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社会の非効率を解決するデザインとは【働き方×デザイン】ReDesigner Social Impact Day

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イベントレポート

2022/5/20

社会の非効率を解決するデザインとは【働き方×デザイン】ReDesigner Social Impact Day

2022年3月19日、社会課題×デザインをテーマに様々な企業が登壇するSocial Impactシリーズの第3弾が開催されました。今回は2つ目のテーマである「働き方×デザイン」のトークセッションの内容をお伝えします。

コロナ禍で働き方の価値観が大きく変化し、フルリモートや地方移住が当たり前になった今、各社は働くことをどう捉え、どのようなデザインアプローチをしているのでしょうか。

今回は、株式会社アトラエ(以下、アトラエ)デザイナーの竹田さん、スマートキャンプ株式会社(以下、スマートキャンプ)執行役員の原田さん・デザイナーの柿澤さん、Goodpatch Anywhere デザインマネージャーの五ヶ市の4名に登壇していただきました。それぞれの別の視点からの「働き方×デザイン」についてお話をお伺いすることができました。

アトラエ「エンゲージメントと働きがい」

竹田 哲也 |株式会社アトラエ Wevox Designer

2004年に株式会社オプトに入社し、広告デザインや販売管理システムなどのリプレイスプロジェクトを担当。その後、株式会社グッドパッチにてクライアントワークと自社サービスの立ち上げに従事。2016年再びオプトにて、同社のビジョンとバリューにあたる行動指針の刷新を中核メンバーとして全うする。 2018年よりアトラエに参画。組織力向上プラットフォーム「Wevox(ウィボックス)」のUI/UXデザインを担当。デザインだけでなく、カードゲームの制作やイベントの空間デザインなど、サービス全体のクリエイティブディレクションを統括。

人々の可能性を拡げる「People Tech Company」

私たちアトラエは、人々の可能性を拡げる「People Tech Company」です。「People Tech Company」は私たちが作った造語で、テクノロジーによって人の可能性を拡げるような事業を創造しようという想いが込められています。

アトラエの根底には「信じる価値への挑戦を、本気の仲間と共に」という想いがあります。大切な人に胸を張って誇れるような仕事がしたい。部活のように仲間と切磋琢磨して情熱を注げる仕事がしたい。このような想いを抱えた社員全員で、挑戦し続けています。

アトラエの働き方の特徴は「働きがい」を大事にしていること。おかげさまで、Great Place to Workの2019年版「働きがいのある会社」、従業員25〜99名部門にて国内1位、アジア5位をいただくことができました。

なぜ、アトラエは働きがいのある会社なのか。それは、意欲あるメンバーが無駄なストレスなく活き活きと働ける組織であり続ける努力をしているからです。

私たちの会社には「出世」や「肩書き」はありません。自律分散型の組織を作っているため、上司・部下という関係性が存在していないんです。上司の代わりに、私たちは仲間同士で評価し合う360度評価を取り入れています。

自律分散型組織では、情報の透明性が非常に大切です。そのため、アトラエは情報の共有を徹底し、組織について全社員で対話する機会を設けています。自律して働くということは、働く時間や場所も自分自身で決めなければいけません。自分のパフォーマンスとチームのパフォーマンスを最大化する働き方を自分で選択する。これがアトラエの働き方です。

日本の社会問題をエンゲージメントで解決する

アトラエは日本の「仕事への熱意度」と「生産性」の低さに着目し、サービスを展開しています。あるアメリカの企業の調査によると、日本の仕事への熱意度は139ヶ国中132位。1時間あたりの労働生産性は先進国の中で最下位です。

この日本の現状を、私たちは社会課題の一つとして捉えています。「自分達の会社から」という想いで、アトラエはこれまで活き活きと働く組織を作ってきました。

しかし、社内だけだとどうしても影響を及ぼせる範囲に限界がありました。サービスを通して、世の中に活き活きと働く人とチームを増やしていきたい。この想いから生まれたのが組織力向上プラットフォーム「Wevox(ウィボックス)」です。

Wevoxはエンゲージメントを可視化でき、組織の成長を後押しできるサービスです。今まで、感覚で推測するしかなかったエンゲージメントや組織の現状。それをわずか数分で回答できるアンケートを元に可視化し、組織課題の改善をサポートしています。

おかげさまで、今では2240社以上の会社、チームにご利用いただいています。

チームの血の巡りを良くするエンゲージメント

少しアカデミックな内容にはなりますが、なぜ私たちがエンゲージメントに着目しているのかをお話ししていきたいと思います。

エンゲージメントには種類があるのをご存知でしょうか?学問の世界において、エンゲージメントには「ワーク・エンゲイジメント」「従業員エンゲージメント」の2種類が存在しています。ワーク・エンゲイジメントはヨーロッパで生まれた考え方で、仕事への活力、熱意、没頭を定義したものです。一方、従業員エンゲージメントはアメリカで生まれた考え方で、会社や職場への愛着を示しています。

ワーク・エンゲイジメントは上の画像のようにモデル化されています。このモデルのポイントは、仕事の資源(メンバーのサポートや仕事環境、裁量権)と個人の資源(自己効力感やレジリエンス)で相関関係があること。モデル全体で、プラスの循環が生まれるとエンゲージメントが上がり、ストレスを減らすことができます。チーム一人ひとりのエンゲージメントが高まり活き活きと働くことで、パフォーマンスやコミットメントが上がり、チームの血の巡りが良くなるのです。

私たちがエンゲージメントを重要視している理由は、エンゲージメントスコアと離職率、生産性とは大きく関係があるから。エンゲージメントスコアが低いと、離職率が上がってしまうという相関関係があります。また、売上伸長率や受注率とも相関があることが判明しています。

エンゲージメントスコアを高め、組織レベルでパフォーマンスを上げていくためには、組織・チーム・個人の3レイヤー全ての意識や行動を変えていくことが大切だと思っています。

この3つのレイヤー全てを変えるためのサービスを作ることは難しくもあり、とてもやりがいのあることでもありました。それは、会社が抱えている問題はそれぞれで、どの会社にも当てはまる共通の解決策は存在しないからです。既存の知識や方法で解決できる問題なのか、暗黙の前提により関係性が固定化することで起こっている問題なのか。会社が抱えている問題は本当にさまざまなのです。

デザイナーの武器は対話のハブになれること

アトラエの働き方で最も特徴的なのは対話する時間がとても多いこと。新型コロナウイルス流行以前は、顔を合わせて対話する時間が非常に多かったですし、流行後でもオンラインで社内で話し合う企画がたくさん行われています。

なぜアトラエは「対話」を大切にしているのか。それは、組織・チーム・個人が抱えている問題を発見するためには、自分と相手の前提が違うことを認識し、前提を知り合うことが大事だと考えているからです。理解し合い、解きほぐしていくために必要不可欠なのが対話であると捉えています。

アトラエが大切にしている「対話」において、デザイナーは自身の武器を活かし、社内の対話のハブになれると考えています。私が考えるデザイナーの武器は、デザインに表すことで話の媒介になれることやプロセスを見える化することができることです。

他者との対話中、空中戦でのコミュニケーションの内容をデザインの力を借りて可視化することで、話をスムーズに進めることができます。”デザインを活用し話の真ん中に立つハブになる” これこそがデザイナーの役割であり、最も得意とする領域なのではないでしょうか。

スマートキャンプ「テクノロジーで働き方を変える」

原田 聖子 |スマートキャンプ株式会社 執行役員 コーポレートコミュニケーション室 新規事業企画室 管掌

京都大学法学部卒業後、エンターテインメント業界にて制作、マーケティング、広報などに従事。2011年4月、グリー株式会社に広報担当として入社し、事業開発、ソーシャルゲームのクリエイティブ部門に異動。アートハウス各社との連携を進め、ゲームディベロッパーのクリエイティブ支援組織を牽引。2016年からは、動画、インフルエンサーなどを活用したSNSマーケティング事業の新規立ち上げに伴い、子会社Glossom株式会社に出向し、事業推進室長を経て、2018年7月に株式会社マネーフォワードへ入社。2019年12月に同社執行役員に就任。2020年8月よりスマートキャンプにも出向。2021年3月にスマートキャンプ初の子会社となるADXL株式会社の代表取締役社長に就任。

柿澤 丈一郎 |スマートキャンプ株式会社 BOXIL開発本部 開発戦略部 UI/UXデザイナー

2017年度にオンライン証券会社に新卒で入社。未経験からデザイン業務に携わり、約3年半個人投資家向けのスマホアプリやWebサイトの改善を担当。 その後2021年にスマートキャンプへ入社。現在はSaaSの比較サイト「BOXIL SaaS」のUI/UXデザインを担当。

少人数で世の中を変えていく「Small Company, Big Business.」

私たちスマートキャンプは「for SaaS」をスローガンに、主にマーケティング・セールス領域でSaaS企業の成長支援を行っています。社名には「色々な才能の方々が集うキャンプ場のような会社、場所にしたい」という創業者の想いが込められています。

スマートキャンプが目指しているVISIONは「Small Company, Big Business.」です。

大きなビジネスをするのに、ヒト、モノ、カネの数や大きさは関係ない。少人数でも社会を動かし、世の中をもっとよくできるということを証明したいという想いを持ったメンバーが、スマートキャンプには集まっています。

MISSIONは「テクノロジーで社会の非効率を無くす」です。

設立の当初から、日本の、特にホワイトカラーの労働生産性の低さという社会課題に着目し、その課題解決に力を注いできました。人口減少に伴う労働力の低下や経済成長の鈍化が進む中、私たちがより豊かな生活を送るためには、一人ひとりの生産性を高めていかなければなりません。そんな社会や働き方を実現するためのカギを握るのが、テクノロジーの活用です。私たちはテクノロジーを活用した生産性の向上にフォーカスしてサービスを展開しています。

私たちが大切にしているVALUESは「Think Smart, Play Fast.」で、評価制度にも用いられる4つの行動指針「SOCS(ソックス)」があります。以下の4つの単語の頭文字を取っています。

・Smart Thinking

・Ownership

・Collaboration

・Speed

スマートキャンプのメンバーは、常にこの「SOCS」を活動の指針にしています。また、半期に1回、最も「SOCS」を体現したメンバーを皆で称えるアワードも開催しています。

SaaSで日本の生産性を向上する

現在、スマートキャンプでは、マーケティング・セールス・購買まで一気通貫でお手伝いできるソリューションを構築しています。SaaSを展開する企業やSaaSを導入される企業、そこで働く方々などの人生を豊かにしたい。このような想いを持ってサービス作りをしています。

新たなSaaSと出会い、より詳しく知っていただく場として『BOXIL EXPO』というオンライン展示会を開催しています。『BOXIL EXPO 営業・マーケティング展』では3日間で5,000人ほどの方々にご参加いただいています。年に10回以上開催し、SaaSの認知を拡げていくためのお手伝いをしています。

他には、法人向けにクラウドサービスを比較し、まとめて資料請求できるSaaS比較サイト『BOXIL SaaS』。インサイドセールスの代行やコンサルティングを行う『BALES』、インサイドセールス業務を高度化、効率化するクラウドサービス『BALES CLOUD』なども展開しています。

SaaSと今回のテーマでもある働き方がどう関係するのか。まず第一に、SaaSを導入することにより、企業の非効率をなくし、労働生産性を上げることができます。

総務省の調査データを見ると、クラウドサービス(=SaaS)を利用している企業は利用していない企業に比べて、労働生産性が高いということが分かります。

ただ、企業がSaaSを導入していくにあたっては、さまざまな課題があります。スマートキャンプは、それらの課題に向き合いソリューションを提供していますが、直近では、企業のデジタル化、DX推進部門の担当者が気軽に相談できる窓口が少ないというペインに対して、新サービスを開発しています。その開発とデザインについて、次に詳しくお話します。

SaaS普及を促進する新サービス『BOXIL SaaS質問箱』

ここからはSaaSの普及をより促進するために取り組んでいる事例を紹介させていただこうと思います。スマートキャンプは、SaaS普及の促進のための新規サービスをリリースしました。その新規サービスとは、SaaS特化型Q&Aサイト『BOXIL SaaS質問箱』です。BOXIL SaaS質問箱は、SaaSやIT製品の導入を検討する時の悩みを、SaaSベンダーやIT、DXコンサルタントなどへ無料で相談することができます。

参考記事:スマートキャンプ、SaaS特化型Q&Aサイト「BOXIL SaaS質問箱」β版を公開(2022年4月20日)

このBOXIL SaaS質問箱の立ち上げには、SaaSの大きな課題を解決するという背景があります。その大きな課題とは、導入までのハードルが高いことです。SaaSの導入にあたって各サービスを比較検討し、疑問を解消していく。多くの企業はこれに多くの時間とコストをかけています。企業やSaaSにもよりますが、比較検討に半年、1年ほどかかることもあります。

弊社が行ったユーザーアンケートからの分析では、サービス選定に関する課題を48%の企業が、DXやペーパーレス化に関する課題を14%の企業が抱えているという結果が出ています。

同じアンケートをわかりやすくまとめると、既存サービスで解決できていない課題として、SaaS同士の連携や価格、各社独自のプランなどの詳細情報がBOXIL SaaSに限らず、インターネットで検索してきても出てこないという現状がありました。アンケートでも全体の7割を占めており、比較検討がなかなか効率的にできないと予測できます。

また、20%はSaaSを導入検討する以前の課題発生フェーズに関する情報についてです。DX化やペーパーレス化を推進する際、多くの企業でそもそもどう進めるのか、どこから手をつけていけばいいのかなどの疑問が生まれています。ですが、その疑問を相談する場所がないという現状があります。

このような課題を解消していこうと立ち上がったのがBOXIL SaaS質問箱です。SaaS選定における非効率を解消し、導入をよりスムーズにすることを目指しています。

コミュニケーションでデザインとシステムの乖離をなくす

次に、新規サービス立ち上げにおいて、私がデザイナーとしてやったことについてお話しします。プロジェクト体制は上の画像の通りで、ビジネスサイドには事業推進やマーケティング、営業のメンバーがいました。プロダクトサイドには、デザイナーが私ひとりとエンジニアがいました。

プロジェクトを進めるにあたって、私たちは大きな課題に直面してしまいました。その課題とは、プロダクトチームがサービスを俯瞰してみれておらず、議論が点になりがちだったこと。初期リリースにあたって必要な機能が定義できていないことです。

その中で私は、デザイナーとして2つのことを行いました。それは、「サービスの全体像を可視化したこと」「拡張性の高いUI設計にしたこと」です。1つ目については、チームの認識を揃え、サービスの構造を把握した上で必要最低限のことを考えられるよう、グロースサイクル図の作成を推進してきました。

グロースサイクル図とは、サービスの因果関係をサイクル内で循環するフローチャートに落とし込んだもの。サービスの全体像として必要最低限のサイクルが回る要素は何かを考えるきっかけになると思いました。ビジネスサイドも含め、一緒にワークショップを行い、どのような要素があるかを検討しました。

表示しているのは仮説段階の図ですが、訪れるユーザーが増えるとサイト内に質問が増え、質問が増えるとそれに対する回答が集まる。回答が増えるとマッチングのリードが増え、そのリードが増えるとそのベンダーさんのモチベーションが上がり、また回答が増える。そうすると流入が増える。このようにサービスが循環するサイクルがあると考えました。

このサイクルを一緒に考えることで、チームメンバーの認識を合わせていきました。例えば、やはり回答を集めることがサイクルを回すためには大切で、そのための回答がくるような質問をしっかり集めることが一番大事だと共通の認識を持つことができました。

これをもとに、この循環が回るよう、ユーザーストーリーに落とし込み、初期段階で開発する機能を定義しました。

もう一つ、私がデザイナーとしてやったのは「拡張性の高いUI 設計」です。初期リリースは最低限のものを出して、今後、機能を追加していきます。追加して行く時にデザインが破綻しないようにオブジェクトを中心とした設計をエンジニアと検討しました。

「OOUI」と呼ばれるものですが、エンジニアとコミュニケーションを密に取りながら、デザインとシステムにおける乖離をなくし、今後の機能追加にも柔軟に対応できるような設計を心がけました。

Goodpatch Anywhere「知ることで始まるチーム作り」

五ヶ市 壮央 |株式会社Goodpatch Anywhere デザインマネージャー

札幌からリモートで働くUXデザイナー。2008年からメーカー企業にてUIの詳細設計とUXデザインに従事。2017年札幌へUターン。2018年からGoodpatch Anywhereにジョイン。リモートでのUXデザインを実践するためのチームビルディングやファシリテーションを中心に活動している。

「デザインの今」はチームの時代

「デザインの力をもっと世の中へ届けるために東京×出勤×フルタイムをやめた組織」

私たちGoodpatch Anywhereは、リモートで、その人に適切な時間で、子育て中でも介護中でも地方に住んでても海外でもデザインできる組織です。2018年のコロナ流行前に設立されました。デザインの力をもっと世の中へ届けたい。この想いを胸に日々デザインに向き合っています。

プロローグとして、「デザインの今」についてお話しさせてください。2022年現在、デザインに造形や表現だけを中心に取り込む時代は完全に終わっています。デザイン経営宣言という言葉があるように、デザインに求められる領域はものすごく広くなってきています。

例えば、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブ、人間領域ごとの専門性、社会的意義。デザインに求められる領域のごく一部ですが、これら全てが個人に求められているということなんです。デザインをするにはこれらに関するスキルや知識が必要だということ。個人で全ての領域をカバーできるという時代、スターが一人で活躍できる時代は終わりを告げてしまいました。

「デザインの今」はチームの時代と言えるでしょう。

上の画像は、デジタルプロダクト開発に求められる人材、スキル、経験を抜粋して記載したものです。デジタルプロダクト開発に求められる人材、スキル、経験は溢れんばかりに存在します。デジタルプロダクトには異なる専門性をもった人材が必要になってきます。

今挙げたのは、開発領域だけでしたが、他にも経営、法務、特許 、HR、 CS、SDGsという文脈も関係し、全く異なる仲間とのコラボレーションが確実に必要になってきます。 つまり、デザイナーは専門家や職人であると同時に、チームメンバーとなる必要があるのです。

その上、今はリモートの時代。リモートの方が生産性が上がるという話もありますが、リモートでのコミュニケーションの怖さはなかなか拭えていないのではないでしょうか。デザイン領域に求められることが増えた時代、文脈が全く異なる仲間とチームになる必要がありますが、リモートでコミュニケーションする難易度は高まっている。デザインの今はこんな状態です。

全ては知ることから

皆様、1999年のIDEOのショッピングカートの制作についての動画(ABC Nightline IDEO Shopping Cart)をご存知でしょうか?有名な動画なのでどこかで見たことがあるという方もいらっしゃると思います。この動画にはチームであることの意義や心理的安全性の意義が詰まっています。

IDEOは、事業の制約や仲間の強み、ユーザーが中心であることを知っています。そんなチームを作るために必要なのはチームのデザインだと言われていますが、正直これはどこでも言われていることですよね。そんなに簡単にうまく行くなら、誰でもIDEOになれると思ってしまいます。

ということで今回は、「全ては知ることから」というテーマでチームについてお話ししていこうと思います。

皆様、こんな経験はありませんか?企画からUXに関われない。エンジニアと上手く連携できない。上長に伝わらない。仕事はうまくいかないことだらけです。「分かり合える仲間ならこんなことはならないのに。」働いている中で、このように考えてしまうことも多々あると思います。なんで分かり合えないか、それはそれぞれの正義やそれぞれの事情があるからです。

それぞれの正義、それぞれの事情とは何でしょうか。ユーザー目線、事業目線、開発目線、運用目線、スケジュール都合、予算都合、アサイン都合、マーケティング戦略、ブランド戦略、採用・育成戦略、長期目標、中期目標、短期目標、個人の目標。それぞれが見ている世界が全く違います。それぞれの正義とそれぞれの事情があり、立場も役割も違うお互いを知るのは難しいことですが、知らないと不信感が生まれてしまいます。

知らないことはお互いの事情だけでなく、事業や自分たちのやり方自体が正しいのかという不安も生んでしまいます。ユーザーのことが分からない、業界のことが分からない、クライアントのことが分からない、なかなか形にならない、全体像が見えてこない。このような着地点が見えないという不安がどんどん不信感を生んでしまうのです。

一方で、部署が同じになったら意外に良い人だと分かったという経験をされた方はいらっしゃいませんか?私も実際に何度かあります。違う部署にいた時は敵対していた仲間が、同じ部署になったら仲良くなったということもあります。これは、知っているという状態になったことにより、安心感が生まれ、本質に集中できるようになったからです。

上の画像はダニエルキムの成功循環モデルです。 左側が「知らない>不信感が生まれる>攻撃or防衛する」というサイクルです。例えば、一億円を売上として達成しなさいといった目標を上司から貰ったとします。そうすると、上司と自分の関係は原因追求型の関係になってしまいます。「どうして一億円の売上を達成できなかったんだ。」「それはこういう理由だからです。」という言い訳をしなければならない関係性になっていきます。

そうすると、思考も守りの姿勢の感情で捉えるようになり、自分を守るための行動をしてしまうため、行動の質も落ちてしまいます。うまくいかないことをごまかすような、自分が正しいことを証明するための行動へと変化していくのです。このサイクルを繰り返すと、結果の質はどんどん悪くなっていきます。

一方で、「知ってる>安心感が生まれる>本質に集中できる」というサイクルでは、コミュニケーションを取って信頼を構築していきます。そうすると、安心感が生まれ、本質に関しての話ができるというマインドセットになり、チームに貢献するための行動を取るようになります。このサイクルを繰り返すことで、結果の質もどんどん上がっていきます。

信頼のために知るべきこと

信頼を作るために知るべきこと。それは、事業、仲間、ユーザーの3つについてです。具体的には、事業でいうと組織、ビジネス、組織文化理念です。仲間は、スキルセット、マインドセット、本人の仕事環境やプライベートについても分かっている方が良いでしょう。ユーザーは、ペインとゲイン、マインドセット、置かれている環境や状況です。この3つについて知っていくことで、それぞれの「なぜ」が想像できるようになっていくでしょう。

これを個人ではなく、チームが知っている状態を目指すことが大事だと思います。

これは、タックマンによるチームの発達段階モデルです。左側が形成された時で右に行くほど時間が経った状態になります。丸の位置が高ければ高いほどパフォーマンスが高く、低いほどパフォーマンスが低い状態です。下の方に混乱期というものがありますが、これはチームメンバーの衝突と分裂が発生してしまう時期です。ここで衝突を恐れず、お互いのことをよく知ることで、やっとチームとしての基盤が形成されていきます。チームでうまくやっていけるようになるのが、この混乱期を過ぎてからだと言われています。

信頼のためには知ることが大切だという話をしてきましたが、言えば分かるということだけではありませんよね。ヒエラルキーや環境、正義や事情、知識、経験などは伝えれば分かってもらえるものばかりではありません。

特に、自分の専門領域はなかなか他者に伝わりにくい内容です。例えば、ビジネス側は、ビジネスサイドの正義で話しますが、デザイナーはそれぞれの専門領域の正義で話します。特に、デザイナーは仲間の不安を知り、自分事として捉えてコミュニケーションをする必要があるでしょう。混乱期を突破するためには、コミュニケーションの量、コミュニケーションの多方向性、コミュニケーションの基本的なテクニックが必要になります。

その中でも最低限必要なことは2つです。それは、「伝わらないことを前提とする姿勢」「相手を知ろうとする姿勢」。この姿勢を保ち、チームで行動していくことが大事になっていきます。相手のことを知る、事業のことを知る、ユーザーのことを知ることで、今までのやり方を捨ててアップデートしていくことがチームで働く上で必要不可欠です。

これをアンラーニングと言います。

そして、これらを気持ちではなく組織の仕組みとして解決していこうとしているのが、私たちGoodpatch Anywhereでやっていることです。

Goodpatch Anywhere流、フルリモートでもできるチームビルディング

ここからは、私たちがやっているフルリモートでもできるチームビルディングについてご紹介します。

まずは、お客様と新しいお仕事を開始するときに行う「キックオフプレゼンテーション」です。自分たちの正義やお客様を含めたメンバーの皆さんに推奨したいマインドセットを掲げ、ここを目指していこうという旗を置きます。そして、私たちが旗を掲げるだけでなく、デザインパートナーと一緒に旗をまきたい、お互いこの経路でこの山を登っていこうという話をします。最初に認識を合わせるというよりは、腹落させるという方が意味合いがあっているかもしれません。

続いては、ポートフォリオ見あいっこ会です。Goodpatch Anywhereでは、初めてチームが組まれ、初めて会うメンバーが揃ってチームになることが結構あります。そういう時は少し怖いですが、ポートフォリオを見せ合い、自分がどんなことができるか、相手がどんなことができるか、何を目指してるかという話をします。すごい怖いのですが、お互いのスキル設計や経歴、大切にしていることを開示し合うことを一番はじめにやっています。

これはアトラエの竹田さんがされている、Wevoxのバリューカードです。コミュニケーションツールをつかってお互いを知ることを私たちは頻繁にやっています。

また、「ご指名1on1制度」という制度もあります。これは週に1回、実際に誰かを指名して1on1をするという制度です。これによりメンバー同士でより深いコミュニケーションをして、かつ学びを貯められるという仕組みになっています。

これは私たちのSlackのスクリーンショットの一部です。少しぼやかしていますが、スタンプの数がとても多いことが分かっていただけると思います。まず、リアクションが分かり、かつポジティブさが伝わるようにすることを大切にしています。投稿して無視されるというのが発信の一番の妨げになります。

見ていただくと、オレンジや黄色、ピンクが多いと思います。青や紫を使わないことにより、Slack全体の色味としても柔らかく、優しい発信を促進するような色味を使っています。

共同作業はDiscordやハドルミーティングにて、用事がなくともどこかに集まって作業することが多いです。一緒に作業しながら、気付いたことや思っていることを吐き出せる環境を作れるようにしています。

これは、Scrapboxを使った日報です。メンバーには子育て中の方もいますし、介護をしている方もおります。そもそも、全員の時間が合わないので、誰がいつ稼働し、どんな作業をしているのかを共有できる状態を用意することもやっています 。

SlackBotを活用したGood/Moreの取り組みも行っています。毎日、思ったことや気づいたことをSlackの上で書き出せる状態を作っています。

加えて、「ジョハリの窓ワーク」という役割分担を見直す会を紹介します。プロジェクトが始まって2.3ヶ月経った時に、改めて役割分担を見直しています。役割分担を可視化しながら、期待と現状のすり合わせや具体的な役割分担を行っています。

Goodpatch Anywhere流、フルリモートでもできるチームビルディングをいくつか紹介させていただきました。特に私たちが意識してるのが、複数の文脈でコミュニケーションを取れる状態を作ることです。 SlackやDiscordにて気持ちを吐き出す機会を作ったり、360度フィードフィードバックや1on1で関係性を変える、発生させる機会を作ったりしています。

情報のやり取りの文脈を変え、様々な角度で個人が対話をすることで、思ってることを吐き出すことができます。それぞれが気持ちやアイデアを出していくことにより、心理的安全性が担保された状態で、良い関係を築き、チームやプロジェクト、ユーザーを良くしていく。これが私たちGoodpatch Anywhereの目指すところです。

インタラクティブセッション

Q1. コロナ禍に入り「働き方」が変化して3年が経ちますが、実際働き方の価値観の変化について感じていることはありますか?

アトラエ 竹田さん:人はこんなにも適用できて、変わることができるものなのかと実感しました。一瞬で変わることができるわけではありませんが、時間を掛けて情報や経験を得ていけば、働き方や価値観も変化していくことは十分にあると考えるようになりました。

アトラエは対面でのコミュニケーションをとても大事にしている会社なので、コロナ流行前もリモートワークも可能でしたが、あえてオフィスに行って仕事をする人が大半でした。実際に、コロナ禍で自宅で働かなければならないという状況になった時、その環境で対面のコミュニケーションの密度やお互いに理解し合う関係性をどう作れば良いのか、試行錯誤していました。結果、朝会や雑談をする時間を取ったり、Slackのハドルミーティングをオンにして音声を繋げておいたりするようになりました。

スマートキャンプ 柿澤さん:リモートワーク中心の働き方になってから、コミュニケーションとコラボレーションの重要性や、それをやることの難易度が上がってきているということを一番実感します。

ビジネスサイドのメンバーとエンジニアのメンバーとで距離ができてしまうと、相互理解や心理的安全性が損なわれてしまいます。リモートで仕事をする中で、距離を縮めるためにも雑談の時間を意図的に取ったり、Gatherというバーチャルオフィスサービスを導入したりして、オンラインでもオフィスと同じような環境を作る取り組みを行っています。

また、業種の違うビジネスサイドのメンバーとコミュニケーションをとる上で、お互いをリスペクトする姿勢はとても大切にしています。

Goodpatch Anywhere 五ヶ市さん:色々な専門家の方々とURLひとつで会話ができることにとても感心しています。場所と時間に囚われずにコミュニケーションを取れることは、メンバー同士のコラボレーションの促進に直結していると思います。

一方で、竹田さんがおっしゃっていたように、リアルで会うことの尊さや隙間時間でのコミュニケーションが失われてしまったのも事実です。私たちは、ワークショップを定期的に開催していますが、その時に机におやつやコーヒーを置いておくと、そこに集まってくる人とコミュニケーションが取れていたんです。このようなことはリモートではできないので、それを全部デザインしていかなければいけません。正直、ここは結構難しいところだなと感じています。

Q2. 3社とも「働き方」をテーマに事業を展開していると思いますが、新しい事業を作っていく過程でどのような判断軸で進めていますか?また、今後実現したい事業成長やサービスを通じて実現したい未来について教えてください。

アトラエ 竹田さん:「アトラエがやる意義」が最も優先している判断軸だと思います。その新しい事業を作って、自分の大切な人に誇れるかどうかや大切な人にそれを送って恥ずかしくないかということは常に考えています。

実現したい未来に関しては、私が携わっているWevoxのお話をさせていただくと、今後はエンゲージメントを測るところから育むところまで進化させていきたいと思っています。エンゲージメントを育むことで、今ある活き活きと働くチームを作る限界を超えていきたいです。

スマートキャンプ 原田さん:新しい事業を作る過程で大事にしているのは、まず「なぜスマートキャンプが、それをやるのか」、そして「誰に対して何を届けたいのか」ということです。この本質的な問いを、私たちは判断軸として大切にしています。

”今後実現したい事業成長やサービスを通しての未来”については、テクノロジーと、それを具現化するためのデザインの力で非効率をなくしたい。たとえば、経営者の方がSaaSを導入したことで、より経営にコミットできるとか、やりたいけれどもできていなかったことに、だれもがチャレンジできるような世の中を作っていけたらと思っています。

Goodpatch Anywhere 五ヶ市さん:Goodpatchでは「デザインの力をいかに世の中に届けられるか」ということを判断軸に、Goodpatch Anywhereでは「色々なスキルを持っている方に対して獲得の場を提供する」ということを判断軸に事業を進めています。

今後実現したいこと未来に関しては、まずは変化に関して最も敏感になりたいです。世の中は日々変化しており、そこに対して私たちはデザインの力を活用して価値を提供していかなければいけません。

組織としては、サンドボックスでありたいと思っています。幼稚園や保育園の砂場はものを作って壊したり、隣の友達とコミュニケーションを取ったりしますよね。これは、教育的観点から見て、すごく大切な環境であり、子供の成長に繋がる機会なんです。子供は砂場での経験から「変化する」という言葉自体を受け入れています。Goodpatch Anywhereでは、チャレンジや世の中の変化を全部サンドボックスの中に混ぜていって、どんどん新しいものに取り組んでいきたいと考えています。そして、世の中のデザインの力、デザイナーの力を活かし、世の中に価値を届けていくような組織になりたいです。

最後に一言ずつメッセージをお願いします。

アトラエ 竹田さん:働き方と働きがいには相互作用があります。働き方が良ければ働きたいと感じますし、働きがいを感じるために働き方をどう変えていこうかと考えることも大切です。その相互作用に気付いた時、是非一度、自分はどういうところに働きがいを感じているのか見つめ直してもらえたら良いのではないかなと思います。

スマートキャンプ 柿澤さん:今日、自分も登壇者の方のお話しを聞いて、働きがいについてあまり深くまで考えたことがなかったなと思いました。チーム内での相互理解についてもまだ十分ではない部分もあったので、今日聞いたお話のなかで吸収できるものは吸収して、実践していきたいです。

スマートキャンプ 原田さん:柿澤が言ったように、自分たちの働きがいよりも、お客様の働きがいをずっと考えきいたので、今日いただいた知見をもとに考えてみたいなと思いました。

Goodpatch Anywhere 五ヶ市さん:私も皆様と一緒ですね。テクノロジーやチームの力を使って、最終的に目指すべきなのは働く個人の幸せだと思うので、この場で学んだことを活かしながら、チームだけではなくクライアントも含めて個人が幸せになれる方法を考えていきたいなと思いました。

最後に

「働き方×デザイン」のトークセッションの内容をお伝えしました。ReDesignerは、デザイナー向けのキャリア支援を行っています。 様々な領域の企業と連携し、企業とデザイナーの間で適切なマッチングを行います。今回の登壇企業に興味のある方やキャリア相談をしたいデザイナーの方は、お気軽に以下のリンクからお問い合わせください!

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