事業会社のデザインマネージャーが語る、デザイン組織の成長戦略
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イベントレポート

事業会社のデザインマネージャーが語る、デザイン組織の成長戦略

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現在、デザイナーの役割が拡張し、多くの企業でデザイン組織が拡大しています。先日行われたDesign Management〜デザイナーが成長できる組織作りとキャリア〜ではオイシックス・ラ・大地株式会社でクリエイティブ・マネージャーを務める寺内さん、楽天株式会社でバイスシニアマネージャーを務める山下さん、株式会社キュービックでCDOを務める篠原さんを迎え、事業会社におけるデザイナーが成長できる組織作りとキャリアについてお話いただきました。
多くの企業でデザイン組織が拡大していく中、デザイナーがパフォーマンスを発揮できるチームをどのように作っているのか、3社それぞれのデザイナーの働き方や役割、実践されている施策をご共有いただきました。

オイシックス・ラ・大地株式会社|自分で考え、周りから吸収できる人材を育成するには

オイシックス・ラ・大地株式会社でクリエイティブ・マネージャーを務める寺内さん。今回は、デザイナーの課題解決力や実行推進力を養う社内のクリエイティブ委員会での取り組みについてお話ししていただきました。そこではデザイナーのレベルアップを図る様々な工夫がなされていました。

寺内さん:私は現在、クリエイティブ委員会でクリエイティブ・マネージャーとして、社内のクリエイティブのクオリティ向上やクリエイターのマネジメント、育成、評価、採用などを担当しています。

私が考える成長できる組織とは、モチベーションが高く、自分の力で成長できる人が揃っている組織だと思います。自分の力で成長できる人は、自分で考え、どんなことからも吸収し、自分の価値を高めることができます。このような組織を作り上げるため、マネージャーの役割は組織の環境を整え、メンバーのマインドを変えていくことだと考えています。実際、弊社で直面した課題解決から生まれた成長できる組織づくりの事例をご紹介したいと思います。

オイシックス・ラ・大地株式会社とは?

オイシックス・ラ・大地株式会社は食及び食にまつわる社会課題をビジネスで解決する会社です。私たちのミッションは「これからの食卓、これからの畑」です。生産者さんとみなさまのご家庭の食卓をつなぎ、より多くの人が幸せな毎日を送ることができる食の未来をつくるというものです。

そして、社員全員は「顧客志向」を大事にしています。「顧客志向」とは生産者や消費者といったお客様を第一に考えるのはもちろんですが、社内で一緒に働く仲間のことも考えて行動することを指します。

デザイン組織がないゆえの課題とクリエイティブ委員会での取り組み

当社は社内にデザイン組織がなく、60名を超えるクリエイターが各事業部に散らばって配属されています。そのため、二つの課題がありました。

一つはクオリティの担保とKPI達成とのバランスです。KPI達成のためにはクオリティを追い求めすぎると難しく、クオリティで妥協してしまうことがありました。もう一つは若手の育成です。デザイン組織がなく、各事業部に若手社員が散らばっているため、一定の育成が難しいという現状がありました。

この課題を解決するため「クリエイティブ委員会」を設立し、以下のような施策を導入しました。

まず一つが、クリエイティブクオリティの担保、事業課題の解決、若手の育成を促すためのアートディレクター制です。

アートディレクターのミッションとして自ら課題を発見し、解決のためにソリューションを提案し、率先して実行し、事業に貢献することを掲げています。具体的には事業課題に対してクリエイティブの提案やデザイナーのクリエティブチェック、フィードバックなどを行っています。

当社では問題解決講座などを通してロジカルシンキングが共通言語になっているので、実行推進力や課題解決力を特に重要視しています。そのため、アートディレクターになるためにはこのようなスキルが欠かせません。

もう一つの施策は、スキルアップやアイデアの引き出しを増やすためのセミナーや勉強会の開催です。具体的には以下のようなことを行っています。

  • クリエイターの情報共有会
    月に一回、社内のクリエイター全員が集まり、仕事内容やちょっとした疑問のディスカッションを行ったり、Lightning Talkなどを通しプレゼンの練習となる情報共有会を行っています。

  • クリエイティブ・アワード
    月に一回希望者が作品を提出し、それに対して当社のクリエイティブディレクターである水野学さんからフィードバックやアドバイスをいただく会です。毎回1位から3位までの受賞者を水野さんに決めていだただきます。この会を通していただける水野さんの言葉はクリエイターたちの勉強にもなり、モチベーション向上にも繋がっている良い会になっています。
    参照記事:「デザイナーの「技」も「心」も水野学さんから学べ。 Oisix ra daichiの月次クリエイティブアワードとは?

  • UI/UXフィードバックコーチング
    クリエイティブアワードはグラフィックデザインの作品が中心になるため、UI/UXデザイナーがあまり参加しないという課題がありました。それを解決するためGoodpatchさまと協力し、UI/UXのフィードバックができる人材を社内で育てるプログラムを実施しています。そのプログラムではデザイン思考のワークショップなどを行い、デザイナーだけでなく企画者も含めて統一言語ができる状態を目指しています。

今後は、クリエイティブアワード以外の場でADから作品のフィードバックやアドバイスをもらう放課後デザイン相談会、後輩が先輩のメンターにつくヤングメンター制、ADのためのWebデザイン/ディレクションセミナー、外部講師セミナーなどを実施していく予定です。

このように、デザイナーが成長できる組織とキャリアとしては、自分で考え、いろいろなものを吸収できる人を増やし、さらに組織として周りの人のマインドを変えていくことが大事だと思います。スキルアップのための勉強会などにこういった思いを込め、クリエイター自身が自分で考え、成長できる機会をこれからも提供していきたいと思います。

楽天株式会社|異なる専門領域を活かしたチームの連携方法とは

今や日本だけでなく世界中で13億人のユーザーを抱える日系IT大手企業の楽天株式会社。バイスシニアマネージャーを務める山下さんが所属されている顧客戦略部での取り組みについてお話ししていただきました。

山下さん:私はディレクターやプロダクトマネージャーとしてキャリアを歩んできたので、事業を成長させるためにどうデザインを使い、どのような仕組みを作っていくかという観点でお話ができればと思います。今は顧客戦略部のエクスペリエンス課でマネジメントをしています。

顧客戦略部はマーケティングや戦略を強みとする組織で、楽天エコシステム戦略の策定やアセットを活用したグループサービス利用を促進する役割を担っています。楽天のアセットとは、お買いものパンダや楽天自体が持つ強いブランド力をはじめ、楽天スーパーポイントという日本No.1のポイントの力、グループ共通のID/データといった、プラットフォームとして持っている資産のことを言います。

それらをさらに魅力化/活用して、ポイントが貯まるから楽天を使う、お買いものパンダが好きだから楽天を使うといった体験を増やし、楽天グループでのサービス利用数を増大させることを目指しています。

三位一体のプロジェクト推進

では、我々の部門でどのように成果を出しているかについてご紹介します。顧客戦略部では「3つの専門領域のスペシャリスト同士の連携を強固に作って、PJチームとしての強みに昇華する」ことに取り組んでおり、プロジェクトを進める上で3つの問いを重要視しています。

1.Impactful 会社にとってどんな意義を作るの?(ビジネス視点)
2.Attractive どんな風に惹きつけるの?(マーケティング視点)
3.Comfortable どんな嬉しい経験/習慣にするの?(UX視点)

これらUX × ビジネス × マーケティングの3つの観点を凝縮したものがコンセプトになります。一つでも欠けていたらコンセプトは成り立ちません。そのため、それぞれの領域のリードをPJTに配置し、3つの観点それぞれに対してどのような進化の可能性があるか考えていきます。

マネージャーの役割

次に、デザインマネージャーの役割について説明します。我々の部でのデザイン組織のマネージャーは、成果を生むためのデザイン、目的を達成するためのデザインケーパビリティを上げることに責任を持っています。そのためには、施策の検討を進める中でのデザインの質や観点を高く保つことが必要です。

「本質は何か」「ユーザーはそれを使い続けてくれるか?」といった三位一体におけるUI/UX観点での問いを行うことで質を上げていきます。

例えば楽天のポイント運用では、デザインの刷新に当たり以下のようなシンプルな問いを与え、デザインの質を上げていきました。

また、他のRole(ビジネスやマーケティング)のマネージャー間でも密に連携を取り、マネージャー自身も多面的な観点を常に持つことで、チーム内にも特定領域に留まらない本質的な考え方が広がります。このように、チームが多面的な観点で議論しソリューションを考えることで、結果としてマーケティングやビジネスの力を持った事業会社として貢献できるデザイナーを育てることが出来るのです。

こうした「3つの専門領域のスペシャリスト同士の連携を強固に作って、PJチームとしての強みに昇華する」ことが、成果を上げ続けるために非常に重要だと考えています。

株式会社キュービック|デザインマネジメントによって顧客の体験価値向上へ

マーケティングとデザインの会社、株式会社キュービックでCDOを務める篠原さん。篠原さんはCDOだけでなく、参加型アニメ「モモウメ」の事業責任者とエクスペリエンスデザインセンター長も務めています(篠原さんのキャリアについて気になる方は是非インタビューを読んでみてください)。今回はエクスペリエンスデザインセンターで広義のデザインが実現できる状態を目指すために取り組んでいる施策について話していただきました。

篠原さん:株式会社キュービック(以下、キュービック)にはもともとデザイナー組織がありませんでした。今はその組織を作っている段階で、だいぶ整ってきたという印象です。

会社自体は「ヒト・ファースト」という経営理念のもと、「ヒト」に焦点を当てた組織風土と文化が根付いています。ミッションとしては「ヒト・オリエンテッドなデジタルマーケティングでみんなの明日が変わるキッカケを生み出し続ける」ことを掲げています。

エクスペリエンスデザインセンターが目指すべき姿

エクスペリエンスデザインセンターで3年かけて、広義のデザインが実現できている状態を目指しています。そのために、UXのその先にあるカスタマーエクスペリエンスを実現していきたいと考えています。

それを実現するにはデザインマネジメントが不可欠になります。デザインマネジメントに成功している会社は以下の3つが共通していると考えています。

キュービックでは私が執行役員として上2つを担っています。最後の建設的な構造構築を実現するために入社してから様々なことを実施しています。

エクスペリエンスデザインセンターには現在約33名が所属していますが、全メンバーに短期で目指すビジョンを共有しています。また、それを個人の目標に落とし込み、目標を達成するためのアクションを見える化して、誰が何をやっているかを全て組織内で共有しています。さらにエクスペリエンスデザインセンターとしての状態ゴールを作り、そこに向かってメンバーが走っていけるようなレールを作ることがCDOの役割だと思っています。

具体的には以下のことを行なっています。

  • 部門内コミュニケーション
    ディレクター間のミーティングで社内の施策を可視化し、事業優先度を決めています。また、その中で誰が何を担当しているかを見えるようにしています。一方で、社員間のコミュニケーション設計では、週に1時間、エクスペリエンスデザインセンターのメンバー全員を集めて「未来に対しての会議」を行なっています。そこでは社員主体でビジョンをどう実現するのか考えるワークなどを行っています。

  • PJ開発体制
    私たちはサービスデザインを自分たちでできる状態を目指しています。そのためにはみんなが動きやすいようにフローの構造化が必要です。例えば依頼窓口を決めたり、ビジネス部門と連携して業務優先順位の効率化を行っています。
    また、デザイナーといってもそれぞれの得意分野があります。そうしたデザイナーのスキルセットに合わせたプール組織化を進めています。誰と組むかを可視化して、組みやすい状態を作り、その人にあった仕事だけでなく、新しい可能性を広げる1.5倍の仕事のお願いをしています。これにより、組織として仕事の山谷がない状態と、その人の未来を見つけることができるような人の配置を進めています。

  • 教育と育成
    職能別ナレッジの共有システムを作っています。それぞれの職種にあわせた勉強会や部門に必要なスキルの言語化を行っています。デザイナーに必要なスキルをレベル化したものを目標に入れて、3年後どこを目指すのかという話し合いを1 on 1で実施しています。

他にも採用において、新入社員に向けたオンボーディングの設計を重視しています。キュービックのデザイン組織はまだ若く、新しく入る方が多いです。そのような方が早くから活躍していただけるようなオンボーディングの設計を大切にしています。

このように、組織を強くする構造構築を緻密に行うことでデザインマネジメントを実践しています。

最後に

ご参加いただきました皆様、ありがとうございました! 事業会社3社で実践されているデザインチームのマネジメント方法について詳しく知ることができたのではないでしょうか。ぜひ自社に持ち帰って活用してみてください。また、3社とも現在デザイナーを募集中ですので、ご興味がある方はぜひご応募ください。

オイシックス・ラ・大地株式会社|採用情報

楽天株式会社|採用情報

株式会社キュービック|採用情報

ReDesignerはこのようなデザインに関わる様々なイベントを開催しております。内容はデザイナーに向けたものや採用担当者様に向けたものなどさまざまです。イベントや新着レポートの情報は公式TwitterConnpassページをチェックしてみてください!気になるイベントがございましたら是非ご参加されてみてはいかがでしょうか。

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