
UXデザインを専門的に学ぶ”UXネイティブ”の学生たちが集う、UX ROCKET。
今年度も千葉工業大学を中心に、芝浦工業大学、常葉大学、東海大学、専修大学など、様々な大学の学生が集結し、企業や大学の教授を含め、参加人数300名を超える大規模イベントとなりました。
今年は新型コロナウイルス拡大の影響を受け、完全オンライン開催。あらゆる境界が消えゆく世界において”UXはどうあるべきなのか”、デザインの力を信じる企業・学生が入り乱れて議論する機会となりました。
ReDesigner for Studentは、デザインの力を信じるたくさんの企業と、これからの未来をつくる学生、そして学生を支える教授のコラボレーションを実現できるUX Rocketを毎年支援しています。今回は、その様子をレポートします!
まずは企業で働くデザイナーのみなさまに、自社がUXデザインをどのように捉えた上でユーザーに価値を届けようとしているかを、学生に向けて説明していただきました!
参加企業
・富士通株式会社
・株式会社リクルート
・株式会社ビズリーチ
・パーソルキャリア株式会社
・クックパッド株式会社
・Sansan株式会社
・NTTコミュニケーションズ株式会社
・サイボウズ株式会社
・レバレジーズ株式会社
・株式会社コンセント
・株式会社グッドパッチ
・株式会社日立インフォメーションエンジニアリング
各社様々なサービスや事業を展開されていますが、これらの企業には共通点があります。いずれも「デザインの力を信じ、新卒のUIデザイナー、UXデザイナーを積極的に募集している」ということです。
モノの消費の時代が終わり行く中で、それぞれの企業がどんな視点でユーザーのニーズを掴み、そしてどんなデザインプロセス・デザイン組織を以てしてより良い価値を届けようとしているのか。学生のみなさんは、企業の実践的な取り組みを知ることで、改めてUXデザインの可能性を実感する時間になったのではないでしょうか。
❏ 2022年12月10日開催!ReDesigner Online Meetup in UX Rocketにお申し込みされたい方はこちらから
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4年生は、「OMO(Online Merges with Offline)就活への挑戦。これからの僕たち。」というテーマで、オンライン就活のメリットとデメリットを振り返り、UXデザインを学んだ視点から、新しい時代の就活のあり方について発表しました。
海野 真梨奈(Marina Unno)|常葉大学 造形学部|安武研究室 4年
大学の授業で主にサービスデザインやUX・UIデザインについて学びながら、市役所と連携して移住者を増やすための地方創生型プロジェクトを推進されています。静岡在住の地方学生として東京都内でUXデザイナーを目指し就活していた経験から、「この企業、本当に大丈夫?!〜オンライン就活生が不安になる会社の特徴〜」というテーマで発表していただきました。
海野さん:
学生がオンライン就活において不安を感じる要素は3つあります。
1つ目に、オンライン説明会。
会社の全部署が参加する合同説明会だとデザイナー職についての詳細がわからず、その会社での働くイメージがつかなかったため、企業の不信感に繋がりました。部署ごとに説明会を分け、学生が志望している部署の担当者に気軽に質問できる環境づくりをすることで、企業に対する信頼度や関心が高まり、ミスマッチを防ぐことができます。
2つ目に、オンライン面接。
画面から見えるもの、つまり面接官の態度や環境によって、企業の印象が形作られます。淡々とした面接方法だと学生の緊張を助長しやすく、企業に対するマイナスイメージが定着してしまいます。限られた面接時間の中では、よりリアクションを大きく取り、学生の本当の姿を引き出せるような対策が必要です。
3つ目に、一問一答式の面接。
企業側が一方的に質問をしていると、学生側が受身状態で、フラットな関係性ではありません。双方向のコミュニケーションを取ることができる対話型の面接に切り替え、学生と企業双方における情報の透明化が起きるのではないかと思います。
一方で、オンライン就活は地方学生にとっては非常にありがたいもの。オンラインによって生まれる可能性はとても大きいです。移動時間往復2時間分の時間を有効に使うことで、就活を理由に大学を休まずに済み、交通費を削減できたことから、より多くの会社に出会うことができました。
就活時、「UX」という言葉が浸透してきていることに驚きました。会社の代表や採用担当者から特に評価されたのは、大学でUXを学びながら新しいモノを作り続けたことです。大学で、リーダーとして地方創生型のプロジェクトを推進したことは、私の将来の夢にも繋がっています。
きっかけは、こども食堂でボランティアをしていた際に、日本人のボランティアに対するイメージを変え、より積極的に取り組んでもらいたいと考えたことです。そこで、子どもの主体性を育むと共に、地域の活性化を目的としたプラットフォーム「チャレンジのたまご」を考案し、開発しています。ユーザー(地域活動をしたい人)が地域活動をプラットフォーム上に掲示し子どもの集客を行った後、参加してくれた子どもに、その地域で使用できる疑似通貨を渡すことで、地域に還元するという仕組みです。実際に、チャレンジのたまごを利用して「子ども新聞」を作成した所、生き生きとした子ども達の姿を見ることができ、大変有意義な活動になりました。将来的には、地元である静岡で、街づくりのための会社を立ち上げ、ソーシャルデザインを行っていくという野望があります(笑)
新型コロナウイルスによって、地域と都市の境界線が無くなりつつある今、地域に存在する小さなコミュニティが活性化し広がることで、日本社会全体の活性化に繋がります。この時代における就活も、オンラインの利便性とオンラインに敵わないコミュニケーション面をカバーする要素を融合することで、確立します。企業と学生の両者が手を取り合いみんなで新しい時代の就活、そして社会を創っていきましょう!
川上 友輝(Yuuki Kawakami)|専修大学 ネットワーク情報学部 ネットワーク情報学科 4年
広告代理店で長期インターンをしながら、メディアの立ち上げやインフルエンサーマーケティング、そして音楽活動などを行うなどして、ご自身が興味のあること全てに挑戦し続けられてきました。そんな大学生活を送っていた川上さんが、一番人生体験に影響されたという「就活」を起点に、どのようなキャリアデザインをしてきたのか。「歩きながら考えるキャリア」というテーマで発表していただきました。
川上さん:
「UXデザイン」がユーザーを選定した後プロトタイプを作成し試行錯誤するプロセスであるのに対し、「当事者デザイン」は、私たちが経験を通して成長し変化していくプロセスです。僕はこの「当事者デザイン」を自分自身に行い、研究を行ってきました。そして、就活時に使うべきデザインプロセスだと思います。
僕の周りのデザイナー志望の学生は、「こういうデザインがしたい」「こんな企業に就職してこんな仕事がしたい」と決めつけてしまっているせいで、自身の可能性を狭めているように感じました。僕自身、大学4年間インターンしていた会社で就職しようと考えていましたが、自分の作った広告を閉じてしまったことをきっかけに、様々な媒体で自分の作成した広告や自分の存在価値をみいだすことができるよう、総合代理店への道を決めました。そして将来は、広告を通して言葉のデザインをしていきたいと考えています。
正直、アプリやウェブサイトなどで広告が出た時「広告邪魔だなあ」と思う人も多いと思います。しかし僕は、広告には2つの力があると思っています。
1つ目に、言葉の力。
もし、「今から約500kmを移動してください」と言われたらどう感じますか?億劫に思いますよね(笑)でも、「そうだ、京都に行こう」と言われたらワクワクするのではないでしょうか?ユーザーの視点に立ち、少し言葉を変えるだけで、言葉の受け取り方が変わりるのがわかります。
2つ目に、文化や流行を築く力。
サンタクロースをイメージする際、赤い衣装が思い浮かびますよね。これは、昔コカコーラの宣伝広告によって、「サンタクロースの衣装は赤い」と人々に定着したからだと言われています。文化に根付くほどの影響力を持つ広告は、今後より流行を築き、人々の生活に溶け込む存在になるのではないでしょうか。
デザイナーは内向的で、常にPCと向き合いクリエイティブ作成に打ち込んでいるようなイメージでしたが、実際は、デザイナー以外の役割の人を巻き込んだり、ユーザーインタビューを行うなど、コミュニケーション能力や語彙力も問われますよね。それは、広告をつくる側も同じです。1つでも多くの方の生活に馴染み、文化や流行になるような広告をつくっていきたいと考えています。
キャリアデザインの過程で、将来を見過ぎて足元をすくわれる就活学生もいると思います。新型コロナウイルスの影響で、OMO(Online Merges with Offline)就活はこれからの時代で当たり前になっていく以上、「変化に対応する力」が求められています。まずは自分の過去を振り返り、今の社会を見据えて自分の立ち位置を見極めてみましょう。
矢吹 ナスカ(Nasuka Yabuki)|千葉工業大学 安藤研究室 4年
大学でUXデザインを学びながら株式会社メンヘラテクノロジーで長期インターンを実施後、現在は株式会社グッドパッチにUIデザイナーとして内定者インターン中です。コロナ禍でのデザイナー就活をどのように乗り越えたのか、「デザイナー就活は最高の体験!!」というテーマでお話ししていただきました。
矢吹さん:
私がUXデザインに興味を持ったのは、デザイン思考をとり入れたワークショップやアイディアソン・ハッカソンを運営する父の影響です。大学受験時に、「UXデザインを学ぶ事ができる学部があるから入れ」と言われたのがきっかけで、千葉工業大学への進学を決めました(笑)UXデザインを学びたい社会人が集まっているワークショップやアイディアソンに参加し、与えられた課題やデザインプロセスを共に解決していくうちに、デザインで課題解決することに興味を持ち始め、UXデザイナーを志すようになりました。当時は、「UXを学びたい社会人はいっぱいいるんだ」と私自身驚きましたが、UXを学部で学んでいることを伝えると社会人の方は凄く驚かれました。
今では、UXを学ぶことのできる大学に行かなくても、独学でUXを学び、デザイナーを目指す学生も多い時代です。「時間と環境と付き合う人間」を変えることで自分自身を変え、コミュニティの枠を超えたことで今までにない体験を得る事ができたと思っています。
私は、まだデザインの力に気付いていない、もしくはデザインを必要としている企業の助けになるようなデザイナーになりたいと考え、Goodpatchに入社しました。デザイナー就活をしている学生に向けてお手伝いできることがあれば携わりたいので、「センスが無いからデザイナー就活できない」と考えている学生には特に、デザインの楽しさから伝えていきたいです。
矢吹さんの就活のプロセスとアドバイス
1. 自分が好きなサービスを作ってみましょう
まずは、自分が好きなサービスを作ることを今の就活生におすすめしたいと思います!ターゲット・コンセプト・ユースケースなど考えるのは大変ですが、調べれば出てくるので、まずは1つのサービス追求してみてください。2. ポートフォリオと名刺を持って外に出よう!
デザイナー就活に必須のポートフォリオは、なぜこのデザインにしたのかなど意図が伝わるようなデザインの工夫が重要です。なぜこの色・フォントにしたのかなどを明記し、色んな方からフィードバックを貰いましょう。ワークショップ、インターン、オンラインでポートフォリオを見せ合う機会、アイディアソンなど、様々場面で、現場デザイナー・デザイナー志望の方・デザインが好きな方に出逢う事ができます。私はそこで、SNSのURLを載せた名刺とポートフォリオを渡していました。大学というコミュニティの枠を超えると、ポートフォリオのフィードバックやインターンを紹介してもらう機会が増えます。コロナ禍で情報収集をしたり、ポートフォリオのフィードバックをいただくのは難しいと思いますが、私の場合今まで出会った方々と積極的に連絡をとる事ができました。是非イベントには参加するようにしてください。 知らない世界や自分に興味を持つようなことに出会う確率が上がります。3. 好奇心を大事にする
自分が興味を持つもの・会社を大事にしてください。ここでの注意点がデザイナーがいるかどうかの確認です。私の経験上、デザイナーがいないインターン先はどうしたらいいか分からなずアドバイスも貰えないので自分が成長しているかどうかも分からなかったです。インターン行く際に「デザイナーはいますか?」と聞いてみましょう。
3年生は、UXデザイン当たり前に学んだ”UXネイティブ”だからこそ抱いた不安や悩んだことをバネに、現在挑戦していることや今後のキャリアについて発表しました。
渡邊 聡美(Satomi Watanabe)|常葉大学 安武研究室 3年
大学でUXデザイン及びサービスデザインを学びながら、静岡県内のベンチャー企業でインターンをされています。大学で取り組んだチームプロジェクトの課題とそれを乗り越えるために行っていることを「チームで創るためにチームをつくるということ」というテーマで発表していただきました。
渡邊さん:
チームの基盤が整わなければ、目の前の課題解決や喜んで貰えるUX体験を創る事ができません。学校の健康診断に関するチーム課題に取り組んでいた際、3つの問題が発生し、改善に取り組みました。
1つ目に、これから起こりうるリスクを想像する事ができず、完成予定を1週間も伸ばしてしまったこと。
参考のUIデザインを共有するだけだったため、制作物をお互いに確認するタイミングを逃し、使用する要素のサイズ・フォント・色・ボタンのデザイン全てがバラバラでした。今では、どんな些細なことも絵を描くことで共通認識を図っています。
2つ目に、手順通りであると立派な成果物ができると過信していたこと。
大学で学んだプロセスの通りに動くあまり、ユーザーを理解するための時間を取ることができませんでした。目的に応じて、学んだ手法を融合させることで、この課題を解決する事ができています。例えば、授業で学んだカスタマージャーニーマップとリーンキャンバスを組み合わせるなど、柔軟な手法で取り組んでいます。
3つ目に、そもそもチームメンバーのことをわかっていなかったこと。
チームメンバーの強みや弱み、そしてスキルを持っているか分からないまま進行してしまいました。そこで、今はプロジェクトリーダーがお互いの強みは何か問う時間を作ったり、1対1で話をしたり、一緒に食事をしながら雑談をするなどして信頼関係を気付き、お互いの弱い所を補う連携ができています。
高校の「情報」の授業カリキュラムに人間中心設計(HCD)が必須項目として追加され、2022年には全面実施となるため、私たちより下の世代は全員UXネイティブになると言えます。今は、デザイナーでは無い人もデザインに取り組む時代。小さな規模だと、私の祖母が必ず回覧板にお便りを挟んでいる所もデザインと言えますし、大きな規模だと、デザイン経営を行う企業の経営層の方々もデザインを活かして国を作られていると思います。そのため、今後デザイナーという大きな肩書きは細分化され、地域づくりデザイナー、フードロスデザイナーというようにコンテンツごとに確立していくと思います。
だからこそ私は、社会の複雑化と同時に多様化するニーズに応えられるよう、データから判断する定量的な手法・プロセスだけでなく、社会情勢を学んだり生活者のリアルに基づき消費者に寄り添うなどして、喜んでもらえる体験を届け「まくり」たいです(笑)どんなに社会が変わっても、人と人が共に創るという場面はなくなりません。所属するデザインチームから体験を届けるユーザーまで、みんなが喜ぶことができる体験と環境づくりを創る日頃の小さな働きかけがサービスを創る上で重要なポイントになると思います。そして、より良いアイディアが生まれる技術や産業、社会の発展につながると信じています。
前島 菜々(Nana Maezima)|芝浦工業大学 ユーザーエクスペリエンス デザイン研究室3年
デザイン科目とエンジニアリング科目を学びながら、株式会社palanでUIUXデザイナーとしてインターンをされています。1つの専門を極めるのではなく理系科目とデザイン科目の両方を学び、自分自身の強みを発見する方法について「”半分理系”の自分らしさの探し方」というテーマで発表していただきました。
前島さん:
大学1年生の時に、技術者が直面する倫理的な問題を考察する「工学倫理」という授業がありました。そこで、「技術者(や専門職)の役割は、人に貢献する善い行い」であると学び、技術を身につけて働く上での責任感と自覚が芽生えました。
一方、理系科目とデザイン科目の両方を学ぶ私は、将来の夢と自分らしさとは何か悩みました。「専門分野を極めなくてもよいのか。でもプログラミングは膨大な課題量だから、限られた時間全てを費やすのは正しいのか」と葛藤し、「自分らしさって何だろう?自分の強みを証明できるスキルはあるの?ポートフォリオでどう自分をアピールできるの?」と改めて疑問に思ったのです。
そこで、合同企業説明会に足を運び、参加する歳の近い新卒デザイナーやデザイナーを目指す学生のデザインに対する情熱と自信に圧倒されました。そこで、「とにかく前進しなければならない」と考え、1日1UI作成、コンペへの参加、Twitterで自分の活動を発信するようになり、インプットよりアウトプット中心の行動に変わっていき、「UXデザインをする上で、色んな職種の人の話を聞くのが面白い」「登場人物(ユーザー)が多く、複雑な問題を解決してみたい」と自分の目指すものへのヒントを得る事ができました。
また、3日間で、コンセプトを考え作品を創り上げる複数社のオンラインインターンに参加しました。デザイナーの多様性・個性を認め合う企業の出会えたのはとても良かったです。人に納得していただくための資料作りやオンラインでのコミュニケーションを通じて、1つの正解にたどり着くために、トライアンドエラーを繰り返しました。
そうした密な時間を費やす中で、「悩みや欠点を解決しようとする姿勢と論理的に物事を可視化し、説明する力」は私の強みだと気付き、改めて自分の夢を振り返りました。自分の専門分野の範囲で、強み・将来の目標を見つけることに固執しなくても、「自分のスキルや知識を超えた大きな課題を解決したい」というのが私の想いを大事にしたいと思いました。
「UI」「UX」という存在が当たり前になる時代で、既存のデザイン手法やプロセスに囚われず、新しい方法を追求しつづけるUIデザイナーとして社会インフラに携わりたいと考えています。ぜひ、皆さんも色んな可能性から「私らしさ」を探し、自分の思考や表現をアウトプットすることで「私らしさ」は形にしてみてください。
吉田 隼(Hayato Yoshida)|千葉工業大学 安藤研究室 3年
渋谷拠点の学生ARサークルSpatial Computing Labで活動する傍ら、株式会社 x gardenでインターンをされています。そもそも空間コンピューティングとは何か、から新時代で求められる体験デザインについて「空間コンピューティング時代へようこそ。全ての夢が具現化する世界と私」というテーマで発表していただきます。
吉田さん:
空間コンピューティング時代は、空間的なデジタル情報の操作・閲覧を可能にする空間コンピューティングが一般化した時代のことを指します。1980年まで、CUI(Character User Interface)で論理的な操作・閲覧してきた人々は、1980年以降から現在に至るまで、GUI(Graphical User Interface)で直感的な操作・閲覧を可能にしました。私たちは、1980年のパラダイムシフト以降40年間のコンピューティングを二次元という制約の中で行ってきたのです。しかしながら、コンピューターの性能の発展によって、三次元的なデジタル商品を使うようになった今、この制約は限界を迎えているのかなと感じています。
新型コロナウイルスの影響によって、デジタル商品と向き合う機会が増えましたが、実際にPCで、二次元的に実際の質感やサイズを表現するのは最適と言えるでしょうか?多くの人がビデオ会議システムを使用するようになりましたが、果たして最適と言えるでしょうか?
本当は、実際の話し合いのように、双方向な会話ができるようにしたいのです。
つまり、私たちは一見とても便利な世界の中で生活していますが、実は二次元の制約によって最適でないコンピューティングを日常的に行っています。そこで次の時代(2023年〜)に、SUI(Spatial User Interface)とも呼ばれる空間コンピューティングで、より人間的な操作・閲覧を行う事ができるようになります。単なる進化でなく、コンピューティングにおける次元が私たちの生きる次元と並んだことに特別な意味があると感じています。
人の想像や夢を具現化できる魔法のような時代が来ると予感していて、私が空間コンピューティングに大きな可能性を感じている理由の1つです。フィジカルとデジタルの体験の境界を無くす技術であるのです。例えば、千葉工業大学に訪問したい際に、今まで行き先を検索し画面にルートが表示されている体験が、表示された画面を見て行き先に向かって歩くというフィジカルなユーザー体験に変わります。また、体験を設計する側としても、乖離しているリアルの体験デザインとデジタルの体験デザインの考え方・知見・スキルが融合され、より幅広いスキルが求められていくのではないかと考えています。
だからこそ、UXデザインを学ぶだけでなく、UXデザインと他の専門分野を習得しているというようなアイデンティティを見いだすことは重要です。私のように、UXにアカデミックな開発者・技術的立場の方は少ないのではないかと思っています。UXネイティブとして、新しい体験創造のための新しい基盤を作り、空間コンピューティングという「全ての夢を具現化する力」を使って、現実世界をどの世界よりも楽しく、面白い場所へ変化させるのが私の将来のビジョンです。
学生セッションの後は大学の教授たちによるセッションです。新型コロナウイルス拡大の影響を受け、大学も講義の大半はオンラインとなりました。UXネイティブを指導する教授たちは語ったこととは?
大学の研究室でプロジェクトとして取り組まれている作品を中心に紹介していただき、各大学から取り組みの概要やコロナ禍におけるUXデザイン教育についてお話ししていただきました。
参加大学
・千葉工業大学 先進工学部 知能メディア工学科 安藤昌也研究室・中本和宏研究室・田邉里奈研究室・小早川真衣子研究室
・専修大学 情報ネットワーク学部 上平祟仁教授 研究室
・東海大学 教養学部芸術学科 富田誠准教授 研究室
・常葉大学 造形学部 造形学科 安武伸朗教授 研究室
・芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 吉武良治教授 研究室
吉武先生:
UXデザイン教育は、インタビューやフィールド調査など、学生が実際に何かを体験してみることで成り立つので、演習の実施はかなり厳しかったです。新型コロナウイルスの影響は非常に大きく、どの研究室も内省的なプロジェクトテーマが多かったと思います。発表内容にバラエティが無いのではないか、という声も上がりました。
しかし視点を変えてみると、今私たちは、100年に1度もしくは200年に1度しかない事象を体験していることになります。だからこそ、それぞれが自分なりの考え方で、状況を打開するためのプロジェクトに取り組むというのは価値があると思うのです。「今直面している問題に向き合うこと」がUXデザインの領域においては非常に重要であると学生に伝えています。オンラインでもグループ課題の実施にそれほど影響はなく、Googleスライドを用いて、価値マップを作成するなどしました。
安藤先生:
上平先生の授業が非常にユニークな印象です(笑)
上平先生:
面白い授業を創るために僕自身の行動範囲を広げるようにしています!
僕が遊園地に行ってアトラクションのデザインを解説する授業を行いました。専修大学の近くにあるよみうりランドでアミューズメントワーケーションというプランが開始され、格安で観覧車の中で仕事ができたりするんです。
今週は、学生たちに「自宅にある好きなプロダクト」を授業で紹介してもらい、僕がそのデザインを解説する授業を行いました。家の中にあるプロダクトのデザインをどのように捉えるか伝えたかったのですが、学生からは「授業中ずっと座っている状態ではなくて良かった」という感想が多かったので目から鱗でしたね(笑)1日中座りっぱなしの学生にとっては授業中に運動する授業は珍しかったのでしょう。
安武先生:
低学年の学生にとっては、例年よりレポートを書いて提出する機会が多くなったため、文章構築力やロジカルに調査する力がついた後に卒業研究に望めるのは良かったと思います。
ただ、やはり大学生活のまとめを行う3・4年生の時期に対面授業が少なかったのは、学生にとって非常に厳しかったと思います。これまで3年生は産業をテーマにプロジェクトを進めることが多かったのですが、今年は介護・教育・子どもなど日常生活に寄り添ったテーマが多かったですね。
富田さん:
自分の身の回りの出来事や、これまで当たり前になっていたシーンに目を向ける学生が多くなったと思います。特に私の研究室では、ドキュメンタリー映像を撮る学生が増えました。新型コロナウイルスの影響でこれまでとは違う社会を目の当たりにした学生たちが、映像を撮影したくなったということだと考えています。大学の清掃員、早朝にラジオ体操をしている一般の方、学生自身のお爺さんなど、撮影の対象は様々でした。
また、オンライン就活とこれまでの就活でどれくらい体験が異なるのか、インフォグラフィックの視点から研究をしている学生もいます。私の授業では、オンラインでもこれまで以上に学生全員の興味関心がリアルタイムにわかるよう、参加者全員のマウスポインターが表示されるオンラインコラボレーションツールを使用するなどして工夫しました。
富田先生:
僕は、卒業研究を通して、自分の専門性や目指したい道が切り開かれるというのが理想の形態なのでは無いかなと思っています。就活を辞めて卒業研究に全て時間を注ぎ、その集大成をnoteにまとめた学生がいたのですが、最終的にnote株式会社に就職したのには驚きました。
安武先生:
正直地方大学の学生にとって今年度のオンライン就活は、就活を「内定を取るための行動」と単線的に捉えた場合、効率が良かったのではないかと思います。ただ、内定を取るという目標を達成することだけが就活と言っていいのかという議論は行わなければなりません。学生からするとそんな悠長に考えられないかもしれませんが、教育者の視点からすると就活を通して学んでほしいのです。
例えば、面接の待ち時間に他の学生と話すことで学びを得たり、UIUXという専門分野以外の職種を視野に入れる余裕を持つことは無駄ではありません。
上平先生:
自分から積極的に動くことができる優秀な学生層は問題ないと思うのですが、人に会わないことで気が滅入ってしまっている学生もいますので、大学からサポートしてあげないといけないなとも思いますよね。
吉武先生:
同感です。私は大学のキャリアサポートセンターにも所属しておりますので、大学全体の就活を見ていますが、学生たちの中でもフットワークが軽く、外の世界に出ていける人は就活でも成功していますよね。
企業側が設けられている、企業と学生が交流する場をもっと活用できるよう、学生と連携したいです。交通費や時間の削減できるというメリットは大きいです。
小早川先生:
学生との距離が近い分、大学と企業が連携できる部分は、どんどん推進したいです。私は、安藤先生との授業で学生からリフレクション(振り返り)シートを提出してもらうようにしたのですが、これまで以上に学生1人1人の本音や就活に対する不安が寄せられていたので、流動的に改善していかなければならないと考えています。
安藤先生:
企業の方には、大学の教育も信用していただきたいなと思います。その集大成として、ぜひ卒業研究などもご覧いただきたいです。今年2度目の開催となるUX ROCKETですが、ReDesigner for Studentさんにご協力いただき多くの企業様にご参加いただいています。就活の新しい形を企業と大学で創っていきたいですね。
オンラインとオフライン、バーチャルとリアル、世界の国々と多くの境が無くなってきた新しい世界には、どんなUXの可能性があるのか。UX ROCKET #02 境界なき世界のUX開拓では、学生・企業・大学それぞれの視点で語り合いました。
ReDesigner for Studentは、UX ROCKET以外にも、デザイナー志望学生向けの就活支援を行っています。 様々な領域の企業と連携しながら、『デザインを信じる』企業と学生の間で適切なマッチングを行っています。
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