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社会基盤をアップデートする。移動体験をデザインする責任 〜ReDesigner Social Impact Week 【移動×デザイン】〜 

https://redesigner.jp/

イベントレポート

2021/1/27

社会基盤をアップデートする。移動体験をデザインする責任 〜ReDesigner Social Impact Week 【移動×デザイン】〜 

ReDesignerでは2020年を締めくくるイベントとして、社会課題×デザインについて考えるための“Social Impact Week”を開催しました。全5回に渡り、様々な社会課題に取り組む企業に登壇いただきました。 Design Action・Creative Actionの重要性が叫ばれている中、各社は社会課題に対してどのようにアプローチし、その中でデザインはどのような役割を担っているのでしょうか。

今回は、移動分野の社会課題の解決に取り組むANAさん、Mobility Technologiesさんの2社が登壇した、【移動×デザイン】をテーマにしたトークセッションの内容をお届けします。

2020年は新型コロナウイルスの影響により、外出自粛に伴う人々の移動の減少や巣篭もり需要によるモノの移動の増加といったトレンドを肌で実感する1年間でした。今回登壇していただいた2社の、移動領域における社会課題に対する新進気鋭な取り組みとデザインの役割についてお話いただきました。

Universal MaaS〜誰もが移動をあきらめない世界へ〜|ANA

大澤 信陽|全日本空輸株式会社 企画室 MaaS推進部

Web系エンジニアを経て、AI、IoT、自動運転などの技術を追求。一方でANAバーチャルハリウッド(ANAグループ社員による自発的提案活動)のディレクターを務め、 仲間と共に「Universal MaaS」を生み出す。その後、2019年7月に新設されたMaaS推進部に移り、 誰もが移動をあきらめない世界の実現に向け、公私にわたり全身全霊を傾けている。

誰もが移動をあきらめない世界を目指す原体験、原動力。

私はANA 企画室 MaaS推進部にて、「Universal MaaS~誰もが移動をあきらめない世界へ~」というプロジェクトを推進しております。ユニバーサルデザインにMaaSを掛け合わせた考え方をベースに、新たな移動サービスの構築を目指しています。このプロジェクトを開始するきっかけとなったのは、約4年前の祖母とのエピソードです。

私の子供が生まれた際、祖母は車いすに乗っており、ひ孫に会いに行くことをためらっていました。理由を尋ねると、「他人に迷惑をかけたくない」「道中で嫌な思いをしたくない」とのことでした。

車いすユーザーの生の声を聞き、自律的な移動のあり方や、介助をする側と受ける側の関係性が大切であるということに気づきました。私はどうしても会ってもらいたかったので、祖母に無理を言って来てもらうことに。ひ孫と対面すると祖母は、”生きていて良かった”と言っていました。

そのような体験や感情を他のお客様にも味わってもらいたいと思ったことがUniversal MaaSプロジェクト開始のきっかけです。

そこで私は、ANAグループ内の社員提案制度を活用して事業化を目指しました。社内外問わず実証実験やディスカッションを重ねていく中で、誰もが移動をあきらめない世界を作りたいと思うようになりました。京急電鉄さんや、横須賀市さん、横浜国立大学さんなどと共創しながら今に至ります。

参考プレスリリース:
Universal MaaSの社会実装に向けた連携開始について
横須賀市でUniversal MaaSの実証実験を実施

「健常者」の体験価値も向上させるユニバーサルデザイン。

私たちは、移動躊躇(ちゅうちょ)層と定義した「何らかの理由により移動をあきらめてしまっている方々」に対して、新たなサービスをDoor to Doorで提供しようと取り組んでいます。

社会の仕組み・インフラは、いわゆる「健常者」目線で作られてしまっているものが多く、そこから取り残されてしまっている方々の移動が困難になっているのが現状です。

それらを移動躊躇層の目線で捉えなおして、より多くの人が使いやすくなるユニバーサルデザインの視点で作り替えることにより、移動躊躇層だけでなく「健常者」の移動体験も向上すると考えています。

私たちは、出発地から目的地まで、①「データ」②「モビリティ」③「バリアフリー」④「モチベーション」の観点で、お客様とサービス提供者を連携させることが可能になれば、双方がハッピーになるのではないか、という仮説を立てています。

その中でもモチベーションの観点である相互理解が重要だと思っています。私自身、相互理解を深めるために、Universal MaaS Communityという誰でも参加可能なコミュニティを個人的に運営しており、移動躊躇層の方々や技術者、事業者の方々と議論を交わしています。

Universal MaaSの輪を広げる取り組み。

仮説①情報(データ)に関する実証実験の取り組みについて紹介します。

現在、お客さま用には車いすユーザー向けのカーナビのような「ユニバーサルお出かけアプリ」を構築し、サービス提供者(事業者)用には、車いすユーザーが接近した際に通知や希望介助内容を受け取ることができる「ユニバーサルサポートアプリ」を開発し、実証実験を進めております。

最初から全ての移動躊躇層・サービス提供者に対して取り組むのではなく、まずは対象者とエリアを絞って実証実験を進めています。その実証実験を通じ、「○○障害のお客さま」など一括りにはできず十人十色だということや、サービス提供者毎に業務プロセス上の課題や優先度が異なっているという現状が見えてきました。

そこでお客さま用アプリでは、手配の重要性や安心・安全・確実といった考え方をベースに、お客さまが自身の特性に合ったルートを選択可能にし、楽しく移動できるようなUI/UXを構築することを心がけています。また、サービス提供者用アプリでは、業務プロセスに合ったUIのカスタマイズを予定しています。

全ての人が自分に合った移動手段を選択可能となり、どの手段でもスムーズに移動ができるような仕組みをお客さまとサービス提供者の双方の目線で構築することで、誰もが移動をあきらめない世界は実現します。その実現を目指して、Universal MaaSの輪を日本全国、世界各地に広げていきたいです。

社会の基盤を果たすモビリティーエクスペリエンスとは?|Mobility Technologies

久田 歩|株式会社Mobility Technologies プロダクトマネジメント部 デザイングループ プロダクトデザイナー

京都のWEB制作会社に新卒で入社。その後上京し、広告代理店系WEB制作会社にて、UXデザイナーとして数多くのコーポレートサイトやアプリの設計・デザインを経験。2017年にDeNA入社。MOVのプロダクトデザイナーとしてアプリ企画、設計、デザインからその後の改善まで幅広く関わる。2020年4月よりMoTにて勤務、現在に至る。

向井 毅男|株式会社Mobility Technologies プロダクトマネジメント部 デザイングループ プロダクトデザイナー

ITベンチャーでの新規営業、Web制作会社を経て、2012年8月DeNA中途入社。 ゲーム開発、ヘルスケアサービスの開発に関わった後、MOVにJoin。 以降は、主に乗務員アプリのプロダクトデザイナーとして従事し、2020年4月よりMoTにて勤務、現在に至る。

黒澤 隆由|株式会社Mobility Technologies プロダクトマネジメント部 部長

製造業のエンジニアからキャリアをスタートし、その後、IT系メガベンチャーでプロダクト開発を担当。グローバルな競争環境の激化を受け、プロダクト強化の使命を負いエンジニアからプロダクトマネージャーにキャリアシフト。2018年よりDeNAにてプロダクト強化およびプロダクトマネージャーの育成に取り組み、2020年4月よりMoTにて勤務、現在に至る。

専門性と多様性を重視したワンチーム。

Mobility Technologies 黒澤さん:
我々は、移動で人を幸せに。というミッションを掲げています。2020年はコロナの影響により、人の移動は制限され、物の移動は活発になった年でしたが、だからこそ、出かける機会は多くの人にとって特別なエンターテインメントであり、タクシー配車アプリ経由のタクシー乗車数はコロナの時代にあっても堅調に伸び続けています。これからの変化の時代においても、移動したい人と物がストレスなく移動できる世界を実現していくことを目指しています。

旧JapanTaxiと旧MOVによる統合新ブランドとして、タクシー配車アプリGOをリリースしました。そこで新たな機能として、AIによる需給バランスのシミュレーションを行い、ダイナミックに車両を確保する「希望日時配車」を提供開始。東京エリアでは配車率99.9%以上の高い精度で、タクシー事業者とユーザーの効率的なマッチングを実現しています。

また、Mobility Technologiesの事業としては、タクシー配車アプリだけでなく、乗務員向け支援ソリューションの提供やMaaSへの取り組み、自動運転、データビジネス、スマートシティーの可能性を探る実証実験など、幅広く展開しています。

このような事業を成功させるためには、優れたプロダクトの提供が必要不可欠です。しかし、高い打率を保った上で、優れたプロダクトを提供し続けることは非常に難しいチャレンジです。そんな中、Mobility Technologiesでは専門性と多様性を重視した組織作りを行っています。

プロダクトマネジメント部には、要件定義などの上流部からデリバリーに渡る下流部まで、プロダクトマネージャー、UXデザイナー/リサーチャー、データアナリスト、デザイナー、プロジェクトマネージャー、テストエンジニアがワンチームで活動しています。

ここからは、プロダクトのプランニングからデリバリーまでEnd to Endでコミットするプロダクトマネジメント部における、デザイナーの取り組みを紹介します。

最高のUXを実現する為に。作る⇄検証するを愚直に繰り返す

Mobility Technologies 久田さん:
私からはタクシー配車アプリGOの最近リリースした希望日時配車機能での取り組みをご紹介します。

これまでのタクシー予約は、タクシー会社のオペレーターが時間帯あたりの予約数を予想し、注文の枠を確保していました。しかし、予約が入らなければ無駄になってしまうため、少なめに見積もる必要があり、結果的にユーザが予約をすることができないという課題が生じていました。

希望日時配車機能では、AIが需要を予測することで、ダイナミックに注文の枠を変更します。その結果、以前に比べると約10倍ほどの枠数を確保できるようになりました。

そんな画期的な機能を最高のUXでユーザーに届けるにはどうしたらいいか、が開発メンバーのミッションでした。それに対して我々は、作ることと検証することをひたすら繰り返すことでUXを突き詰めていきました。

まず初めに、UIの全体感をざっくりと手書きで作成。それを踏まえて、実在しそうなプロトペルソナを想像で素早く作成しました。そうすることでUX上のポイントやアプリ以外のユーザー行動を可視化して、どのようなユーザ体験がベストなのかを俯瞰して議論を交わすことができました。

次に、Figmaを用いてプロトタイプを手早く作成。職種を問わず、社内の様々な人を巻き込みながら検証を行い、UXを磨き込みました。

他のプロジェクトでもやはり同じような「作る」「検証」を繰り返すプロセスを意識しています。様々な職種と連携し、可視化という武器を用いてプロジェクトをスムーズに進めることがデザイナーのあるべき姿であると考えて、日々活動しています。

人間中心のデザインでより良い未来を切り開く。

Mobility Technologies 向井さん:
乗務員アプリには、旧JapanTaxi構成と旧MOV構成によるものが2種類存在しており、現在も並行稼働中です。本日は私が担当していた旧MOV構成の乗務員アプリについて具体例を交えて紹介します。

今回は乗務員アプリの無線機連携システムを例にあげて説明します。これまでは、アプリ経由の配車予約と電話経由の配車予約がそれぞれ独立していました。そのような現状に対して、無線機システム連携機能を導入することで、ナビ機能付き乗務員専用タブレットで、一元管理できる機能を提供しています。

無線機システム連携機能 参考プレスリリース:
https://dena.com/jp/press/004428

約2年前に本格的に仕様を検討するフェーズに入ったのですが、そもそも無線機システムに関する知識が無いという課題がありました。また、無線機連携システムには非常に多くのステークホルダーが存在します。

そこでまずは、無線機システム仕様書を読むなどして愚直にひたすらリサーチを行ったり、各ステークホルダーに対してヒアリングを行って情報収集しました。

先ほど久田からご説明させていただいたユーザーアプリにおいてもそうでしたが、Mobility Technologiesのデザインチームでは4つのバリューを掲げて、日々の業務を行っています。

今回、無線機連携システム機能を開発するにあたり、ステークホルダーの数が多いこともあり、4つのバリューのうち、特に「Visual Navigation〜可視化を用いて、関係者を先導する〜」を意識して、コミュニケーションを行いました。

具体的には、リサーチで得られた内容を元に、全体像を素早く設計・可視化して、社内外問わす、全てのステークホルダーに共有し、仕様等の意思決定を素早く行い、開発を進めることができました。

まとめになりますが、乗務員アプリに関しても、特にタクシー配車という事業やドメイン理解に力を注ぎながら、ユーザアプリと同様に、全体像を素早く可視化して関係者に共有しながら、開発を進めてきました。

社会の交通インフラであるタクシーは移動手段の一つであり、その中心に人がいることは普遍です。

なので、人を中心にデザインしてより良いプロダクトを作ることが、結果的により良い未来を切り開いていくと考えており、これからもこのことを意識していくことが大事なことではないかと思います。

インタラクティブセッション

後半はReDesigner事業責任者の佐宗がモデレートしながら、登壇者の皆さんとインタラクティブセッションを実施しました。

Q1.なぜ、その社会課題に共感し入社/創業されたのか改めて教えてください。

ANA 大澤さん:
私が入社した2001年はIT革命というワードが流行り、IT分野が伸びそうであると感じていました。また以前から、パソコンや乗り物が大好きだったので、特に迷うことなくIT×移動サービスを担う当時の全日空システム企画(現ANAシステムズ)に入社しました。

その後、先ほどご紹介した祖母との原体験に出会い、障害を抱えている様々な方々と交流する中で、彼ら彼女らのために移動体験をより良いものにしたいという想いが原動力となり今に至っています。このような入社後の体験や想いがベースとなり、社会課題と向き合うようになりました。

Mobility Technologies 久田さん:
実は移動に関する課題に共感してジョインしたのではなく、DeNAのデザイン本部に所属していて、たまたまアサインされた先が移動分野だったんです。しかし、活動する中で非常にやりがいを感じています。

溢れるほどの量の課題に対して、ITを駆使することで解決できること沢山がある。それに対して、デザイナーがダイレクトに携わることができることにやりがいを感じながら、日々取り組んでいます。

Mobility Technologies 向井さん:
私も久田と同様にデザイン本部に所属しており、アサインという形で関わるようになりました。元々、社会にインパクトがある事業を行いたいと考えていて、モビリティ分野はビジネス的にもハイポテンシャルな市場であると捉えていました。そういった意味でも、現在携わっている領域で様々なことに取り組みたいですね。

Mobility Technologies 黒澤さん:
私はキャリアを製造業のエンジニアからスタートしており、モノづくりを通して社会貢献したいという想いが強かったんです。その中でも移動分野は特に課題感が大きく、一方で、交通業界は社会インフラを担っているため、リスクをとって変革するのが難しい。だからこそ、ITのチカラで解決できることも多いと考えました。

Q2.プロダクトを作る上で教育分野だからこその難しさややりがいを教えてください。

ANA 大澤さん:
公共サービスであるという点が一番の難しさです。老若男女に限らず、様々な特性を持つ方がいらっしゃる中で、共通項を抽出してプロダクトに落とし込むことが難しいです。なので、幅広い選択肢を用意してお客さまに選んでいただくというアプローチも検討しています。また、UIを含むユーザー体験の設計に関しても、様々なシーンを洗い出して検討していく必要性を感じています。

Mobility Technologies 向井さん:
私自身が携わっている範囲だと、安全の担保が難しいです。タクシーに整備されているタブレットにはカーナビ機能が備えられています。そのタブレットを走行中にどこまで操作してもらうかという点です。さらに無線機システム連携を加えることで、より安全性を意識しなければなりません。業務上の利便性と安全性のバランス感覚を上手くコントロールすることが非常に難しく、今も悩んでいる部分です。

Q3.コロナの影響で大きく変化したことを教えてください。

ANA 大澤さん:
お客さまの中には物理的な治療やリハビリのために移動自粛できない方々がいらっしゃいます。なので、私たちは足踏みしている場合ではありません。不要不急の移動とは何なのかをしっかりと考えながら、万全な感染対策を行った上で、お客さまと共創して実証実験を進めています。

Mobility Technologies 黒澤さん:
外出自粛当初はタクシーの乗車需要が落ちたのですが、現在、アプリ経由のタクシー乗車数は順調に伸びています。

理由としては、数少ない外出機会の質を高めるトレンドが考えられます。タクシー移動は他人との接触機会が少ないだけでなく、快適に移動できるという点でニーズが伸びており、これまで多くの外出機会にかけていたお金が、数少ない外出機会に集約されている感覚があります。

最後に各社からひとこと

ANA 大澤さん:
私たちは、まだ羽田空港から横須賀までの線を一本引いただけです。今後は、日本全国・世界各地に面として広げて参ります。ぜひ皆様と一緒に誰もが移動をあきらめない世界を作っていきたいと思っています。

Mobility Technologies 久田さん:
私たちMobility Technologiesは交通不全という大きな敵と戦っています。ビジネスやエンジニアの力はもちろん、デザインの力でもそこに貢献していきたいと思っています。

Mobility Technologies 向井さん:
モビリティ分野は非常にビジネス的なポテンシャルが高く、社会課題に対するインパクトも大きな分野です。そこにデザインの力を駆使して世の中をより良くすることができ、やりがいを感じられます。皆様とぜひ一緒に取り組むことができれば良いなと思います。

最後に

【移動×デザイン】をテーマに、移動分野における社会課題に対峙する企業の、それぞれの取り組みとデザインの役割についてお話を伺いました。

人々の移動需要が変化しつつある現代において、その基盤となるモビリティサービスにおける体験価値やデザインの可能性も重視されていくことが示唆される内容でした。

セッションを受けて、デザインの力を活かして移動の課題解決を共に進めていきたいと感じた方はぜひ以下のリンクからご連絡ください!

❏ 転職・キャリア相談をご希望の方はこちらからお気軽にご登録ください

https://redesigner.jp/registration

❏ カジュアルなキャリア相談もオンラインにて実施しています

https://redesigner.jp/regular-events/onlinecoaching.html



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この記事を書いた人

ReDesigner

ReDesignerは、デザイン会社によるデザイナー向けのキャリア支援サービスです。 企業とデザイナーの間に入り、独自のオンラインアンケートや面談を通じて、 デザイナーの特性やキャリアの指向性を理解した上で適切なマッチングを行います。単純に紹介をするだけでなく、デザイナー特化型の求人票も用意しており、デザイナーが働きやすい環境設計も支援します。

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