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企業変革を支えるプロダクトデザイナーの役割と組織【DX×デザイン】ReDesigner Social Impact Week

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イベントレポート

2021/7/13

企業変革を支えるプロダクトデザイナーの役割と組織【DX×デザイン】ReDesigner Social Impact Week

2021年の5月26日から6月1日にかけて、ReDesignerが主催する"Social Impact Week Vol.2"が開催されました。全5回に渡り、社会課題×デザインについて考える様々な企業に登壇いただきました。Design Action・Creative Actionの重要性が叫ばれている中、各社は社会問題に対してどのようにアプローチし、その中でデザインはどのような役割を担っているのでしょうか。

今回はフラーさん、Chatworkさん、NTTコミュニケーションズさんの3社が、各社のDXにおけるデザインアプローチや社会課題への取り組みについてお話いただきます。

フラー株式会社「一気通貫・共創スタイルのモノ創りソリューション」

櫻井 裕基 | フラー株式会社 取締役副社長兼CDO 
1989年生。新潟県出身。国立長岡工業高等専門学校卒業後、千葉大学工学部デザイン学科へ編入学。 2012年にフラーに参画しインターフェースを含むデザイン全般を担当。 2014年1月に取締役、2019年6月に副社長に就任し、現在は取締役副社長兼CDO(最高デザイン責任者Chief Design Officer)を務める。

世界一、ヒトを惹きつける会社を創る

フラーは『世界一、ヒトを惹きつける会社を創る。』というユメに挑戦し続け、​アプリとデータをテーマに事業を展開するIT企業です。千葉県柏の葉キャンパスと新潟県新潟市に拠点があります。現在メンバーは丁度100名ほどの規模になっております。

現在は「デジタルパートナー事業」という、フラーが持ちうる全てのプロフェッショナル領域でアプリやウェブなどデジタルにかかわる支援を展開する、全く新しい枠組みの事業を展開しています。新規・既存事業の戦略構築からプロダクト開発・グロースまで“ワンチーム”で伴走しています。「デジタル領域全般で頼られる存在」として顧客に寄り添い、課題解決や事業成長に貢献しています。

約10年間アプリ周辺領域をやり続けてきた会社なので、アプリの分析・企画・デザイン・開発から運用まで幅広く取り組んでいます。ただ言われたものを作るのではなくアプリの今までの知見を強みとして活かしながらパートナーと寄り添って、本当に必要なものを共に作るスタンスで取り組んでいます。

具体的に、長岡花火公式アプリ・アウトドアブランド「スノーピーク」の公式アプリなどを制作しています。開発するのはアプリだけではなく、運用するスタッフさんのための管理画面や、キャラクターデザイン、アニメーション制作なども行っています。

また、ハードオフコーポレーションの公式アプリも制作しています。いわゆるポイントカードの機能だったり、ハードオフを巡るスタンプラリーを公式のファンの方に向けて制作しました。自分のいらないものを簡単に売れるオファーアプリや、店舗スタッフの業務負担軽減のために管理画面のリニューアルも行いました。

本日はDXを推進させるために大切にしている3つのことを事例を踏まえてお伝えしていきます。 

DX推進のための「お互いを知る」「デジタルを教える」関係づくり

すごい当たり前のことですが、DXを推進させるには自分だけ大事だと思っていても、全く推進されません。デジタルに関わるであろうステークホルダーが理解し使いこなすことが不可欠になってきます。

そのために何が必要なのか、フラーではシンプルにデジタルを「教える」・相手のことを「知る」の二つを実施しております。

デジタルを「教える」

例えばWebデザインにおいては「たくさん画面があるのでシンプルな構造にしていきます」と伝えるのではなく「最近の風潮として要素を少なめにして、モバイルでも見やすい状況をたくさん作れます」とデジタル背景を含めて伝えることを意識してます。

自社プロダクトの場合「知って当たり前」が、クライアントの場合「知らなくて当たり前」というケースが多いです。そのため、何をデザインするだけでなく、「なぜ」のデザイン意図もお伝えする必要があります。なるべく上流の考え方を教えることでデジタルのお作法が自然と染みついてくると思っています。

相手のことを「知る」

スノーピークさんを事例に出すと、実際にキャンプを体験した際にいつアプリを使用するのか、スノーピークさんは何を大事にしているのかなどのコンテキストを理解するのが大事です。デジタルを理解し、共に創り、相手のことを知って理解を深める。その前提がないと文化は作っていけません。

デザイン領域拡張

冒頭でも説明した通り、私たちはUI/UXデザインの枠に固執していません。必要であればグラフィックや動画作成、紙媒体も手掛けます。

デザインの重要性も高まりデザインの領域も細分化されつつある時代になりました。デジタルの体験をデザインするためにはUI/UXなどの1領域だけでなく、デジタル領域のデザインを俯瞰・表現できるデザイナーが必要になると感じています。

例えばハードオフさんとのデジタル領域におけるデザインコンセプトではアプリだけでなく、ハードオフという会社の中でのいろんなデジタルでの体験を統一することを考えなければなりません。そうするとビジネスだったり、裏側のオペレーションだったり、デジタルにまつわる様々な側面を理解する必要があります。

DXはあくまでも手段であり、それ自体に意味や価値はないと思っています。デジタル領域が会社全体の一部分であることを理解した上で設計・具現化することが大切だと考えます。

デジタルインプットの習慣化

2007年にiPhoneが誕生して爆速で時代が変化していき、インフラ環境が劇的に変化していく中で昔とは明らかに異なる考え方が必要になります。1ヶ月前に言ってたことがあっという間に変わる時代なので、今までの情報収集では追いつきません。デザインをする上でも前提条件をなるべく新鮮に保つ必要があると思います。もちろん全ての領域を理解することは難しいですが、肌感を新鮮に保つ方法はあると思っています。

今回は僕が実際にどのようにデジタルインプットをしているか紹介します。

①友人・社員に好きなアプリ・サービスを聞くクセをつける

ポイントは「好きなアプリ」=「しっかり使っている」ということです。アプリやサービスにおいてリサーチする場合、1日や1週間ではわからないことが往々にしてあります。自分が不足している情報を理解するまで、そこに時間を使うことは難しいですが、好きな人はすでにそこに時間をかけています。そのため、自分の時間は最小限で愛用者から情報を得ることで効率の良いデジタルインプットを行うことができます。

② 私生活での判断基準項目にデジタル項目を設ける

皆さん洗濯機を買う際、 「洗浄力」「省エネ」「金額」「騒音」などの項目でどれにするか考えると思うんですが、僕の場合はアプリの評価が一番高い洗濯機はどれかで判断します。私生活の中でデジタル接点を持つことができるものが増えた今、DXと日常は大きく関係していると考えています。デザイナーにとってインプットは財産なので、日常に「デジタル」のアンテナを立てるだけでも自然に調べる量・体験できる量が大きく変化します。

当たり前のような言葉ばかりですが、この当たり前を継続して続けている人は意外と少ないと思っています。DXに関わってる方々にとってヒントやきっかけになってくれると嬉しいです。

※当日の登壇資料はこちらからご覧いただけます。

Chatwork「Chatworkでデザインをするということ」

坂田 一倫 | Chatwork株式会社 UXディレクター
慶應義塾大学環境情報学部卒。楽天株式会社に入社後、UIデザイナーとしてキャリアをスタート。以降、制作会社やIT事業会社でサービスデザインや戦略デザインに従事。2016年アジャイル開発コンサルティング会社 Pivotal Labs Tokyo に入社、プロダクトマネージャーとして大手ナショナルクライアントのDX(デジタル・トランスフォメーション)を支援。 その後、スタートアップにてプロダクトオーナーとしての経験を積みChatwork株式会社にてUXディレクターに就任。

価値創造につながる、仕事に集中できる環境を作り出す

Chatworkはメール、電話、会議・訪問など仕事で必要なコミュニケーションをより効率的にする国内最大のSaaS型ビジネスチャットです。社内外のコミュニケーション活性化や業務効率化を実現します。

Chatworkが解決したい社会課題は2つあります。まず1つが会議やFAX、電話など非効率なコミュニケーションによる生産性の低下。もう1つがビジネス移動や紙の配布資料によって発生する時間ロスや環境負荷。これらの課題を解決するために日々業務に取り組んでいます。

DXと聞くと作業の効率化や時間の短縮化に注目しがちですが、Chatworkが目指しているのはは価値創造につながる、仕事に集中できる働く環境を作り出すことです。それが中小企業の生産性を上げて、世の経済が底上げされる仕組みを作っていくことにつながります。

ローカライズしてユーザーの課題を解決する

Chatworkのユーザーの約9割近くは、従業員300人以下の中小企業です。そして、日本の99.7%の企業は、そうした中小企業で、我々がよく見る企業は0.3%ほどしかないのです。

Chatworkを利用している中小企業の例として賃貸管理会社と飲食店での事例をご紹介します。

賃貸管理業界は労働集約的で、いまだに紙と電話とFAXを使ったアナログな仕事が多いです。また、この業界は属人的で業界に長くいればいるほど、その人に知見が溜まり、その人のコミュニケーションに依存してしまいます。繁忙期ともなると毎日紙に埋もれて、夜遅くまで残業することも珍しくありません。

次は飲食店でのお話ができればと思います。飲食店も店舗とのやりとりには電話、FAX、書面を使用していました。ここで特徴的なのが、年配の方も多く、人によってPCスキルの差があることです。我々はIT企業に勤めているのでメールを開いて送ったり、SNSを活用することが当たり前ですが、メールを使っていない人も未だに結構多くいらっしゃいます。そもそもメールのアカウントもなく、どう使うかわからず、1通送るのに30分かかることもあります。そのため、情報伝達が電話やFAXや書面とかなり遅くなりがちで、タイムラグが生まれてしまい「ビジネスが成長していかない」と感じてる人が多くいらっしゃいます。

このような悩みを抱えている方々にChatworkをご利用していただいています。外資系チャットツールでは、IT活用が高い人向けだったり。英語表記で何が書いてあるのかわからないと悩んでいる方々が多くいらっしゃいます。国産である強みも活かしたお客様目線で課題を解決していけるのがChatworkの提供価値の一つです。

Chatworkが解決したいユーザーが抱える効率とミスに関する問題

Chatworkを利用されるユーザーのペインは大きく二つあります。

一つは効率に関する問題で、以下などが挙げられます。

①電話:相手が中々捕まらない
②電話:電話がかかってくると手が止まる
③FAX:その場で送ることができない
④FAX:ちゃんと届いたのか確認が取れない
⑤メール:リアルタイムで把握できない 

もう一つはミスに関する問題です。以下などが挙げられ、ナレッジが集約されないことで業務が属人化してしまいます。

①言った・言わない問題
②伝えた内容と理解した内容に齟齬がある 
③電話は特に伝言ミスが生じる 
④クレームやトラブル情報が周囲に周知されず、同じトラブルが発生する 

Chatworkのミッション実現のために中小企業でのDXを推進する

Chatworkを活用してユーザーのペインを解消した例をお話しできればと思います。

①小売
やりとりに時間がかかりがちな問い合わせ対応や社内共有をスムーズに行うため、Chatworkのタスク管理機能を使って自身のTodo管理と相手にタスクを依頼できる仕組みに変更したことで残業が減りました。

②メーカー
お客様訪問時に、その場で技術的な質問をChatwork Live(ビデオ/音声通話)で直接工場に確認でき、業務効率化と顧客満足度が向上しました。

③医療
セキュリティが万全なチャットを電子カルテを共有する場として活用し、問診票やレントゲン写真などの患者情報を共有することで緊急時の対応も問題なくでき、労働時間の削減につながり結果として離職率を下げることができました。

Chatworkでは「働くをもっと楽しく、創造的に」というミッションを実現するために、上記のように中小企業でのDXを推進しています。DXを推進することで業務の効率化や時短を実現するだけではなく、そこでできたプラスアルファの時間を使って新たな価値創造につなげられるような環境作りを後押ししていきたいと考えています。

NTTコミュニケーションズ「教育現場におけるDXとデザイン」

阿部 紘樹 | NTTコミュニケーションズ株式会社 デザイン部門「KOEL」 UXデザイナー
2010年にNTTコミュニケーションズ入社。NTT研究所のAI技術を活用した「COTOHA」やグローバル越境ECサービスなどの新規事業開発に携わる。2020年よりKOELに参画し、デジタルプロダクトのデザインリサーチ&体験設計、KOELの組織作り、プロジェクトリードなどを担当。現在はICT教育サービス「まなびポケット」にUXデザイナーとして携わり、先生や生徒から愛される社会インフラを日々デザインしている。

廣瀬 夏和 | NTTコミュニケーションズ株式会社 デザイン部門「KOEL」 UXデザイナー
公立はこだて未来大学大学院メディアデザイン領域を修了。学生時代は参加型デザインを研究領域とし、当事者とともにアイデアを生成する「ごっこあそび」を取り入れたデザイン手法を提案。2020年NTTコミュニケーションズ入社。入社後はデザイン組織KOELにて、自社が提供するICT教育サービス「まなびポケット」のオンボーディング体験をデザイン。教育現場へのリサーチから、オンボーディング資料のエディトリアルデザイン、教員向け研修ワークショップの実施など幅広く手がける。

人と世界の可能性をひらくコミュニケーションを創造する

NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は2019年に創立20周年を迎えるにあたり、「人と世界の可能性をひらくコミュニケーションを創造する」という企業理念を掲げ、。電話、テレホンカード、データセンター、IoT、AI、セキュリティなどの、最新技術を使ったソリューションを提供しています。これらを突き詰めると、人と人とのコミュニケーション、ものとものとのコミュニケーションを作っているということで先ほどのご紹介した理念につながっています。

本日は弊社のデザインスタジオ「KOEL」のお話をしていきます。

KOELは「デザイン×コミュニケーションで社会の創造力を解放する」というミッションを掲げており、デザインの力を活用していくことで、社会にインパクトを出していくという思いで活動しています。

KOELでは6つの領域でデザイン活動を行っておりますが、本日はその中の一つである事業改善の話を中心にお話しさせていただきます。今回のテーマがDXということで弊社が推進するSmart Worldの構成要素の一つ、Smart Educationを事例にプロダクトをどう活用していくかに焦点をあててお話いたします。

現状をいかに理解して寄り添うか

学校現場DXにおけるポイントで日頃から大切だと痛感しているのが現状をいかに理解して寄り添うかです。現状を理解しないでDXに取り組んでも、効果が生まれにくいと日々感じております。それをどうやってデザインの力を活用しながら乗り越えているのかをお話します。

「まなびポケット」は、NTT Comが提供するクラウド型教育プラットフォームです。ブラウザでどこからでもアクセスできるクラウド上において、提携するさまざまなサービス(授業支援・協働学習支援ツール、個別学習支援教材、英語やプログラミングの学習教材など)を提供します。用途に応じた多様な教育コンテンツ、場所や時間を選ばずにとれるコミュニケーション、学校現場の手間を省くICTツールなど、3つの便利を実現するためのプロダクトになっております。

「まなびポケット」を提供する事業部から、KOELに案件の相談があって活動をしています。今回は教育現場の必要性を理解して利用してもらってるけど、使い続けてもらえないという相談がありました。どうしても教育委員会の方とのコミュニケーションが多くなってしまい、ユーザーである先生や生徒がどんな問題に直面しているのか、実感をもって捉えられていない状況でした。

KOELとして事業部の方と会話をしながら課題を見つけ、仮説を設定し、リサーチから打ち手まで支援していきました。

いつでもどこでも繋がれて多様な学びができる学校生活を当たり前にするためにどのようなことができるか考え始めました。教育委員会から先生、生徒まで「まなびポケット」がどのように浸透していくのか流れを整理しながら、まずは「先生がPCを開く習慣を作れたらいいのでは」という仮説を設定しながらリサーチから打ち手まで支援しました。

実際にできあがったものをお見せします。左のレシピは毎日PCを上手に活用できている先生に対してリサーチをして作り上げていったものです。しかしこのレシピだけだと、ICTを得意としない先生にはハードルが高かったため、ICTが不得意な先生も含めて学校全体で日常的にICT活用に成功している学校もリサーチしました。その結果、教え合い文化を醸成して先生全員が成長できる土壌を築く研修プログラムの作成に至りました。

ここからは先述した研修プログラムについて詳しくお話していきます。この研修は主に3ステップで進めていきました。

①現場の学校の仕組みや文化、先生たちがどんなモチベーションを持っているのか理解する
②先生のタイプや成功に導くためのキーアクションを見つけながら打ち手を設定する
③設定した打ち手を実際に先生に体験してもらいながら気付きを得て、また作り直すプロトタイピングを行う

教え合い文化を醸成するための研修プログラム

実際のリサーチでは先生が学校現場でどのように悩み、どんなモチベーションでどんな工夫をしながら働いているのかを確認しました。親御さんの対応や、運動会、授業の準備などほとんど先生は時間がありません。そんな中、先生が生徒達の未来や喜ぶ姿を想像をしながらよくわからないICTを学んでいる姿を見ていきました。また、教育委員会が用意した研修に参加した際、生徒の話になると多くの先生が必死になってメモをとっている姿を見て、「やっぱり先生は生徒が好きなんだな」というのが伝わりました。

一方で、学校では30人くらいの生徒の前で一緒にICTを使いながら、「同時アクセスで繋がんないよ」「パスワード忘れたよ」など悪戦苦闘していました。実際にICTを活用して授業を進めていく姿を見ることで、先生たちが困っていることへの解像度を上げていきました。

このようにいくつかの学校をリサーチしていく中で見えてきた課題があります。

まず一つが、ICTを教える起点が一点に集中していることです。得意な先生がいることは一見嬉しいことですが、それ故にICTを教えるのが一部の先生に集中してしまっています。もう一つは、得意な先生以外のICTの習得度合いが不明確なことです。国語や算数などある程度馴染みのある教科だと周りの先生の習得度が互いにわかりますが、ICTになるとわかっていないケースが多かったです。

リサーチをした結果、苦手な先生がICTを使い始められずに、得意な先生だけがICTを使っている状況が見えてきました。

逆にうまくいってる学校では教え合う環境が整っているところが多かったです。具体的には誰に相談すればいいのかわかってて、ICTについて相談できる人が多くいました。誰がどれくらいICTについて理解があるかレベルがわかることによって、学校でICTを教え合える状況を作っていくことが重要になってきます。

また、うまくいってる学校の共通ポイントとして、先生のICTレベルがみんな高いからうまくいっている訳でなく、みんなで共通してICTを使う状況ができていることがありました。

このようなリサーチを通して、それぞれのうまくいっているところ、いってないところの差分を見ていき、課題と打ち手に落とし込みました。ここで重要になったのは、ICTの使い方を知るだけでなく、教え合い文化を醸成するための研修プログラムを打ち手として作ることです。教え合う状況と安心感を作って、ICTのハードルを学校全体で下げていこうと取り組んでいきました。

教え合い醸成プログラムを作る上で工夫したポイントを改めて3つに整理しました。

1つ目にICTを扱う状況作りということで、ICTを扱う状況を既成事実化していくことがポイントで、一部の先生だけではなく、先生が毎日実施している、かつ比較的ICTを簡単に取り込める内容をプログラムに取り上げていきました。

2つ目に教え合いの型づくりですね。コミュニケーションツールがあるので、それを用いて一人の先生が発信してそれをみんなで目撃し、それをやってみたいとのぞきにいくサイクルをつくっていくことを研修で啓蒙しました。

3つ目にICTを相談しあう関係作りです。デジタル上で相談するような体験をしたことがない先生が多かったので、リアルだけではなくデジタル上でも相談できることを理解できるようにプログラムに取り入れました。

現場じゃなきゃ見えないこと

先程の3つのポイントを押さえながらプログラムを設計していきました。

DAY0は事前準備ということで校長先生、管理職の先生と話し合いながら学校全体でICTを扱う状況作りについて話し合いを行いました。DAY1、DAY2でICTを用いて教え合うことそのものを体験するスタイルで、教え合う型を伝えていきました。皆が同じ型を知っている状態を作り出すことが重要で、「この先生も知ってるね、あの先生も知ってるね」がわかってる状態が教え合いをスムーズに進めていくことがわかりました。

最後に実施強化期間を設計します。研修ってどうしてもやりっぱなしになっちゃうので毎日オンライン上で課題を実施してICTを相談し合う関係づくりを作っていきました。

実際のレクチャーは、先生たち皆で同時に受けていただきました。同時に受講することでリアルでも教え合いの関係を作ることにもつながります。

実際にやっていく中で見えてきたことがたくさんあります。中でも改めて痛感することはまだまだ現場のことわかってないなというところでした。ブラウザのタブがわかりません、タブの分割ができないため、zoomを見ながら研修受けられませんなど、リサーチ段階では見えてこなかった先生の躓きポイントが見えました。逆に皆で教え合う中で一人の苦手な先生が画像を投稿できた時、みんなで喜ぶ姿を見て、やる気スイッチの在り処がどこにあるのかがわかってきました。

もちろん作って終わりではなく、研修を繰り返す中で改善をしていきました。これでもかというくらいゆっくりゆっくりと説明をした方が先生にとって苦痛にならないことも理解できました。また、学校の特徴の把握も行いました。校長先生が引っ張っていく学校なのか、それとも ICTが得意な先生がガツガツ引っ張っていく学校なのか、特徴に基づいて研修の課題分けのパターンを用意しました。

その結果、「まなびポケット」が毎日継続して利用されるようになりました。2週間で毎日先生方がPCを開いて使ってくださる状況ができ、0件だったチャットが42件くらい使われるようになりました。

最後に改めて学校の現場のDXを進めていく上で大切にしたいポイントをお伝えしていきます。現状をいかに理解して寄り添うかということです。いつでもどこでも多様な学びができる世界、そのためにはICTが必要だというのはインタビューしていく中で多くの先生が実感してました。しかし日々の多忙な学校生活の中で、生徒のためにやるべきと思っていてもやれない現実がそこにありました。

その現状を理解して、寄り添って初めてDXが浸透していくことを日々痛感しています。また、そうすることが社会にインパクトを与えていくことにつながると思いながら我々は取り組んでいます。そしてゆくゆく「まなびポケット」が先生、生徒から愛されるものになればなと考えております。

インタラクティブセッション

後半はReDesigner事業責任者の佐宗がモデレートしながら、登壇者の皆さんとインタラクティブセッションを実施しました。

Q1 DXというバズワードを自分ごと化するにはどうすればいいですか?(そもそもDXという言葉を使いますか?)

フラー 櫻井さん:DXという言葉はあまり使わないですね。アプリを作りたい旨の案件が来ても、「それアプリじゃなくてもいいんじゃないですか。」とお断りすることもあるくらいです。アプリやWEBを一つの手段として捉え、それが本当に必要な機能であれば「アプリは今回ベストだよね」という言い回しを意識してします。
なのでどちらかというと、あまりデジタルを意識しない中で、ただユーザーさんに「これほんとに必要?」という姿勢で動いています。そういう意味でも、DXを自分ごと化する意識があまりないかもしれないです。

Chatwork 坂田さん:中小企業のDXを支援しているサービスなので、社内では前提としてDXという言葉は使っています。ただし、DXは一人で完結するものではなく、ツールを組織に装着していく必要があるので、登場するプレイヤーが非常に多いです。例えば決裁者、サービスを利用する人とそれぞれ分かれてきます。そのため、プロダクトだけで括ってしまうとサービスを利用する人がペルソナとして想定されます。ただし、DXを推進し、意思決定をする人はサービスの利用を始めるより前の段階で登場して色々試行錯誤します。なので、その体験や領域に耳を傾けたり関心を持つのが大事かなと思います。
DX推進者の体験や領域を理解するためにやっていることがいくつかあります。一つはユーザーが自主的に開催しているイベントに参加することです。もう一つはカスタマーサクセスをはじめとする、トラブルを抱えているユーザーの声に「常に」耳を傾けることです。このようなことを行うことでプロダクトがどう組織に装着されていくのか理解することができ、DXを推進することはどういうことは、自分としても腹落ちすることができます。

NTT Com 阿部さん:DXという言葉は使っていますし、推進しております。自社でもDXを進めていて、お客様のDXも推進していきますと発信しています。よく、DXは激変する世の中で最新技術を活かして企業も大胆に変化しながら社会をよりよく変えていくという話を聞くことが多いです。気をつけないといけないのが、AIのような最新の技術がピックアップされたり、近未来の教育だけが描かれたりすることです。教育現場における主役は先生や生徒なので、その先生たちがDXを自分ごと化していくためにすべきことを我々が寄り添って理解していくことが重要になります。

Q2、PO /PdMとプロダクトデザイナーの各社の役割と違いを教えてください。

フラー 櫻井さん:一つのプロジェクトごとにディレクター、デザイナー、iOSエンジニア、Androidエンジニア、サーバーサイドエンジニアがアサインされます。フラーの場合、ここでいうPO/PdMはディレクターとデザイナーの間にあることが多いです。クライアントがPOを務める場合もありますし、クライアントによってバランス感覚が異なるので、ディレクターとデザイナーが入り込み方を調節しながらやってる場合が多いです。そのため、体験設計をする際はディレクターとデザイナーが並走して行います。

Chatwork 坂田さん:プロダクトデザイナーには二つの役割があると思っていて、手を動かすUIデザインと、リサーチや体験の設計があると考えています。

NTT Com 阿部さん:プロダクトオーナーは事業部で名乗っている人がいるという感じですね。我々はプロダクトデザイナーという役割で、プロジェクトごとに支援しています。
ただ、プロダクトデザイナーという職種は設定しておらず、UXデザイナーがプロダクトデザイナー的な活動をしています。新プロダクトの開発とか改善に向けてデザインリサーチやコンセプトメイキング、体験設計してUIに落とし込む一連の流れをプロダクトデザイナーが主にリードします。但し、現場のインタビューなどにはプロダクトオーナーにも適宜入ってもらいながら、現場の実感をもって判断してもらう進め方をしています。

Q3. デザインしたものの効果指標をどのように作り、測っていますか?

フラー 櫻井さん:クライアントワークの場合、プロジェクトごとにクライアントが達成したい目標があります。例えばものを売るアプリであれば、どれくらいの数の製品をユーザーが売ってくれるかが指標になります。ただし、その指標に対して、デザインしたからそういうことになったと紐付ける事は非常に難しいです。技術的な要素であったり、単純にマーケットが良かったり、デザイン以外のところでも数字に影響が出てくるので、一概にデザインをしたからこうなったといういうことはできません。
ただ、何かプロダクトの細かい箇所、ボタンが押されにくいとか、画面遷移がうまくいっていないとかあれば、仮説としてこういう問題があるからそれに対してのアクションはとりますが、粒度の大きくなればなるほど、あまりデザインと直接的に結びつかないかもしれないですね。

Chatwork 坂田さん:デザインしたものだけを切り離して効果指標を定めるというよりかは、プロジェクト全体でバリュープロポジションを策定しKPIを設計します。また、リリースした後、それらの指標に対してどのように進捗しているのか把握できるようにダッシュボードを作成し、皆で見ながら改善できるところの議論ができるようにしています。
あとはディテールの効果指標でいうと、ユーザーインタビューとかそう言ったものも含めて気づきやすさとか見つけやすいか、操作しやすいかを担保していく感じですね。

NTT Com 阿部さん:「まなびポケット」であれば、DAU(Daily Active User)などを確認し、毎日開いてもらえてるか、先生が生徒に課題を配布できているかなど、ユーザーの離脱率につながる指標をプロダクト全体で見ています。
デザインしたものの効果指標でいうとデザインしていく段階で狙いたい数値を仮決めしていたりします。測り方はログデータで定量的に取れるものと、取れないないものはアンケートやインタビューでカバーしています。

NTT Com 廣瀬さん:確実な評価や効果測定という話ではないですが、先生に向けた授業のレシピ冊子を実際に先生や教育委員の方に渡すシーンに立ち会ったり、生の反応や声は記録できる体制を作っています。

各社からひとこと

フラー 櫻井さん:なかなか外でデザインのことを話す機会がありませんでしたが、いろんな方々のデザインプロセスを見れるのは面白かったです。今日はありがとうございます。

Chatwork 坂田さん:お二人の話を聞けて、やはりいろんな業界を見ていらっしゃると思いました。 Chatworkにいると良くも悪くも狭くなってしまうので、実際どこの業界が何をしているのか聞けて良かったです。DXをテーマとした議論が初めてでこういう機会がとても勉強になりましたし、今後も扱っていいテーマなのかなと思いました。

NTT Com 廣瀬さん:今日は楽しく勉強させてもらった気持ちでいます。いろんな現場の話が聞けて、意外と共通する課題があったりしてとても面白かったです。

NTT Com 阿部さん:最後の坂田さんのユーザタイプの把握の仕方のお話にとても共感しました。具体的な事例を通じて、もっとお話ししたいなと思いました。

最後に

各社が、DXを推進する上で観察と体験を繰り返し、DXされていないところに寄り添う様子が伝わってきました。

ReDesignerは、デザイナー向けのキャリア支援を行っています。 様々な領域の企業と連携し、企業とデザイナーの間で適切なマッチングを行います。今回の登壇企業に興味のある方やキャリア相談をしたいデザイナーの方は、お気軽に以下のリンクからお問い合わせください!

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この記事を書いた人

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ReDesignerは、デザイン会社によるデザイナー向けのキャリア支援サービスです。 企業とデザイナーの間に入り、独自のオンラインアンケートや面談を通じて、 デザイナーの特性やキャリアの指向性を理解した上で適切なマッチングを行います。単純に紹介をするだけでなく、デザイナー特化型の求人票も用意しており、デザイナーが働きやすい環境設計も支援します。

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