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「あたたかい関係性」のなかでDX促進支援。2025年度で設立4年目、KDDIアジャイル開発センターのプロジェクトスタイル

「アジャイルに力を与え 共に成長し続ける社会を創る」をビジョンに掲げるKDDIアジャイル開発センター株式会社(通称KAG「カグ」)。同社は、2013年からアジャイル開発に取り組んできたKDDI株式会社から独立し、2022年に設立されました。
その社名からは「エンジニア主導の組織」という印象を持たれるかもしれません。しかし、実際はエンジニアとデザイナーがフラットな関係性で企業の課題解決に取り組んでいます。
設立4年目を迎え、様々な業界のデジタル化支援を手がけるKDDIアジャイル開発センターでは、デザイナーの役割がますます重要性を増しています。今回は自由度の高い組織文化や広がるデザイナーのキャリアパスなど、同社ならではの魅力について、サービスデザイン部の宮田さん、飛岡さん、奥山さんに伺いました。
宮田 準子(Junko Miyata)|サービスデザイン部 部長
2003年、KDDI入社。社内システム開発・運用やCS部門でのお客さま対応を経て、2018年からコンシューマ領域における新規ビジネス開発のUI/UXデザインを担当。現在は、共創事業をはじめソリューション案件を中心に従事。デザイナーやデザインに興味のある人のためのコミュニティを2021年に立ち上げ、活動中。
飛岡 憲(Ken Tobioka)|サービスデザイン部 サービスデザイナー
グラフィックデザインからキャリアをスタート。その後、サービスデザイナーとしてデザインファームで多様な業界の新規事業開発を手がける。デジタル領域への活躍の場を広げ、IT企業や人材企業でのUXデザイン、プロダクトマネジメント経験を経て2023年4月にKDDIアジャイル開発センターに入社。現在はサービスデザイナーとして、お客様のサービス開発プロジェクトを包括的にサポートしている。またデザインスプリントやデザイン思考の研修講師としても活躍中。
奥山 しずか(Shizuka Okuyama)|サービスデザイン部 サービスデザイナー
新卒でデザインファームに入社し、BtoB、BtoC問わず多様なデジタルサービスプロジェクトに携わる。UI/UXデザイナーとして、クライアントの新規事業開発やサービスグロースに貢献。 2023年にKDDIアジャイル開発センターに入社。 クライアントワークを中心に、サービスデザインアプローチでお客様と共に価値創出や課題解決に取り組む。
宮田さん:私は新卒で通信事業者であるツーカーホン関西に入社しました。入社から1年半後にKDDIによる吸収合併により、KDDIの社員となり、技術統括本部に所属しました。その後、育休復帰後の2017年頃にUXデザイナーへのキャリアチェンジを決意。アジャイル開発センター部にデザイナーとしてプロパー1号で配属され、センター内のPoCチームで経験を積みました。この部が2022年に「KDDIアジャイル開発センター」として分社化したため、KDDIから出向という形で勤務。今はサービスデザイン部の部長として、デザインに加えて組織づくりにも携わっています。
飛岡さん:これまで何度か転職を経験していて、KDDIアジャイル開発センターは5社目です。キャリアの出発点は、紙媒体のグラフィックデザインでした。当時はペルソナやカスタマージャーニーマップの策定などを独学で実践していたので、より体系的に知識を得たいと考え、デザインファームへ転職。その後、IT企業や人材企業で、UXデザインとプロダクトマネジメント、プロダクトグロースの経験を経て、2023年にKDDIアジャイル開発センターのリードデザイナーとして入社しました。
奥山さん:新卒でデザインコンサルティングファームに入社し、Webデザイナーとしてキャリアをスタートしました。Webディレクター、UI/UXデザイナーとして幅広い役割を担当し、様々な制作に携わりました。代理店経由の案件が中心で、要件があらかじめ決まっているケースが多かったため、上流からサービス体験の設計に関われる環境を求めて転職を決意。KDDIアジャイル開発センターへの入社の決め手は、アジャイル開発とサービスデザインの融合に可能性を感じたことでした。
宮田さん:KAGでは、クライアント企業のサービスやプロダクトの企画から開発までを一気通貫で支援しています。その際に、社名にも掲げているアジャイル開発やサービスデザインの手法を活用し、お客様が目指す成功に向けて伴走しています。
KDDIは2013年からアジャイル開発に取り組み、2016年には社内に専門組織である「アジャイル開発センター」を立ち上げました。以来、社内の案件で実績を積み重ねてきました。そうした中、社会全体でDXの重要性がこれまで以上に高まりました。この流れを受け、これまで培ってきた経験と専門性を生かし、グループ企業にとどまらず、多くの企業のDX推進を支援するために設立したのがKAGです。
宮田さん:フラットな組織文化が根付いていると思います。まず、経営陣との距離の近さがあります。社長の木暮や副社長の小林は、分け隔てなくメンバーとよく話しています。エンジニアの比率が高い会社ですが、役職や職種に関わらず、それぞれの専門性を尊重しながら仕事をしています。
先日、人間中心デザインへの理解を深めるために、HCD基礎検定はエンジニアにとっても有効ではないかと提案をしたんです。すると、10数名の方が受験を希望してくれました。さらに、受験者から感想を聞いた経営陣が「自分たちも知見を得るため受けなければ」と受験を決意してくれました。
今では受験準備用のSlackチャンネルが立ち上がり、役職に関係なく全員で学び合う場が生まれています。KAGでは役職や専門性を超えて、お互いを理解して、学び合おうとする文化があります。

宮田さん:KAGにいる184名のメンバーのうち、15名のデザイナーがサービスデザイン部に所属しています。
私たちの部署の特徴は、デザイナーの役割を細かく分けていないことです。多くの企業ではUIデザイナー、UXデザイナー、サービスデザイナーと専門分野を分けていると思いますが、弊社では「サービスデザイナー」として一つの職種にまとめています。
これは案件によって求められる役割が変わるためです。そのためキャリア採用では、UI/UXデザインからサービスデザインまでをカバーできる方を積極的に募集しています。
宮田さん:私たちは「ワーキングアグリーメント」という行動指針を大切にしています。これは簡単に言うと、サービスデザイン部がかかげている4つの約束事です。「コミュニケーションの活性化」「相談とサポートの強化」「知識の共有と活用」「業務の意識改革」の4つを軸に、部として大切にしたい具体的な取り組みを定めています。

ワーキングアグリーメントは新卒2年目の社員が主導してつくりました。ディスカッションの場を設計・運営しただけでなく、デザイナーならではの視点で言葉から想起される色彩を用いて文書化してくれました。これはすべて本人が「やってみたい」と率先して動いてくれたんです。KAGには受け身ではなく主体的によりよいものづくりをしようとする人が多いように思います。
宮田さん:案件には大きく分けて2つのパターンがあります。ひとつはKDDI本体経由で受注した案件で、もうひとつはお客様とKAGが直接契約をした案件です。サービスデザイン部の業務でいうと、KDDI本体経由が6割、それ以外が4割です。グループ会社でありながら、お客様と直接やり取りする案件も多い方だと思います。
奥山さん:まず営業チームが提案に伺います。内容に興味を持っていただけたら、その後の打ち合わせから私たちサービスデザイナーも同席し、お客様の要望をヒアリングします。
「漠然とした課題感があるが、どうしたらよいかわからない...」とご相談いただくことが多いため、クライアントと一緒に一つひとつ課題や悩みを具体化します。このとき、サービスデザイン部が主導してワークショップを数回ほど行い、目指すべき方向性や戦略、成果物を固めます。内容が決まったら、スクラムチームをつくり、プロトタイピングと検証を行います。
これまでは、スクラムを組むタイミングでエンジニアに参加してもらいましたが、最近は初期段階から入ってもらい、技術的な観点からアドバイスをもらう進め方も増えてきました。本格的に開発に取り組むのと同時並行で、サービスデザイナーがユーザーリサーチやインタビューを重ね、そこで得た気づきをサービスに反映します。
15名のデザイナーに対し、137人ものエンジニアがいるので、人数差を見るとエンジニアの発言力が強いのでは?と思われるかもしれません。ですが実際は、立場や人数に関係なく、お客様にとって最適なサービスを作るために、意見を出し合いながら制作をしています。

奥山さん:これまでの私の経験だと、垣根を超えたあたたかい関係性の中で仕事ができていると思います。
以前、KDDI本体と共同でAIサービスを開発するプロジェクトがありました。メンバーはKDDI側のプロダクトオーナーと、KAG側のプロダクトオーナーリード、エンジニア3名、デザイナー2名の計7名のチームでした。
このチームでは、お互いの強みを認め合い、自然に褒め合う雰囲気が生まれていました。例えば、チームメンバーが別案件で活躍していると、その成長を喜んだり、私が長期出張でしばらく参加できなかった際には「奥山さんに、早く戻ってほしい」という言葉をいただいたり、絆のあるチームワークが築かれていたんです。
些細なことに思えるかもしれませんが、この信頼関係がスクラム開発において理想的なチームワークを生み、結果としてサービスの質向上につながったと実感しています。

飛岡さん:私が今取り組んでいる直接案件の一つに、製造業を展開する企業のDX促進支援があります。アナログ作業が主流で、知見が属人化しやすいこの業界において、大規模なプロセスの変革に取り組み、業務の効率化を目指しています。
案件の進め方自体は、KDDI本体との案件とほぼ同じです。ただ、私自身のアプローチの仕方が少し違います。本体との案件では明確な方向性を示すことが多かったのですが、クライアント企業との案件では、お客様が本当に目指したい姿を一緒に「探っていく」ことが多いですね。そのため、お客様の課題や理想について丁寧にヒアリングを重ね、関連する事例や最新の技術の動向など、判断材料となる情報を幅広く収集します。それらの情報をもとに複数の選択肢を提示し、お客様自身が「この方向でいきたい」と思える解決策を見つけられるように検討を重ねています。
チームの雰囲気は、本体との仕事とはまた異なる緊張感がありますね。ときには、お客様の企業文化に合わせた対応も必要となります。けれど嬉しいことに、ほとんどの案件でデザインプロセスの価値を実感していただけています。「こういうプロセスは初めてだけど、とても楽しい」というお声をいただくこともあるんです。お客様との強い信頼関係のなかで、次の提案の機会をいただいたり、新規案件のご相談をいただいたりしています。
飛岡さん:リモートワークが中心です。出社は強制ではなく、自分の力を発揮しやすい環境でそれぞれが働いています。
本社は東京ですが、社員は北海道から沖縄まで全国に散らばっています。私も兵庫県在住で基本的には自宅で仕事をしていますが、それ以外の場所で働く選択肢もあるんです。というのも、KAGは、全国12か所にサテライトオフィスを設置しているんです。そのため、どこでも好きな場所に出社できます。働き方はすごく柔軟ですね。

宮田さん:社員数185名という大きすぎない規模を生かし、部門を超えた挑戦ができる環境です。例えば、デザイナーやエンジニアが営業同行できる機会があります。これはSlackで営業部長が募集をかけ、興味のある社員が手を挙げて参加する仕組みになっています。商談に参加する経験が、よりよいデザインにつながっているように思います。
奥山さん:KAGの魅力はなんといっても、一緒に組織文化を創り上げていけることです。設立4年目の会社なので、まだ環境が整っていない部分もありますが、逆に言えば1から組織を作っていける面白さがあります。
もう一つの魅力は、KDDIのサービス開発とクライアントワークの2つの軸を持っていることです。実は転職時に、事業会社で自社事業に専念するか、制作会社でクライアントワークをするか、とても悩みました。しかし、KAGであればその両方に携われる。まさに「いいとこ取り」ができる環境です。
飛岡さん:私が魅力を感じているのは、デザインに集中できる環境が整っている点です。新しいサービスを生み出す過程では不確実性がつきものですが、スクラム体制の場合、伴走するスクラムマスターやプロダクトオーナーリードがデザインに関する理解があるため、安心してデザインに専念できます。
それに、可能性を幅広く探求する文化があることも大きな魅力ですね。実現性や効率性を考えると、視点が狭くなりがちですが、KAGでは最初から制限を設けることはせず、まずは発想を広げていこうという姿勢を持っている人が多いように思います。この姿勢はキャリア形成に対しても同じで、UIデザインだけでなくUXデザインへの挑戦をしてみるなど、一人ひとりが自分に合った方向性を広く追求していますね。
宮田さん:KAGでは自分の興味や強みに合わせてキャリアの方向性を選べる環境があります。「サービスデザイナー」という肩書きは同じでも、一人ひとりが異なる得意分野やスキルセットを持っています。この多様性を生かしながら、自分の進みたい方向を模索し、様々な領域にチャレンジできます。
そして今、KDH※グループ全体でデザイナーのスキルアップのための取り組みがはじまっています。これまでに、KDHグループであるアイレットと一緒に交流会や勉強会を開催しました。まだまだ発展途上の活動ですが、今後さらに充実したプログラムを作っていければと考えています。
※KDDI Digital Divergence Holdings
宮田さん:専門的なデザインスキルはもちろん、コミュニケーションに前向きな姿勢を持った方とご一緒したいですね。KAGデザイナーの仕事は、想像以上にコミュニケーションの機会が多いです。社内はもちろん、社外のお客様と直接やり取りをしたり、ワークショップのファシリテーションを行うこともあります。他者の立場に立って考え、対話を重ねていける方であれば、KAGでよりよいデザインを生み出せると思います。
奥山さん:KAGでは、サービスの根幹となる戦略設計や価値探索から携われる場面が多くあります。そのため、上流工程に興味を持って、積極的に取り組める方であれば、力を発揮できる環境だと思います。
飛岡さん:人間中心設計やデザインプロセスについての知識を持っていて、それを実践した経験がある方ですね。UI/UXデザインとサービスデザインの両方に精通している方はなかなかいないと思いますが、複合的な視点を持った方と一緒に働けたら嬉しいです。
宮田さん:現在、デザインチームは15名と小規模ですが、KDDI本体の案件から一般企業、さらに自治体まで、多岐にわたる案件を担当しています。確かに大変なこともありますが、それこそが私たちの成長につながっていると実感しています。
もし少しでも興味を持っていただけた方は、まずはカジュアル面談でお話ができればと思います。対話を通じてお互いにとってのベストな選択肢を一緒に探っていけたら嬉しいです。

取材当日、3名が着ていたのは、ワークショップやイベント時に着用するというKAGパーカー。会社の一体感を感じさせるそのパーカーには、新たな価値創造に向けた思いが込められているようでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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この記事を書いた人

佐々木まゆ
1992年生まれ。ライター。デザインコンサルのロフトワークを経て、ライターとして独立。ウ ェブメディアにてインタビュー記事や事例記事を執筆。
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