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現代の大抵の課題は、社会の「分断問題」だ。デザインで世界のパラダイムを変える、NEXTユニコーン企業に話を聞いてみた。

2018年に発表されたデザイン経営宣言。デザインという言葉の浸透とともにユーザ体験を本質に考えた多くのサービスが生み出されている。
しかし、情報や便利なサービスが増える一方で、なんとなく"不便さ"を感じる瞬間はないだろうか?
そんな中、人・モノ・サービス・空間など、社会のあらゆるものをつなげることで新しい体験や価値を生み、課題解決を行うCONNECT-TECH(コネクトテック)カンパニーとして注目を集め続ける企業がある。
今回は株式会社ビットキー Co-founder / 代表取締役CEOを務める江尻祐樹さんに現代社会の課題、さらに同社の事業やビジョン、今後デザインに期待することを聞くことができた。
今回は今までのReDesigner Magazineと少し雰囲気を変えて、お届けします。
江尻祐樹 (Yuki Ejiri)|株式会社ビットキー Co-founder / 代表取締役CEO
大学時代は建築/デザインを専攻。卒業後リンクアンドモチベーショングループに入社、様々なコンサルタント業務に従事。2009年にワークスアプリケーションズへ中途入社後、数百名程度のコンサルタント・サービス組織の統括などを経験。プライベートで先進テクノロジー研究会を立ち上げ、ブロックチェーン/分散システムの研究を始める。研究会のメンバーを中心に、全く新しいデジタルID認証/キー基盤を開発し、2018年にビットキーを創業。ビットキーの中核を担う「bitkey platform」の発明者でもあり、今注目されているスタートアップ創業者の1人である。
CMをみていただきありがとうございます。最近、「CM見たよ」と言っていただけることが増えてきてとても嬉しいです。CMでも流れている「スマートロックだけじゃ、あ〜りません!」という言葉の通り、僕たちは”スマートロック屋”ではないんです。特徴はいろんな切り口で語れると思うんですけど、一旦僕たちの事業のことは置いておいて。今日は社会で起きている問題について話しませんか?
すみません。僕らが目指したい世界観や事業については、ちゃんと後半でお話ししますので(笑)
早速本題に入りますが、社会の「分断問題」について考えたことはありますか?
いくつか具体例をあげてみましょう。
近年、新型コロナウィルス感染症の影響で「ニューノーマル」「ハイブリッドワーク」という言葉をメディアでよく見かけるようになりましたね。ビルの中でニューノーマルな働き方に対応させようと思うと、いろんな仕掛けやソリューションが必要になってきます。そこで発生する一番解決が難しい課題が、共有部と占有部が混在することで「体験」が分断していることなんです。
占有部であればテナントである会社側が導入するソリューションを決められますが、エレベーターやフラッパーゲートのような共有部はビルのオーナーさんがなにを導入するか決めます。このように意思決定者が違うことによって、「フロアの中では顔認証で入室できるのに、ビルの入り口はカードがないと入れない」といった「体験」の分断が起こります。一つひとつのサービスは便利なのに、リアルな世界での体験は途切れてしまっている。
世の中は単純にできていなくて、このようなことがいろんな場面で起きています。
「働く」というシーンで、もう1つ具体例をあげてみます。
テレワークの普及に伴う働き方の多様化として、「働く場所を検索して予約して使えます」という施設やサービスが増えていますね。
フリーアドレスやABW*、ホテリング*と呼ばれているようなものもあれば、コワーキングスペースやシェアオフィスがあったりと、社内外問わず働く場所自体を選べるようになってきました。このような施設を検索して予約して使うときに、「ちょっと手間がかかるな...」と感じたことはないでしょうか?自社のオフィスは自社のスケジューラーで予約する席や会議室を検索して、提携しているコワーキングスペースを予約するときはコワーキングスペース用のシステムにログインして...と、同じ行為なのに各種サービスが繋がっていないことで体験が分断されています。
これは「働く」という1つのシーンですが、みなさんの身近な「暮らし」のなかでも体験の分断が起きていると思います。
自分の家の玄関にスマートロックを取り付けてみたけど、結局、物理的な鍵を差し込まないとマンションのエントランスは開かないとか...。
*ABW:アクティビティ・ベースド・ワーキングの略で、仕事内容に応じて働く場所や時間を変える働き方。フリーアドレスと異なり、オフィスデスクだけでなく、場所・拠点そのものを仕事内容に応じて選択できる特長がある
*ホテリング:ABWやフリーアドレススタイルのワークスペースにおいて、座席を予約する考え方

このように世の中の大抵の課題は分断していることによって起きていることが多いんです。
これが社会の「分断問題」です。私たちはそのような課題に対して「コネクト」というテーマで解決していく集団です。
僕たちがコネクトしていくとどうなるのか。
例えば、最初にお伝えしたビルの中での体験の分断を解消すると、1階のエントランスも、オフィスまでにいくエレベーターも、オフィスへの入室も、どこでも同じ顔認証やQRコードで入れるようになります。このように場所自体はバラバラでも、最終的に使う人間の体験がコネクトしていくことによって煩わしいことから解放され、ノーストレスな体験が実現できるようになる。多くのステークホルダーのニーズに個別に答えながら、全体としても「コネクト」して最適な体験を生み続ける、これが我々がやっていきたいことです。
そして、このような分断問題は、デジタル上よりもリアルの世界の方が多く発生しています。物理的な世界に対してアプローチしないと本質的な解決になりません。なので、事業特性として、ソフトウェアだけでなく、リアルな世界にコネクトするためのデバイスとしてハードウェアも扱っています。ここがビットキーの面白い特徴の1つですね。
「コネクト」が大きなインパクトをもたらすアプローチだったからです。特定のソリューションを作り出すのもよかったのですが、最終的にインフラになったり、常識が変わるようなものを生み出そうとすると、自社で全部やるのではなく、色々なものとコネクトしてユーザー自身が新しい体験を生み出すというアプローチが非常にタイムパフォーマンスがよかったんです。
世の中には、自社だけでは解決できない問題が多くあります。例えば、マンションの再配達問題も「体験」が分断されている1つの例ですね。この問題を解決しようとすると、多くのソリューションと、配送業者やディベロッパー、組合、管理者、入居者などの多くのステークホルダーの協力が必要になります。再配達のコストは日本だけで5000億円から1兆円と言われており、世の中の置き配がゼロになるだけでも大きなインパクトがあります。
とても複雑でユニークですが、すべてがコネクトし課題が解決したときは、特定の誰かのニーズを満たすことの何百倍、何千倍以上の影響を及ぼします。そこから導き出される体験が「日常」になったら、もう元に戻れないかと。これを無限回数チャンスがある限りやりたいです。
そして、可能性を日々感じながら仕事ができる環境を創りたいという想いもありますね。
僕自身、社会をガラリと変えていくためにやっていることが、仕事を通じて”生きてる意味”や”生きてる楽しさ”になっていて。こういうことに情熱を持てるメンバーが「未来をつくっている」という感覚を持ちながら仕事ができる環境が日本に多くなかったので、それを自ら創り出したいなというインターナルなテーマがありました。GoogleやiPhoneのように、10年後、20年後にはそれがない時代が考えられないぐらい面白いソリューションやプロダクトを生み出して社会がガラリと変わることに関われたら、仕事をしていてこれほど面白いことはないと思います。
生み出すものが「いかに大きいものであるか」「社会的に価値のインパクトが高いものか」「それによってガラリと変わるものであるか」。こういうことを生きている間にいくつ生み出せるか、どれぐらい大きく生み出せるか、どれぐらい遠くまで届けられるかということに興味があったり、そこに熱量がある仲間たちと世界を変えていきたいです。
いろいろな切り口があると思いますが、デザインは問題解決を設計することだと思っています。何らかの課題やテーマの最適解を自ら考えて、人に伝えるためにアウトプットする人は全員デザイナーだと思います。僕はアウトプットが「経営」の形をしたデザイナーです。
ユーザーがあるべき理想の体験像を、他の人にもわかるように形で表してアウトプットするのがデザインの力だと思っています。
最適解を目指す上では多くの障壁があります。その一つが、コスト・システム・ステークホルダーの分断などの制約条件によって、理想のデザインを叶える難易度が極めて高くなることです。
私たちは常にAll in oneで考えていて、すでにあるエンジンを使いすべてのものを最適化していくことを目指しています。最適解は場所ごと、企業ごとによって異なりますよね。これにアジャストできるものをすべて揃えてデザインをすれば、必ず理想的な「体験性」「利便性」「安全性」に辿り着けるというのが「コネクト」に込めている最も根源的な意味になります。制約条件下で全力を尽くしていろんなデザインに注力すれば、実現に向かって必ず邁進できるという楽しさがビットキーにはあります。
職種的な意味合いのデザインに絞ってお話しますね。デザイナーには、使う人とのコミュニケーションのデザインの中で、具体的なアウトプットを生み出す役割を期待しています。特に私たちの場合、スマホのアプリ、Webサービス、ハードウェアもあれば、ユーザーがマンションなのか戸建に住んでいるのかなど、コミュニケーションの形が多様です。例えば、住宅の置き配の最も重要なデザインって何なんだろう、その中でもスマートロックってどうやってデザインしたらいいんだろうとか。それはハードウェアのデザインもあれば、ソフトウェアのデザインもあって、融合した上でのUXのデザインもあって。さらには、今求められているデザインと、10年後求められるデザインは違うことも踏まえてデザインしていかないといけない。考えることが凄く広くて、深くて、将来的な遠さまで考えてデザインをする必要があります。これがとても面白く、他にはない世界観ですね。
デザイナーには、プロダクトを通じて、何が最適かを具体的に考えてアウトプットし、エンジニアサイドやプロダクトサイドともにデザインでリードしていってほしいと思っています。
また、ユーザー想定や業務想定の「広さ、深さ、遠さ」をどこまで考えられるかもすごく大事です。1つのプロダクトを磨き込むだけではなく、他のプロジェクトと組み合わせたり、エンジニアやセールス、マーケティング、CSのメンバーとも立体的で複雑な意思決定やディスカッションをおこなったりするのも、活躍している方の特徴です。同時に、そこだけに固執はしてほしくなくて、メンバーのバックグラウンドやスキルに応じて、活躍できるところを見つけて価値を発揮してほしいと思います。特にビットキーには様々な可能性やフィールドがたくさんあります。今の強みを活かしながら、その周辺でも全然違うところでも、どんどん成長してチーム全体の組織力を上げていってほしいと思います。
えーっと、この質問が一番難しいですね(笑)
事業成長スピードに対して、人の採用や育成、組織力が追いついていないということを自認していて、その前提でいうと、本当は大事にしたいけど、力不足で大事にできていないものがあります。
それは何かというと、「広さ、深さ、遠さ」で価値が最大化するようなアウトプットを最初から出すことです。応用できる範囲=広さ、解決した時のインパクトの大きさ=深さ、現在から解決するまでの時間=遠さとした時に、「広さ、深さ、遠さ」を自在にコントロールしたいと思っています。
立体的に問題解決をしていかないと、社会の分断問題の解決に繋がらないからです。
結局、一番だけでは弱いと思っていて。特定領域の一位がいっぱい現れることで分断問題はさらに加速していきます。一つひとつのサービスは便利になっていくのに、リアルの世界では体験が分断されたままになっています。だからこそ、コネクトでやっていかないといけない。
狭くて近い問題解決も価値はありますが、過去の歴史からも、分断問題は加速して大きな価値にはつながらないことが分かっています。
スポットでの問題解決ではなく、立体的な問題を解決していくためにも、最初にものすごく考え抜いたものを作りたいんです。

デザイナーに限らずなのですが、スキルや知識を大量にインプットアウトプットしながら、思考する経験があるかどうか。思考体力があることが大事だと思っています。マラソンと同じで、毎日考えていると思考体力がついてくるんですよね。
そして、そこに自分の意思が宿ってる人。デザイナーの切り口、エンジニアの切り口、セールスの切り口がぶつかって高次解になることがコラボレーションだと思っているんですよ。僕らは、「あらゆる世の中の空間はどういう構造化をしておくと、プロダクトやデータベース上での表現が後から手戻りなく差異なく作れるか」という禅問答のようなことに毎日あたっていて。私たちは答えのない解を導いて形にする事業をしているので、それぞれのアイデアや解をぶつけ合えることがとても大切だと思っています。また、日々思考をしていて、アウトプットがすごく早い人に限らず、とことん調べて、考え、試行錯誤して解を導き出せる人も大歓迎です。方法論は何でも良いんです。どちらにしても、なぜこれが良いと思ったのかを説明でき、人とコミュニケーションができる方と一緒に働きたいですね。

まずはじめに、ビットキーは人生における体験を3つの領域に分けています。「暮らし(Home)」「働く(Work)」、そして、「非日常体験(Experience)」です。これらの領域において、最初にお話しした社会の分断問題の解決を目指しています。
Experience領域は面白いですよね。旅行、コンサート、ホテルなどがこの領域にあたります。Experienceは武器が揃ってないと挑戦できない領域だと思います。言葉の通り、Experienceは「体験」そのもの。例えば、「ホテルに泊まる」という体験があったとき、行く前の体験、行った後の体験も重要です。仕事だったらできるだけ楽に検索したいので、利便性や安全性がすごく重要です。しかし旅行になった瞬間にその価値観がひっくり返りますよね。出張だったらサクッと予約して、早く移動して、ついたらチェックインとか無くしてすぐ部屋入りたいのに、旅行だと無味無臭じゃないですか。これまでにHomeやWorkの領域でやってきた、鍵関連や手続きの煩雑さをなくす武器を持ちながらさらにワクワクに変えていくことはおもしろい課題ですね。
おっしゃる通りです。HomeやWorkの領域におけるデザインの力も重要であることは間違いないのですが、Experience領域ではデザインは絶対置いていけません。我々の根源的な文化や仕組みなど組織の定着を一緒にさせていただいて、数年後Experience領域に挑む。グローバルな展開を見据えると、デザインの力を蓄えていかないと勝負できなくなるんじゃないかなと思っています。そういう意味でもまだまだ弊社のデザイン組織は立ち上げ期ですね。
自由度が高いと言うのは、それぞれの判断に任されることが多いということなので、弱みでもあります。短期的な勝負では1つで勝ち切るほうが有利です。しかし、根本的にそれだと楽しくないと思っていて、3年で勝ち切ろうというより、5年10年面白くやれる器を作ろうと思っています。正解か不正解かは結果でしかわからないですけど、それはどっちでもよくて、今は、信じて本気でやることが大事だと考えています。
入社してから一つの道を極め続けることもできるし、逆に最初はUIデザインから入って、組み合わせのUXまで拡大させることもできます。また、スマートロックもそうですしフィジカルなハードウェアデザインまで幅を持たせたせることもできます。また、我々はコンシューマー向け、管理会社向け、サービス事業者向けなど様々なプロダクトを展開しているので、自分がやりたいことに手を出せば、社内でのキャリア変更もできます。そのため、一つのことだけに携わっていることをずっとやって飽きてしまったり、デザインの対象が限定されてしまうようなことはないのではないかと思います。
ビットキーでは、この先10年20年を見据えた多様なテーマと一貫したコンセプトに長く取り組んでインフラ性を獲得するくらいまでになりたいなと思っています。それに一緒に挑戦したいと感じてくださるデザイナーを心待ちにしています!

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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この記事を書いた人

ReDesigner
ReDesignerは、デザイン会社によるデザイナー向けのキャリア支援サービスです。 企業とデザイナーの間に入り、独自のオンラインアンケートや面談を通じて、 デザイナーの特性やキャリアの指向性を理解した上で適切なマッチングを行います。単純に紹介をするだけでなく、デザイナー特化型の求人票も用意しており、デザイナーが働きやすい環境設計も支援します。
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