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大企業を内側から改革する、DXにおけるデザイナーのミッション〜DX Meetup〜

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イベントレポート

2020/3/3

大企業を内側から改革する、DXにおけるデザイナーのミッション〜DX Meetup〜

経済産業省が「DXレポート」を発表し、多くの企業でデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)が叫ばれています。2020年1月24日、ReDesignerは企業のDXにデザイナーがどのように並走・推進しているのかをテーマとした「DX Meetup デジタルトランスフォーメーションを担うデザイナーの働き方」を開催しました。

本レポートでは、三井住友銀行 デザインコンサルタントの金子さん、BCGデジタルベンチャーズ Experience Design Directorの花城さんにお話しいただいた内容をご紹介します。

三井住友銀行リテールIT戦略部デザインコンサルタント|金子 直樹さん「銀行におけるデザイナーの役割と働き方」

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三井住友銀行リテールIT戦略部でデジタルコンサルタントを務める金子直樹さんからは、2019年にグッドデザイン賞も受賞したデザインチームがこれまで取り組んできたことを中心にデザイナーの動き方についてお話しいただきました。

金子 直樹(Naoki Kaneko)|株式会社三井住友銀行 リテールIT戦略部 デザインコンサルタント 

2004年、求人広告の代理店に新卒入社。法人営業を担当。06年、知人と起業。ECサイトの運営や、Webサイト、スマホアプリの企画・制作を担当。13年、大手広告代理店系列のマーケティング会社に入社。Webサイトの企画・制作・運用等を担当。17年、三井住友銀行に入行。HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト

金子さん: 僕が所属するリテールIT戦略部は、Webサイトやアプリといったソーシャル系のメディアを運用したり、デジタル中心の社内業務ツールの企画・制作・運用を行っている部署です。一方で、行内にデザインの重要性を普及する活動も実施しています。現在、三井住友銀行のデザインチームは4人体制で動いていますが、デザインチームができたのは3年前のことで、それまでは外部のパートナーに依頼していました。そこからスマートフォンアプリ「三井住友銀行アプリ」をリニューアルしたり、私たちデザイナーがnoteを発信することで、三井住友銀行のデザインチームは行内外で認知されるようになってきました。

参考:三井住友銀行がnoteをはじめる理由。

僕たちデザインチームの変化について、3つのフェーズに分けてお話しします。

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信頼を積み上げるための努力

チーム立ち上げ初期のデザイナーの役割は「なんでも屋さん」でした。Webやアプリだけでなく、社内資料やオフィスに貼るポスターまで、デザインに関することは全て担当していました。

とにかく色々な場所に顔を出し、企画内容や進め方などを何かしら提案する。そうすると、少しずつ相談が来るようになって、デザイナーが関わる領域が増える。下のイメージのようなサイクルを意識して行動していると、デザイナーは絵を描くだけじゃないんだと周りから理解が得られ、徐々にプロジェクトの企画段階から声をかけてもらえるようになりました。

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これによって仕事の幅が広がり、企画担当者と二人三脚でプロジェクトを進めることが増えたのですが、デザイナーが上流からプロジェクトに携わるためには信頼関係がとても重要だと感じました。

参考:三井住友銀行 1人目のデザイナー金澤さんのインタビューでも、デザイナーの認知を広めていくフェーズのお話が語られています。 「デザイナーを三井住友銀行に不可欠な存在にしたい」1人目デザイナー金澤さんの挑戦

いわゆる見た目の体裁を整えるだけでは、そのものの価値を高めることができない事案に多く出くわしました。要するに情報設計も何もなく、要素の継ぎ足し、継ぎ足しで整えられただけの状態だったのです。 それではお客さまにとって何も良くならないので、デザイナーとしては、銀行員の事情をくみ取り、一旦は要望通りに作成したものと、お客さま視点を反映した理想形のものを渡して返したり、何かしらの付加価値をつけて返したりしました。

ユーザーと社内、両方の観点でデザインする

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これはWebサイトの店舗・ATM検索ページを改善した時の事例です。改善前のページは検索エンジンの位置が分かりづらいなど、ユーザーの使いやすさを考えない数々の問題がありました。

改善プロジェクトの中で意識したことは、上の写真のようにいくつかのプロトタイプを作り、それぞれのメリットデメリットが分かりやすいように可視化することで、企画担当者との認識のズレを無くし、納得感を持って議論を進めることです。「どのリスクなら許容できるか」「どこまでユーザビリティを担保するか」などの論点を企画担当者と一つずつ検証しながら進めていきました。このような検討コストを最小限にする工夫はお互いの並走感を生み、信頼関係に繋がったと思います。

また、ユーザー目線を過剰に主張して、社内にいる担当者の声を否定し続けていても信頼は得られません。 ユーザーのメリットとのバランスを考えることがデザイナーの役割だと思います。

行内外にインパクトを与えたアプリリニューアル

3人目のインハウスデザイナーである堀が監修した「三井住友銀行アプリ」のリニューアルプロジェクトでは、アプリのダウンロード数が増加し、2019年度グッドデザイン賞を受賞することができました。これによって行内でデザイナーの仕事についての認知度が向上し、見られ方も少しずつ変化していったと実感しています。実際に、銀行アプリのリニューアルをきっかけに、ユーザーの声を反映するプロジェクトも増えました。

参考:グッドデザイン賞2019 https://www.g-mark.org/award/describe/49632

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デザインチーム拡大に向けて

これまではデザイナー4人各自がそれぞれの案件にがむしゃらに取り組んできたのですが、より多くのプロダクトの品質を上げていくために目指すべき方向性を整理し、デザインの力で「最も選ばれる金融G」を創るというミッションを掲げました。

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これらを実現し、デザイナーの価値を上げ、デザインチームを拡大するとともに、三井住友銀行としてデザインに力を入れていることを皆さんに知ってもらいたいと思います。最近は銀行員向けにデザインに関する勉強会を開いたり、情報発信の場としてデザインチームの公式noteを出すなどの取り組みをしています。

BCGデジタルベンチャーズExperience Design Director|花城 泰夢さん「DXで求められるデザイナーの役割」

続いて、BCGデジタルベンチャーズExperience Design Directorの花城 泰夢さんから、大企業のDXを進める上で感じたデザイナーの役割の拡大についてお話しいただきました。

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花城 泰夢|BCGデジタルベンチャーズ Experience Design Director 2016年4月、BCGDV Tokyo の立ち上げから参画。Experience Designチームを牽引し、ヘルスケア、保険、消費財、金融などの領域で新規事業立ち上げやカスタマージャーニープロジェクトを実施。日本のみならず、韓国でも金融や小売業界にて新規事業立案やカスタマージャーニープロジェクトを行ってきた。UI/UXを専門領域としている。前職、株式会社トランスリミットにて、脳トレアプリ『BrainWars』、『BrainDots』のクリエイティブをリードデザイナーとして担当。6000万ダウンロードを記録した。

花城さん: 
BCGデジタルベンチャーズはボストンコンサルティンググループ(BCG)によって設立された、大企業と共にデジタル領域のイノベーションを創出することに特化した組織です。

デジタルやデザインの領域における深い知見と、BCGのアセットを生かして、グローバルに事業を展開しています。全世界に10拠点以上、約1000人のメンバーを抱え、東京には約50人が所属しています。

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(※拠点数等は全て2020年1月登壇時点)

実際にローンチしたサービスは全世界で100個を超えました。多くは、ジョイントベンチャーを立ち上げたり、クライアントと協業して新たなビジネスを生み出しています。例えば、東京チームがユニ・チャームと協業して取り組んだBabily(贝贝粒)は、実際にプロジェクトメンバー全員が中国に渡って市場調査をした後、ベビーケア用品の紹介や離乳食のレシピなどの情報を発信する育児動画メディアを作りました。現在では中国でかなりのユーザー数を抱えるメディアに成長しています。他にも社員が設立会社へ転籍するなど、色々な形で事業にコミットしています。

BCGデジタルベンチャーズには6つの職種が存在し、デザイナーはUIとグラフィック中心のエクスペリエンスデザイナーと、UX領域に近いストラテジックデザイナーがいます。この2つのデザイナー職種を合わせると、東京チーム全体の約3分の1を占めています。

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最近ではDX(デジタルトランスフォーメーション)に関するプロジェクトを手がけることも増えてきました。DXを推進するとなると、コーポレートパートナー(クライアント)の基幹システムや組織も含めて変えていかなければならないので、BCGと協業しながら戦略とプロダクト開発を同時に推し進めることでスピード感をもちながら大きな取り組みにチャレンジしています。

その中でのデザイナーの役割をキーワードでまとめてみました。 まずは、僕たちの根幹となるUI/UXとしての強みです。具体的には次のような要素があります。

・User Research ユーザーリサーチ

・Prototyping プロトタイピング(ユーザーテスト)

・Visual Design カスタマージャーニーやサービスマップの可視化

・Interaction Design インタラクティブ・プロダクトデザイン

・Contents Design 写真選びやスタイルガイド、サービスデザインまで

・Branding ブランディング・マーケティング

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さらに、デザイナーはDXを推進するために自分たちが関わる領域を広げていかなければなりません。まさに今、次のような取り組みをしています。

・Design Team(デザイン組織やチームの組成) クライアントの中にUI/UXの重要性を理解してもらいながら、実際に開発できるインハウスデザイナー

・Knowlege Transfer(ケイパビリティ移植) エスノグラフィックをはじめとしたユーザー調査方法から、ワークショップ、アイディエーションなど顧客視点にたった考え方を組織の中に組み込みます。

・Culturization(カルチャライズ) クライアント先でも普段と変わらないデザイナーの作業風景を実践することで、デザイナーのカルチャーを浸透させていきます。

・Stake Holder(エンプロイ/ステークホルダーマップ) サービスの裏側にある様々なオペレーションをステークホルダーごとに全てあぶり出し、ステークホルダーそれぞれのジャーニーを描きます。どこが効率化できるか、一つ一つの工程を細部まで丁寧に理解した上でプロダクトを作っていきます。

この他にも、レギュレーションの策定、情報基幹システムへの関与などにも関わっています。デザイナーがDXを推進していくにあたって大切なのは、普段からクライアントとコミュニケーションを重ね、お互いの手を取り合っていくことだと考えています。

DXを担うデザイナーに求められるマインドセット

最後に、DXを見据えたデザイナーのキャリアについてお二人それぞれにコメントをいただきました。

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金子さん: 
僕の経験上、実際にやってみて学びに繋がることが多いので、普段から自分に足りていないことを積極的に取り組むことが重要なのではないかと思います。やっていない段階で情報収集するより、これまでやってこなかった仕事にチャレンジした時に足りない情報を調べると、時間が経っても記憶に残ります。

花城さん: 
Figmaなどデザインツールの進化のおかげで、デザインはデザイナーだけのものではなくなってきたと思います。 そこでデザインを手放す勇気をもって、プロダクトマネジャーやエンジニア、ビジネスを巻き込みながら課題解決や本質的な問いに向き合うことがデザイナーには求められてきていると思います。またDXを通して、デザイン組織づくりの大変さを身に染みて感じているので、今後は社内外を問わないデザインチームづくりにも挑戦していきたいと思います!

編集部より

最後までお読みいただき、ありがとうございます。デザインを用いてDXを推進し、大企業を内側から変革する2名のデザイナーのお話をお届けしました。

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この記事を書いた人

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