお客様の利用が増えていることから、プロダクトをより大きく進化させる必要に迫られています。そのため、デザイン組織の拡大は事業成長に不可欠だと考え、現在採用に力を入れているところです。
「探索」を重視しています。なぜなら私たちがつくるのは「これまでにないソリューション」だからです。
既存の参考事例がない中で、どんな課題を解決すべきか、どんな形なら使いたいと思ってもらえるかを様々な問いを立てながら、本当に必要とされるプロダクトをつくっていく必要があります。だからこそ、観察者としてのデザイナーの視点が欠かせません。
最も重要な役割は、顧客が抱えている課題を正確に把握することです。課題は顕在化しているものなのか、それともまだ認識されていない潜在的なものなのか。そして、課題の本質はなんなのか。これらを見極めるために、お客様の日常業務を深く把握する必要があります。
そのために、PdMと共に現場でヒアリングを重ね、細かな観察を行います。例えば、いつパソコンを開きどんな作業をするのか、どのような心理状態で画面に向き合うのか、1日の業務フローはどうなっているのかなど、一つひとつの行動の背景にある文脈を理解していきます。
大きく2つあって、まず、「とにかくたくさんスピーディにつくる」ことです。探索で得た知見をもとに、膨大な数のデザインパターンを素早く形にします。このとき、技術的制約は常に意識しています。そのため、エンジニアと密に連携し実装可能性を確認しながら進めることで、理想論に終わらないデザインを追求しています。
次に「スケーラビリティを前提としたUX設計」です。ユーザー数が10倍、100倍になってもカスタマーサクセスを同じように増やすことはできません。だからこそ、ユーザーが迷わず自走できる情報設計など、サポートコストを最小化するUXを意識的につくり込んでいます。
確かにAIの進化により、UIデザインを効率的に生成でき、実装までできるようになりました。ですが、私はデザイナーの本質的な仕事は、デザインを素早くきれいにつくることではないと考えています。本質は「解決すべき課題はなんなのか」「その課題をどうすれば解決できるのか」を考え抜くことにあり、これはAIには答えられない領域だと考えています。
製造業は非常に領域が広く、業務は多岐にわたります。さらに地域によってアプローチも異なる。日本とアメリカで同じような課題を抱えていても、解決方法は変わってくるんです。こうした複雑な文脈の中で本質的な課題を見極め、解決策を導き出すこと。これこそがデザイナーにしかできない価値だと思います。
まず、日本発のグローバルプロダクトのデザインに携われることです。キャディは現在、日本以外にベトナム・タイ・アメリカに拠点を持ち、サービスを展開しています。各国の文化や商習慣に応じたローカライゼーションも含め、グローバル市場でのプロダクト開発を経験できる貴重な機会があります。
あとは、製造業という巨大産業の変革に携われることです。私たちが解決する課題は、最終的に生活の中にあるモノの進化にもつながります。つまり、自分のデザインが人々の暮らしを豊かにする可能性を秘めているんです。これほど大きなインパクトを生み出せる環境はなかなかないのではないでしょうか。
一定の成果は出ていますが、私たちの事業は必ずしも成功が約束されているわけではありません。この不確実性を楽しみ、「これまでにないソリューションをつくる」ことに前向きに挑戦できる方とご一緒したいですね。
前例のない事業をつくるのは、とても難しい挑戦です。しかし、天才にしか許されない仕事ではありません。情熱と「実現する」という強い意志があれば、誰も踏み込んだことのない領域でも切り拓いていけると考えています。
デザイナーはプロダクトコンセプトを見える形にする仕事です。
世界中の製造業でこれまで解決されずに残り続けてきた課題を明らかにして、誰も実現したことのないプロダクトで問題を解く。製造業が変わればモノづくりのイノベーションが加速して、人々の暮らしや働き方はもっと良くなると信じています。
キャディのプロダクトデザインを通して、世界を変える仕事をしましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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この記事を書いた人

佐々木まゆ
1992年生まれ。ライター。デザインコンサルのロフトワークを経て、ライターとして独立。ウ ェブメディアにてインタビュー記事や事例記事を執筆。
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