「多くの人が普通に使えるプロダクトを」医療現場の課題をデザインで解決するUbie三橋さんの信念
FacebookでシェアTwitterでツイートはてなブックマークに登録URLをコピー

コピーしました!

インタビュー

「多くの人が普通に使えるプロダクトを」医療現場の課題をデザインで解決するUbie三橋さんの信念

URLコピー

URLコピー

コピーしました!

今回インタビューしたのはUbie株式会社(以下、Ubie)のデザイナー三橋 正典さん。 Webデザイナーを経てUIデザイナーとして様々なプロダクトに関わり、2018年10月にUbieにジョイン。現在は、主に医療従事者を支える問診事務効率化のプロダクト「AI問診Ubie」のデザインを担当されています。 そんな三橋さんがデザイナーとしてキャリアを切り拓く中で、どんな選択をしてきたのか。また、医療現場におけるデザインの可能性や、デザイナーに求められるマインドセットを紐解きます。

Ubieのご紹介

Ubieは、「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションにしたヘルステックスタートアップです。 現在は、病院の業務効率化をサポートするAI問診サービス「AI問診Ubie」を展開しております。

モヤモヤしながらもコンセプトを練って形になった時が楽しい

── 今回は三橋さんがUIデザイナーとして活躍されている現在までのキャリアについて伺いたいと思います。まずは、学生時代のことを教えて下さい。

ものをつくる側になりたいという考えは昔から漠然とありました。親が車の整備士だったので、車をいじっている姿を日常的に見ていたことも影響していると思います。幼少期はロボットや、粘土で何かつくることが好きな子どもでした。 大学生のときに建築にも興味を持つようになり、学部は理工学部でした。公共の場で多くの人に使ってもらえるものを作ることが面白いと思って、景観デザインや土木建造物の設計から都市に馴染むものづくりを中心に学びました。卒業制作では空港で人の流れを汲み取って建物を設計することを経験しました。

初めて「デザイン」という分野を勉強したのも建築がきっかけです。設計課題のプレゼンシートを作るために、グラフィックデザインに触れました。先輩から教えてもらったり、建築関係の書籍を参考に勉強し、グラフィックデザインやロゴデザインなどのデザインコンペにも積極的に応募していました。コンセプトを考えて、形にならない時はモヤモヤしますが、その方向性が決まって実際にアウトプットできる瞬間が楽しかったので、コンペに出し続けることも苦ではなく、むしろ楽しんでいましたね。実際に優秀賞の受賞につながったものもありました。

── 就職活動はされましたか?

就活はせずに、大学時代は建築事務所でアルバイトをしていました。ぼんやりと「こういう事務所で働くのかな」と考えていたのですが、その建築事務所がとある駅の設計を手がけたことがあり、そのWebプロモーションに中村勇吾さんが関わっていたと聞きました。中村さんの手がけられたWebサイトは、ただ伝えるだけではなく、いかに魅力的に、いかに面白く伝えるか、というこだわりが感じられるインタラクティブなものでした。それを見て、Webを通じて実際にあるモノやコトとユーザーをつなげていくことに強く惹かれたんです。

それからは、大学に1年間残ってフリーランスでWebデザインを勉強しました。当時はFlash全盛期だったので、 イベントや友人の会社のウェブサイトなどを中心に表現を磨いていきました。

それでも、付け焼き刃なスキルに限界を感じて、Web系の広告会社を中心に就活を開始しました。インタラクティブなWebサイトをポートフォリオとして作り、ステッチ株式会社に新卒でWebデザイナーとして入社が決まりました。企画をアウトプットする会社だったので、質の高いアウトプットを数多く作り出すことを学びました。量も求められる環境だったので大変でしたが、それ以上に鍛えられたし、数をこなすことで、自分の得意不得意を知れたのはよかったです。

あとは好きなことが分かったことは大きかったです。当時iPhoneがでてきて、PCではないモバイル画面のデザインが面白いなと思いました。広告は大体1ヶ月でクローズしてしまうので、作ったものがすぐクローズしてしまいます。一方でアプリは人が長く使ってもらうもので、ここでも一貫して「長く多くの人に対してのもの作り」へ興味が出ていましたね。

UIデザイナーになるための一歩を踏み出す

── なぜGoodpatchへ転職を決めたのですか?

モバイル画面のデザインに興味を持ったあと、Goodaptch BlogでUIの記事に出会い、記事を読んでいました。またブログを読んでいてUIをやるならGoodpatchしかないだろうと感じました。GoodpatchはUIを専門にやっているという印象で、そのスキルというか、いいアプリを作れる会社だろうなというイメージがあったので受けました。

Goodpatch入社前はモバイルアプリの経験が無かったので、ポートフォリオを作ってから受けようと思っていて、コンペに出して結果がよかったので、Goodpatchを受けました。コンペに出した理由は何かしら、自分で自信をつけたいというのはあったのかもしれないです。どうしてもアウトプットが見れない状態でコミュニケーションとるのは難しいと思ったので。

また当時のチーフクリエイティブオフィサーだった貫井さんの存在は大きかったですね。貫井さんのDribbbleの記事を読んで、この人がいるところで一緒に働いてみたいと思いました。UIが駆け出しながらもできる感をどうにか見せるために、インバイトもらえるようにも努力していましたね。なので、海外の知人にインバイトくれってメールした記憶があります。入社後、Goodpatchでは3年間クライアントワークをしていました。

── クライアントワーク時代の印象的なストーリーや思考の変化はありましたか?

印象的なのは、JINS MEME OFFICEのプロジェクトです。集中力を可視化するメガネ型のデバイスで、iOSとApple WatchのUIデザインを担当しました。クライアントも含め、みんなが良いプロダクトを作ろうと同じ方向を向いている空気の中で作って壊してを繰り返して、いいアウトプットにつなげる良い循環を回すことができたのが印象的でした。クライアントもチームの一員で、アウトプットを見ながらコミュニケーションを取り合い、ブラッシュアップしていくのがとても楽しかったんです。

当時のインタビュー記事: 集中力を可視化するアプリ「JINS MEME OFFICE」のユーザー体験を支えるチームに迫る

こうしたプロジェクトを通して、クライアントやエンジニアなど、様々なポジションの人とチームになって、コミュニケーションを取りながらものづくりに向き合うようになりました。UIデザインでいうと目に見えるものを作って、見せて、いつでもアウトプットを踏まえながらコミュニケーションをとっていく流れは個人的には合っていると感じますね。

Goodpatchの後はメルカリの新規事業を担うグループ会社だったソウゾウに転職しました。クライアントワークをやっていくなかで、どうしてもグロースの視点を養いたかったので。納品して手を離れたり、手探りしながらリリースと関わる形が多くて、よりグロース、アプリケーションを育てていく視点で別の会社やサービスと関わっていきたいと思って選びました。ユーザー同士がコミュニケーションを取ってものを売買しているという、今までにない体験を提供している印象が強かったです。

初めての事業会社ということもあって、チームの中でサービスを育てていく過程でUIや企画次第で大きく変わったときは、自分の行動一つでかなり変わるのだなと実感を得ました。直接ユーザーにインタビューしに行く機会もあり、反響を聞きながらどうしていこうかとチームで考えて行くのは面白かったですね。

長く多くの人に使ってもらえる、影響力のあるサービスを

── 現在はどのようなことをされているのでしょうか?

現在はUbieでデザイナーとして働いています。社会のインフラになるような医療分野へのサービスなので、多くの人に使われて、大きな影響を与える意識はありましたね。Ubieへ転職を決めた理由は、医療の現場メンバーが立ち上げたということや、医療現場に入っているタブレットで解消しようとしているということが大きかったです。医療という初めての分野だったので医療現場への理解は、書籍や現場の観察で深めています。カスタマーサクセスのメンバーが医療現場との関係を築いていたので医療現場を見たり、チームに医師がいたので直接聞いていましたね。これは今でも続けています。

AI問診Ubie」 医療機関向けに患者さんが使うタブレットの問診と、医師が使う医師画面を開発しています。

タブレットでは従来の紙の問診票の代わりに、患者さんにまずタブレットでAI問診やっていただき事前問診を充実させるというものです。 AIが患者さんの回答に合わせて、質問動的に最適化し、従来より広く深い事前問診を行うことができるようになります。

医師が見る画面では、診察室にいる医師に患者が回答した事前問診のデータがすぐ表示されるようになっています。 この画面では、患者の言葉を医師にとって自然な言葉に翻訳されて表示されています。 これにより、患者が診察室に入ってくる前に、すでに電子カルテ記載に必要な基本的な問診情報が揃った状態で、患者を診察室に迎え入れることができるようになります。

「AI問診Ubie」の導入でカルテ記載時間が大幅に効率化され、患者の初診問診が短縮されます。初診比率の高い医療機関の場合は特にユーザー体験へのインパクトが大きく、診察時に医師がゆとりを持って患者と向き合いやすくなります。

── ちなみにSaaSだから難しいところあるのですか?

関係者が多いところですかね。受付、看護師、医師など、ステークホルダーも多くいるなかで、本当の課題がどこで、どこがボトルネックなのかをカスタマーサクセスのメンバーとは話しています。対ユーザーの難しさは実際使う人のみではなく、様々なユーザーがいるところです。直接関わるわけではないけど、どういう人にどう理解してもらえばいいのか考えなくてはいけません。また院内には関係者が多いので、様々なユーザーに対しての広く多様なデザインが求められている点は難しいです。

その中でやりがいを感じている点としては、高齢者が医療現場に多い中で、一人で使いこなせているとか、90歳が使えているとか、幅広い層に使ってもらえるときです。 そのために、自分たちが提供しているサービスを高齢者に直接使ってもらってフィードバックを受けています。最近では実際にタブレットを使ってもらってわかりにくい部分を聞いたりしています。また、動画を作成してデザインで現場の悩みを解消することもあります。

今後はよりユニバーサルなUIデザインをやってみたいと思います。デザイナーとして、ブランドや会社のあり方を定義して、コミュニケーションをとって行くのは面白そうですね。プロダクト以外のところをデザインしていくイメージです。

── 三橋さんはデザインをする上で一番大切にしていることはありますか?

いかに良い体験を提供できるかだと思いますね。ようはアウトプットにより体験を変えられることです。 そのためデザイナーとしてアノニマスなデザインというか、いかに自分を出さずにサービスの価値を感じてもらえるかを大事にしています。社会をよくするとか、いい影響を社会に還元できるデザイナーには憧れますし、そうなっていけるといいなと思います。

── 最後に、キャリアを模索しているデザイナーアドバイスをお願いします

インプットとアウトプットのバランスを大切にして、シンプルに楽しみながらやることは大事かなと思います。難しいですけど自分でも思うところです。 多くの方がプロダクトを普通に使いこなせるためのアプローチとして、ユニバーサルデザインを取り入れたUIデザインは突き詰めていきたいと思います。 インハウスデザイナーとして、ブランドやこの会社のあり方を定義して、コミュニケーションしていくのは面白そうと感じています。 今はまだ、医療に関わっているデザイナーは少ないと思うのですが、好奇心があるデザイナーはぜひUbieにも興味を持っていただけたら嬉しいです。

URLコピー

URLコピー

コピーしました!

注目記事ランキング

あなたのキャリアを
デザインしませんか?

ReDesignerでできること

デザイン知識を持つエージェントと面談

デザイン知識を持つ
エージェントと面談

デザイナー特化のオリジナル求人票

デザイナー特化の
オリジナル求人票

企業のデザイン阻止式を把握した上で提案

企業のデザイン組織を
把握した上で提案

https://magazine.redesigner.jp/post/ubie